メダカの体やヒレに白いふわふわした綿のようなものが付いていたら、それは水カビ病のサインです。放っておくと綿が広がり、弱って命を落とすこともあります。でも安心してください。初期にきちんと薬浴すれば、水カビ病は十分に治せる病気です。
治療の定番がメチレンブルー。ただし、メチレンブルーで足りる段階と、足りない段階があります。綿がどこまで広がっているかで、選ぶ薬が変わります。

この記事の薬浴や塩水浴は、必ず別の容器で行ってください。そして薬を使った魚と水は、システムに戻せません。ろ過を担う菌が減ること、野菜が根から吸うこと、植物に害が出ることが理由です。塩水も植物を枯らすので戻せません。判断の分かれ目はアクアポニックスの魚が病気に|治療した魚は戻していいのかにまとめました。
この記事のポイント(先に結論)
結論から書きます。白い綿のようなフワフワが付いていれば水カビ病で、原因はカビです。ひれが溶けて短くなる尾ぐされ病は細菌が原因の別の病気なので、ここを取り違えると薬の選択から間違えます。
治療は、初期ならメチレンブルーかグリーンFリキッドで薬浴します。進行しているならアグテンやヒコサンZ(マラカイトグリーン系)に切り替えます。
メチレンブルーは紫外線で分解されるので、屋内で遮光して薬浴するのが前提です。原因は体の傷と水質の悪化が重なったところなので、予防は結局きれいな水に行き着きます。
水カビ病とは? 尾ぐされ病との違い

水カビ病は、その名のとおり水カビ(真菌=カビの仲間)がメダカの体やヒレに寄生して起こる病気です。健康なメダカにはめったに付きませんが、体に傷があったり、水質が悪化して弱っていたりすると、そこにカビが根を張って広がっていきます。
ここで大切なのが、尾ぐされ病との見分けです。この2つは見た目が似ていますが、原因も薬もまったく違います。取り違えると治りません。
・傷口や体表に生える
・原因=水カビ(真菌)
・薬=メチレンブルー等
・縁からギザギザにほつれる
・原因=カラムナリス菌
・薬=グリーンFゴールド等
ざっくり言えば、「綿がフワフワ生える」なら水カビ、「溶けて短くなる」なら尾ぐされ。尾ぐされ病の治療はメダカの尾ぐされ病はうつる?見分け方と今すぐできる手当てで解説しています。両方が同時に出ることもあるので、体表全体をよく観察してください。
症状の進み方
水カビ病は、初期のうちに気づけるかどうかで回復率が変わります。うっすらとした綿の段階なら薬浴で戻せますが、体を覆うまで進むと回復は難しくなります。進み方を知っておくと、いま何段目かが分かります。

「白い点々」なら水カビではなく白点病(寄生虫)の可能性があります。綿状か、点状かで見分けてください。水カビは傷口から生えるので一か所から広がり、白点病は体のあちこちに同時に散らばります。広がり方の違いも手がかりになります。
水カビ病の原因
水カビの胞子は、実はどの飼育水にも常にいます。それでも健康なメダカが発症しないのは、体の防御が働いているから。発症するのは、次のようにメダカが弱ったときです。

【治療】まず隔離、そして薬を使い分ける
水カビ病は薬浴が基本です。塩浴だけでは水カビには力不足なので、初期でも薬を使うのが確実です。治療の流れと薬の選び方を図にまとめました。

ポイントは「初期はメチレンブルーかグリーンFリキッド、進行したらマラカイトグリーン系(アグテン・ヒコサンZ)」。そして何より、本水槽ではなく別容器で薬浴することです。薬は水草やろ過バクテリア、エビ・貝に悪影響を与えます。
メチレンブルーの使い方
メチレンブルー水溶液は、水カビ病に承認された薬です。動物用医薬品等データベース(農林水産省 動物医薬品検査所)で効能を引くと「白点病、尾ぐされ症状、水カビ病の治療」とあります。水カビ病が承認の対象に入っているので、適応内の薬を使っていることになります。
メチレンブルーは、水カビ病・白点病などに広く使われる定番の魚病薬です。青い液体で、水を鮮やかな青色に染めます。使い方の手順と、薬浴容器のセットアップは次のとおりです。

- 隔離容器に規定量を溶かす…製品の説明どおりの量を守ります。入れすぎは逆効果。カルキを抜いた水を使います。
- 水温を合わせて移す…急な水温変化を避け、水ごとやさしく移します。
- 遮光する…メチレンブルーは紫外線で分解して効果が落ちます。屋内の暗めの場所に置き、直射日光を避けます。ここが最重要ポイントです。
- 3〜5日を目安に薬浴…初期なら3日ほどで効果が見えます。カビが取れてきたら回復のサイン。
- 弱いエアレーションと少なめの餌…強い水流は避け、餌は控えめに。
- 回復したら徐々に真水へ…一気に戻さず、時間をかけて薬を薄めてから本水槽に戻します。
注意点:メチレンブルーは色が濃く、手や衣類、容器に付くと青く染まります。プラケースなどは着色することがあるので、治療専用の容器を使うと安心です。
進行したとき:アグテン・ヒコサンZ
綿が厚く広がっている、複数匹に出ている——そんな進行した状態では、マラカイトグリーンを配合した薬がより強力です。代表的なのがアグテンとヒコサンZ。どちらも水カビ病・白点病に効き、水草を入れたままでも使えるのが特徴です(メチレンブルーより扱いやすい場面もあります)。
これらも紫外線で分解しやすい点はメチレンブルーと同じなので、遮光して薬浴してください。規定量を守り、水が汚れたら薬ごと交換します。
メチレンブルーとグリーンFリキッドの違い
「メチレンブルーとグリーンFリキッド、どっちを使えばいいの?」という質問はよくあります。違いを整理します。どちらも初期の水カビに使える薬ですが、色の出方と扱いやすさが違うので、飼っている環境と慣れで選ぶことになります。
| 薬 | 特徴 |
|---|---|
| メチレンブルー | 単一成分でシンプル。水カビ・白点に。卵のカビ防止にも使われる。色が濃く着色しやすい。 |
| グリーンFリキッド | メチレンブルー等を配合。水カビ・尾ぐされ・白点に幅広く。1本で複数の病気に対応しやすい。 |
使い分けの目安:水カビ病だけならメチレンブルーで十分。尾ぐされなど他の病気も併発していそうなら、幅広く効くグリーンFリキッドが便利です。まず1本そろえるなら、汎用性の高いグリーンFリキッドも選択肢になります。
塩浴との使い分け・併用
「まず塩浴では?」と思うかもしれませんが、水カビ病に塩浴だけでは効きにくいのが実際です。塩は体力回復を助けますが、カビ(真菌)そのものを叩く力は弱いためです。だから水カビ病は最初から薬浴が基本になります。
ただし、薬浴と並行して軽い塩浴を行うと、メダカの体力回復を後押しできます。併用の可否は薬によるので、必ず薬の説明書を確認してください。塩浴の正しいやり方はメダカの塩浴の適切な濃度と頻度で図解つきで解説しています。
薬浴はいつ終えるのか
水カビ病は、終わりの見分けがつきやすい病気です。体に付いていた綿が取れて、地肌が見えるようになれば終了の合図です。綿が小さくなっている途中でやめると、残ったところから再び広がります。完全に消えるまで続けてください。
目安の日数は薬によって違います。メチレンブルーは3〜5日、綿が広がっていてマラカイトグリーン系に切り替えた場合も、綿が消えるまで数日から1週間ほどを見ます。10日以上続けても綿が減らないなら、水カビではなく別の病気を疑ってください。ヒレの縁が白く濁って溶けているなら尾ぐされ病で、使う薬が変わります。
綿が取れたら、一気に真水へ戻さないでください。薬浴容器の水を3分の1ずつ、数回に分けて換えて薬を薄めます。それから水温を合わせて本水槽へ戻します。急に薬から出すと、それ自体が体への負担になります。
戻したあとに見るのは、もともと綿が付いていた場所です。そこは傷になっていることが多く、水カビは傷から始まります。数日は毎日その一点を確認して、白いものが出てこないかを見てください。出てこなければ、治療は終わりです。
そして忘れやすいのが、元の容器のほうです。水カビの胞子はどこにでもいて、発症したということは、その容器の水質か、魚に傷ができる原因が残っているということです。戻す前に水換えをして、ぶつかりやすいレイアウトや過密がないかを見直してください。
水カビ病の予防|傷とストレスを作らない

水カビ病は「傷+水質悪化」で出る病気。裏を返せば、そこを防げば発症はぐっと減ります。網の使い方を変えるだけでも傷は減りますし、水換えの間隔を詰めるだけでも免疫の下がり方は変わります。予防に特別な道具は要りません。
1. 体に傷をつけない
網で強くすくわない、過密で小競り合いを起こさせない、とがったレイアウトを避ける——傷の入り口を減らすことが第一です。移動はできるだけ水ごと、やさしく。
2. 水質をきれいに保つ
アンモニア・亜硝酸をためないよう、週1回・3分の1程度の水換えを目安に。テストキットで数値を確認すると確実です。餌の食べ残しやフンは菌・カビの温床になります。
3. 水温を安定させる
低水温期や季節の変わり目は発症しやすい時期。急な水温変化を避け、環境を安定させます。屋外の容器は外気温の影響を受けやすいので、置き場所を変えるか、水量の多い容器に移すだけでも振れ幅を抑えられます。
4. カビた卵は早めに取り除く
採卵している場合、白くカビた卵は周囲に移る前に取り除きます。卵のカビ防止にメチレンブルーを薄く使う方法もあります。
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薬浴中の観察と水換え
薬を入れたら終わり、ではありません。毎日の観察で治療がうまくいっているかを見極めます。見るところは決まっていて、四つだけです。綿の量、泳ぎ方と食欲、水の汚れ、そして水面での呼吸。どれかが悪い方へ動いていれば、薬か環境を見直します。

薬浴中に水を換えるときは、抜いた分の薬も一緒に出ていくので、新しく足す水にもあらかじめ規定量の薬を溶かしてから加えます。真水だけを足すと濃度が下がって効果が弱まります。3〜4日たっても綿が減らない場合は、より強い薬(アグテン・ヒコサンZ)への切り替えを検討してください。
卵の水カビ対策
採卵している人にとって、卵のカビは悩みの種です。無精卵は数日で白くカビ、放っておくと隣の有精卵にまでカビが移って全滅することがあります。対策は次のとおりです。
- 白くカビた卵は毎日取り除く…有精卵は透明で弾力があり、無精卵は白く濁ってつぶれやすい。見つけ次第スポイトで除去します。
- 薄いメチレンブルーで管理する…卵の容器の水をメチレンブルーでごく薄い青色にしておくと、カビの発生を抑えられます。孵化した針子には害がない程度の薄さにします。
- 水を動かす・こまめに換える…止水より、ゆるく水が動くほうがカビにくくなります。
孵化後の針子の育て方はメダカの稚魚(針子)の育て方にまとめています。
似た症状と間違えないために
白っぽい症状はいくつかあり、間違えると治療が空振りになります。落ち着いて見分けましょう。見分けの軸は「形」です。綿のような塊か、細かい点か、ひれが溶けているか。ここが決まれば使う薬も決まります。

治療後のケアと再発防止
カビが取れて回復しても、環境が同じなら再発します。治療後は必ず、発症の原因になった傷・水質・水温の問題を解消してから本水槽に戻してください。戻すときは薬を徐々に薄め、水温を合わせてゆっくり移行します。
そして日々の観察を続けること。「白いものが付いていないか」を早めに見つけられれば、軽症のうちに手を打てます。毎日じっくり見る必要はなく、餌をやるときに体の表面をひと目見る、それだけで初期のうちに気づけます。
低水温期の落とし穴
水カビ病は水温が低い時期に増えるのが特徴です。カビ(真菌)は低水温でも活動できる一方、メダカの方は水温が下がると活性・免疫が落ちるため、力関係がカビ有利に傾くのです。冬から早春、秋の終わりは特に注意が必要です。
そのため治療時は、水温を急変させないことが大切です。強い加温は他の病気(細菌性)を悪化させることもあるので万能ではありませんが、極端な低水温を避け、安定した水温で薬浴すると回復しやすくなります。屋外で発症したなら、治療は水温の安定する屋内に移して行うのがおすすめです。
複数匹・容器全体での対応
1匹に水カビが出たとき、他のメダカはどうすべきか。判断の目安です。水カビは水を介して一気に広がる病気ではないので、慌てて全体に薬を入れる必要はありません。ただし原因になった水の状態は共通です。
- 1匹だけなら…その個体を隔離して薬浴し、元の容器は水換えで立て直します。水カビは尾ぐされほど爆発的にはうつりませんが、同じ環境なら次の発症もあり得るので油断は禁物です。
- 複数匹に出ているなら…容器全体の水質・水温が限界を超えているサインです。症状の出た個体を薬浴しつつ、容器全体の水換え・環境改善を徹底します。
- 卵と成魚が同居しているなら…カビた卵は成魚の治療とは別に、こまめに取り除きます。
水カビ病は「うつる病気」というより「環境が悪いと各自が発症する病気」。だからこそ、1匹の発症は容器全体を見直す合図だと考えてください。
よくある失敗

よくある質問(FAQ)
Q. 薬浴はいつまで続ければいいですか?
A. 体に付いた綿が完全に取れて、地肌が見えるまでです。メチレンブルーなら3〜5日が目安です。途中でやめると残ったところから再び広がります。終わったら薬を数回に分けて薄めてから、本水槽へ戻してください。10日以上続けても綿が減らない場合は、別の病気を疑ってください。
Q. 水カビ病は自然に治りますか?
A. ごく初期で、水質を改善できれば軽快することもありますが、基本的には広がる病気です。放置せず、早めにメチレンブルーなどで薬浴するのが確実です。
Q. 塩浴だけで治せますか?
A. 難しいです。塩は体力回復を助けますが、カビそのものを叩く力は弱いため、水カビ病は薬浴が基本です。薬浴と軽い塩浴の併用は有効なことがあります。
Q. メチレンブルーは何日くらい薬浴しますか?
A. 3〜5日が目安です。初期なら3日ほどで効果が見え、カビが取れてきたら回復のサインです。回復したら徐々に薬を抜きます。
Q. なぜ日光を避けるのですか?
A. メチレンブルーは紫外線で分解して効果が落ちるからです。屋内の暗めの場所で薬浴してください。アグテンやヒコサンZも同様です。
Q. 白い点々なのですが水カビ病ですか?
A. それは白点病(寄生虫)の可能性が高いです。水カビ病は「綿状にフワフワ」、白点病は「点々」が特徴で、対処が異なります。
Q. 卵に白いカビが生えました。どうすれば?
A. カビた卵は周囲の有精卵に移るので、早めに取り除いてください。卵のカビ防止に、メチレンブルーを薄く使う方法もあります。
Q. 水草を入れたまま治療できますか?
A. メチレンブルーは水草に色移りや悪影響が出ることがあるため、基本は別容器で、水草を入れずに薬浴します。どうしても水草のある環境で使いたい場合は、水草を入れたまま使えるアグテンやヒコサンZが向いています。ただし治療は隔離容器で行うのが確実です。
Q. 治ったあと青い水はどうすればいいですか?
A. 薬を含んだ水は本水槽に戻さず、徐々にカルキ抜きの水で薄めながらメダカを慣らし、最後は新しい水に移します。青い薬水はそのまま川や側溝に流さず、家庭の排水として処理してください。
まとめ
メダカの水カビ病は、白い綿がサイン、メチレンブルーで薬浴、遮光が鍵——この3つを押さえれば怖くありません。逆に、塩水浴だけで粘ったり、日なたで薬浴したりすると、正しい薬を使っていても治りません。手順のほうが薬選びより効きます。
綿状なら水カビ、点なら白点病、溶けるなら尾ぐされ病。初期はメチレンブルーかグリーンFリキッド、進行したらアグテンかヒコサンZ。そして別容器で、遮光して、規定量で。この三つを守れば治療は成立します。
そして治ったら、傷と水質という原因を必ず見直すこと。早く気づいて早く動けば、水カビ病は十分に治せる病気です。落ち着いて対応してあげてください。
最後にひとつ。「いつ・どの部位に綿が出て・どの薬を何日使い、いつ治ったか」を記録しておくと、次に同じ状況になったとき迷わず動けます。
水カビ病は毎年同じ低水温期に出やすいので、その時期の前に水換えや傷対策を強める、といった先回りもできるようになります。つらい経験を、次にメダカを守る知恵に変えていきましょう。
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