メダカの卵を見つけたら、まず親から離してください。メダカは自分が産んだ卵も食べます。産卵床ごと、別の浅い容器へ移すだけで十分です。
そのうえで見るのは、卵の色です。薄い飴色に透きとおっていれば育つ卵、白く濁っていれば育たない卵です。白いものを抜いておかないと、そこからカビが隣へ広がります。
孵るまでの日数は水温で決まります。25℃でおよそ10日、20℃でおよそ13日。

- 卵を見つけたらまず親から離します。親は自分の卵も食べます。産卵床ごと別の浅い容器へ。
- 見分けは色。飴色に透きとおれば育つ卵、白く濁れば育たない卵。白い卵はカビが広がる前に抜きます。
- 育つ卵は、指で軽くつまんでも潰れない硬さです。卵のうちは水道水のままでかまいません。私はそうしています。
- 孵化までは水温で決まり、25℃でおよそ10日。毎日の平均水温の合計が250℃になるころが目安です。
育つ卵と、育たない卵はどこで見分けるのか

見分けの決め手は、透けているかどうかです。育つ卵は薄い飴色で、明かりに透かすと中の様子が見えます。育たない卵は最初から、あるいは1日か2日で白く濁り、中がまったく見えなくなります。
受精から数日たつと、育つ卵には黒い点が2つ現れます。これが目です。ここまで来れば、孵る見込みは高くなります。虫めがねがあれば、心臓が動いているのも見えます。
迷ったときは、指で軽くつまんでみてください。育つ卵はしっかり硬く、少し力を入れても潰れません。育たない卵は簡単に潰れます。強くつまむ必要はなく、指の腹で転がすくらいで違いが分かります。
この硬さは、受精そのものが作っています。卵の膜は精子が入る前はもろく、入った瞬間から硬くなりはじめます。メダカで実際に押し潰して測った研究では、受精から2時間で90グラム、3時間で118グラムの力に耐えるようになっていました(メダカの受精における卵膜の硬化についての研究・2023年)。鶏の卵2個ぶんの重さを乗せて、ようやく潰れるくらいです。無精卵ではこの硬化そのものが起きないので、いつまでも柔らかいままです。指先が確かめているのは、卵の元気さではなく、受精のときの反応が起きたかどうかです。
付着糸の様子も手がかりになります。育つ卵は細い糸が絡み合って房になり、産卵床にしっかり付きます。母親のお腹に卵がぶら下がっているのを見たことがあるなら、それがこの糸です。お腹が張るのが卵なのか別の不調なのかは、メダカのお腹が大きい・パンパンで見分けます。

卵を見つけたら、まず何をするのか

親から離すのが最初です。メダカに子を守る習性はなく、産んだそばから食べることもあります。同じ容器に置いたままでは、孵る前に多くが食べられてしまいます。
移した先は、浅い容器で構いません。私は、水深3〜5cmほどの浅い容器を日の当たる場所に置いています。深い容器や日陰では水温が上がらず、孵るまでが長引きます。長引くほどカビに追いつかれます。
卵のうちは、水は水道水のままで構いません。私はそうしています。孵化が近づいたら、汲み置きの水に切り替えてください。孵ったばかりの針子はカルキに弱いためです。
あとは、私は毎日、水を半分ほど入れ替えながら、白くなった卵を見つけて抜いていきます。手間はこれだけです。毎日見ることが、そのまま孵る数につながります。
メダカは、いつ卵を産むのか
夜中から明け方にかけてです。実験室では日の出の前後に始まるとされてきましたが、川のメダカでは午前0時ごろから産んでいました。メスはそのあと数時間、卵をお腹にぶら下げたまま泳ぎ、水草や産卵床にこすりつけて産み付けます。

だから産卵床を見るのは、昼前がいちばん効率がいいです。朝のうちに空の産卵床と入れ替えておき、翌日の昼前に引き上げる。これで前日ぶんがまとめて取れます。夕方に見ても、その日のぶんはすでに付いています。
季節でいうと、水温が18℃を超え、明るい時間が13時間ほど確保されるようになると産卵が始まります。私のところ(関西の屋外)では、だいたい4月の半ばごろからです。秋になって日が短くなると、水温が保たれていても止まります。室内で照明を当てていれば、冬でも産みます。
1匹のメスが1日に産む卵は、数個から20個ほどです。それが毎日続くので、数か月で数百個になります。
「増えすぎて困る」という話がよく出るのは、この数のためです。容器と餌が追いつかないと分かっている場合は、産卵床を減らして取る数そのものを抑えるのが現実的です。
卵は、どうやって取るのか

産卵床ごと移すのが、いちばん簡単で確実です。卵に触らずに済むので傷める心配がありません。朝のうちに産卵床を引き上げて、空の産卵床と入れ替えておけば、それだけで毎日回せます。

水草に産み付けられた卵を取るときは、指の腹で軽く転がすようにして外します。爪で引っかくと潰れます。硬いといっても100グラムほどで壊れる硬さなので、爪のように一点に力が集まる当て方には勝てません。指の腹なら、同じ力でも広い面に散ります。房になっているものは、そのまま外して構いません。移した先で指で軽くばらしておくと、中の卵にも水が回ります。
産卵床は、容器あたり2つか3つ置いておくと取りこぼしが減ります。産む場所が足りないと、メスが卵をぶら下げたまま泳ぎ続けることになります。毎日入れ替えるなら、予備を含めて多めにあったほうが楽です。
自分で作ることもできます。毛糸やスポンジを束ねて浮きを付ければ産卵床になりますし、マツモのような水草をそのまま入れておくだけでも産み付けます。水草なら、卵ごと別の容器へ移せます。
卵は何日で孵るのか

水温で決まります。飼育者のあいだでは、その日の平均水温を毎日足していって、合計が250℃になるころ孵る、という数え方が使われます。25℃なら10日、20℃ならおよそ13日(250÷20=12.5日)という計算です。
この数え方は、研究で使われている条件とも重なります。岩松鷹司が2004年に発表した研究では、26℃前後で受精から孵化までを39の段階に分けています(岩松鷹司 2004年の論文)。26℃で9〜10日なら234〜260℃になり、経験則の250℃と近い数字です。
日にちを数えるより、水温を測るほうが確かです。朝と昼と晩で水温を測って平均を出し、毎日足していけば、あと何日かがだいたい分かります。屋外なら日によって10℃近く違うこともあるので、カレンダーで数えるとずれやすくなります。
卵にカビが生えるのは、なぜか

死んだ卵から始まります。白く濁った卵にまず水カビが付き、そこから接している卵へ広がっていきます。毎日抜いていれば、広がりにくくなります。
水を換えていないことも大きな原因です。止まったままの水ではカビの菌が増えます。1日1回、半分ほど入れ替えるだけで違います。浅い容器にしておくのは、この入れ替えを楽にするためでもあります。
房のまま重なっている卵も危ないです。固まりの内側の卵には水が回らず、酸素が届きません。移したときに指で軽くばらしておいてください。ばらけないほど固いときは、無理に引きはがさず、水の中で少しずつほぐします。
私は、採った卵は最初から、水道水にメチレンブルーを薄く落とした水で管理しています。カビが出てから入れるより、出る前から入れておくほうが、広がる前に抑えられます。カビを見てから薬を買いに行くと、その間に隣の卵へ移っていきます。
薬を落とさずに管理するなら、ここまでの3つ(白い卵を抜く、水を換える、房をばらす)を続けて、それでもカビが止まらないときに使います。卵のカビには、メチレンブルーを薄く落とす方法がよく使われます(承認された効能は魚の白点病・尾ぐされ症状・水カビ病で、卵への使い方は説明書にありません)。どちらの場合も、薬だけに頼らないこと。白い卵を抜くことと水換えのほうが、はるかによく効きます。
メチレンブルーの水に入れると、卵が青く染まることがあります。青いのは薬の色が殻に付いただけで、それだけで死んだとは決められません。見分けるのは色ではなく、中が透きとおっているか、白く濁っているかです。透きとおって目が見えていれば、青くても育っています。
固まりの中で一部の卵だけがカビたときは、カビた卵を固まりから外し、残りは水を換えた容器に移します。カビは死んだ卵に付いて、そこから触れている卵へ広がるので、外すのは早いほど残る数が増えます。
孵ったら、どうするのか
2日か3日は、餌をやらなくてかまいません。孵ったばかりの針子はお腹に栄養の袋を持っていて、そのあいだはそれで足ります。お腹のふくらみが消えたら、餌を始めてください。

針子は口が小さく、成魚用の餌を食べられません。粉になった稚魚用の餌か、ゾウリムシのような生きた餌を与えます。ここで餌を切らすと、目に見えて数が減ります。育て方の全体はメダカの稚魚(針子)の育て方にまとめました。
親と一緒にするのは、体長が1.5cmを超えてからです。親は口に入る稚魚を丸のみにするので、1cmほどまでの細い稚魚はまだ食べられます。合流の目安はメダカの稚魚はいつまで別容器?、数が減っていくときはメダカの稚魚が「消える・溶ける」のは何故?原因と対策を見てください。
卵の数を増やすには、どうするのか

餌の量が足りないと卵は増えません。メダカの産卵数は、よく食べるほど増えやすくなります。
私は、食べきる量を1日3回から4回に分けて与えています。一度に大量にやるのではありません。数分で食べきる量を、回数だけ増やします。残った餌は水を傷めるので、食べ残しが出たらその回は多すぎたということです。
明るい時間も要ります。メダカは日の長さで季節を感じ取っていて、明るい時間が短いと産卵そのものを止めます。13時間ほど明るい状態を保つのが目安で、屋内なら照明で足してください。
水温は23℃から28℃が目安です。18℃を下回ると産卵が減ります。産卵床が足りないことも見落とされがちで、産む場所が無いとメスが卵を持ったままになります。産卵床は、容器あたり2〜3個を目安に置いてください。
卵をぶら下げたまま泳いでいるときはメダカのオスが死んでメスだけにも参考になります。
この4つは、どれか1つでは動きません。餌を増やしても暗ければ産みませんし、明るくても水温が低ければ止まります。それでも採れないときは、産んでいないのか見つけられていないのかを分けます。4つ揃えて、はじめて数が変わります。餌そのものの選び方はメダカのエサ選び完全ガイドにまとめてあります。
卵が孵らないときは、何を疑うのか
まず水温です。18℃を下回っていると2週間以上かかります。孵らないのではなく、まだ途中だということが多いです。日の当たる場所へ移すだけで縮まります。逆に30℃を超えると別の問題が出てくるので、上限と下限の根拠は卵の水温の記事に書きました。

次に、そもそも受精しているかどうかです。オスがいない、あるいはオスが弱っていると、産まれても無精卵になります。無精卵は白く濁るのが普通ですが、まれに透明なまま形を保つこともあります。1か月たっても目が現れないなら、無精卵と考えてよいです。
途中で発生が止まることもあります。水温が急に動いた、水が汚れた、卵が乾いた。一度止まった卵は戻りません。白く濁ってきたら抜いてください。透明なまま止まっているものは、目が現れないまま日数だけが過ぎるので分かります。

増えた卵を人に譲る、あるいは売る段になったら、送り方に決まりがあります。メダカの発送方法にまとめました。タレビンに入れる水は、飼育水ではなく水道水です。
どこで見切るか|終わりの判断
線を決めておきます。卵の世話が終わるのは、孵ったときです。目安は毎日の平均水温を足した合計が250℃になるころで、25℃ならおよそ10日、20℃ならおよそ13日です。その日が近づいたら、水道水から汲み置きの水に切り替えます。孵ったばかりの針子はカルキに弱いからです。
1粒ずつの見切りは、色で決めます。白く濁った卵は、見つけたその日に抜きます。一度止まった卵は戻らず、残すとそこからカビが隣へ広がります。透きとおったままでも、1か月たって目が現れないなら無精卵と考えて抜いて構いません。メチレンブルーで青く染まっただけなら、死んだとは決めません。中が透きとおって目が見えていれば育っています。
日数を過ぎても孵らないときは、まず水温です。18℃を下回っていると2週間以上かかり、孵らないのではなくまだ途中であることが多いです。日の当たる場所へ移せば縮まります。カビが止まらないときは、白い卵を抜く、1日1回半分ほど換える、房を指でばらす、の順に見直し、それでも広がるならメチレンブルーを薄く落とします(卵への使い方は説明書にありません)。
孵ったあとの2日か3日は、餌をやらなくて構いません。お腹のふくらみが消えたら、稚魚用の粉の餌かゾウリムシを始めます。親と一緒にするのは、体長が1.5cmを超えてからです。
よくある質問
メダカの卵は、何日で孵りますか。
水温25℃でおよそ10日、20℃でおよそ13日、28℃でおよそ9日です。飼育者のあいだでは、その日の平均水温を毎日足していって合計250℃になるころ、という数え方が使われます。研究のほうでも、26℃前後で受精から孵化まで9〜10日ほどです。
育つ卵と、育たない卵はどう見分けますか。
色です。育つ卵は薄い飴色に透きとおっていて、中が見えます。育たない卵は白く濁って、中が見えません。受精から数日たつと、育つ卵には黒い目が2つ見えてきます。指で軽くつまんだとき、育つ卵はしっかり硬く、潰れません。受精した瞬間に卵の膜が硬くなるためで、無精卵はこの硬化が起きません。白く濁った卵は簡単に潰れます。
卵を見つけたら、まず何をすればいいですか。
親から離してください。メダカは自分が産んだ卵も食べます。産卵床ごと別の浅い容器へ移し、白く濁った卵を抜いて、私は1日1回、水を半分ほど入れ替えています。これだけで孵る数が変わります。
卵にカビが生えました。どうすればいいですか。
まず白く濁った卵を抜いてください。カビは死んだ卵から始まり、そこから隣の卵へ広がります。あわせて水を毎日半分入れ替え、固まっている卵は指で軽くばらします。私は採った卵を最初からメチレンブルーを薄く落とした水で管理していますが、薬だけには頼りません。
卵の水は、水道水のままでいいですか。
かまいません。私は、卵のうちは水道水のままにしています。孵化が近づいたら、汲み置きの水に切り替えてください。孵ったばかりの針子はカルキに弱いためです。
卵が孵らないまま、日にちだけが過ぎます。
水温を測ってください。18℃を下回っていると2週間以上かかります。日の当たる場所へ移すだけで縮まります。白く濁っていないのに1か月たっても孵らない場合は、無精卵のまま形が保たれているか、途中で発生が止まっています。
卵の数を増やすには、どうすればいいですか。
餌の量が足りないと卵は増えません。産卵は餌が多いほど増えやすいので、私は食べきる量を1日3〜4回に分けています。あわせて明るい時間を13時間ほど確保し、水温を23〜28℃に保ち、産卵床を容器あたり2〜3個置いてください。どれか1つでは動きません。
次に見るのは、ここ
卵を産まないならメダカが卵を産まないへ。
お腹が大きいならメダカのお腹がパンパンへ。
採った卵をそのままにしたらどうなるかを知るなら卵をほったらかしにするとへ。

