先に正直に書きます。私のところで食用の花を育てたことはありません。
だからこの記事に、咲かせた自慢話は出てきません。
そのかわり、始める前に知っておかないと危ないことと、
アクアポニックスで花を扱うと何が難しくなるのかを書きます。
この2つは、育てた経験が無くても、確かなことだけで書けます。
- 先に正直に書きます。私のところで食用の花を育てたことはありません。だから自慢話は出てきません。
- 花屋の花も、庭の花も食べてはいけません。薬が使われていることがあり、食品の決まりの外にあります。
- 見た目では見分けられません。出どころで決めてください。加熱しても分解されない毒があります。
- 食べる花とそうでない花は槽を分けてください。混ぜると収穫のときに取り違えます。
- アクアポニックスは葉物が得意で、花はその次。葉を茂らせるのと咲かせるのは別の仕事です。
花屋の花も、庭の花も、食べてはいけない
いちばん大事なところから書きます。食用の花として使えるのは、
食用として作られたものだけです。切り花も、観賞用として売られている苗も、
食べるためのものではありません。
観賞用の花は、長く美しく保つための薬を使って作られています。
食品として売られていないので、食品にかかる決まりの外にあります。
きれいに咲いているかどうかと、食べていいかどうかは、まったく別の話です。
取り違えの事故も実際に起きています。農林水産省は、
スイセンをニラやネギと、
球根をニンニクと間違えた例、ヒガンバナをニラと間違えた例などを挙げ、
安全に食べられることが確かなもの以外は絶対に採らない・食べない、と呼びかけています。
やっかいなのは、有毒な成分の多くが加熱しても分解されないことです。
火を通したから大丈夫、という逃げ道がありません。
だから「たぶん食べられる」で口に入れない。ここだけは譲らないでください。
だから、種から育てる

確実なのは、食用として売られている種を買って、自分で育てることです。
何を蒔いたかが自分で分かっているので、収穫のときに迷いません。
苗から始めるより時間はかかりますが、出どころがはっきりします。
もうひとつ、農林水産省が言っているのは区分けです。
野菜と園芸の植物を分けて植え、どこに何を植えたか分かるようにしておくこと。
これはアクアポニックスでもそのまま当てはまります。
食べる花と観賞用を同じ栽培槽に混ぜると、いつか必ず取り違えます。

槽を分けられないなら、列を分けて札を立ててください。
自分だけが世話をしているうちは覚えていられますが、
家族が収穫を手伝った日に事故が起きます。
アクアポニックスは葉物が得意。花はその次

アクアポニックスで作りやすいのは葉物です。水と光さえ整えば形になります。
ところが花は、そう単純にいきません。葉を茂らせるのと花を咲かせるのは、
植物にとって別の仕事だからです。
葉を茂らせるだけなら、光と窒素と水があれば進みます。
花を咲かせて実らせるには、そこに光の量、温度、受粉、そして養分の釣り合いが加わります。
揃えるものが増えるぶん、うまくいかなかったときの原因も分かりにくくなります。
だから、花が思ったより咲かなくても、それはあなたの腕のせいではありません。
順番に見ていけば、たいてい理由は手前にあります。
咲かないときに見る順番

最初は光です。花を咲かせるのに要る光の量は、葉物を育てるときより多い。
遮光を掛けすぎていないか、ハウスや部屋の中なら日照時間が足りているか、まずそこを見てください。
次に、葉ばかり茂っていないかを見ます。茎も葉も立派なのに花が付かないなら、
窒素が多すぎる状態です。アクアポニックスの水は魚から窒素が来続けるので、
葉物を育てているつもりの水がそのまま花に効いてしまうことがあります。
そのあとが受粉です。ハウスや室内で虫が入らないなら、
咲いても実にならないのは当たり前です。花を食べるだけなら受粉は要りませんが、
実まで見たいなら、揺すってやるだけで結果が変わります。
温度も見てください。多くの食用花は涼しい季節のものです。
日本の真夏は、花にも、アクアポニックスの設備そのものにも厳しい時期になります。
夏の水温と酸素については夏の酸欠対策にまとめました。
ここまで潰して、それでも咲かない。そのときに初めて養分を疑います。
順番を飛ばして足すと、今度は藻が増えて別の手間が始まります。
養分をどの順で疑うかはリン酸不足は最後に疑うに詳しく書いています。
エディブルフラワーにするなら、どの花が無理ないか
選ぶ基準はひとつです。葉物と同じ育ち方をするものを選ぶ。
アクアポニックスがいちばん得意なのが葉物なので、そこに近いほど無理がありません。
その意味でいちばん近いのは、葉も一緒に食べる花です。
葉を摘みながら育てられるので、花が咲く前から収穫があります。
花だけを待つ品種より、途中で楽しみがあるぶん続きます。
次に近いのが、涼しい季節に咲くものです。
秋に蒔いて春に咲かせる流れなら、いちばん厳しい真夏を避けられます。
アクアポニックスの側も、水温が上がらない時期のほうが安定します。
逆に、暑い盛りに咲かせるものや、大きな株になるものは後回しでいい。
栽培槽の場所を長く占領するわりに、収穫が一度きりになりがちです。
摘んでから、口に入れるまで
摘むのは、咲いた日の午前中がいちばんきれいです。
時間が経つほど花びらは傷み、水分も抜けていきます。
摘んだらすぐ水で洗い、しべや萼など食べない部分を取り除きます。
アクアポニックスは魚の水を回しているので、
食べる部分に水が直接かかる育て方をしているなら、洗いは省かないでください。
そして、はじめて食べる花は少量から。
食べられる花でも、体質によっては合わないことがあります。
花粉に反応が出る人は、しべを外しておくほうが無難です。
まとめ
食用の花は、食用として作られたものだけを食べてください。
花屋の花も、庭に咲いている花も、料理には使えません。
有毒な成分は加熱しても消えないので、迷ったら食べない、が唯一の正解です。
アクアポニックスで育てるなら、葉物に近いものから。
咲かないときは、光、窒素が多すぎないか、受粉、温度の順に見て、
養分を疑うのはいちばん最後にしてください。
よくある質問
Q. 花屋で買った花や、庭に咲いている花を料理に使ってもいいですか。
A. やめてください。切り花や観賞用の苗は、食べるために作られていません。長く美しく保つための薬が使われていることがあり、食品としての決まりの外にあります。食べるなら、食用として売られている種や苗から自分で育てるのが確実です。
Q. 食用の花と、そうでない花を見分ける方法はありますか。
A. 見た目では分かりません。農林水産省は、安全に食べられることが確かなもの以外は絶対に採らない・食べないよう呼びかけています。有毒な成分は加熱しても分解されないものが多く、火を通せば大丈夫という話でもありません。疑わしいものは食べない、が唯一の見分け方です。
Q. 食べる花と、そうでない花を同じ栽培槽で育ててもいいですか。
A. 分けてください。農林水産省も、野菜と園芸の植物は区分けして、どこに何を植えたか分かるようにするよう求めています。同じ槽に混ぜると、収穫のときに取り違えます。槽を分けられないなら、せめて列を分けて札を立ててください。
Q. アクアポニックスで花は咲きますか。
A. 咲きます。ただし葉物ほど簡単ではありません。葉を茂らせるのと花を咲かせるのは別の仕事で、花のほうが揃えるものが多いからです。咲かないときは、光、窒素が多すぎないか、受粉、温度の順に見ていってください。
Q. 花が咲かないのは、肥料が足りないからですか。
A. そう決めつけないでください。まず光です。次に、葉ばかり茂っているなら窒素が多すぎます。それから受粉と温度。ここまで潰して残ったときに、はじめて養分を疑います。分からないまま足すと、今度は藻が増えて別の手間になります。
Q. 花はいつ摘めばいいですか。
A. 咲いた日の午前中がいちばんきれいです。摘んだらすぐ水で洗い、しべや萼など食べない部分を取り除いてください。はじめて食べる花は、少量から試すのが安全です。

