朝、容器をのぞいたら1匹浮いていた。あるいは底に沈んで、もう動かない。
そのとき頭に浮かぶのは「どうして死んだのか」だと思います。ただ、その問いは少しあとに回してください。先にやることがあり、しかも時間が効きます。原因を調べているあいだにも、水は悪くなっていきます。

- やることは2つだけです。死骸をすぐ取り出すことと、水を3分の1だけ換えること。
- 全部の水を換えないでください。硝化細菌は水の中にもいて、捨てたぶんだけ処理できる量が落ちます。そこへ水温やpHの急変が重なります。
- 死骸は可燃ごみか、土に埋める。川や池には流さないでください。
- 原因を考えるのは、そのあとです。1匹で終わるか続くかは、数日で分かります。続くなら環境のほうに原因があります。

今日やることは、2つだけです
順番があります。取り出してから、水を換える。逆にすると、せっかく入れた新しい水が、残っている死骸で汚れることになります。

ひとつめは、死骸を取り出すことです。網でそっとすくって、水から出してください。急ぐ理由はあとで書きますが、放っておくと分解が始まって、残ったメダカの環境を崩します。
ふたつめは、水を3分の1だけ換えることです。カルキを抜いて、水温を合わせた水を足してください。3分の1というのは、汚れを薄めつつ、水の性質を変えすぎない量です。
あわせて、数日は餌を控えめにしてください。餌は汚れの元です。残ったメダカが1日食べなくても問題ありません。
ここまでで、その日にやることは終わりです。ほかは何もしないほうがいい。心配なときほど手を出したくなりますが、環境を静かに保つほうが回復は早くなります。
なぜ、全部換えてはいけないのか
1匹死ぬと、水そのものが汚れている気がして、全部きれいにしたくなります。ここが分かれ目です。


よく「全量換水するとバクテリアが死ぬから」と説明されます。ただ、この言い方は少し雑です。硝化細菌は水の中にもいますが、ろ材や底床、容器の壁の表面にいるぶんのほうがずっと多いからです。生物ろ過の能力は、細菌が付ける表面積で決まります。養殖の世界でろ過槽を設計するとき、水の量ではなく表面積で計算するのはそのためです。
つまり、全部換えたところで細菌がゼロになるわけではありません。表面に付いているぶんは、水を捨てても容器に残ります。
ただし、水の中にいたぶんは確実に減ります。そして減れば、そのぶん処理が追いつかなくなります。10の細菌で10の汚れを処理していたところが5になれば、残りの5は処理されずに溜まります。汚れを流したつもりが、汚れを処理する側も一緒に減っている。
そこへ、もうひとつ重なります。水温・pH・硬度が一度に変わることと、カルキが一気に入ることです。弱っているメダカにとっては、こちらのほうが直接効きます。
だから3分の1です。処理する力を残したまま、汚れだけを薄める。これが理屈です。

なぜ、急いで取り出すのか
死骸は分解されます。分解の過程で出るのがアンモニアで、これがメダカにとって毒になります。
やっかいなのは、アンモニアは無色で、においもほとんどないことです。水は透明に見えたままです。「見た目はきれいなのに、翌日また1匹死んだ」というのは、たいていこれが起きています。
気になるなら測ってください。ただし一般的な6項目の試験紙にアンモニアは入っていません。総硬度・硝酸塩・亜硝酸塩・塩素・炭酸塩・pHの6つで、アンモニアは別売りの試験紙が要ります。ここを勘違いしたまま「測ったから大丈夫」としている人がかなりいます。
夏はとくに急いでください。水温が高いほど分解は速く進みます。冬なら少し猶予がありますが、それでも気づいたら取るのが原則です。取ってしまえば、そこから先の心配は減ります。
ここでよく聞かれるのが、死んだメダカは浮くのか沈むのかという話です。答えは順番があって、息を引き取った直後は沈みます。時間がたって体の中でガスが出てくると、それに押されて浮いてきます。
つまり、水面に浮いているなら、死んでからそれなりに時間がたっているということです。底に沈んでいるほうが新しい。夜のうちに死んで朝に浮いていたのなら、水はもう何時間もそのままだったことになります。そのぶん、水換えは早めにしたほうがいい。
死んだメダカは、どう処理するのか
選べるのは2つです。可燃ごみとして出すか、土に埋めるか。どちらでも構いませんが、それぞれ気をつける点があります。
土に埋める場合は、他の生き物に掘り返されない深さを確保してください。浅いと猫やカラスが掘ります。プランターの土でも構いません。
やってはいけないのが、川や池に流すことです。病気を持っていた場合、その病原体を自然界に広げることになります。飼育していたメダカは、見た目が同じでも野生の個体群とは別物です。放流はしないでください。
数が多いときや、病気が疑われるときは、取り出した網や容器を分けておくと安心です。使った網をそのまま別の容器に入れると、そこから広がります。
このあと数日、何を見るか
手を出すのはここまでです。あとは見るだけですが、見るところを決めておかないと、なんとなく眺めて終わります。3つあります。
ひとつめは、残ったメダカの泳ぎ方です。水面で口をパクパクさせていないか、底でじっとしていないか。ただし底にいること自体は異常とは限りません。判断はメダカが底で動かないにまとめています。
ふたつめは、餌への反応です。控えめに与えたとき、寄ってくるかどうか。食べない個体が出てきたら、環境のほうが疑わしくなります。
みっつめは、数です。取り出した日に残りを数えておいてください。翌日、翌々日と比べられます。「なんとなく減った気がする」では、続いているのかどうか判断できません。
記録しておくと、あとで効きます。水を換えた日、餌を止めた日、死んだ日。数日たつと必ず分からなくなりますし、うまくいかなかったときに何を変えればいいかの手がかりは、その記録だけです。
1匹で終わるか、続くか
ここが分かれ目です。1匹で終わったなら、環境ではなく、その個体の問題だった可能性が高い。寿命、もともと弱かった、けがをしていた。飼育下の寿命はおよそ2〜3年です。

ところが数日のうちにもう1匹、また1匹と続くなら、原因は環境のほうにあります。1匹目は最初に耐えられなくなった個体で、水槽全体で何かが起きていることになります。
そのときに疑うのは、水質の悪化、水温の急変、酸素不足の3つです。順に点検すれば、かなりの確率で見つかります。手順はメダカが次々死ぬに書いています。
逆に言えば、1匹死んだだけで、水槽を作り直す必要はありません。やりすぎて残りを失うほうが、よくある失敗です。
よくある質問(FAQ)
Q. メダカが死んだら水は全部換えるべきですか?
A. いいえ。3分の1だけ換えてください。硝化細菌は水の中にもいますが、ろ材や底床、容器の壁の表面にいるぶんのほうがずっと多いので、全部換えてもゼロにはなりません。ただし水の中にいたぶんは減り、そのぶん汚れを処理する力が落ちます。さらに水温やpHが一度に変わり、カルキも入ります。汚れを薄めつつ処理する力を残す量が、3分の1です。
Q. 死んだメダカは、どう処理すればいいですか?
A. 可燃ごみとして出すか、土に埋めてください。埋める場合は、他の生き物に掘り返されない深さを確保します。川や池に流すのは避けてください。病気を持っていた場合、病原体を自然界に広げることになります。
Q. 死骸をそのままにすると、何が起きますか?
A. 分解が始まってアンモニアが出ます。アンモニアは無色でにおいもほとんどないので、水は透明に見えたままです。見た目がきれいなのに翌日また死ぬのは、これが起きていることが多いです。水温が高いほど分解は速く進みます。
Q. 死んだメダカは浮きますか、沈みますか?
A. 息を引き取った直後は沈みます。時間がたって体の中でガスが出てくると、それに押されて浮いてきます。つまり水面に浮いているなら、死んでから時間がたっているということです。底に沈んでいるほうが新しい状態です。
Q. 残ったメダカに餌をあげてもいいですか?
A. 数日は控えめにしてください。餌は汚れの元なので、水を立て直しているあいだは減らすほうが安全です。メダカは1日食べなくても問題ありません。
Q. 1匹死んだら、また続けて死にますか?
A. 1匹で終わるか続くかは、数日で分かります。取り出した日に残りの数を数えておくと、翌日以降と比べられます。続くなら原因は環境のほうにあり、水質の悪化・水温の急変・酸素不足の3つを順に疑います。1匹で終わったなら、寿命や個体差だったと考えて構いません。
まとめ
メダカが死んだときにやることは、取り出すことと、水を3分の1換えることの2つだけです。原因を考えるのは、そのあとで間に合います。
全部の水を換えないでください。硝化細菌は水の中にもいて、捨てたぶんだけ汚れを処理する力が落ちます。そこへ水温やpHの急変とカルキが重なる。汚れを流したつもりが、残ったメダカを弱らせることになります。
そして残りの数を数えておいてください。1匹で終わったのか、続いているのか。それが分かるかどうかで、次に打つ手が変わります。

