アクアポニックスを始める前に知っておきたい7つのこと
アクアポニックスは一度設備を設置してしまうと、移設や改良が難しくなります。特に中~大規模のアクアポニックスの場合、運転を開始してしまうと大規模な変更は困難です。今回はアクアポニックスを始める前に知っておきたい7つのことを紹介していきます。
目次
1. 設置場所
アクアポニックスの設置場所は次の4つが重要です。
- 電源が近くにあるか
- 水は確保できるか
- 水平な地面は確保できるか
- 太陽光はあるか
① 電源が近くにあるか
アクアポニックスは水を循環させるためにポンプを利用します。常に電気を利用することから電源が必須です。太陽光パネルと蓄電池を利用しての稼働も可能ですが、電源を確保しておくことが安全です。
② 水は確保できるか
アクアポニックスは水の使用量が少ない農法ですが、水は大量に使用します。水源が確保できれば自動給水も可能であり、水が補充しやすいかどうかは非常に大切なポイントです。
③ 水平な地面は確保できるか
アクアポニックスでは水槽や栽培槽には常に水が張られ、流れています。地面に勾配があると水槽を設置した際に水面が傾き、栽培槽の水の流れが思うように作れないため、水平が取れている地面への設置が簡単です。
④ 太陽光は確保できるか
野菜が育つためには光合成をするための太陽光が必要です。アクアポニックスを設置する場所は十分に光を取り込める場所でしょうか。室内にアクアポニックスを設置する場合には、太陽光が不足する可能性があるため、日当たりを確認することが重要です。屋外でも建物の陰になりやすい場所や、日照時間が短い場所があるので、注意が必要です。
2. 魚、野菜、微生物の相性
アクアポニックスの中でプレーヤーとなる魚、野菜、微生物にはそれぞれ生育に適した水温があります。この三者の適正水温が重なる温度帯で管理するとアクアポニックスは成功しやすくなります。20℃~25℃の範囲が重なる部分が多いため、この水温を好む魚と野菜を選ぶことが成功への第一歩です。冷たい水に住む魚は初心者向けではありませんが、様々な工夫や管理が可能です。
3. 育てる野菜の種類と量
野菜の種類、育てる量を決めることはアクアポニックス全体のバランスを決めていく上で重要です。葉物野菜から果樹、根菜まで様々な野菜を育てられますが、野菜の種類や特性によって栽培槽の形状に向き不向きが生じます。初めにどの野菜を育てたいかを決めることで、栽培に適した栽培槽を選択できます。また、植える野菜の量も大切で、量を決めることで栽培槽の大きさや魚の飼育量も調整できます。
おすすめの野菜は以下の記事をご覧ください。
4. 育てる魚の種類
魚を選ぶ際のポイントはいくつかあります。
- 観賞魚 or 食用魚
- 適正水温
- 大きさ
- 飼育難易度
- 繁殖できるかどうか
- PH
アクアポニックスが成功しやすい温度帯の魚が初心者向けです。魚の選択はアクアポニックスの成功に直結するため、慎重に選びましょう。
おすすめの魚は以下の記事をご覧ください。
5. 栽培方法
アクアポニックスの代表的な栽培方法は3種類あります。育てる野菜や設置環境に合わせて栽培方法を選択します。
・メディアベッド
小~中規模のアクアポニックスに向いたシステムで、メディアが野菜を支える土台や物理ろ過、生物ろ過を兼ね備えています。
・DWC(Deep Water Culture)
中~大規模な農場に適した栽培方法で、水深が20~30センチの水槽にラフトに野菜を植えて育てます。水質が安定しやすく、多くのアクアポニックス農場で採用されています。
・NFT(Nutrient Film Technique)
中~大規模施設で利用される方法で、筒の中に薄く水を流して野菜を育てます。根が広がる空間が狭いため、1~2カ月ほどで収穫する野菜に向いています。
3種類のシステムを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
6. 魚と野菜のバランス
アクアポニックスでは魚と野菜のバランスを「飼料比率」で考えています。葉物野菜と実物野菜で飼料比率が異なり、野菜を植える際のエサの量を決定する重要な指標です。エサの投入量から魚の飼育量を計算できるようになります。
7. 始める前にしっかり計画しよう!
アクアポニックスは始めてしまうと変更が難しいため、計画が非常に重要です。今回ご紹介したポイントを検討し、しっかり計画を立ててからアクアポニックスを始めましょう!
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