ハイドロボールの選び方|サイズ別比較と使い方・洗浄方法【アクアポニックス】
アクアポニックス
2024.07.19
アクアポニックスの培地として最もよく使われるのがハイドロボールです。ただし「どのサイズを選べばいいのか」「洗う必要はあるのか」で迷う人が多い資材でもあります。
サイズは中粒(8〜16mm)が基本です。保水性と通水性のバランスがよく、根が張りやすく、目詰まりも起こしにくい。洗うほうは、洗浄済みの表示があっても使う前に必ず洗います。この2点を押さえれば、培地選びで失敗することはほとんどありません。
- アクアポニックスの培地は中粒(8〜16mm)が基本。通水性と保水性のバランスがよい。
- 「洗浄済み」でも使う前に必ず洗う。微粉がポンプと配管を詰まらせる。
- 敷く深さは10〜15cm。多孔質の穴に硝化バクテリアが棲み、培地自体がろ過装置になる。
粘土を焼成して作られたハイドロボール。無数の穴が硝化バクテリアの住処になります。
ハイドロボールとは?──粘土を焼いて発泡させた人工の礫
この点は国連食糧農業機関の技術報告(2014年)でも扱われています。焼いた粘土の粒が、通水と保水の釣り合いがよい培地として挙げられています。
粒のあいだに空気が残るので、根が呼吸できる。
ハイドロボールは、粘土を1,000℃前後で焼成し、内部に無数の気泡を持たせた人工の礫(れき)です。ヨーロッパでは「レカトン」の名で古くから使われており、ハイドロカルチャーや水耕栽培の定番資材になっています。
ハイドロボールは粘土を高温で焼いて発泡させた人工の礫。無数の穴がバクテリアの住処になり、培地そのものが生物ろ過として働きます。
アクアポニックスにとって決定的なのは、多孔質であることです。表面と内部の無数の穴に硝化バクテリアが定着し、培地そのものが生物ろ過装置として働きます。つまりハイドロボールは、野菜を支える土台であると同時に、魚の排泄物を野菜の栄養に変える現場でもあるわけです。
加えて軽く、水質をほとんど変えず、洗えば何年も再利用できます。土を使わないので虫が湧きにくく、室内やベランダでも扱いやすい。この扱いやすさが、アクアポニックスで広く選ばれている理由です。
ハイドロボールのサイズの選び方
ハイドロボールは粒の大きさで性質が変わります。ここがいちばん迷うところなので、先に結論を図にまとめます。
アクアポニックスでは中粒が基本。水を絶えず循環させる仕組みなので、保水性より通水性を優先します。
小粒(2〜4mm)は保水性が高く、種まきや発芽したての小さな苗に向いています。ただしアクアポニックスの栽培ベッドに大量に使うと、粒と粒の隙間が小さいぶん目詰まりを起こしやすいのが難点です。使うなら表層だけ、あるいは育苗トレー用と割り切るのが安全です。
中粒(8〜16mm)がアクアポニックスの標準です。通水性が確保でき、それでいて根が絡む程度の保水性もある。レタスやハーブといった葉物から、ある程度の果菜まで幅広く対応できます。迷ったら中粒で問題ありません。
大粒(16〜25mm)は通水性が最も高く、トマトやナスのように根を大きく張る植物に向きます。水はけがよいぶん保水性は落ちるので、給排水の頻度を上げる必要があります。栽培ベッドの底層に大粒、その上に中粒という敷き分けをすると、排水性と保水性を両立できます。
小粒・大粒も選びたいなら
栽培ベッドの底層に大粒、上層に中粒といった敷き分けをするなら、サイズと容量を選べる商品が便利です。5Lと20Lがあるので、育苗トレー用に小粒を少量、ベッド用に中粒を大量、という買い方もできます。
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ハイドロボールは洗う必要がある?
洗浄済みの製品でも必ず洗ってください。これは手抜きしてはいけない工程です。
理由は微粉です。ハイドロボールは焼成された多孔質の礫なので、輸送中に粒同士がこすれて細かい粉が発生します。この粉を洗い流さないまま使うと、水が濁るだけでなく、ポンプや配管に入り込んで詰まりの原因になります。アクアポニックスは水の循環が止まると一気に破綻するので、ここは妥協できません。
洗い方は単純で、ネットやザルに入れて濁りが出なくなるまで流水ですすぐだけです。量が多いときはバケツに入れて水を張り、かき混ぜて濁った水を捨てる作業を数回繰り返します。20Lで15分ほど見ておけば十分です。
なお「洗浄済み」の表示に意味がないわけではありません。製造時の汚れや不純物が落ちているぶん、すすぎ回数は明らかに少なく済みます。手間を減らしたいなら洗浄済みを選び、それでも一度は洗う——これが現実的な落とし所です。
ハイドロボールの使い方
培地としての設置手順はシンプルですが、深さと洗浄だけは押さえてください。
いちばん重要なのは最初の洗浄です。洗浄済みと書かれた製品でも、輸送中の摩擦で粉が出ているため、必ず洗ってから使います。
敷く深さは10〜15cmが目安です。これより浅いと根が十分に張れず、植物が倒れやすくなります。逆に厚くしすぎると下層まで水が回らず、酸素が届かない層ができてしまいます。
苗を植えるときは、根を傷めないようにハイドロボールをいったん掻き分け、根を置いてから戻します。種から育てる場合は、表層だけ小粒にすると発芽が安定します。
設置後は水の循環を確認します。アクアポニックスでは1日に数回、給水と排水を繰り返すのが一般的です。常に水没させたままにすると根が酸欠を起こすので、水が引く時間を作って根に空気を触れさせるのが重要になります。ベルサイフォンを使った間欠給排水が定番なのは、この理屈からです。
長く使うためのメンテナンス
ハイドロボールは消耗品ではなく設備です。適切に手入れすれば何年も使い続けられます。
ハイドロボールは消耗品ではなく設備です。年に一度きちんと洗えば、何年も使い続けられます。
いちばんの敵は根と有機物による目詰まりです。収穫のたびに古い根を取り除き、水の流れが落ちてきたと感じたら全量を取り出して洗浄します。頻度としては年に1回の総点検で十分なことが多く、そのときに割れて細かくなった粒を補充します。
表面に藻が生えるのは、光が当たりすぎているサインです。遮光カバーや黒いシートで覆えば防げます。藻自体が直接害になるわけではありませんが、栄養を奪い合い、枯れると水を汚す原因になります。
培地に根を張った野菜。ハイドロボールは野菜を支えながら、生物ろ過の役割も担います。
ハイドロボールのおすすめ
製品選びで見るべきは粒の大きさ・洗浄済みかどうか・容量の3点です。栽培ベッドの面積に対して量が足りないと後から買い足すことになるので、必要量は多めに見積もっておくと安心です。
中粒20L(洗浄済み)
アクアポニックスの標準サイズで、洗浄済みなのですすぎの手間が少なく済みます。まず始めるならこれで十分です。栽培ベッドの面積に応じて、必要な袋数を計算してから購入してください。
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アクアポニックスは資本がある人のものだと思われがちですが、個人でも始められます。設備にいくら掛かったのか、どこでつまずいて、どう直したのか。鷲林寺アクアファームの実践の記録を
noteに書いています。見学に来られた方はのべ100人を超えました。
→ 個人で始めたアクアポニックスの費用と失敗をnoteで読む
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よくある質問(FAQ)
Q. アクアポニックスのハイドロボールはどのサイズがよいですか?
A. 中粒(8〜16mm)が基本です。通水性と保水性のバランスがよく、レタスやハーブから果菜まで幅広く対応できます。小粒は目詰まりしやすく、大粒は保水性が低いため、迷ったら中粒を選んでください。
Q. 洗浄済みのハイドロボールでも洗う必要がありますか?
A. 必要です。輸送中に粒同士がこすれて微粉が発生するため、そのまま使うとポンプや配管の詰まりを招きます。ネットに入れて濁りが出なくなるまですすいでください。20Lで15分ほどが目安です。
Q. ハイドロボールはどのくらいの深さで敷きますか?
A. 10〜15cmが目安です。浅すぎると根が張れず植物が倒れやすくなり、厚すぎると下層まで水が回らず酸欠の層ができます。底層に大粒、上層に中粒と敷き分けると排水性と保水性を両立できます。
Q. ハイドロボールは再利用できますか?
A. できます。収穫のたびに古い根を取り除き、年に1回ほど全量を洗浄すれば何年も使い続けられます。割れて細かくなった粒だけ補充してください。消耗品ではなく設備と考えると管理しやすくなります。
Q. ハイドロボールは水質に影響しますか?
A. ほぼ中性で溶け出す成分も少ないため、水質への影響は小さい資材です。ただし新品は微粉でpHがわずかに動くことがあるので、洗浄してから使えば問題ありません。
Q. 表面に藻が生えてしまいました。どうすればよいですか?
A. 光が当たりすぎているサインです。遮光カバーや黒いシートで培地の表面を覆えば防げます。藻自体が直接害になるわけではありませんが、栄養を奪い合い、枯れると水を汚す原因になります。
この記事を書いた人
鷲林寺アクアファーム(兵庫県西宮市)
植木屋として5年、アクアリウムは10年。2021年から、義理の祖母が守ってきた農地を休耕地にしないためにアクアポニックスを始め、一人で続けています。書いているのは、その農場で実際に起きたことと、確かめられた範囲のことだけです。
農場見学は全国から受け入れてきました(現在は休止中)。ラジオ関西「羽川英樹 ハッスル!」、雑誌「Mer」などの取材を受けています。