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アクアポニックスの梅雨|困るのは水ではなく、空気の側

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アクアポニックスの梅雨。困るのは水ではなく空気の側 アクアポニックス

梅雨のアクアポニックスの記事を読むと、たいてい水温と酸素の話が出てきます。ただ、私のところで実際に困ったのはそこではありませんでした。

困ったのは、湿気で蒸れることと、病害虫です。魚のほうは、特に変わりませんでした。つまり梅雨に出るのは空気の側です。見るのは水槽ではなく、葉と葉のあいだ。そう決めてしまうと、やることがはっきりします。

アクアポニックスの梅雨は水でなく空気の側の対策が先だと整理したグラレコ(グラフィックレコーディング)。扇風機で天井と野菜の2方向に空気を動かし、株の間は梅雨の前に空け、カビの出た葉は切って持ち出し、防虫ネットか風かを先に決める
梅雨は、動かない空気を無くす。
この記事の結論(要点)
  • 梅雨に出るのは水ではなく空気の側です。私のところで実際に困ったのは、湿気で蒸れることと病害虫でした。魚は特に変わりません。
  • ハウスや屋外で湿度そのものを下げるのは、現実的ではありません。やることは動かない空気を無くすこと。扇風機は天井へ1つ、野菜のほうへ1つの2方向。
  • 株の間は、梅雨が来る前に空けておきます。葉が触れ合って濡れている時間が長いほど、カビが出ます。
  • 魚にとっての本番は梅雨ではなく、梅雨明けからです。

アクアポニックスの梅雨に出るのは、水ではなく空気の側

アクアポニックスの梅雨。困るのは空気の側の蒸れとカビと虫で、私のところで実際に困ったのもこちら。水の側は日が差さず水温が上がりきらないので魚は変わらず、魚にとっての本番は梅雨明けから
見るのは水槽ではなく、葉と葉のあいだ。

梅雨に水温が上がりきらないのは、日が差さないからです。気温は上がっていても、水は追いついてきません。だから魚にとっての本番は、梅雨明けからです(夏の酸欠対策)。

一方で、空気のほうは梅雨のあいだずっと湿っています。湿った空気が動かないまま溜まると、そこからカビっぽいものが出て、虫も増える。私のところで起きたのはこれでした。

ちなみに、雨そのものは入ってきません。ビニールハウスの中だからです。梅雨の厄介さは、降ることではなく、風が止まって湿気がこもることのほうにあります。

やることは、湿度を下げることではない

ビニールハウスの中のアクアポニックス。梅雨は空気が動かない
ハウスの中。雨は入らないが、空気は動かないと溜まる。

よくある記事には「湿度を70%以下に保つ」「除湿機を使う」と書いてあります。ただ、ハウスや屋外で湿度そのものを下げるのは、現実的ではありません。梅雨に外の空気が湿っているのを、こちらで変えられません。

できるのは、動かない空気を無くすことです。同じ湿度でも、空気が流れていれば葉の表面は乾きます。止まっていると、そこだけがいつまでも濡れたままになる。カビが出るのは、たいてい後者の場所です。

アクアポニックスの梅雨の蒸れ対策。扇風機で風を回す、株の間を空ける、カビが出た葉は切って持ち出す
湿度を下げるのではなく、動かない空気を無くす。

扇風機は、2方向を意識する

同じ湿度での葉の比較。風が止まると葉の表面の空気の膜が厚く濡れたまま、そよ風が通ると膜が薄く乾く
湿度は同じ。流れれば葉は乾く。
アクアポニックスの梅雨の扇風機は2方向。天井へ向けてハウス全体をゆっくり回し、上に溜まる暖まった空気を動かして結露を防ぐ。野菜のほうへは正面から当てず株のあいだを通し、葉の表面の空気の膜を薄くして乾かす。強さは葉が少し揺れるくらい
どちらか一方ではなく、両方。ただし弱く。

私のところで使っているのは、業務用の扇風機です。家庭用でも風は出ますが、ハウスの端まで届かせるとなると力が足りません。そして大事なのは大きさより、空気の流れを2つに分けることでした。

ひとつは天井へ。上に溜まるのは、正確には湿気ではなく暖まった空気です。水分はそれに乗って一緒に上がります。そこを動かさないと上と下で温度の差ができ、冷えたところで結露します。ハウス全体をゆっくり回すのが、天井へ向ける理由です。

もうひとつは、野菜のほうへ流れが行くように。正面から当てるのではなく、株のあいだを空気が通っていく形にします。

葉の表面には、ほとんど動かない空気の膜ができていて、これが厚いと蒸散が進まず、葉が濡れたままになる。濡れている時間が長いほど、カビが出ます。流れは、その膜を薄くするためのものです。

置き方は、作物の生長点と天井のあいだ。正面には当てません。強さは、葉が少し揺れるくらいで足ります。そよ風くらい、と思ってください。

つけているのは真冬以外です。梅雨だけでなく夏もそのまま回していました。ただし風量は加減します。強すぎると葉が傷みますし、水面が波立つと蒸発も増えます。止めるのは、寒くなって蒸れる心配が消えてからで足ります。

据え置きでも壁掛けでも、首を振って上下に向けられるものなら何でも構いません。天井へ流す1台と、野菜のほうへ流れが行くようにする1台。2台置けないなら、首を振らせておくだけでも構いません。一点に当て続けるより、そのほうが理にかなっています。

株の間は、梅雨の前に空けておく

アクアポニックスの栽培槽。株の間を広めに取っている
株の間が詰まると、そこだけ乾かない。

詰めて植えると、葉と葉が重なった内側だけが乾きません。風を送っても、そこには届かない。間隔は、梅雨が来る前に決まっています。私のところではもともと広めに取っていました。たくさん植えたい気持ちはありますが、詰めたぶんだけ梅雨に返ってきます。

もう植わっているなら、下のほうの葉を何枚か取るだけでも変わります。地際に近い葉ほど乾きにくいからです。取った葉は、その場に落とさずに持ち出してください。

カビっぽいものが出たら

アクアポニックスの浮き板とレタスの根。梅雨に乾かない場所
葉のふちや、板の縁。乾かない場所から出る。

私のところでも出ました。手当ては単純で、付いた葉を切って、持ち出すことです。その場に落とすと、そこからまた広がります。ためらって残すより、疑わしい葉ごと落としたほうが、結果として収穫を守りやすくなります。

あわせて木酢液を使いました。木を焼いたときに出る液で、農薬ではありません。効いたかどうかを数字で示せるものではありませんが、使える手が限られているなかでは、選べるほうの1つです。

選ぶなら、原液のものにしてください。薄めて使うので、何が入っているか分からないものは避けたいからです。かける先は葉で、水槽には落とさないようにします。薄め方は品物によって違うので、書いてある倍率のいちばん薄いところから試すのが安全です。

化学の薬は使えません。葉にかけたものが水に落ちれば、魚にも、ろ材に住んでいるバクテリアにも効いてしまうからです(アクアポニックスの害虫対策)。ここがふつうの家庭菜園と決定的に違うところです。

なお、水面や培地に出る緑のぬめりは、葉のカビとは別で、藻やバクテリアの膜です。白いものも多くはバクテリアの膜ですが、綿のように盛り上がるならカビのこともあります。藻・コケの記事を見てください。ほとんどは放っておいて大丈夫なものです。

梅雨は、二つの手がぶつかる

梅雨は虫を止める手と蒸れを抜く手がぶつかる比較図。虫を止めたいなら側面に防虫ネットを張るのがいちばん確実だが、風が止まり光も減る。蒸れを抜きたいなら側面を開けて風を通すが、虫は入ってくる。私のところは夏に熱がこもるほうが怖いと考えて側面を開けるほうを選んだ
どちらも立てるのは難しい。先に決めておく。

虫を止めたいなら、ハウスの側面に防虫ネットを張るのがいちばん確実です。ところが張ると風が止まり、光も減ります。蒸れを抜きたい手と、正面からぶつかるのです。

私のところでは側面を開けるほうを選びました。夏に熱がこもるほうが怖いと考えたからです。そのぶん虫は入ってきます(害虫対策にどう手当てしたかを書きました)。

どちらが正しいという話ではありません。ただ両方は立たないので、梅雨が来る前にどちらを取るか決めておくと、慌てずに済みます。梅雨に入ってから迷うと、たいてい何もしないまま過ぎます。

日が差さないぶん、野菜はどうなるか

梅雨は日照が減るので、野菜がひょろ長くなる(徒長する)と一般には言われます。ただ、私のところでははっきりした違いを感じませんでした。

もともと株の間を広く取っていたので、光の取り合いが起きにくかったのかもしれません。数字で測ったわけではないので、断定はしません。

気になるなら、梅雨のあいだだけ収穫を早めるという手はあります。大きくしようと粘るより、若いうちに採って次を植えたほうが結果が良いことがあります。育ちが落ちる原因は野菜が育たないにまとめました。

梅雨に、水のほうで見ておくこと

餌を食べる錦鯉。アクアポニックスの水槽
梅雨のうちは、魚に変わったことは起きなかった。

魚は関係ないと書きましたが、何も見なくていいという意味ではありません。見るなら2つ、根と餌の残りです。

ひとつは根です。水温が中途半端に上がる時期なので、根が傷んでいないかだけ確かめておきます。白い根がにごって茶色くなっていたら、そこから崩れます(根腐れ)。

もうひとつは餌の残りです。曇りが続くと野菜の吸う量が落ちるので、同じだけ餌をやっていると硝酸塩が上がります。数値の見方は水質管理へ。

どこで見切るか|終わりの判断

線を決めておきます。梅雨のあいだに手を出すのは、葉と葉のあいだです。カビっぽいものが付いた葉は、疑わしいものも含めて葉ごと切り、持ち出します。その場に落とすと、そこからまた広がります。木酢液を使うなら原液のものを選び、書いてある倍率のいちばん薄いところから試して、葉にかけ、水槽には落としません。

水面や培地に出る緑のぬめりは藻やバクテリアの膜で、白いものも多くはバクテリアの膜です。綿のように盛り上がる白いものはカビのこともあります。ほとんどは放っておいて大丈夫なので、ここには手当てを足しません。

水の側で手を打つ線は2つです。白い根がにごって茶色くなっていたら、根腐れの手当てに移ります。曇りが続くと野菜の吸う量が落ちるので、同じだけ餌をやっていると硝酸塩が上がります。数値を見て、上がっていれば餌のほうを合わせます。育ちが落ちたと感じたら、大きくしようと粘らず、若いうちに採って次を植えます。

扇風機を止めるのは、梅雨が明けたときではありません。寒くなって蒸れる心配が消えてからです。夏もそのまま回し、葉が少し揺れるくらいに風量だけ加減します。魚にとっての本番は、梅雨が明けてからです。

よくある質問

Q. 梅雨に、魚は弱りませんか。

私のところでは、梅雨に魚の調子が変わったことはありませんでした。水温が本当に効いてくるのは梅雨明けからです。梅雨のうちに見るのは、水槽ではなく葉と葉のあいだだと思ってください。

Q. いちばん困るのは何ですか。

蒸れです。湿った空気が動かないまま溜まると、そこからカビっぽいものが出て、虫も増えます。雨そのものより、風が止まることのほうが厄介です。

Q. 除湿機は要りますか。

要りません。ハウスや屋外で湿度そのものを下げるのは、現実的ではありません。やることは湿度を下げることではなく、動かない空気を無くすことです。扇風機で足ります。

Q. 扇風機はどこに向ければいいですか。

2方向です。ひとつは天井へ。上に溜まるのは湿気ではなく暖まった空気で、そこを動かさないと上下で温度の差ができ、冷えたところで結露します。

もうひとつは、野菜のほうへ流れが行くように。正面から当てるのではなく、株のあいだを空気が通っていく形にします。強さは、葉がかすかに揺れるくらいで足ります。

Q. いつからいつまで回すのですか。

私のところでは真冬以外はつけたままにしていました。梅雨だけでなく夏もです。ただし風量は加減します。強すぎると葉が傷みます。

Q. カビっぽいものが出たら、どうしますか。

付いた葉を切って、持ち出してください。その場に落とすと、そこからまた広がります。私のところでは木酢液も使いました。化学の薬は、魚とろ材のバクテリアにも効いてしまうので使えません。

Q. 梅雨は日が差さないぶん、野菜がひょろ長くなりますか。

一般にはそう言われます。ただ、私のところでははっきりした違いを感じませんでした。もともと株の間を広く取っていたので、光の取り合いが起きにくかったのかもしれません。

まとめ

梅雨に出るのは水の側ではなく、空気の側です。私のところで困ったのは蒸れと病害虫で、魚は変わりませんでした。水温が効いてくるのは梅雨が明けてからです。

やることは、湿度を下げることではありません。動かない空気を無くすことです。扇風機は天井へ1つ、野菜のほうへ流れが行くように1つ。株の間を空け、出たものは切って持ち出す。

そして梅雨は、虫を止める手と蒸れを抜く手がぶつかります。両方は立たないので、どちらを取るかは季節が来る前に決めておいてください。私のところでは風を通すほうを選びました。

設備にいくら掛かったのか、どこでつまずいて、どう直したのか。個人で始めたアクアポニックスの記録をnoteに書いています。
→ 費用と失敗の記録をnoteで読む

次に見るのは、ここ

虫は害虫対策、夏は夏の酸欠対策、藻は藻・コケへ。

この記事を書いた人
鷲林寺アクアファーム(兵庫県西宮市)

植木屋として5年、アクアリウムは10年。2021年から、義理の祖母が守ってきた農地を休耕地にしないためにアクアポニックスを始め、一人で続けています。書いているのは、その農場で実際に起きたことと、確かめられた範囲のことだけです。

農場見学は全国から受け入れてきました(現在は休止中)。ラジオ関西「羽川英樹 ハッスル!」、雑誌「Mer」などの取材を受けています。
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