梅雨時期のメダカ飼育:雨水利用のメリットとデメリットを徹底解説
めだか
2024.05.17
梅雨に入ると、屋外でメダカを飼っている人ほど気が気ではありません。雨が続き、容器の水はどんどん増え、色も心なしか薄くなっていく。このまま放っておいて大丈夫なのか、不安になった経験がある方も多いはずです。
雨水は「あえて活用するもの」ではなく「入れすぎないよう管理するもの」というのが実情です。雨水を使うこと自体に害はありませんが、屋外飼育で実際に問題になるのは、性質の違う雨水が短時間で大量に混ざることによる水質の急変です。
- 雨水は「活用するもの」ではなく「入れすぎないよう管理するもの」が実情
- 雨水は弱酸性・ミネラルほぼゼロの超軟水。大量流入で水質(pH・KH)が急変し、メダカに負担をかける
- 梅雨の3大リスクは「あふれ」「水質・水温の急変」「日照不足」
- 対策は「降る前(あふれ防止・隙間を残して覆う)→大雨中(タオルで自動排水)→雨上がり(少量ずつ足す・急な全換水はしない)」の3段階
「雨水を使うと良い」は本当? 実は要注意な理由
雨水は自然の状態で弱酸性(pH5〜6程度)です。空気中の二酸化炭素が溶け込むためで、これは大気汚染とは関係のない自然な現象です。「酸性雨」というと工場の排煙のようなものを連想しがちですが、雨がもともと弱酸性であること自体は環境問題とは別の、ごく普通の性質です。
加えて雨水にはミネラル分がほとんど含まれておらず、GH・KHがほぼゼロの超軟水になります。
ふだんの飼育水は、足し水や底床からの溶出でミネラルを含み、中性〜弱アルカリ性に安定しています。ここに性質の違う雨水が少量ずつ混ざる分には大きな問題は起きません。
雨水そのものが毒というわけではありません。問題は、この性質の違う水が大量に一気に混ざることで起きる『急変』です。
問題は、長雨で水位が大きく増えるほど雨水の割合が急に高まることです。水のpHと硬度を保っていた緩衝力(KH)が薄まり、これまで安定していた水質が短時間で大きく傾きます。
メダカはこの急激な変化にエラや浸透圧の調整が追いつかず、体調を崩してしまいます。針子や稚魚はこの変化にとくに弱く、ダメージを受けやすい点にも注意が必要です。
梅雨の屋外飼育で起きる3つのリスク
梅雨の時期に実際に起きているトラブルは、大きく3つに整理できます。
いずれも『雨そのもの』ではなく『急激な変化』が原因です。ゆっくりなら耐えられる変化も、急だと負担になります。
あふれは、浅く広い容器ほど起きやすい問題です。NVボックスでの飼育のように定番の容器は、水量に対して縁までの余裕が少ないため、短時間の豪雨でも水位が縁に達しやすくなります。
あふれるとメダカだけでなく、卵や浮草、産卵床まで一緒に流れ出てしまいます。
数字で見ると分かりやすいのですが、40cm×60cm程度の容器(水面積0.24㎡)に1時間30mmの激しい雨が降ると、単純計算で約7Lの雨水が短時間で入ります。60L程度の容器なら、1割以上の水が数十分で入れ替わる計算です。梅雨の集中豪雨では、これが数時間続くこともあります。
日照不足は見落とされがちですが、長雨が続くと水中の水草や植物プランクトンの光合成が落ち、日中でも酸素が不足しやすくなります。エサの食いが落ちたと感じたら、水質だけでなく日照量も疑ってみてください。
対策としては、梅雨の間だけ容器を軒下から日当たりの良い場所へ動かす、エア用のポンプを一時的に追加する、食べ残しが出やすい分エサの量を控えめにする、といった調整が有効です。日照が乏しい時期は、電源のいらないソーラー式のエアーポンプを足しておくと、天候に関係なく酸素を安定して供給できます。
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じめじめした環境は蚊の幼虫であるボウフラも発生しやすいため、水面の管理はヤゴ・ボウフラ対策もあわせて確認しておくと安心です。
降る前にやっておく対策
梅雨入り前にひと手間かけておくと、大雨のときの被害を大きく減らせます。
梅雨入り前のひと手間が、豪雨のときの被害を大きく左右します。
あふれ対策としては、容器の縁の一部を少し低くして排水の逃げ道を作る、あるいは縁にネットを張っておくと、あふれても生体の流出だけは防げます。これから容器を用意するなら、最初から排水加工(オーバーフロー加工)がされているものを選ぶと、あふれ対策そのものが要らなくなります。
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覆いをする場合は板やビニールで完全にふさぐのではなく、隙間を残して酸素の通り道を確保することが重要です。完全密閉すると今度は酸欠のリスクが出てきます。
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雨水は入れ替わりを作るが、量が過ぎると水が薄くなる。
pH・KHの緩衝力を普段から高めておくと、多少の雨水流入では水質が傾きにくくなります。市販のpH・KH調整剤で範囲内に整えておくのも有効な備えです。
大雨・台風のときの対応
短時間で一気に降る大雨や台風のときは、事前の備えだけでは対応しきれないことがあります。ここで役立つのが、タオルを容器の縁からたらしておく方法です。
タオルの毛細管現象とサイフォンの原理を利用して、水位が縁に近づくと余分な水だけがタオルを伝ってゆっくり排出され、あふれを自動的に防いでくれます。
やり方は簡単です。古タオルを軽く濡らして、片端を水面に浸し、もう片端を容器の外側、水位より低い位置に垂らしておくだけです。外出中や夜間など、様子を見に行けないときほど効果を発揮します。
針子や稚魚を育てている容器は、可能であれば軒下やベランダの屋根がある場所に一時的に移動させるのが安全です。
増水した水で薄まった飼育水は栄養価も下がるため、大雨が続く間はエサやりを控えめにしておくと、食べ残しによる水質悪化も防げます。
雨水そのものは弱酸性・ミネラルゼロの軟水。問題は量と速さです。
雨が上がったらやること
雨が上がったら、まず現状を数値で確認することから始めます。焦って一気に元に戻そうとしないことが、次のトラブルを防ぐ一番のコツです。
『応急処置で一気に戻す』のはNG。ゆっくり戻すことが結局いちばんの近道です。
pH・GHを試験紙で測り、普段の数値からどれだけ動いたかを確認します。ここで大きくずれていても、慌てて全換水はしないでください。
急激に戻すこと自体が、また新しい水質の急変になってしまうからです。安定した水を少量ずつ、時間をかけて足していくことで、メダカに負担をかけずに元の状態へ近づけられます。
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体調を崩したメダカが見られる場合は、水質を戻しながら、エラや体表のケアができる製品で回復をサポートするのも選択肢です。飼育数に応じて35g・120gから選べます。
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まとめ:梅雨は「活用」より「備え」で乗り切る
梅雨のメダカ飼育で本当に大事なのは、雨水を積極的に活用することではなく、あふれと水質の急変を防ぐ備えです。
降る前に対策をしておき、大雨の間はタオルなどで自動的にあふれを防ぎ、雨が上がったら焦らず数値を見ながら少しずつ戻す。この3段階を押さえておけば、梅雨は特別に怖い季節ではなくなります。
よくある質問(FAQ)
Q. 雨水はメダカの飼育に使っても良いのですか?
A. 少量が自然に入る分には問題ありません。ただし意図的に大量の雨水を使う積極的なメリットは薄く、基本的には「入れすぎない・あふれさせない」管理をする対象と考えてください。
Q. なぜ雨水を大量に入れると調子を崩すのですか?
A. 雨水は弱酸性でミネラルをほとんど含まない超軟水です。ふだんの飼育水と性質が違うため、大量に短時間で混ざると水質(pH・KH)が急激に傾き、メダカのエラや浸透圧の調整が追いつかなくなります。
Q. 梅雨の時期に容器から水があふれそうです。どうすればいいですか?
A. タオルを容器の縁からたらしておくと、毛細管現象とサイフォンの原理で水位が縁に近づいた分だけ自動的にゆっくり排出されます。縁の一部を低くして排水の逃げ道を作っておくのも有効です。
Q. 雨が続いてメダカの元気がありません。何を確認すればいいですか?
A. まずpH・GHを試験紙で測り、普段の数値からのズレを確認してください。長雨による日照不足で酸素が不足している可能性もあるので、水質と日照量の両方を見てください。
Q. 雨で水質が変わってしまいました。どう戻せばいいですか?
A. 急な全換水は避けてください。それ自体がもう一度水質の急変を起こしてしまいます。安定した水を少量ずつ、時間をかけて足していくのが正しい戻し方です。
Q. 覆いをするときの注意点はありますか?
A. 板やビニールで完全にふさぐと酸欠になります。隙間を残して酸素の通り道を確保しながら、直接雨が入るのを防ぐようにしてください。
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この記事を書いた人
鷲林寺アクアファーム(兵庫県西宮市)
植木屋として5年、アクアリウムは10年。2021年から、義理の祖母が守ってきた農地を休耕地にしないためにアクアポニックスを始め、一人で続けています。書いているのは、その農場で実際に起きたことと、確かめられた範囲のことだけです。
農場見学は全国から受け入れてきました(現在は休止中)。ラジオ関西「羽川英樹 ハッスル!」、雑誌「Mer」などの取材を受けています。