メダカの体やひれに赤い斑点が出ている。血がにじんだように見える。こういうときに疑うのが赤斑病です。ただしその前に確かめてほしいことがあります。その赤みは、日がたつと増えていますか。
赤い色の品種の体色、繁殖期に濃くなる色、ぶつけた跡の内出血——これらは増えも広がりもしません。増えていくなら赤斑病を疑い、増えないなら病気ではないことが多いです。この記事では、その見分け方から、急性と慢性の違い、手当ての順番、そして薬の選び方までを整理します。
この記事の薬浴や塩水浴は、必ず別の容器で行ってください。そして薬を使った魚と水は、システムに戻せません。ろ過を担う菌が減ること、野菜が根から吸うこと、植物に害が出ることが理由です。塩水も植物を枯らすので戻せません。判断の分かれ目はアクアポニックスの魚が病気に|治療した魚は戻していいのかにまとめました。
赤斑病とは|赤い斑点は充血している

赤斑病は、エロモナス菌という細菌が傷や弱った皮膚から入って起こります。赤い斑点に見えているのは、皮膚の下で血がにじんでいる状態です。この菌はもともと飼育水の中にいる菌で、水が汚れてメダカの抵抗力が落ちたときに増えます(硝化サイクルの記事)。
同じエロモナス菌が原因の病気に、鱗が逆立つ松かさ病があります。併発することもあり、赤斑病から松かさ病へ進むこともあります。だから赤い斑点が出た時点で動くことに意味があります。
その赤みは、病気か

見分けの軸は「増えるか」です。赤斑病の充血はにじんだように出て、日ごとに数が増え、範囲が広がっていきます。一方、品種としての赤みは決まった場所に均一に出て、増えも広がりもしません。
いちばん確実なのは、写真を撮っておくことです。今日の状態を撮って、翌日に同じ角度で撮って見比べれば、増えているかどうかがはっきり分かります。目で見た記憶は当てになりません。
なお白点病がひどく進むと出血することがあります。白い点が先にあったかどうかを思い出してください(白点病の記事)。ひれが溶けて短くなっているなら尾ぐされ病、えらが白っぽく褪せて呼吸が荒いならエラ病です。
急性か、慢性か
赤斑病の進み方には2つのかたちがあります。発病から1週間ほどで急に落ちる急性のかたちと、2〜3週間かけて進み、やがて食欲がなくなって動きが鈍る慢性のかたちです。
困るのは、どちらの型かは後になってしか分からないことです。だから最初から急性のつもりで動くのが安全です。「様子を見よう」と3日置いたら、それが急性だった場合にはもう手の打ちようがなくなっています。
ここから手当てに入ります。始めた日と、使った薬の名前と量を、どこかに控えておいてください。数日たつと必ず分からなくなりますし、うまくいかなかったときに何を変えればいいのかの手がかりは、その記録しかありません。メダカ台帳を使うと、水温が急に動く日の知らせと一緒に残せます。
手当ての順番
まず水を換えます。3分の1ほどを、水温を合わせてから入れてください。初期であれば、水換えだけで赤みが薄くなることがあります。赤斑病は環境が悪化したときに出る病気なので、環境を戻すこと自体が手当てになります。
赤みが広がっているなら別の容器に移して、0.5%(水1Lに塩5g)の塩水浴を始めます。塩は菌を殺す薬ではありませんが、体力の消耗を抑えます。濃度と期間はメダカの塩浴|0.5%の作り方と3〜7日の手順にあります。
薬の選び方|赤斑病で承認された薬はない
ここは正直に書きます。「赤斑病」という病名で承認されている魚病薬は、実はありません。動物用医薬品等データベース(農林水産省 動物医薬品検査所)で効能を確認すると、承認に使われている病名は穴あき病・立鱗病・スレ症・尾ぐされ病・白点病・水カビ病などで、赤斑病は含まれていません。
ではどうするかというと、エロモナス菌が相手なので「観賞魚の細菌性感染症」で承認されているグリーンFゴールド顆粒を使います。細菌性の病気に幅広く使える薬で、手に入りやすいのも利点です。
エルバージュエースは「エロモナス感染症(穴あき病・スレ症・立鱗病)」で承認されている薬です。赤斑病という病名は入っていませんが、同じエロモナス菌が相手なので使われます。松かさ病を併発しているなら、こちらが適応に近くなります。ただし水草には使えません。
用法と用量は必ず製品の指示に従い、規定量を守ってください。濃くしても効きは上がらず、弱った個体ほど薬負けします。
なお承認の対象魚として挙げられているのは金魚や錦鯉で、メダカを明記していない製品もあります。実際には広く使われていますが、量は必ず守ってください。
水温は28℃を超えないようにしてください。上げるときは1日1〜2℃ずつです。水温が上がると水に溶ける酸素が減るので、弱った個体には負担になります。
起こさないための、日々のこと
赤斑病はエロモナス菌をもらう病気ではありません。もともと水の中にいる菌が、傷と水の汚れが重なったときに増える病気です。だから予防は、傷を作らないことと、水を汚さないことに尽きます。
意外に効くのが、網の使い方を変えることです。すくうときの擦れが菌の入り口になるので、網で追い回さず、容器ごと移すか、ゆっくりすくうようにしてください。お腹が膨れているなど別の症状もあるならお腹が大きい・パンパンの見分け方も見てください。
よくある質問(FAQ)
Q. 赤斑病はうつりますか?
A. 魚から魚へ直接うつる病気ではありません。原因になるエロモナス菌は、もともと飼育水の中にいる菌です。
ただし1匹に出たということは、その容器の水が悪化してメダカの抵抗力が落ちているということなので、ほかの個体も発症の一歩手前にいると考えて、水を立て直してください。
Q. 赤斑病は何日で治りますか?
A. 初期で、赤みが1〜2か所にとどまっている段階なら、水換えと塩水浴で数日から1週間ほどで薄くなることがあります。ただし進み方には急性と慢性があり、急性の場合は1週間ほどで落ちることもあります。日数を待つのではなく、赤みが増えているかどうかで判断してください。
Q. 赤斑病に効く薬は?
A. 「赤斑病」という病名で承認されている魚病薬は、実はありません。エロモナス菌が相手なので、「観賞魚の細菌性感染症」で承認されているグリーンFゴールド顆粒を使うことになります。
エルバージュエースも同じエロモナス感染症の枠で使われます。用法と用量は必ず製品の指示に従ってください。
Q. 赤斑病にメチレンブルーは効きますか?
A. 効きません。メチレンブルーの承認された効能は「白点病、尾ぐされ症状、水カビ病」で、細菌が相手の赤斑病は含まれていません。白い点が先に出ていて、それが悪化して出血しているなら白点病の治療になりますが、赤い斑点だけなら抗菌剤を使ってください。
Q. 赤斑病の末期はどうなりますか?
A. 赤みが体の広い範囲に広がり、ひれの付け根が充血して、餌を食べなくなって底に沈むようになります。ここまで来ると回復例は少なくなります。また同じエロモナス菌が原因の松かさ病を併発して、鱗が逆立つこともあります。
Q. 赤い色の品種は見分けられますか?
A. 見分けられます。品種としての赤みは体の決まった場所に均一に出て、日がたっても増えたり広がったりしません。赤斑病の充血はにじんだように出て、日ごとに数が増え範囲が広がります。写真を撮って翌日と見比べると、はっきり分かります。
まとめ|増えるかどうかで見分けて、初期に水を換える
赤斑病の赤い斑点は充血で、エロモナス菌が傷や弱った皮膚から入って起こります。まず確かめるのは「増えているか」です。品種の赤みや内出血は増えませんが、赤斑病は日ごとに広がります。写真を撮って翌日と見比べるのが確実です。
手当ては水換えから始めます。初期なら水を戻すだけで薄くなることがあります。広がるなら別容器で塩水浴、そのうえで抗菌剤の薬浴へ。
「赤斑病」で承認された薬はないので、「観賞魚の細菌性感染症」の枠で承認されているグリーンFゴールド顆粒を使います。メチレンブルーは体表の病気の薬なので効きません。
→ メダカ台帳の使い方を見る


