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メダカの冬眠明け|起こす作業は無い。落ちるのは春先です

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黒い容器で泳ぐメダカを上から見たところ めだか

冬眠から「起こす」と書かれることが多いのですが、こちらから起こす作業はありません。水温が上がれば、メダカのほうから起きてきます。

こちらが決められるのは、戻すのを急がないかどうかだけです。そしてここを間違えると、冬を越したメダカを春に失います。

なぜ春に落ちるのかという仕組みと、戻していく順番を書きます。

春に落ちるのは、冬を越せなかったからではない

メダカの冬眠明け。魚は水温が上がればその日から動くが、汚れを分解する細菌は遅れて増える
メダカが動く=水が処理できる、ではない。

冬を越したメダカが落ちるのは、たいてい真冬ではありません。暖かくなって動き出した春先です。ここまで越せたのだから大丈夫だろう、と思ったところで崩れます。

理由は、目覚める速さが違うからです。メダカは水温が上がれば、その日から動きます。動けば腹も減るので、水面に上がってきて餌をねだります。見た目には、もう元気に見えます。

ところが、水をきれいにしている細菌のほうは遅れます。数が増えるまでに何週間もかかりますし、17℃を下回るあいだは増え方が鈍いままです(硝化サイクルに出典つきで書きました)。

メダカが動く、は、水が処理できる、ではありません。この2つを同じだと思って餌を戻すと、出た汚れが分解されずに溜まります。春の失敗は、ほとんどがこれです。

冬眠明けの餌は、いつ再開するのか

定規の上で体長を測られているメダカ
春。水温が安定して10℃を超えたころから、少しずつ。

目安は水温が安定して10℃を超えたころです。一度暖かい日があっただけでは動きません。その水温が数日続いてからにしてください。

地域でずれます。暖かい地方なら2月の後半から3月、寒い地方なら3月の終わりから4月です。ただし暦ではなく水温で決めてください。同じ日でも、容器の大きさと置き場所で水温はまるで違います。

メダカ側のしるしも見ます。水面に上がってくる回数が増える、底でじっとしている個体が減る、近づくと逃げるようになる。この3つがそろえば、動きはじめています。1つだけなら、たまたま暖かい日だっただけかもしれません。

戻す順番を、間違えない

メダカの冬眠明けに戻す順番。見る、餌をひとつまみ、最後に水換え。1か月かけて戻す
急いで良いことは、ひとつもない。

まず、見るだけです。暖かい日が続いても、こちらから起こしにいきません。容器をのぞいて、上がってくる回数を数える。それだけで数日過ごします。何もしない期間に見えますが、ここがいちばん大事です。

次に、餌をひとつまみ。数分で食べきる量から始めます。最初は2〜3日おきで足ります。残ったら、次の回は抜いてください。底に沈んだままの粒は、そのまま水の汚れになります(メダカの餌やり)。

水換えは、いちばん最後です。餌が普通に食べられるようになってからにします。量も5分の1から。細菌の数がまだ戻っていないところで大きく換えると、そこで崩れます(水換え後に弱る理由)。

全部を元に戻すのに、1か月はかけてください。暖かくなった嬉しさで一気に戻したくなりますが、越せたかどうかが決まるのは、この1か月です(メダカの冬越し)。

水をきれいにする細菌の立ち上がりを助けたいなら、市販のものを足す手もあります。ただし入れれば済むものではありません。餌を戻す速さのほうが早ければ、追いつきません。

昼と夜の差が、いちばん効く

黒い容器を上から見たメダカ2匹
起こす作業は無い。動き出すのを待つ。

春は、一年でいちばん昼と夜の差が大きい季節です。日中は20℃まで上がるのに、明け方は5℃という日があります。同じ一日のうちに、夏と冬が両方来ているようなものです。

この差をそのまま受けるのが、浅い容器です。水が少ないほど、外の気温にすぐ引っぱられます。冬に減ったままの水位を、春まで放っておかないでください。足しておくだけで、振れ方が変わります(冬の水換え)。

置き場所も同じです。日中だけ直射日光が当たる場所は、上がるのも下がるのも速くなります。春のあいだは、半日陰くらいのほうが落ち着きます。本格的に日を当てたくなるのは、産卵を狙いはじめてからで足ります。

春に出やすいもの

メダカの春に出やすい不調。水カビ、ひれが溶ける、痩せたまま戻らない
どれも「越えた直後」に出る。冬より春を見る。

白い綿のようなものが出たら水カビです。冬のあいだに擦れた傷や、弱っている個体から出ます。春は体力がいちばん落ちている時期なので、出やすくなります。広がる前に、その個体を分けてください(メダカの水カビ病)。

ひれの縁が白くなって欠けてくるなら尾ぐされです。これは水が急に汚れたときに出やすいので、餌を戻しすぎた翌週あたりに来ます尾ぐされ病)。出たら、まず餌の量を戻してください。

痩せたまま太らない個体もいます。これは春の問題ではなく、秋の体力づくりが足りなかった分です。春に追いつかせるのは難しいので、別の容器で静かに育てるほうが残ります。

繁殖を狙うなら、そこからさらに待つ

黒い容器を上から見たメダカ数匹
冬眠明けに起こす作業は無い。動き出すのを待つ。

春になったら、すぐ卵を採りたくなります。ただ、産卵が始まるのは水温が18℃を超えたころからです。10℃で動きはじめてから、まだ先があります。

そして越冬明けすぐの卵は、あまり採らないほうがいいと思います。親の体力がまだ戻っていないからです。数が採れるようになるのは、餌をしっかり食べるようになって2〜3週間たってからです。

急いで採った卵は、孵化率も、育ってからの丈夫さも落ちます。春の1か月は、増やす季節ではなく戻す季節だと考えたほうが、結果として数が残ります。

いつ何をしたかを、残しておく

春の判断は、毎年同じ迷いを繰り返します。いつ餌を戻したか、そのとき水温は何℃だったか、そのあと調子はどうだったか。覚えているつもりでも、翌年には思い出せません。

これを残しておくと、翌年は迷いません。去年はこの日から戻して、うまくいった。それが分かるだけで、春の1か月がずいぶん楽になります(メダカ台帳)。

よくある質問

冬眠から起こすには、何をすればいいですか。

何もしません。水温が上がれば、メダカのほうから起きてきます。こちらが決められるのは、起こすかどうかではなく、戻すのを急がないかどうかだけです。

いつ餌を再開しますか。

水温が安定して10℃を超えたころが目安です。一度暖かい日があっただけでは動きません。その水温が数日続いて、メダカが水面に上がってくる回数が増えてからにします。

どれくらいの量から始めますか。

ひとつまみからです。数分で食べきる量にしてください。最初は2〜3日おきで足ります。残ったら、次の回は抜きます。

春に水換えはしますか。

いちばん最後にしてください。餌が普通に食べられるようになってからで足ります。量も5分の1から始めます。冬のあいだ水をきれいにしていた細菌は、まだ数が戻っていません。

冬を越したのに、春に死んでしまうのはなぜですか。

メダカと水の目覚めがずれるからです。水温が上がるとメダカはその日から動きますが、汚れを分解する細菌が増えるには何週間もかかります。動いている姿を見て餌を戻すと、処理が追いつきません。

春に白い綿のようなものが出ました。

水カビです。冬のあいだに擦れた傷や、弱った個体から出ます。春は体力がいちばん落ちている時期なので、出やすくなります。広がる前に、その個体を分けてください。

昼と夜の水温差が大きいのですが。

春はそこがいちばんの山です。日中20℃、朝5℃という日もあります。浅い容器ほど振れるので、水位を下げたままにしないでください。

まとめ

冬眠から起こす作業はありません。水温が上がれば、メダカのほうから起きてきます。こちらが決められるのは、戻すのを急がないかどうかだけです。待つことが、そのまま手当てになります。

春に落ちるのは、冬を越せなかったからではありません。メダカが先に起きて、水がまだ起きていないからです。動いている姿を見て餌を戻すと、処理が追いつきません。

順番は、見るだけ、餌をひとつまみ、最後に水換え。元へ戻すのに1か月かけてください。越せたかどうかは、この1か月で決まります。

あわせて読みたい:メダカの冬

冬の全体はメダカの冬越し、水換えは冬の水換え、加温は冬眠させないとどうなるへ。

この記事を書いた人
鷲林寺アクアファーム(兵庫県西宮市)

植木屋として5年、アクアリウムは10年。2021年から、義理の祖母が守ってきた農地を休耕地にしないためにアクアポニックスを始め、一人で続けています。書いているのは、その農場で実際に起きたことと、確かめられた範囲のことだけです。

農場見学は全国から受け入れてきました(現在は休止中)。ラジオ関西「羽川英樹 ハッスル!」、雑誌「Mer」などの取材を受けています。
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