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金魚の転覆病は治る?初期なら治る例が多い。薬より絶食が効く

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金魚の転覆病は治るのか|絶食・塩浴の手順 病気

金魚がひっくり返って泳げなくなる転覆病。見た目のインパクトが強く、「もう助からないのでは」と不安になる症状です。

助かるかどうかは、進み具合ではっきり分かれます。初期であれば回復することが多く、末期になると完治は難しい——これが正直なところです。そして初期対応で最も効くのは、薬でも塩でもなく絶食です。原因としてよく挙がるのが消化不良だからです。

水槽で泳ぐ金魚
転覆病は丸手の品種に多いとされます。体が短く詰まった作りが浮袋の働きに関わると考えられています。
金魚の転覆病の初期対応のグラレコ(グラフィックレコーディング)。まず餌を止める(薬より先に絶食)、水温をたもつ(急な冷えが引き金になる)、初期なら戻れる。戻ったら餌は少しずつ
最初の一手は絶食。薬はその後。
この記事の結論(要点)
  • 初期なら回復する例が多く、末期になると完治は難しい。これが正直なところです。
  • 初期対応でいちばん効くのは、薬でも塩でもなく絶食です。原因としてよく挙がるのが消化不良だからです。
  • 転覆病は病名ではなく浮力を調整できなくなった状態のこと。だから原因側を止めれば戻れます。
  • 治らない場合の暮らし方も本文にあります。転覆したまま長く生きる金魚もいます。
  • 迷ったら、絶食。餌を足す方向には動かない。
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金魚の転覆病とは|病名ではなく「浮力を調整できない状態」

まず押さえておきたいのは、転覆病は特定の病原体による病気ではないということです。金魚が浮力をうまく調整できなくなり、浮いたり沈んだりできなくなった状態を指す呼び名にすぎません。

金魚は浮袋(うきぶくろ)という器官で浮力を調整しています。この浮袋が正常に働かなくなると、体が浮いたまま戻らなかったり、逆に沈んだまま浮けなくなったりします。だから「転覆病の薬」というものは基本的に存在せず、何が浮袋の働きを妨げているのかを突き止めて、そこを取り除くのが治療の考え方になります。

金魚が転覆する4つの原因。転覆病は病名ではなく「浮力を調整できなくなった状態」を指す症状名。原因としてよく挙がるのは消化不良と低水温です
転覆病は病名ではなく「浮力を調整できなくなった状態」を指す症状名。原因としてよく挙がるのは消化不良と低水温です。

原因としてまず挙がるのが消化不良です。金魚が水面で餌を食べるときに一緒に空気を飲み込んだり、消化しきれない餌がガスを発生させたりすると、浮袋が圧迫されて浮力バランスが崩れます。浮上性の餌を勢いよく食べる金魚で起こしやすいと言われます。

次に挙がるのが低水温です。金魚は変温動物なので、水温が下がると消化能力そのものが落ちます。同じ量の餌でも冬は消化しきれず、そのまま転覆につながります。冬に増える理由としてよく挙がるのは、低水温なのに餌を減らしていないことです。

そして体型の問題があります。ピンポンパール、らんちゅう、オランダ獅子頭、出目金といった丸手(まるで)の品種は、体が短く詰まった作りが浮袋の働きに関わると考えられています。和金のような細長い体型に比べると発症しやすいとされ、これは飼い方だけでは避けきれない部分です。

症状の進み方と見分け方

転覆病は突然全開になるわけではなく、段階を追って進むことが多いです。どの段階かを見極められれば、対処の緊急度が判断できます。

金魚の転覆病の進み方。餌のあとだけ浮く、浮き沈みが不安定、常に浮いたまま、横倒し・裏返ったままの4段階。初期なら回復する例が多く、末期は完治が難しい
初期なら戻る。末期は完治が難しい。気づく早さで分かれる。

最初のサインは「餌を食べたあとだけ浮く」という状態です。この段階なら、餌を止めるだけで自然に戻ることがよくあります。ここで気づけるかどうかが、その後を大きく分けます。

進行すると浮き沈みが不安定になり、やがて常に浮いたままになります。ここまで来ると回復には時間がかかり、数週間から数か月かかることもあります。さらに進んで横倒しになったり裏返ったままになると、残念ながら完治は難しくなります。

あわせて確認したいのが体表の状態です。赤い充血やヒレの傷、白い付着物が同時に見られる場合は、細菌感染が絡んでいる可能性があります。この場合は転覆だけを見ていても改善しないので、水質の見直しと薬浴を検討します。

転覆病の治し方|初期対応の手順

金魚の転覆病の初期対応の図解。絶食2〜3日、水温を25℃に、塩浴0.5%。原因としてよく挙がるのは消化不良

気づいたらすぐにやるべきことは決まっています。順番が重要なので、この通りに進めてください。

金魚の転覆病は治る|転覆に気づいたときの初期対応。初期対応で最も効くのは絶食です。薬より先に、まず消化管を空にして水温を上げます。急な加温は逆効果なので必ず段階的に
初期対応で最も効くのは絶食です。薬より先に、まず消化管を空にして水温を上げます。急な加温は逆効果なので必ず段階的に。

1. 私のところでは、まず2〜3日、完全に絶食させます。これが最も効果的で、かつ最も見落とされる対処です。原因が消化不良である以上、餌を入れ続けている限り状況は改善しません。金魚は数日食べなくても弱りません。「かわいそうだから少しだけ」が回復を遠ざけます。

2. 水温を上げます。私のところでは、1日1〜2℃ずつ、25℃前後まで上げます。消化酵素は水温に依存するため、加温すると消化が進みます。急激な加温は、それ自体が金魚にとって大きなストレスになります。

3. 0.5%の塩浴を行います。水1Lに対して塩5gが目安です。浸透圧の負担を減らして体力の消耗を抑える効果があり、細菌感染が絡んでいる場合にも使われます。必ず別容器で行い、エアレーションを効かせてください。塩浴中は餌を与えず、1日〜数日、様子を見ながら続けます。塩は不純物の少ない専用のものを使います。

絶食を終えて餌を再開するときは、いきなり元の量に戻さないことが重要です。ふやかした沈下性の餌を、ごく少量から与えて様子を見ます。ここで一気に戻すと、せっかく空にした消化管がまた詰まります。

治らない場合はどう向き合うか

正直にお伝えすると、転覆病は治らないケースもあります。とくに浮袋そのものが機能を失っている場合や、体型に起因する慢性的な転覆は、完治を目指すよりその状態で快適に暮らせる環境を作る方向に切り替えたほうが金魚のためになります。

治らない転覆病の金魚の暮らし方の精密図。深い水槽では水面から出た所が乾いて傷む。水深10〜15cmに浅くすると体が乾かず、沈む餌を少しだけ与えて水底で食べられる。必要なら別の容器に分ける
水深を10〜15cmに下げ、沈む餌を少しだけ。必要なら隔離する。

具体的には、水深を浅くすることです。浮いたままでも体が乾かず、移動の負担も減ります。私のところでは10〜15cmほどまで下げます。また、体が水面から出ている部分は乾燥して傷むため、水位の調整と水質の維持がいっそう重要になります。

餌は沈下性のものを少量にし、水底で食べられるようにします。他の金魚と一緒だと餌を取れないことがあるので、必要なら隔離します。転覆したまま長く生きる金魚もいます。治すことだけがゴールではないという視点を持つと、気持ちも楽になります。

元気に泳ぐ金魚
転覆したまま長く生きる金魚もいます。

転覆病の予防

ここまで読んでわかるとおり、転覆病は治療よりも予防のほうがはるかに簡単です。しかも予防策は、どれも今日から始められるものばかりです。

金魚の転覆病を防ぐ4つの習慣。沈下性の餌に変える、浮く餌はふやかす、水温が低いときは餌を減らす、週1回3分の1ほど水換えする
予防は、餌と水温と水質の3つから。

いちばん効くのは餌を沈下性に変えることです。水面でパクパク食べる動作そのものが空気の飲み込みを招くので、水中で食べられるようにするだけでリスクが下がります。浮上性の餌を使い続けたいなら、数分水に浸してふやかしてから与えてください。乾いたまま与えると、腸の中で膨らんで消化管を圧迫するおそれがあります。金魚には胃がありません。

沈下性の餌に切り替えるだけで、空気の飲み込みによる転覆はかなり防げます。育成用の沈下性フードなら、栄養バランスを保ちながら水面での早食いを避けられます。

そして水温に応じて餌を減らすこと。15℃を下回ったら量と回数を控え、10℃以下では与えないのが基本です。冬の転覆病はこれだけでかなり防げます。

水質管理も欠かせません。私のところでは週1回、1/3程度の水換えを習慣にし、アンモニアや亜硝酸が溜まらないようにします。水質が悪いと金魚全体の抵抗力が落ち、細菌感染を伴う転覆が起こりやすくなります。ろ過装置のメンテナンスと底砂の掃除も、あわせて定期的に行ってください。

冬場に水温を安定させたいなら、ヒーターの導入がもっとも確実です。水温が一定なら消化不良も起こりにくく、転覆以外の病気の予防にもなります。

焦っているときの塩は、目分量になりがちです。濃すぎれば脱水、薄すぎれば効きません。「メダカ台帳」の魚病のページで水量を入れると、塩浴の塩の量が出ます(薬は説明書の規定量を入れると按分します)。電卓は要りません。
→ 無料でメダカ台帳をひらいてみる
台帳でできることを、もう少し詳しく

どこで見切るか|終わりの判断

線を決めておきます。

浮いたり沈んだりが出はじめた初期なら、まず絶食。薬でも塩でもなく、絶食。原因としてよく挙がるのが消化不良です。

3日絶食して戻れば、終わり。餌は少量から。元の量に戻すのは、泳ぎが安定してから。

絶食しても戻らず、ひっくり返ったままが続くなら、治す側から暮らす側へ。浮袋そのものが働かない転覆は、完治を目指せません。

治らなくても、転覆したまま長く生きる金魚はいます。餌が届く位置と水深を、その魚に合わせる。

戻ったあとは、予防。餌の量と水温の管理で、起きにくくできます。治療より予防のほうがはるかに簡単です。

転覆病は、船のバラスト(重り)の調整が狂った状態と同じで、船体(体)が壊れたわけではありません。

よくある質問(FAQ)

Q. 転覆病は治りますか?

A. 初期なら治る例が多いです。「餌を食べたあとだけ浮く」段階で気づけば、餌を止めるだけで戻ることがよくあります。常に浮いたままになると数週間から数か月かかり、浮袋そのものが機能を失っている場合は治らないこともあります。

Q. 転覆病に効く薬はありますか?

A. 基本的にありません。転覆病は特定の病原体による病気ではなく、浮力を調整できなくなった状態を指す呼び名だからです。薬を探すより、浮袋の働きを妨げているもの(多くは消化不良と低水温)を取り除くほうが効きます。

Q. まず何をすればいいですか?

A. 私のところでは、まず2〜3日、完全に絶食させます。これがいちばん効いて、いちばん見落とされます。原因が消化不良である以上、餌を入れ続けている限り改善しません。金魚は数日食べなくても弱りません。

Q. 水温は上げたほうがいいですか?

A. 私のところでは、1日1〜2℃ずつ、25℃前後まで上げます。消化酵素は水温に依存するので、加温すると消化が進みます。急な加温は逆効果です。

Q. 治らない場合はどうすればいいですか?

A. その状態で快適に暮らせる環境に切り替えます。私のところでは水深を10〜15cmほどまで浅くします。浮いたままでも体が乾かず、移動の負担も減ります。餌は沈下性のものを少量にして、水底で食べられるようにします。

Q. 転覆病は予防できますか?

A. 治療よりずっと簡単です。いちばん効くのは餌を沈下性に変えること。水面でパクパク食べる動作そのものが空気の飲み込みを招きます。浮上性を使い続けたいなら、数分水に浸してふやかしてから与えてください。

Q. ダルマ体型や丸い体型の金魚は転覆しやすいですか?

A. しやすいとされます。胴が縮んだ作りが浮袋の働きに関わると考えられています。この体型の慢性的な転覆は完治を目指すより、水深を浅くして暮らしやすくするほうが金魚のためになります。

次に見るのは、ここ

絶食のあと餌を吐くなら金魚が餌を吐き出すへ。水換えの間隔を見直すなら金魚の水換えをしないとへ。

この記事を書いた人
鷲林寺アクアファーム(兵庫県西宮市)

植木屋として5年、アクアリウムは10年。2021年から、義理の祖母が守ってきた農地を休耕地にしないためにアクアポニックスを始め、一人で続けています。書いているのは、その農場で実際に起きたことと、確かめられた範囲のことだけです。

農場見学は全国から受け入れてきました(現在は休止中)。ラジオ関西「羽川英樹 ハッスル!」、雑誌「Mer」などの取材を受けています。
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