アクアポニックスの硝化サイクル|いまどの段階かを数値で見分ける
アクアポニックス
2025.03.07
魚が急に弱った。野菜の育ちが悪い。水が濁って臭う。アクアポニックスで最初につまずくこの三つは、別々の問題に見えて、たどっていくと同じ場所に行き着きます。
水の中で窒素がすがたを変えていく流れ、硝化サイクルです。やっかいなのは、この流れが目に見えないことです。水は透明なままで、魚は前の日まで普通に泳いでいます。
だから調子が悪くなってから原因を探すことになり、そのときにはもう手が遅れています。
硝化サイクルの仕組みを説明したうえで、いま自分の水槽がその流れのどこにいるのかを、数値で特定できるところまで持っていきます。
- 硝化サイクルは三段階。アンモニアが出て、亜硝酸に変わり、最後に硝酸塩になる
- いまどの段階かは、アンモニア・亜硝酸・硝酸塩の三つを一度測れば分かる
- 魚が落ちるのは亜硝酸が跳ね上がる第二段階。ここで魚を足さない
- 三つとも出ないのは「きれいな水」ではなく、まだ何も始まっていない状態
- 立ち上げの速さは日数ではなく水温で決まる。25〜30℃で4〜6週間、17℃を下回ると鈍る
- 同じアンモニアの数値でも、pHが1違えば危険度は9倍近く変わる
- 崩れるのは立ち上げ直後より安定した後。餌の増量・ろ材の洗いすぎ・pHの低下が主な引き金
- 数値が悪化したら、まず餌を止める。バクテリア剤は最後
硝化サイクルとは、窒素が三度すがたを変える流れのこと
細菌がすんでいるのは水ではなく、この根と培地の表面。
魚が出したアンモニアは、培地の細菌に二度形を変えられて硝酸塩になり、野菜に吸われる。細菌がいるのは水ではなく培地の表面。
魚に餌をやると、その窒素分はかならず水に戻ってきます。多くの人はフンを思い浮かべますが、実は魚はエラからも直接アンモニアを出しています。フンを毎日取り除いていても水が汚れていくのは、これが理由です。
このアンモニアは魚にとって猛毒です。そのまま溜まれば魚は死にます。しかし水槽の中には、アンモニアを食べて生きている細菌がいます。その細菌がアンモニアを亜硝酸に変え、さらに別の細菌が亜硝酸を硝酸塩に変えます。
アンモニアは、魚だけから出るわけではない
出どころは魚のフンとエラだけではありません。食べ残した餌、栽培槽から落ちて沈んだ枯れ葉、そして死んで気づかれないままの魚。どれも水の中で分解されて、最後はアンモニアになります。
とくに効くのが、死んだ魚です。一匹でも、底の見えないところに沈んだまま何日か経つと、餌を減らしても数値が下がらなくなります。数値が説明のつかない上がり方をしたら、まず数を数えてください。
数値が動きやすいのは、餌を増やした直後、魚を足した直後、そして掃除でろ材を洗った直後です。どれも「細菌の数」と「出てくる量」の釣り合いを、こちらから崩している場面になります。
アンモニアで弱った魚は、こう見える
まずエラにきます。エラが赤黒く腫れ、呼吸が速くなり、水面の近くで口を動かすようになります。体を底や壁にこすりつけることもあります。粘膜が荒れて、白っぽく見えることもあります。
やっかいなのは、この見え方が亜硝酸のときとよく似ていることです。どちらも酸欠と同じ姿になるので、見た目では区別がつきません。目で判断せず、アンモニアと亜硝酸を両方測って、どちらが出ているかで切り分けてください。
硝酸塩はほとんど無害で、しかも野菜が根から吸い上げる栄養そのものです。毒だったものが肥料に変わる。この三段階の流れが硝化サイクルであり、アクアポニックスという仕組みが成り立っている理由でもあります。
魚が出した窒素は、栽培槽の細菌に形を変えられ、野菜に吸われて水槽へ戻る。この一周が止まると水が壊れる。
大事なのは、この三段階が同時には立ち上がらないことです。まずアンモニアを食べる細菌が増え、その細菌が亜硝酸を作りはじめて、はじめて亜硝酸を食べる細菌が増えられます。餌がなければ細菌は増えないので、順番は飛ばせません。
魚の水槽の上に栽培槽が乗っている。魚が出した窒素は、この根まで水に運ばれていく。
いま自分の水槽がどの段階か、三つ測れば分かる
硝化サイクルの説明はよく見かけますが、読んだあとに困るのは「で、うちの水槽はいまどうなっているのか」が分からないことです。ここが分かれば、魚を足していいのか、待つべきなのかが決まります。
判定に必要なのは三つの数値だけです。アンモニア、亜硝酸、硝酸塩。この三つを一度に測ると、組み合わせで現在地が出ます。
三つは同時に上がるのではなく、順番に山を作って引いていきます。その山のずれ方が分かると、いま自分がどこにいるかが見えてきます。
アンモニアの山が引くころに亜硝酸の山が来る。硝酸塩が出はじめたら、峠を越えたということ。
この動きを、測った数値の組み合わせで読み替えたのが次の表です。
アンモニア・亜硝酸・硝酸塩の3つを1回測るだけで、どの段階かが分かる。
第二段階がいちばん危ない
魚がまとめて落ちるのは、たいてい第二段階です。アンモニアの数値が下がりはじめるので、うまくいっていると勘違いしやすい。ところが実際には、そのアンモニアは亜硝酸に置き換わっているだけです。
亜硝酸は魚の血液に入り込み、酸素を運ぶはたらきを邪魔します。水面で口をぱくぱくさせる、動きが鈍る、餌を食べなくなる。酸欠と同じ症状が出るのに、水にはたっぷり空気を送っているので原因に気づきにくいのです。
この時期に魚を追加するのは避けてください。細菌の数は、いま入っている魚の量にちょうど釣り合うところまでしか増えていません。魚が増えれば処理が追いつかず、第二段階が長引きます。亜硝酸は、温かい水で飼う魚なら1mg/L以下に保つのが目安です。
三つとも出ないのは、まだ何も始まっていない
意外に多いのが、三つとも反応が出ないので「きれいな水だ」と安心してしまうケースです。硝化サイクルが回っているなら、終点である硝酸塩は必ず溜まっていきます。何も出ないということは、まだ何も始まっていないということです。
魚を入れずに水だけ回している期間に、これはよく起きます。細菌にとってアンモニアは餌なので、餌がない水槽ではいくら待っても増えません。
空回しに意味がないわけではありませんが、それだけでは硝化サイクルは立ち上がらないと考えてください。
立ち上げにかかる日数は水温で決まる
「時間がかかります」とだけ書かれた説明を読んでも、いつまで待てばいいのか分かりません。目安になるのは日数ではなく水温です。硝化細菌は温度が高いほどよく増え、低くなるほど動きが鈍ります。
日数は魚を入れて立ち上げた場合の目安(国連食糧農業機関の手引きより)。
この数字は国連食糧農業機関がまとめた小規模アクアポニックスの手引きによるものです。同じ手引きは、硝化細菌が耐えられる範囲を14〜34℃、よく働く範囲を17〜34℃とし、17℃を下回るとはたらきが落ちはじめると記しています。条件がよければ完了まで25〜40日、水温が低ければ2か月かかることもある、とも書かれています。
ここから逆算すると、屋外で立ち上げを始めるなら春から初夏がいちばん楽だということになります。秋に始めると、第二段階のさなかで水温が落ちて、そのまま冬まで終わらないことがあります。
冬の水槽で数値が動かないとき、多くの場合は失敗ではなく、単に細菌が寒くて働いていないだけです。ヒーターを入れられるなら入れる、入れられないなら春を待つ。そのどちらかで、途中で薬や添加剤を足しても解決しません。
同じアンモニアの数値でも、pHが違えば危険度は違う
ここまで数値の話をしてきましたが、実はアンモニアには落とし穴があります。試薬が示す数値が同じでも、その水が魚にとってどれだけ危険かは、pHと水温によって大きく変わるのです。
アンモニアは水の中で二つのすがたを行き来しています。毒性の強い形と、ほとんど無害な形です。試薬が測っているのは両方を足した合計で、そのうち何割が毒性のある形なのかは、pHと水温だけで決まります。
粒50個のうち赤が毒性のある形。水温28℃のときの割合(ニューメキシコ州立大学の資料より)。
ニューメキシコ州立大学の資料によれば、水温28℃のときに毒性のある形が占める割合は、pH7.5でおよそ2%、pH8.5ではおよそ18%とされています。同じ「1mg/L」でも、中身は9倍近く違うということです。
だから他所の水槽の数値をそのまま自分に当てはめても意味がありません。pHが低めの水槽なら少しくらいアンモニアが出ていても魚は耐えますし、逆にpHが高い水槽では小さな数値でも危険なことがあります。
アンモニアの数値を見るときは、必ずpHとセットで見てください。
硝化そのものが、pHを下げていく
もう一つ知っておきたいのは、硝化サイクルが進むと水が酸性に傾いていくことです。細菌がアンモニアを分解するとき、副産物として酸が出るためです。
放っておくとpHは少しずつ下がり続けます。そしてpHが6を下回ると、今度は硝化細菌自身がはたらけなくなります。順調に立ち上がっていたのに、ある日から数値が動かなくなった。そういうときは、まずpHを測ってみてください。
アクアポニックスでは、魚と野菜と細菌の三者が違うpHを好むという事情もあって、6.5〜7.0あたりで折り合いをつけるのが一般的です。下がりすぎたときは、貝殻やサンゴ砂を少量入れると緩やかに戻ります。
硝化を担っているのは、どこにいる何なのか
まず押さえておきたいのは、この細菌たちが水の中を漂っているわけではないという点です。彼らはろ材や砂利、配管の内側といった固い表面に貼りついて暮らしています。
つまり水槽の処理能力は、水の量ではなく、細菌が貼りつける表面積で決まります。
硝化細菌が住んでいるのは、この石の表面と内部の穴。水ではなく、ここが処理能力の正体。
ハイドロボールのように穴だらけの素材が使われるのは、見た目の問題ではありません。同じ体積でも表面積が何倍にもなるので、住める細菌の数が増えるからです。
ろ材を一度に全部洗うと、汚れではなく住民を流すことになる。
そしてこの事実は、次の章の「ろ材を洗ってはいけない理由」に直結します。細菌がろ材に貼りついているということは、ろ材を洗えば細菌ごと落ちるということだからです。
教科書に載っている名前は、もう古いかもしれない
多くの解説では、アンモニアを亜硝酸に変えるのがニトロソモナス、亜硝酸を硝酸塩に変えるのがニトロバクターだと説明されています。ただこの説明は、水槽の中身を実際に調べた研究とは食い違っています。
1998年、淡水水槽のろ材を遺伝子レベルで調べた研究で、ニトロバクターは検出されませんでした。代わりに見つかったのはニトロスピラという別の仲間です。この結果は、その後の養殖用のろ過槽の調査でも繰り返し確かめられています。
長く誤解されてきた理由は単純で、ニトロバクターのほうが実験室で培養しやすかったからです。育てられる菌ばかりが調べられ、育てにくいニトロスピラは見落とされていました。
そしてアンモニア側にも続きがあります。2015年、アンモニアから硝酸塩まで一手に引き受ける細菌が見つかりました。コマモックスと呼ばれる、これもニトロスピラの仲間です。
2024年に家庭の淡水水槽のろ材38検体を調べた研究では、コマモックスが全検体から見つかり、そのうち30検体でいちばん数の多いアンモニア酸化菌でした。裏庭のアクアポニックスを508日間追いかけた研究でも、同じ傾向が報告されています。
調べられた例はまだ多くありませんし、数が多いことと実際に仕事をしていることは別なので、断定はできません。ただ、私たちの水槽で働いているのはニトロスピラの仲間が二役こなしている、という見方が有力になってきています。
実用面での意味はひとつです。バクテリア剤に「ニトロバクター配合」と書かれていても、それが水槽に居つくとは限りません。さきほどの1998年の研究では、ニトロバクター入りの製剤を使った水槽でも、増えたのはニトロスピラのほうでした。
製品選びで中身の菌名にこだわりすぎる必要はない、ということです。日本語で読める解説なら「窒素循環にかかわる硝化微生物」(日本大学・高橋令二)がまとまっています。
崩れるのは、立ち上げ直後よりむしろ安定した後
硝化サイクルの記事はたいてい立ち上げの話で終わります。しかし実際にトラブルが起きるのは、立ち上げが終わって数か月たった、うまくいっていると感じている時期のほうが多いのです。
理由は単純で、細菌の数はいまの餌の量にちょうど釣り合うところで止まっているからです。釣り合っているということは、余力がないということでもあります。バランスが動けば、すぐに処理が追いつかなくなります。
どれも「うまくいっている」と感じている時期に起きる。だから気づくのが遅れる。
いちばん多いのは餌を増やしたときです。魚が育てば食べる量は増えますし、新しく魚を迎えれば当然増えます。ところが細菌が数を増やすには数週間かかるので、その間だけアンモニアが処理されずに残ります。
ろ材の洗いすぎも同じことです。細菌はろ材の表面に住んでいるので、汚れを落とすつもりで一度に全部洗うと、住民ごと流してしまいます。洗うなら半分ずつ、二週間ほど間を空けてください。飼育水で軽くすすぐ程度で十分です。
魚の病気が出て薬を入れるときも注意が要ります。魚に効く薬は細菌にも効きます。水道水をそのまま足したときの塩素も同じで、病気は治ったのに水が崩れた、という順番でトラブルが起きます。
そして見落とされやすいのが、さきほどのpHです。硝化が進むほど水は酸性に傾いていくので、何もしなければpHはゆっくり下がり続けます。半年ぶりに測ったら6を割っていて、いつのまにか硝化が止まっていた。これは実際によくある崩れ方です。
共通しているのは、どれも「うまくいっている」と感じている時期に起きることです。立ち上げ中は毎日のように数値を測るのに、安定すると測らなくなる。崩れに気づくのが、魚の様子がおかしくなってからになるのはそのためです。
アクアポニックスは資本がある人のものだと思われがちですが、個人でも始められます。設備にいくら掛かったのか、どこでつまずいて、どう直したのか。鷲林寺アクアファームの実践の記録を
noteに書いています。見学に来られた方はのべ100人を超えました。
→ 個人で始めたアクアポニックスの費用と失敗をnoteで読む
崩れたときに、何から手をつけるか
数値が悪化していると分かったとき、やることの順番には優先順位があります。ここを間違えると、手間もお金もかけたのに数値が下がりません。
順番を守る。餌を止めずにバクテリア剤だけ入れても、供給が続くので追いつかない。
最初にやるのは餌を止めることです。効果がいちばん大きく、しかも費用がかかりません。アンモニアは餌から来ているので、蛇口を締めないかぎり、下流でいくら手を打っても追いつかないのです。魚は数日食べなくても弱りません。
次が水換えです。いま水に溶けている毒の濃度を、その場で下げられる唯一の方法です。ただし一度に換えるのは全体の四分の一から三分の一までにしてください。大量に換えると水質が急に変わり、弱った魚にとどめを刺すことがあります。
水を足すときは、必ず塩素を抜いてから使います。塩素は細菌にとっても毒なので、崩れた状態にさらに追い打ちをかけることになります。
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底に溜まったフンや食べ残しも、放っておけばアンモニアの元になり続けます。水換えのついでに底を掃除できる道具があると、この二つを一度で片づけられます。
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三番目が空気を送ることです。硝化細菌は酸素を使ってはたらくので、酸素が足りないと処理そのものが止まります。
水に溶けた酸素が2mg/Lを下回ると硝化は難しくなるとされています。トラブルのさなかは、普段より強めにエアレーションをかけてください。
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細菌を足すのは最後です。バクテリア剤は数を補うものであって、餌が入り続けている状態に投げ込んでも追いつきません。上の三つをやったうえで使うと、立ち上がりが目に見えて早くなります。
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測る道具は、試薬か試験紙か
ここまでの判定はすべて、三つの数値を測れることが前提です。逆に言えば、測らないかぎり自分がどの段階にいるかは永久に分かりません。見た目のきれいさと水質は一致しないからです。
道具は大きく二種類あります。試薬を垂らして色を見るタイプは、手間はかかりますが亜硝酸の細かい違いまで読み取れます。立ち上げ中のように毎週数値を追いたい時期に向いています。
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もう一方は水に浸すだけの試験紙です。精度は試薬に劣りますが、数秒で済むので続けやすい。すでに安定している水槽の定期点検には、こちらのほうが現実的です。
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それぞれの数値をどこまで許容するかという各論は、アクアポニックスで失敗する原因は水質管理|初心者が知るべき5つの数値にまとめてあります。この記事で現在地を掴んだら、そちらで具体的な合格ラインを確認してください。
硝酸塩は、野菜が引き取ってくれる
硝化サイクルの終点である硝酸塩は、魚にとってはほぼ無害ですが、溜まり続ければやはり良くありません。ふつうの水槽ではこれを水換えで薄めるしかなく、そこが手間の正体でした。
アクアポニックスがおもしろいのは、この最後の一手を野菜が肩代わりしてくれる点です。根が硝酸塩を吸い上げて自分の体を作るので、水は勝手にきれいになり、こちらは野菜を収穫できます。
硝酸塩を吸い上げているのはこの根。水換えの代わりを野菜が引き受けている。
目安として、硝酸塩は5〜150mg/Lのあいだで管理します。温かい水で飼う魚では100mg/Lを超えたあたりから毒性が出はじめるとされているので、上限に近づいたら野菜を増やすか、水を少し換えてください。
だから野菜の育ちが悪いときは、肥料や光を疑う前に硝化サイクルを見てください。硝酸塩が出ていなければ、野菜には吸うものがありません。第一段階や第二段階で止まっている水槽では、どれだけ光を当てても葉物は育ちません。
よくある質問(FAQ)
Q. 硝化サイクルの立ち上げには、どれくらいかかりますか?
A. 水温で決まります。25〜30℃なら4〜6週間、20℃前後で6〜8週間が目安です。17℃を下回ると細菌の増え方が鈍りはじめ、10℃を下回るとはたらきが半分以下に落ちます。日数を数えるより、アンモニアと亜硝酸が両方ゼロになり、硝酸塩が10mg/L以上出た時点を完了と考えてください。
Q. アンモニアも亜硝酸もゼロですが、硝酸塩も出ません。立ち上がっていますか?
A. 立ち上がっていない可能性が高いです。硝化サイクルが回っているなら、終点である硝酸塩は必ず溜まります。三つとも出ないのは、そもそもアンモニアが供給されていない状態で、魚を入れずに水だけ回しているときによく起きます。魚か、アンモニアの元になるものを入れないと細菌は増えません。
Q. バクテリア剤を入れれば、立ち上げは早くなりますか?
A. 早くなりますが、餌がなければ入れた細菌も定着しません。バクテリア剤は細菌の数を先に補うものなので、アンモニアが出ている状態で使うと効きます。逆に、数値が悪化しているときに餌を止めないまま投入しても、供給が続いているので追いつきません。
Q. ろ材はどのくらいの頻度で洗えばいいですか?
A. 目詰まりして水の流れが悪くなったときだけで十分です。洗うときは一度に全部やらず、半分ずつ二週間ほど空けてください。すすぐのは飼育水で、水道水は使いません。塩素が細菌を殺してしまうためです。汚れを完全に落とす必要はなく、流れが戻れば十分です。
Q. 立ち上げの途中で魚を追加してもいいですか?
A. 第二段階のあいだは避けてください。亜硝酸が高い時期は、細菌の数がいま入っている魚の量にちょうど釣り合うところまでしか増えていません。魚を足すとアンモニアの量だけが先に増え、処理が追いつかなくなって第二段階が長引きます。アンモニアと亜硝酸が両方ゼロになってから、少しずつ増やしてください。
Q. 冬でも硝化サイクルは回りますか?
A. 水温が下がるほど遅くなります。15℃を下回ると処理の速さがはっきり落ち、10℃を下回るとほぼ止まります。ただし冬は魚の食欲も落ちるので、餌を控えていればアンモニアの発生も減り、釣り合いは取れます。危ないのは、水温が下がったのに餌の量を変えないときです。
Q. アクアポニックスは水換え不要と聞きましたが、崩れたときも換えないほうがいいですか?
A. 通常運転では水換えはほとんど不要ですが、数値が悪化したときは別です。水換えは、いま溶けている毒の濃度をその場で下げられる唯一の方法です。ただし一度に換えるのは全体の四分の一から三分の一までにして、塩素を抜いた水を使ってください。
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この記事を書いた人
鷲林寺アクアファーム(兵庫県西宮市)
植木屋として5年、アクアリウムは10年。2021年から、義理の祖母が守ってきた農地を休耕地にしないためにアクアポニックスを始め、一人で続けています。書いているのは、その農場で実際に起きたことと、確かめられた範囲のことだけです。
農場見学は全国から受け入れてきました(現在は休止中)。ラジオ関西「羽川英樹 ハッスル!」、雑誌「Mer」などの取材を受けています。