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アクアポニックスの魚の選び方|初心者向け3種と中級者向け4種を比較

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アクアポニックスの魚の選び方|初心者向けと中級者向け アクアポニックス

アクアポニックスを始めるとき、最初に迷うのが「どの魚を選ぶか」です。観賞用なのか、食用なのか、加温できる環境があるのか——条件によって最適解は変わります。

条件がまだ決まっていないなら、錦鯉・金魚・メダカの3種が安全です。いずれも日本の気候にそのまま適応でき、加温設備が不要。慣れてから、ティラピアやチョウザメといった水温の管理(加温か冷却)が要る中級者向けの魚種に挑戦するのが失敗の少ない順番です。

  • 初心者向けは錦鯉・金魚・メダカ。日本の気候に適応し加温不要。
  • 中級者向けはティラピア・チョウザメ・オニテナガエビ・ナマズ。ティラピア・オニテナガエビは加温、チョウザメは夏の冷却が前提。国内のナマズは加温不要。
  • 熱帯魚は積極的にはおすすめしない。魚の量が少なく養分供給が不足しがちで、加温も要る。

そして観賞用か食用かで、同じ初心者向けでも選ぶ魚は変わります。野菜を育てる力にも、魚種ではっきり差があります。

アクアポニックスで泳ぐ錦鯉
初めてなら加温不要な錦鯉・金魚・メダカから選ぶのが安全です。
アクアポニックスの魚選びは迷ったらメダカで、錦鯉・金魚も加温いらず、加温がいる魚は慣れてからにすることを場面で整理したグラレコ(グラフィックレコーディング)
迷ったら、まずメダカ。
この記事の結論(要点)
  • 条件がまだ決まっていないなら、錦鯉・金魚・メダカの3種が安全です。日本の気候に適応でき、加温が要りません。
  • 迷ったらまずメダカ。小さな設備で始められて、失敗のダメージも小さい。
  • 野菜を育てる力は魚種で差があります。魚の量(重さの合計)が多いほど餌が増え、養える野菜が増えます。
  • ティラピアなど加温が必要な魚は、慣れてからの中級者向けです。熱帯魚の観賞種は積極的にはおすすめしません。

アクアポニックスの初心者向け|ヒーター不要の3種

アクアポニックス初心者向けの魚3種の比較図。錦鯉・金魚(和金)・メダカ(ヒメダカ)を大きさ順に並べた。魚の量(重さの合計)が多いほど餌が増え、養える野菜が増える。錦鯉は体が大きい分水量が要る。迷ったらまずメダカ、小さな設備で始められる
魚の量が、養える野菜を決める。迷ったらまずメダカ。

この考え方は国連食糧農業機関の技術報告(2014年)にもまとめられています。魚を選ぶときは、まずその土地の気候で加温なしに飼えるかを見る、という順番が示されています。

まずは、加温設備なしで始められる魚種です。

アクアポニックスの初心者向けでヒーター不要の3種。錦鯉は観賞価値が高く丈夫で長寿命だが広い水量が前提、金魚は入手しやすく飼育のハードルが低いがよく汚すのでろ過に余裕を、メダカは日本の気候に合い家庭規模で扱いやすく、迷ったらまずメダカ。3種とも加温が要らない
この3種は日本の気候にそのまま適応でき、加温設備が要りません。迷ったら、まずメダカから。

錦鯉は観賞価値が高く、丈夫で長寿命な魚です。ただし成長すると大きくなるため、広い水量を確保できる環境が前提になります。水槽での飼い方は錦鯉は水槽で飼える?大きくしない「締め飼い」と水槽サイズ別の適正匹数で詳しく解説しています。

金魚は入手しやすく、飼育のハードルも低い定番の魚です。ただしよく食べてよく汚すため、ろ過能力に余裕を持たせる必要があります。金魚を選ぶなら、冬と夏の水温の幅を先に金魚の水温は何度までで確かめてください。

メダカは日本の気候に合っていて、家庭規模のアクアポニックスで扱いやすい魚です。丈夫で情報も豊富、価格も手頃なので、迷ったらまずメダカという選び方で問題ありません。メダカで育てて野菜が伸びないときの直し方はメダカで野菜が育たないにまとめています。

金魚は、体型で向き不向きが分かれる

ひとくちに金魚と言っても、体つきで二つに分かれます。細長い和金型と、背中が丸く盛り上がった丸物です。アクアポニックスは水をポンプで回し続ける仕組みなので、この差が効いてきます。

向いているのは和金型です。体が流線形で泳ぎが得意なので、水の流れに押されても平気で、餌もきちんと追いかけて食べます。更紗和金とコメットが、その代表です。


丸物は、琉金・オランダ獅子頭・出目金など。見ていて楽しい体つきですが、その体型のぶん泳ぎが得意ではありません。流れの強いところに置くと、泳ぎ疲れて片隅にとどまるようになります。

飼えないわけではありません。水の流れが直接当たらない場所を作る、餌を取りきれているか確かめる。この二つを見ておけば問題は出にくくなります。体型と転覆しやすさの関係は金魚の転覆病で、屋外の置き場所は金魚の屋外飼育で詳しく書いています。


出目金だけは、もう一段の注意が要ります。目が飛び出しているぶん傷つきやすく、視野も広くありません。ろ材や配管の角で目をこすらないようにし、餌の取り合いになる組み合わせは避けてください。

アクアポニックスは資本がある人のものだと思われがちですが、個人でも始められます。設備にいくら掛かったのか、どこでつまずいて、どう直したのか。私の実践の記録をnoteに書いています。見学に来られた方はのべ100人を超えました。
→ 個人で始めたアクアポニックスの費用と失敗をnoteで読む

中級者向け|水温や隠れ家の管理が要る4種

仕組みに慣れてきたら、水温の管理(加温か冷却)が要る魚種にも挑戦できます。

アクアポニックスの中級者向けの魚4種の壁。ティラピアは冬の加温、チョウザメは夏の冷却、オニテナガエビは加温と共食い対策、ナマズは隠れ家が要るが国内のナマズなら加温は要らない
中級者向けは、魚ごとに越えるべき壁が違う。

ティラピアは成長が非常に速く、食用としての魅力が大きい魚です。適水温27〜30℃(国連食糧農業機関の手引き)を通年に近い形で保つ必要があり、冬は加温が必須になります。通年の加温を続けられるか判断するなら、アクアポニックスでのティラピア飼育法へ。

チョウザメは「自宅でキャビア」というロマンがある古代魚ですが、低水温を好む点が独特で、日本の夏は逆に冷却が必要になります。キャビアを採るまでには長い年月がかかる長期戦の魚です。夏の冷却と飼育年数を踏まえて選ぶなら、チョウザメの飼育法で確かめてください。

オニテナガエビは最大30cmに育つ大型のエビで、条件が整えば4〜5か月ほどで収穫サイズに達します。主な壁は加温と共食い対策です。加温と共食い対策の具体策はオニテナガエビの飼育方法へ。

ナマズは底に沈んだ餌や有機物を処理してくれる掃除役としての側面もあり、食用にもなります。夜行性で物陰を好むため、隠れ家を用意した環境づくりが必要です。国内のナマズなら日本の水温で飼えるので、加温は要りません。

目的別の選び方

魚種で迷ったら、まず自分の目的をひとつに絞ってください。

アクアポニックスの魚を目的別に選ぶ対応図。とにかく失敗したくないならメダカで加温不要で丈夫。観賞価値を重視するなら錦鯉で広い水量が前提。食用も視野に入れるならティラピアで成長が速いが加温が要る。珍しさを求めるならチョウザメで長期戦。エビも育てたいならオニテナガエビで共食い対策が鍵
目的で、選ぶ魚が変わる。

目的が複数あっても構いません。ただし最初の1種は、いちばん優先したい目的に沿って選ぶのがコツです。あれもこれもと欲張ると、加温設備や水量の要求が重なり、管理の難易度が急に上がります。

アクアポニックスで飼育されるチョウザメ
中級者向けの魚種は魅力的ですが、加温や冷却という固定コストが増えます。

熱帯魚(グッピー・エンゼルフィッシュ・ネオンテトラ)はどうか

アクアポニックスで金魚はフンが多く葉が濃く育つが、小さな熱帯魚はフンが少なく葉の色がうすく、ヒーターも要ることを比べた精密図解
熱帯魚を入れるなら、加温した別の槽で少しだけ。

観賞魚として人気の高い熱帯魚も、アクアポニックスに導入すること自体は可能です。ただし正直に言うと、積極的にはおすすめできません。

理由は槽に入れられる魚の量(重さの合計)が少ないことです。アクアポニックスは魚のフンを養分源にする仕組みなので、小さな熱帯魚の観賞種だけでは栽培ベッドを支える養分が不足しがちです。また、種類によっては水質の変化に敏感です。

それでも導入したい場合は、加温している室内の槽に限り、水量に対してごく少数にとどめます。熱帯魚は通年25℃前後の加温が要るので、加温しないメダカや金魚の槽とは水温が合いません。主力の魚とは槽を分けてください。




まとめ|最初の1種はどう選ぶか

迷ったら、メダカから始めて、慣れたら広げるのが失敗しにくい順番です。加温不要で情報も豊富、万が一のトラブルにも対処しやすいという点で、初めてのアクアポニックスに向いた魚です。

仕組み自体に慣れてきたら、目的に応じてティラピアやチョウザメといった中級者向けの魚種に挑戦してみてください。それぞれの飼育法は、この記事内のリンク先で詳しく解説しています。

次に見るのは、ここ

ティラピアを飼うならティラピアの飼い方へ。

チョウザメを飼うならチョウザメの飼い方へ。

オニテナガエビを飼うならオニテナガエビの飼い方へ。

メダカで育てていて野菜が伸びないならメダカで野菜が育たないへ。

よくある質問(FAQ)

Q. アクアポニックス初心者におすすめの魚は?

A. 錦鯉・金魚・メダカの3種です。いずれも日本の気候にそのまま適応でき、加温設備が不要です。とくにメダカは丈夫で情報も豊富なため、最初の1種として扱いやすい魚です。

Q. ティラピアやチョウザメは初心者には難しいですか?

A. ティラピアは通年の加温、チョウザメは夏の冷却が必要なため、初めての1種としてはやや難易度が上がります。仕組みに慣れてから挑戦するのが失敗の少ない順番です。ティラピアは成長が速く食用向き、チョウザメは低水温を好む長期戦の魚です。

Q. 熱帯魚をアクアポニックスに入れてもよいですか?

A. 導入自体は可能ですが積極的にはおすすめしません。槽に入れられる魚の量が少ないため養分供給が不足しがちで、通年の加温も要るためです。導入するなら加温した室内の槽で少数にとどめ、加温しない主力の魚とは槽を分けてください。

Q. 食用を目指すならどの魚がよいですか?

A. ティラピアが最有力です。成長が非常に速く、半年ほどで食べられるサイズに育ちます。チョウザメやオニテナガエビも食用になりますが、成熟までの期間や管理の難易度はティラピアより高くなります。

Q. 複数の魚種を一緒に飼えますか?

A. 組み合わせによっては可能ですが、加温要件や水量の要求が重なると管理が難しくなります。最初の1種は目的をひとつに絞って選び、慣れてから他の種類を足していくのが安全です。

Q. 魚選びで失敗しないコツは?

A. 加温設備の有無を最初に確認することです。加温できないなら錦鯉・金魚・メダカの3種に絞られます。加温できるなら選択肢は広がりますが、それぞれの適水温と管理の手間を事前に調べてから導入してください。

この記事を書いた人
鷲林寺アクアファーム(兵庫県西宮市)

植木屋として5年、アクアリウムは10年。2021年から、義理の祖母が守ってきた農地を休耕地にしないためにアクアポニックスを始め、一人で続けています。書いているのは、その農場で実際に起きたことと、確かめられた範囲のことだけです。

農場見学は全国から受け入れてきました(現在は休止中)。ラジオ関西「羽川英樹 ハッスル!」、雑誌「Mer」などの取材を受けています。
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