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アクアポニックスを始めるのに必要なもの|最初にそろえる4つと買う順番

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アクアポニックスの水質検査。試験紙の色を見本と見比べているところ アクアポニックス

アクアポニックスを始めようと調べはじめると、必要そうなものが次々出てきて迷います。結局、最初に何を買えばいいのか——これがいちばんの悩みどころです。

最初に買うのはアクアポニックスキット・水質検査試薬・カルキ抜き・バクテリア剤の4つだけです。あとは魚と野菜の種類、そして運用しながら見えてくる課題に応じて買い足していけば十分。最初から全部そろえる必要はありません

  • 最初にそろえるのはキット・水質検査試薬・カルキ抜き・バクテリア剤の4つだけ。
  • 魚と野菜の道具は目的次第。メダカ+苗から始めるのが最も失敗しにくい。
  • 使う順番は設置→水を回す→試薬で確認→魚→苗。試薬確認を飛ばすのが最多の失敗。
小型のアクアポニックス装置。上が栽培槽、下が魚の水槽
最初にそろえるのは4つ。買う順番がある。

最初にそろえる4つ

この考え方は国連食糧農業機関の技術報告(2014年)にもまとめられています。水質を測る道具が最初から要る、という点は、この報告でも繰り返し出てきます。

アクアポニックスで最初にそろえる4つ。キット・水質検査の試薬・カルキ抜き・バクテリア剤と使う順番
そろえるのは4つ。使う順番は決まっていて、魚はいちばん最後。

これから始めるなら、この4つだけ押さえてください。

アクアポニックスを始めるのに必要なもの|最初にそろえる4つ。この4つがあれば、最低限の立ち上げは完了します。残りは運用しながら必要に応じて足していけば十分です
この4つがあれば、最低限の立ち上げは完了します。残りは運用しながら必要に応じて足していけば十分です。

アクアポニックスキット

初めてなら、ポンプの能力と栽培槽のサイズが最初から釣り合っているキットを選ぶのが確実です。自作は安く済みますが、揚程や高低差の設計を自分で判断する必要があり、ここで失敗すると水が正しく循環しません。設置スペースに応じて、小型・中型から選べます。

水質検査試薬

アンモニアも亜硝酸も無色透明で、見た目では絶対に分かりません。試薬がなければ、水質が悪化していても気づけないまま魚を落とすことになります。立ち上げ期はとくに毎日でも確認したいので、最初に用意しておくべき道具です。

カルキ抜き

水道水の塩素は、魚のエラや粘膜を傷つけるだけでなく、水を浄化してくれるバクテリアまで殺してしまいます。立ち上げの最初の一歩から必要になるので、真っ先に手元に置いておきます。

バクテリア剤

使わなくても、自然にバクテリアは育ちます。ただし2〜6週間という立ち上げ期間を短縮できるのは大きな利点です。早く魚を迎えたいなら、最初から用意しておいて損はありません。

目的別にあると便利なもの

ここから先は、必須ではなく「何をしたいか」で選ぶ段階です。

アクアポニックスを始めるのに必要なもの|あると立ち上げが楽になるもの。この5つは「必須」ではなく「目的次第」です。全部そろえる必要はなく、始めてから足りないと感じたものだけ買い足せば十分です
この5つは「必須」ではなく「目的次第」です。全部そろえる必要はなく、始めてから足りないと感じたものだけ買い足せば十分です。

魚を飼うなら、メダカが最有力です。日本の気候に適応しているため加温が不要で、初めてのアクアポニックスでも失敗しにくくなります。食用や本格的な収穫を目指すなら、ティラピアなどの熱帯魚も選択肢に入りますが、その場合はヒーターが必須になります。

野菜は種より苗から始めるほうが、失敗は少なくなります。単価は上がりますが、発芽の不確実性を避けられるぶん、最初の成功体験を得やすくなります。慣れてきたら種から挑戦しても遅くありません。

栽培する魚種によっては専用の餌も検討してください。エビや大型魚を育てるなら、沈下性の専用フードが必要になる場合があります。

害虫が心配なら、ニームオイルのような天然成分の忌避剤を用意しておくと安心です。土を使わないアクアポニックスでも、葉につく虫がまったくいないわけではありません。魚に影響しにくい天然由来のものを選んでください。

養分については、鉄・カリウム・カルシウムなど魚のフンだけでは供給されないものがあります。葉が黄色くなるなどの症状が出てから買い足しても十分間に合うので、最初からそろえる優先度は高くありません。詳しくはアクアポニックスで葉が黄色い原因は鉄不足で解説しています。

ハウスの栽培槽いっぱいに育ったリーフレタス
うちのハウスの栽培槽。

買ったものを使う順番

そろえた道具は、この順番で使ってください。順序を間違えると、せっかく買ったものが無駄になります。

アクアポニックスを始めるのに必要なもの|買ったものを使う順番。買った順ではなく、この順番で使います。とくに立ち上げ期間を飛ばして魚を入れるのが、いちばんよくある失敗です
買った順ではなく、この順番で使います。とくに立ち上げ期間を飛ばして魚を入れるのが、いちばんよくある失敗です。

もっとも重要なのは3番目と4番目の間です。試薬でアンモニアと亜硝酸がゼロになったことを確認してから、魚を入れてください。ここを飛ばして魚を先に入れるのが、アクアポニックスで最も多い失敗です。詳しい水質の考え方はアクアポニックスで失敗する原因は水質管理にまとめています。

苗を植えるタイミングも同様です。水が安定する前に植えても、養分のバランスが整っていないため育ちが悪くなります。焦らず、水質が落ち着いてから進めるのが、結果的にいちばんの近道です。

アクアポニックスは資本がある人のものだと思われがちですが、個人でも始められます。設備にいくら掛かったのか、どこでつまずいて、どう直したのか。鷲林寺アクアファームの実践の記録をnoteに書いています。見学に来られた方はのべ100人を超えました。
→ 個人で始めたアクアポニックスの費用と失敗をnoteで読む

あわせて読みたい:アクアポニックス

よくある質問(FAQ)

Q. アクアポニックスを始めるのに最低限必要なものは?

A. アクアポニックスキット、水質検査試薬、カルキ抜き、バクテリア剤の4つです。この4つがあれば最低限の立ち上げができます。残りは魚や野菜の種類、運用しながら見えた課題に応じて買い足せば十分です。

Q. 自作とキットはどちらがよいですか?

A. 初めてならキットが確実です。ポンプの能力と栽培槽のサイズがあらかじめ釣り合うよう設計されているため、組めば動きます。自作は安く済みますが、揚程や高低差の設計を自分で判断する必要があります。

Q. 水質検査試薬はなぜ必要ですか?

A. アンモニアも亜硝酸も無色透明で、見た目では判断できないためです。試薬がなければ水質の悪化に気づけないまま魚を落とすことになります。立ち上げ期はとくに頻繁な確認が必要です。

Q. バクテリア剤は必須ですか?

A. 必須ではありません。使わなくても2〜6週間で自然にバクテリアは育ちます。ただしバクテリア剤を使うとこの立ち上げ期間を短縮できるため、早く魚を迎えたい場合は用意しておくと便利です。

Q. 最初に飼う魚は何がおすすめですか?

A. メダカが最有力です。日本の気候に適応しているため加温が不要で、初めてのアクアポニックスでも失敗しにくくなります。食用や収穫を目指すならティラピアなどもありますが、ヒーターが必須になります。

Q. 野菜は種と苗どちらから始めるべきですか?

A. 苗から始めるほうが失敗は少なくなります。単価は上がりますが、発芽の不確実性を避けられるため、最初の成功体験を得やすくなります。慣れてから種に挑戦しても遅くありません。

Q. 道具をそろえたらどの順番で使えばよいですか?

A. 設置→カルキ抜きした水で満たしてポンプを回す→試薬で水質を確認→魚を導入→苗を植える、の順です。試薬でアンモニアと亜硝酸がゼロになる前に魚を入れるのが最も多い失敗なので、ここは必ず確認してください。

この記事を書いた人
鷲林寺アクアファーム(兵庫県西宮市)

植木屋として5年、アクアリウムは10年。2021年から、義理の祖母が守ってきた農地を休耕地にしないためにアクアポニックスを始め、一人で続けています。書いているのは、その農場で実際に起きたことと、確かめられた範囲のことだけです。

農場見学は全国から受け入れてきました(現在は休止中)。ラジオ関西「羽川英樹 ハッスル!」、雑誌「Mer」などの取材を受けています。
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