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アクアポニックス・水耕栽培で大きくならない|確かめる順番は5つ。液肥を足すのは最後

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水耕栽培のパネルに並んだ苗 アクアポニックス

アクアポニックスや水耕栽培のレタスが、枯れてはいない。葉の色も悪くない。でも、2週間たっても、同じ大きさのままです。

調べると「光」「肥料」「温度」「酸素」と原因が並びます。全部それらしく見えて、どれから手を付ければいいのか、分かりません。

確かめる順番があります。一番多くて、一番早く直るものから。そこから書きます。

株が大きくならないとき、枯れていないのに大きくならない状態から、株の数、光、水温の順に確かめ、最後に液肥を考えることを場面で整理したグラレコ(グラフィックレコーディング)
株の数、光、水温。液肥は最後。
この記事の結論(要点)
  • 確かめる順番は、株の数→光→水温→養液→根。私が直しやすいと考える順です。
  • 上から見て隣の株と葉が触れ合っていたら、多すぎ。半分に間引く。私の実物はこれでした。
  • 液肥は最後。一番先に手が伸びて、一番先に株をだめにする。
  • 定植直後の1週間と、冬の屋外は、止まって当たり前。原因ではありません。
  • ひとつ直して1週間で新しい葉が出れば、それが答え。同時に2つ直さない。

大きくならない原因は、確かめる順番で決まる

水耕栽培で大きくならないときに確かめる順番。株の数、光、水温、養液、根の順。株が多すぎるなら減らすほうが早く、日陰ではそれなりで止まり、水温は夏22℃超で止まりはじめる。液肥を足すのは最後
直しやすい順に並べてある。

答えを先に書きます。枯れていないのに大きくならないなら、株の数、光、水温、養液、根、の順に確かめます。この順は、私が直しやすいと考える順です。

私の実物で言うと、葉が薄くて大きくならなかった原因は、株の数でした。直播きして、間引きが遅れて、株が多すぎた。魚を増やすより、株を減らすほうが早かった。

次に多いのが光です。葉物は日陰でもそれなりに育ちますが、「それなり」で止まります。大きくするには、光が要ります。

水温は、季節で決まります。夏は22℃を超えると止まりはじめ、冬は屋外なら止まって当たり前です。

養液と根は、上の3つを消してから見ます。先に液肥を足すと、原因が別だったときに、濃すぎて枯れます。

ひとつずつ、書いていきます。

止まっているのか、枯れはじめているのか|境目

この記事は、枯れていない株の話です。境目を書いておきます。

葉の色が緑のまま、枚数も増えないし大きくもならない。これが「止まっている」で、この記事の範囲です。株は生きていて、条件がそろえば動きます。

葉が黄色くなる、縁が茶色くなる、しおれる。これは「枯れはじめている」で、別の記事です。止まっているのではなく、減っています。手当ての順番も違います。

止まっている株を放っておくと、そのうち枯れはじめます。とくに夏は、止まった株がとう立ちして、それから枯れる。止まっている段階で原因を見つけるほうが、枯れてからより、ずっと手が少なくて済みます。

だから、「まだ枯れていないから大丈夫」ではなく、「枯れる前に止まっているうちに直す」。この記事は、そのための順番です。

もし、この記事を読んでいるあいだに葉が黄色くなりはじめたら、枯れる記事へ移ってください。順番が変わります。

水耕栽培で大きくならないときに確かめる順番の図。1株の数は葉が触れ合っていたら多すぎで半分に間引く。2光は茎だけ伸びるか色は濃いのに増えないなら置き場所を動かす。3水温は夏は22℃超で止まり冬の屋外は止まって当たり前。4養液は淡い緑なら薄く濃さを見てから足し合っていればpH。5根は白くて短いなら酸素で茶色なら根腐れ
液肥は最後。株の数を数えるところから。

株の数|葉が触れ合っていたら、多すぎる

同じ容器を真上から見て、間引く前と後を比べた精密図解。葉が触れ合うほど多すぎるときは、半分に間引いてすき間をつくり、残すのは背の低い株
真上から見て、葉が触れ合っていたら多すぎる。

まず、株を上から見てください。隣の株と葉が触れ合っているなら、多すぎます。

株が多いと、1株あたりの光と養液が減ります。全部の株が、少しずつ育って、少しずつ止まる。どの株も枯れないので、気づきにくい。葉が薄く、小さく、それでも緑のまま、という状態になります。

私のところで葉が薄かったのは、これでした。直播きすると、芽が出そろった時点では小さいので、込み合って見えません。気づくのは、葉が触れ合うころ。そのときには、全部が薄い。

直し方は、間引きです。残すのは背の低い株。抜かずに切る。背の低い株とは、茎が間延びしていない、がっしりした株のことです。半分に減らすと、私のところでは残った株が数日で動きはじめました。

「せっかく芽が出たのにもったいない」と思うところですが、多いまま育てても、全部が小さいまま終わります。残した株を大きくするほうが、収穫としてまとまります。

間引いた芽は、ベビーリーフとして食べられます。捨てるわけではありません。

間引いて1週間、残った株の新しい葉が、前より大きく出てきたら、原因は株の数でした。同じ大きさの葉しか出ないなら、次の光へ進みます。

水耕栽培のパネルに並んだ苗
株と株のあいだに、すき間があるか。触れ合っていたら、多すぎます。

光|葉の色が濃いのに大きくならないなら、光

株の数が足りていて、それでも止まっているなら、光です。

室内で野菜が大きくならないときの精密図。窓から1m離れた場所は目で見るよりずっと暗く、葉の色は濃いのに増えない。窓辺でも足りないことがある。植物育成ライトを足して時間を延ばし、1週間で新しい葉が出はじめれば、原因は光だったと分かる
確かめるのは置き場所です。午前中に日が当たるか、当たるなら何時間かを見ます。

光が足りないときの見え方は、2つあります。茎だけ伸びて葉が小さいなら、光を探して伸びています。これは枯れる記事にも書きました。もうひとつ、葉の色は濃いのに、葉が増えないし大きくならない。これも光が足りないときに出ます。

確かめるのは、置き場所です。道具なしで明るさを見る方法を書きました。午前中に日が当たるか、当たるなら何時間か。

屋外で日陰なら、日の当たる場所へ動かします。室内なら、窓辺でも足りないことが多い。室内はライトが要ります。窓から1メートル離れると、目で見るより、ずっと暗い。

室内で大きくならないなら、まずライト。植物育成用のもので、時間を延ばして使います。

光を足して1週間で、新しい葉が出はじめれば、光でした。

水温|夏と冬で、止まり方が違う

水耕栽培で大きくならないとき止まった季節で原因が分かる。夏なら水温で22℃超で鈍るので遮光・容器を白く・水量を増やす。冬なら気温で屋外は待ち、室内なら暖房とライトで動く。春や秋なら水温ではない
冬の「大きくならない」は、原因ではなく季節。

株の数も光も足りているのに止まるなら、季節です。

夏に止まるなら、水温です。葉物は、水温が22℃を超えると育ちが鈍り、それ以上になると止まります。葉は枯れず、大きくもならず、そのうちとう立ちして、そこで終わりです。

夏の対処は、水温を下げること。遮光、容器を白くする、水量を増やす。効く順に書いてあります。

冬に止まるなら、気温です。屋外の水耕は、冬は止まって当たり前です。枯れなければ、春に動きます。室内なら、暖房の入る部屋で、ライトがあれば動きます。

冬に「大きくならない」のは、原因ではなく、季節です。直すのではなく、待つか、育てる場所を変えるか。

春と秋に止まるなら、水温ではありません。前の2つか、次の2つです。

養液|薄すぎるか、pHか

水耕栽培で養液が原因で大きくならないとき。葉が全体に淡い緑なら薄いので、足す前にいまの濃さを見て規定の濃さで作り直す。色は正常で大きくならないならpHを測る。下の葉から黄色くなるなら栄養の記事へ
薄いと決めつけて足すと、葉の縁から枯れる。

ここまで消して、まだ止まっているなら、養液を見ます。

葉が全体に淡い緑で、大きくならないなら、薄い。水を足すたびに薄まっていることがあります。足し水だけで液肥を足していないなら、これです。規定の濃さで作り直します。

ただし、足す前に、いまの濃さを見てください。水換えの記事に、濃さの見方を書きました。薄いと決めつけて足すと、濃すぎて葉の縁から枯れます。止まっているだけの株が、枯れる株になります。

濃さが合っているのに止まるなら、pHです。養液があっても、pHが外れていると、根が吸えません。下の葉から黄色くなるなら栄養の記事、色は正常で大きくならないだけなら、pHを測ってください。

養液で直るのは、この2つだけです。液肥を「足せば大きくなる」ものだと思って足し続けると、たいてい逆に行きます。

根|白くて短いなら、酸素か水温

最後に、根を見ます。株を持ち上げて、根の色と長さを見てください。

根の色と長さで次にやることを決める精密図。白くて長い根は健康でほかを見直す。白いが短い根は酸素か水温を見る。茶色い根は根腐れを疑う
白いが短い根なら、水を動かすか、水位を下げて根の上のほうを空気に触れさせます。

白くて、張りがあって、それなりに長いなら、根は健康です。それでも止まっているなら、上の4つのどれかを見落としています。もう一度、株の数から戻ってください。

白いが、短くて増えないなら、酸素か水温です。根は水中の酸素で呼吸します。足りないと、伸びません。水を動かすか、水位を下げて根の上のほうを空気に触れさせます。

茶色くなっているなら、この記事ではなく根腐れの記事です。止まっているのではなく、傷んでいます。

根が短い株は、葉を大きくする前に、根を伸ばします。根が伸びるまでの数日から1週間、葉は止まって見えます。定植したばかりなら、これは正常です。待ってください。

赤いリーフレタスの若い株
定植して根が慣れると、ここから急に大きくなります。

定植直後の1週間は、止まって当たり前

水耕栽培で定植した苗はまず止まる。根が2〜3cmで移した日から1週間ほどは葉が動かず根を伸ばしているので、光を強くせず液肥も足さない。それ以降に動きはじめれば正常
「移して3日で大きくならない」は、原因ではなく待つ時間。

ここまで原因を書きましたが、ひとつ、原因ではない「止まり」があります。

私のところでは、スポンジから装置へ移した直後の苗は、数日から1週間、動きません。新しい水に根を慣らし、根を伸ばしている時間です。葉が動かないので「大きくならない」と感じますが、根の下では動いています。

この期間に、光を強くしたり、液肥を足したりしないでください。根がまだ吸えないので、効きません。効かないどころか、濃すぎて根を傷めます。

私の目安は、移したときの根が2〜3センチなら、1週間ほど。それを過ぎて動きはじめれば正常。過ぎても動かないなら、この記事の順番で確かめます。

「移して3日で大きくならない」は、原因ではありません。待つ時間です。

水耕栽培は、土より成長が遅いのか

「水耕栽培は成長が遅い」と聞いて、それが原因だと思っている方がいます。

逆に「水耕栽培はすぐ大きくなる」という話も、よく見かけます。あれは、気温、水温、養液のバランスが全部合っていた時期の、いちばん良いところを切り取ったものです。合っていれば速い。合っていなければ、土と変わらないか、遅い。

だから「速い」も「遅い」も、方式の話ではなく、条件の話です。遅いと感じるなら、この記事の5つのどれかが欠けています。「水耕だから遅い」でも「水耕なのに遅い」でもなく、何が欠けているかを探します。

ただし、立ち上がりだけは、土より遅く見えます。定植直後の根の慣らし、それから、小さい装置は水量が少ないので、水温が動きやすい。最初の2週間は、土の苗のほうが先に行くことがあります。

2週間を過ぎても差が縮まらないなら、原因があります。順番に確かめてください。

魚がいる装置なら、液肥ではなく株を減らす

アクアポニックスのように、下に魚がいる装置の場合、養液の濃さを自分で決められません。濃さは魚の餌の量で決まります。

野菜が大きくならないときの養液の段での手の打ち方。水耕栽培なら足す前にいまの濃さを見て、薄ければ規定の濃さで作り直す。アクアポニックスのように魚がいる装置では濃さが魚の餌の量で決まるので、まず株を減らし、それでも足りなければ魚を増やす
株を減らすと、1株あたりの養分が増えて残った株が動きはじめる。

だから、5つのうち「養液」のところで打てる手が変わります。液肥を足すのではなく、株を減らすか、魚を増やすか。私のところでは、株を減らすほうが早かった。魚はすぐには増やせないし、増やすと水が先に傷みます。

株の数を減らすと、1株あたりの養分が増えて、残った株が動きはじめます。魚を増やすのは、そのあとで、それでも足りないときです。

この違いを除けば、確かめる順番は水耕栽培と同じです。株の数、光、水温、そして根。魚がいるぶん、打てる手が減ることは、枯れる記事にも書きました。

魚がいる装置で「大きくならない」なら、まず株が多くないかを疑います。

もともと小さい品種と、水耕に向かない野菜

もうひとつ、原因ではない話です。育てている野菜が、もともと大きくならない品種、ということがあります。

水耕栽培の野菜が大きくならないのは品種のせいかもしれない。ベビーリーフ用・ミニ品種・間引き菜は大きくならないのが正常で、袋の裏の収穫の大きさが上限。結球レタスや実ものは大きくするのが難しい。初めてならリーフレタス・水菜・小松菜
葉物、ハーブ、実ものの順に難しくなる。

ベビーリーフ用のレタス、ミニサイズの品種、間引き菜として売られている種。これらは、大きくならないのが正常です。袋の裏に、収穫の大きさが書いてあります。それを超えないなら、それが上限です。

逆に、結球するレタスや、実ものは、葉物より条件がそろいにくく、大きくするのが難しくなります。葉物、ハーブ、実ものの順に難しくなります。難しいものを選んで「大きくならない」なら、品種の問題です。

初めてなら、リーフレタス、水菜、小松菜。この3つは、上の原因が無ければ、大きくなります。

どこで見切るか|終わりの判断

線を決めておきます。

原因をひとつ直して、1週間で新しい葉が出れば、それが答えです。ほかは触りません。

1週間で動かなければ、次の原因へ進みます。株の数、光、水温、養液、根。この順で、1つずつ。同時に2つ直すと、どれが効いたか分からなくなります。

5つ全部やって動かないなら、季節か品種です。待つか、次の作で野菜を変えます。

最後にひとつ。液肥は、最後です。大きくならないとき、一番先に手が伸びるのが液肥で、一番先に株をだめにするのも液肥です。株の数を数えるところから、始めてください。

まとめ

水耕栽培で、枯れていないのに大きくならないなら、株の数、光、水温、養液、根の順に確かめます。私が直しやすいと考える順です。

私のところで一番多かったのは株の多すぎ。上から見て葉が触れ合っていたら、半分に間引く。私の実物も、直播きで株が多すぎて葉が薄くなり、間引くほうが早かった。

光は置き場所、水温は季節、養液は濃さを見てから、根は色と長さ。液肥は最後です。先に足すと、止まっている株が枯れる株になります。

定植直後の1週間と冬の屋外は、止まって当たり前。ひとつ直して1週間で新しい葉が出れば、それが答えです。

よくある質問(FAQ)

Q. 水耕栽培で野菜が大きくならないのはなぜですか。

A. 枯れていないのに止まっているなら、株の数、光、水温、養液、根の順に確かめます。私のところで一番多く、一番早く直ったのが株の多すぎで、隣の株と葉が触れ合っていたら間引きます。液肥を足すのは最後です。

Q. 葉の色はいいのに大きくなりません。

A. 株が多すぎるか、光が足りないかです。上から見て葉が触れ合っていたら間引く。足りていれば置き場所の明るさを見ます。葉の色が濃くても、光が足りていないことがあります。

Q. 液肥を足せば大きくなりますか。

A. 薄すぎるときだけです。足す前にいまの濃さを見てください。原因が別なのに足すと、濃すぎて葉の縁から枯れます。液肥は一番先に手が伸びて、一番先に株をだめにするものです。

Q. 定植してから1週間、動きません。

A. 正常です。移した直後は根を新しい水に慣らして伸ばしている時間で、葉は止まって見えます。この期間に光や液肥を足さないでください。1週間を過ぎても動かないなら、原因を順に確かめます。

Q. 夏に止まりました。

A. 水温です。葉物は22℃を超えると鈍り、それ以上で止まります。遮光、容器を白くする、水量を増やす。放っておくと、とう立ちして終わります。

Q. 冬に大きくなりません。

A. 屋外なら止まって当たり前で、原因ではなく季節です。枯れなければ春に動きます。室内で暖房とライトがあれば冬でも動きます。

Q. 間引くのがもったいないです。

A. 多いまま育てると全部が小さいまま終わります。残した株を大きくするほうが、収穫としてまとまります。間引いた芽はベビーリーフとして食べられます。

Q. 根は白いのに大きくなりません。

A. 根が健康なら、株の数、光、水温、養液のどれかを見落としています。株の数から戻ってください。根が白くて短いままなら、酸素か水温です。

Q. どうなったら原因が分かったと言えますか。

A. ひとつ直して1週間で新しい葉が出たら、それが答えです。動かなければ次へ。同時に2つ直すと、どれが効いたか分かりません。

設備にいくら掛かったのか、どこでつまずいて、どう直したのか。個人で始めたアクアポニックスの記録をnoteに書いています。
→ 費用と失敗の記録をnoteで読む

次に見るのは、ここ

株が多すぎるなら水耕栽培の間引き|抜かずに切る。残すのは背の低い株へ。

光を疑うならアクアポニックスの光はどれだけ要るのかへ。

夏に止まったら水耕栽培の夏の水温|22℃で線を引くへ。

枯れはじめたら水耕栽培で枯れる|どこから枯れたかで原因が分かれるへ。

魚がいる装置ならメダカで野菜が育たない|株を減らせば穫れるへ。

この記事を書いた人
鷲林寺アクアファーム(兵庫県西宮市)

植木屋として5年、アクアリウムは10年。2021年から、義理の祖母が守ってきた農地を休耕地にしないためにアクアポニックスを始め、一人で続けています。書いているのは、その農場で実際に起きたことと、確かめられた範囲のことだけです。

農場見学は全国から受け入れてきました(現在は休止中)。ラジオ関西「羽川英樹 ハッスル!」、雑誌「Mer」などの取材を受けています。
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