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メダカの餌やり|量と回数の目安と、空腹と酸欠の見分け方

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黒い容器の水面近くに集まったメダカ めだか

水槽をのぞくと、メダカが水面に集まってくる。こちらを見ているような動きをされると、「お腹が空いているのかな」と思って、つい餌を足したくなります。かわいさもあって、つい手が出てしまう場面です。

ですが、ここで一度立ち止まってください。水面に集まる行動は、空腹とは限りません。酸素が足りていないときにも、メダカはまったく同じ場所に集まります。

そして酸欠のときに餌を足すと、食べきれなかった分が沈んで水をさらに汚し、状況を悪化させます。空腹サインを読むというのは、じつは空腹ではないときを見抜くことでもあります。

  • 基本は「2〜3分で食べきる量」を1日1〜2回。ただしこれは水温20℃前後の話
  • 水温が下がれば必要な量も減る。15℃前後で1日1回、10℃以下は与えない
  • 水面に集まる=空腹とは限らない。動きが鈍く口をパクパクしているなら酸欠
  • 酸欠のときに餌を足すと、食べ残しで水がさらに汚れて悪化する
  • 与えすぎは魚ではなく水に出る。底に沈んだ餌・油膜・白濁が出たら次の1回を抜く
メダカの餌やりのグラレコ(グラフィックレコーディング)。水面に集まるのはなぜか、空腹・酸欠・慣れ・水が悪いの4つに分けて見分ける図解
水面に集まっていても、腹が減っているとは限らない。①と②を見分けてから餌を決める。

まず、基本の量と回数

サインを読む土台になるので、先に基本を押さえておきます。1回に与える量は2〜3分で食べきる量、回数は1日1〜2回が目安です。ここまではよく言われるとおりです。

メダカの餌やりの回数と量が水温で変わることを温度計と餌の粒で示した図
同じ量を年中あげ続けるのが、いちばん多い失敗。

ただしこれは水温が20℃前後にある、活発な時期の話です。メダカは変温動物なので、水温が下がれば代謝も落ち、必要な量そのものが減ります。

水温 回数の目安 ようす
25〜28℃ 1日1〜2回 よく食べる
20℃前後 1日1〜2回 安定して食べる
15℃前後 1日1回か2日に1回 食が細くなる
10℃以下 与えない ほとんど食べない

水温がそのまま食べる量に効いてくるので、季節の変わり目は水温計を見ながら調整すると失敗しません。感覚で同じ量を与え続けるのが、いちばん多い失敗です。

スプーン何杯かに、落としてみる

よく言われる「2〜3分で食べきる量」は、慣れないうちは判断がつきません。そこで、手元のスプーンで数えられる形にしておきます。

メダカの匹数別に1日の餌が計量スプーン何杯かを示した図。30匹なら顆粒で3杯
0.25ccスプーン(顆粒)での目安。体重の3%で計算。

メダカ1匹の体重は、野生のメダカを調べた研究で0.37〜0.51グラムと報告されています。3%なら1匹あたり1日0.012グラム。30匹で0.36グラムです。

キョーリンは、付属の0.25ccスプーン1杯が顆粒で0.145グラム、フレークで0.057グラムだと公表しています。割り算すると、こうなります。

メダカの数 1日の量 0.25ccスプーンで
10匹 約0.13グラム 顆粒1杯/フレーク2〜3杯
20匹 約0.27グラム 顆粒2杯/フレーク4〜5杯
30匹 約0.40グラム 顆粒2〜3杯/フレーク6〜8杯
50匹 約0.67グラム 顆粒4〜5杯/フレーク10〜13杯
1日ぶんの合計。これを1〜2回に分けて与える。水温が下がれば減らす。

思っていたより少ない、と感じる人が多いはずです。30匹で顆粒2〜3杯。指でひとつまみすると、これを軽く超えます。「ひとつまみ」がすでに多いというのが、数字にしたときに見えることです。

ただしこの数字は出発点で、正解ではありません。水温・魚の大きさ・季節で変わります。量ったうえで、あとに書く「食べきる時間」で微調整してください。

「片目ぶん」「2〜3分」は、どこから来た数字か

ここまでの数字がどこから来たのかを、少しだけ書いておきます。よく見かける目安は2つで、「2〜3分で食べきる量」と「魚の片目くらいの大きさの量」です。

どちらも便利な言い方ですが、調べてみると出どころが辿れません。誰がどんな根拠で言い出したのかが書かれた資料は見つからず、記事から記事へ受け継がれている状態です。前者はメーカーも使っているので実用の目安としては通りますが、後者は根拠を確かめられませんでした。

ややこしいことに、「片目ぶん」は量の目安として使う人と、粒の大きさの目安として使う人がいます。養殖の資料では粒の大きさを口の幅で測るので、目とは別の基準です。同じ言葉が2つの意味で流れています。

公的な資料が使っているのは、もっと単純な尺度です。フロリダ大学の資料は魚は体重に対する割合で給餌すべきで、維持なら1日に体重の0.5〜1.0%が適切としています。メダカについては、飼料を比べた研究の飼育手順に体重の3%を毎日与えるとあります。

その集まり方は、空腹ですか

ここが本題です。メダカが水面付近に集まっているとき、その原因は大きく2つに分かれます。そして両者は見た目が似ているのに、取るべき対応は正反対になります。

メダカの餌やり|水面に集まる、2つの理由。同じ「水面に集まる」でも中身は正反対です。酸欠のときに餌を足すと、食べ残しで水がさらに汚れます
同じ「水面に集まる」でも中身は正反対です。酸欠のときに餌を足すと、食べ残しで水がさらに汚れます。

空腹のときのメダカは活発です。水面近くをよく泳ぎ、人影が近づくと寄ってきて、餌を入れた瞬間に群がります。見ていて元気があります。

一方、酸欠のときは動きが鈍くなります。水面で口をパクパクと開け閉めする、いわゆる鼻上げの状態で、餌を入れても反応が薄いのが特徴です。時間帯にも差があり、酸欠は夜のあいだに酸素を使い切った明け方に出やすくなります。

見分ける近道は、餌を入れてみて反応を見ることです。すぐ群がるなら空腹、無反応なら別の原因を疑ってください。反応が薄いときは餌を追加せず、水温と水面の状態を確認します。

黒い容器を上から見たメダカ2匹
寄ってくるかどうかは、上から見るといちばん分かる。

夏場は特に注意が必要です。水温が上がると水に溶ける酸素の量が減り、同時に魚の消費量は増えます。この仕組みはエアレーションが必要になる条件で詳しく解説しています。

酸欠だと分かった場合は、まず水面を動かして酸素を入れてください。エアレーションを弱めに追加するのが確実です。

与えすぎのサインは、魚ではなく水に出る

「足りているかどうか」はメダカを見ていても分かりにくいものですが、与えすぎのほうは水にはっきり出ます。魚の顔色をうかがうより、水を観察するほうが確実です。

メダカの餌やり|与えすぎのサイン。魚を見るより水を見るほうが確実です。ひとつでも出たら、次の1回を抜いてください
魚を見るより水を見るほうが確実です。ひとつでも出たら、次の1回を抜いてください。

いちばん確実なのが、底に沈んだ餌です。メダカは水面と中層で食べる魚なので、底に落ちた餌はほとんど食べません。数分後に底を見て粒が残っていたら、それは多すぎたということです。

水面に薄い膜が張るのも、餌の脂が浮いているサインです。水が白っぽく濁ってきたときは、分解が追いついていない状態なので、次の1回を抜いて様子を見てください。

残った餌は、その場で取る

食べ残しに気づいたら、沈んだまま放置しないでください。餌はそのまま腐り、アンモニアを出して水質を悪化させます。「あとで水換えすればいい」と考えているうちに、水はどんどん傷んでいきます。

スポイトや網ですくえば数十秒で終わります。この一手間があるかどうかで、水換えの頻度が変わってきます。水を汚さない工夫全般は水換えの頻度を減らす記事にまとめています。

メダカの世話は、覚えておこうとするほど抜けていきます。水を換えた日と薬を使った日が残っていれば、次に迷ったときの手がかりになります。「メダカ台帳」は無料ではじめられます。
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適量は、そのつど確かめる

メダカの餌やり|適量の見つけ方。適量は固定ではありません。水温が下がれば食べる量も減るので、そのつど確かめるのが確実です
適量は固定ではありません。水温が下がれば食べる量も減るので、そのつど確かめるのが確実です。

ここまで読んで気づかれたと思いますが、「うちの適量」は固定ではありません。水温、季節、匹数、成長段階で変わります。

だからこそ、少なめから入れて様子を見るのが確実です。1つまみ入れて2〜3分見る。食べきったら少し足す。残ったら次回は減らす。この繰り返しで、その時期の適量が見えてきます。

メダカは数日食べなくても弱る魚ではありません。成魚なら涼しい季節で約1週間もつので、足りないことより多すぎることを警戒してください。

特定の個体だけ痩せているとき

全体には行き渡っているつもりでも、強い個体が先に食べてしまい、一部だけ痩せることがあります。数が多い容器ほど起こりやすい現象です。

痩せたメダカと健康なメダカの見分け方。上から見ると健康な個体は頭よりお腹がふっくら、痩せた個体は頭だけ大きくおたまじゃくしのような姿。横から見ると腹の丸みが消えて体高が減る
最初に気づくのは上から。健康な個体は頭よりお腹がふっくら、痩せると頭だけが大きく見える。

気づくきっかけは、たいてい上からのぞいたときです。健康なメダカは、上から見ると頭よりお腹のあたりがわずかにふっくらしています。痩せてくるとその膨らみが消えて、頭だけが大きく見えます。おたまじゃくしのような姿、と言うと近いです。横から見ると腹の丸みが失われて平らになり、背中から腹までの高さそのものが減ってきます。

進むと、背中から尾の付け根にかけての肉が落ちて、体の線がとがってきます。さらに進めば背骨が浮いて見え、泳ぎがふらついたり、立ち泳ぎのようになったりもします。そこまで来ているなら、餌の配り方より先に疑うことがあります。過密、いじめ、水質、老化、寄生虫。1匹だけなのか全体なのか、動きと食欲も一緒に見ると、原因を絞りやすくなります。

メダカが1匹だけ痩せているときの餌の与え方。一度にたくさん与えると強い個体が食べ尽くし痩せた個体に届かず餌が底に沈む。同じ量を数回に分けると痩せた個体にも行き渡る
増やすと強い個体がさらに食べ、余りが底に沈む。同じ量でも数回に分ければ、後から来る個体に届く。

この場合、量を増やすのは逆効果です。食べる個体がさらに食べ、余った分が水を汚すだけになります。対処は回数を分けることで、1回の量を減らして与える回数を増やすと、後から来る個体にも行き渡ります。

それでも改善しないなら、痩せた個体を別の容器に移して、落ち着いて食べられる環境をつくってください。数が減るだけでも競争がなくなり、しっかり食べるようになります。

繁殖させたい時期は、回数を増やす

産卵には多くのエネルギーが要るため、繁殖期は栄養が不足すると卵の数が減ります。この時期だけは1回の量ではなく回数を増やす形で対応してください。

1日3回以上に分けて少量ずつ与えると、水を汚さずに栄養を届けられます。繁殖用に配合された餌を使うと、量を増やさずに必要な栄養を補えます。

餌の種類ごとの使い分けはメダカのエサ選び完全ガイドで解説しています。

メダカには胃が無いので、食い溜めができない

回数を分ける理由は、じつは体のつくりにあります。

メダカには胃が無い。胃のある魚は口から胃を通って腸へ、メダカは口から腸へまっすぐつながっている
上は胃のある魚。ふくらんだ胃にためて、少しずつ送り出せる。下がメダカで、口から腸へまっすぐ通っている。

メダカは胃を持たない魚です。東京工業大学が2024年に、胃を持たない魚が共通して失った遺伝子を特定した研究を発表していて、メダカもその11種に挙げられています。

胃が無いということは、食べたものを溜めておく場所が無いということです。口に入ったものは短時間で腸を通り抜けます。だから一度にたくさん食べても身にならず、あふれた分はそのまま出て水を汚します。

同じ量なら、1回でどさっと与えるより2回に分けたほうが体に入る。回数を分けるのがよいと言われるのは、この理由です。

そしてもうひとつ。胃が無い魚は満腹という区切りが曖昧で、与えれば与えるだけ口を動かします。「まだ欲しがっているから」を基準にすると、必ず与えすぎになります。

速く育てると、寿命が縮む

ここからは、あまり語られていない話です。

メダカを速く育てると寿命が短くなることを成長曲線と寿命の帯で示した図
最後の大きさは同じでも、育つ速さで寿命が変わる。

餌の量の目安は、たいてい養殖の世界から来ています。養殖の数字は「決まった餌で、いかに早く大きくするか」を最適化したものです。出荷までの日数を縮めるための値であって、長く飼うための値ではありません。

観賞魚の目的は逆です。何年も元気でいてほしい。ここで、成長の速さと寿命の関係を調べた実験が効いてきます。

グラスゴー大学の研究チームは、トゲウオの幼魚に短期間だけ水温の変化を与えて、成長の速さだけを上下させました。最終的な体の大きさは同じに揃えています。結果は、速く育った個体は寿命の中央値が14.5%短くなり、ゆっくり育った個体は30.6%延びたというものでした。

大事なのは、この差が最終的な大きさとは無関係だったことです。大きくなったから縮んだのではなく、速く育ったこと自体が効いていました。

同じ研究室の別の実験では、給餌のしかたを直接扱っています。食べた総量が同じでも、飢えさせてから一気に与えた個体は寿命が短くなりました。原因は、そのあとに起きる急な成長です。

これは飼育でやりがちな形です。平日は控えめにして、週末にたっぷり。総量では足りているつもりでも、この与え方がいちばん体に負担をかけます。旅行で数日空けたあとに取り返そうとするのも同じです。

ただし、同じ論文では単に餌を減らすことは寿命を延ばしませんでした。「少なく与えれば長生き」ではありません。要点は量ではなく、急に育てないこと。毎日ほぼ同じ量を、切らさずに与えるのがいちばん体に優しいということになります。

なお、どちらもトゲウオでの実験です。メダカで同じことが起きると言い切れるわけではありません。ただ「速く育てると寿命が縮む」という関係が、魚で実験的に示されていることは知っておいて損はありません。

まとめ:足りないより、多すぎるほうが危ない

基本は2〜3分で食べきる量を1日1〜2回。ただしそれは水温20℃前後の話で、寒くなれば減らし、10℃を下回れば止めます。同じ量を一年中与え続けないことが、まず出発点になります。

そして水面に集まっていても、それが空腹とは限りません。動きが鈍く口をパクパクしているなら酸欠のサインなので、餌ではなく酸素を足してください。この見分けができるかどうかが、餌やりでいちばん差の出るところです。

よくある質問(FAQ)

Q. メダカの餌は1日何回、どのくらい与えればいいですか?

A. 2〜3分で食べきる量を1日1〜2回が目安です。ただしこれは水温20℃前後の場合で、15℃前後なら1日1回か2日に1回、10℃を下回るときは与えないでください。

Q. メダカが水面に集まっているのは空腹のサインですか?

A. 必ずしもそうではありません。活発に泳いで人が近づくと寄ってくるなら空腹ですが、動きが鈍く水面で口をパクパクしている場合は酸欠のサインです。餌を入れて反応を見ると見分けられます。

Q. 酸欠と空腹はどう見分けますか?

A. 餌への反応と活発さで判断してください。すぐ群がるなら空腹、反応が薄く動きが鈍いなら酸欠です。酸欠は夜のあいだに酸素を使い切る明け方に出やすいのも特徴です。

Q. 餌を与えすぎているかどうか、どう確認できますか?

A. 水を見てください。底に餌が沈んでいる、水面に油膜が張る、水が白く濁る、のいずれかが出ていれば与えすぎです。ひとつでも当てはまったら次の1回を抜いてください。

Q. 一部のメダカだけ痩せているときはどうすればいいですか?

A. 量を増やすのではなく、回数を分けてください。強い個体が先に食べてしまうのが原因なので、1回の量を減らして回数を増やすと後から来る個体にも行き渡ります。改善しない場合は別容器に移してください。

Q. 繁殖させたいときは餌を増やしたほうがいいですか?

A. 1回の量ではなく回数を増やしてください。1日3回以上に分けて少量ずつ与えると、水を汚さずに栄養を届けられます。繁殖用に配合された餌を使うのも有効です。

Q. メダカ30匹だと、餌はどれくらいの量ですか。

A. 1日あわせておよそ0.4グラムです。キョーリンが公表している0.25ccスプーンなら、顆粒で2〜3杯、フレークで6〜8杯にあたります。メダカ1匹の体重0.4グラムに、実験室の飼育手順で使われる体重の3%を掛けた計算です。指でひとつまみするとこれを軽く超えるので、量ってみると多くの人は減らすことになります。

Q. 平日は少なめにして、週末にまとめて与えてもいいですか。

A. やめてください。トゲウオの実験では、食べた総量が同じでも、飢えさせてから一気に与えた個体は寿命が短くなりました。原因はそのあとに起きる急な成長です。同じ研究室の別の実験でも、速く育った個体は寿命の中央値が14.5%短く、ゆっくり育った個体は30.6%延びています。毎日ほぼ同じ量を切らさずに与えるほうが、結果として長く飼えます。

Q. メダカはなぜ、いくらでも食べようとするのですか。

A. 胃を持たない魚だからです。東京工業大学が2024年に発表した研究で、メダカは胃を持たない11種のひとつに挙げられています。溜めておく場所が無いので食い溜めができず、満腹という区切りも曖昧になります。「まだ欲しがっているから」を基準にすると必ず与えすぎになるので、量で決めてください。

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この記事を書いた人
鷲林寺アクアファーム(兵庫県西宮市)

植木屋として5年、アクアリウムは10年。2021年から、義理の祖母が守ってきた農地を休耕地にしないためにアクアポニックスを始め、一人で続けています。書いているのは、その農場で実際に起きたことと、確かめられた範囲のことだけです。

農場見学は全国から受け入れてきました(現在は休止中)。ラジオ関西「羽川英樹 ハッスル!」、雑誌「Mer」などの取材を受けています。
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