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メダカを早く大きくする方法|効くのは4つ。ただし速さには代償がある

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メダカを早く大きくする方法とその代償のアイキャッチ。黒い容器を泳ぐメダカの実写真 めだか

同じ日に生まれたはずの稚魚が、いつまでも小指の先ほどのまま。動画で見るよその針子は、ひと月で親と見分けがつかない大きさになっている。何が違うんだろう——いま、そのあたりだと思います。

先に答えを書きます。早く大きくする方法は、あります。効くのは4つで、この記事の前半で全部書きます。ただ、この記事の本体は後半です。速く育てた魚は寿命が縮んだ、という実験があります。早くする方法と、どこで急ぐのをやめるか。両方を持ち帰ってください。

この記事の結論(要点)
  • 早く大きくするのに効くのは、水温25〜28℃前後・餌は少量を回数多く・1匹に2Lのゆとり・日光と青水(グリーンウォーター)の4つです。
  • ただし、急がせた分のツケは寿命の側に回ります。速く育った魚は寿命が14.5%縮んだ実験があります(トゲウオ・英国)。
  • いちばん悪いのは、飢えさせてから、まとめて食べさせること。餌の総量が同じでも寿命が縮みました。
  • 急ぐのは、目的がある期間だけにします。繁殖に間に合わせたい、冬までに体力をつけたい——目標に届いたらアクセルを戻します。
メダカを早く大きくする話のグラレコ(グラフィックレコーディング)。早くするなら、あたたかい水、エサは少しずつ回数多く、ゆとりのある容器。でも代償があり、速く育った魚は大きさは同じでも短命だった。ためてドバッとあげるまとめ食いが最悪。急ぐのは目的がある間だけ
効かせ方より大事なのは、アクセルの戻しどき。

メダカを早く大きくする方法は、この4つ

メダカの育つ速さを決めるのは、体の代謝と、食べる量と、環境のゆとりです。言い換えると、水温・餌・容器の3方向からしか速くできません。効く順に並べます。

①水温を25〜28℃前後に保つ

メダカは変温動物なので、水温がそのまま代謝の速さになります。よく食べよく育つのは25〜28℃前後。だからいちばんの成長期は、初夏から夏の屋外です。特別な道具を足さなくても、季節が勝手にアクセルを踏んでくれます。

季節外れに急ぎたい場合はヒーターで加温する手がありますが、上限は28℃あたりに置いてください。それ以上は水中の酸素が減り、水も傷みやすくなって、速くなるどころか事故が増えます。選び方はヒーターの選び方に書きました。

②餌は「少量を、回数多く」

一度にたくさん与えても、メダカの小さな胃袋には入りません。入らなかった分は水を汚すだけです。増やすのは量ではなく回数で、数分で食べきる量を、1日3〜4回が目安です。針子のうちは口がさらに小さいので、微粉末の餌と青水(グリーンウォーター)を組み合わせます。餌の使い分けはエサ選びにまとめてあります。

青水が手元にない場合は、生クロレラを水に溶いて即席のグリーンウォーターにする手があります。種水を待たずにその日から使えて、冷蔵品なので使う分だけ薄めます。

育ち盛りの針子・幼魚に的を絞った育成用の餌もあります。うちで基準にしているのは、成長段階に合わせて粒と栄養を作ってある専用品です。

日中は仕事で家にいない、という人は回数を増やせません。そこは道具に任せる手があります。決まった時間に決まった量を落とす自動給餌器なら、「少量を回数多く」を平日も崩さずに済みます。

③1匹に2Lのゆとりを作る

過密は、成長を止めるいちばん大きな壁です。狭いと餌が行き渡らず、水がすぐ汚れ、混み合いのストレスで食が細ります。目安は1匹に水2L。1Lでも生きられますが、それは上限であって、よく育つ数字ではありません。容器を増やすか、数を絞るかで、同じ餌でも育ちが変わります。

水は換えるより、減った分を足すのが基本です。特に針子は水質の急変に弱いので、針子の水換えのやり方に沿ってください。

④大きい個体を分けて、成長差を断つ

同じ容器の中では、大きい個体が餌を先に取ります。差は勝手に開いていき、開き切ると共食いが始まります。ひとまわり大きい個体が出てきたら別の容器に移す。それだけで、残った小さい組に餌が回り、全体の育ちが揃います。

効果が薄いのに、よく見かける方法

検索するといろいろ出てきますが、仕組みから考えると割に合わない方法もあります。先回りで整理しておきます。

まず、栄養剤や添加剤だけで速くする発想です。育ちの土台は水温と餌と密度で、そこが整っていない容器に何かを注いでも順番が逆です。足すのは土台のあとで十分です。

次に「毎日水を換えると刺激で急成長する」という説です。新しい水で食欲が上がること自体はありますが、換えるたびに水温と水質が動くので、やりすぎれば水換え後に弱るほうが先に来ます。うちは減った分の足し水を基本にして、換えるなら一度に3分の1までにしています。

それから、餌の回数を増やせないからと1回を大盛りにする方法。これは速くならないうえに、あとの章で書くとおりいちばん筋の悪いやり方です。

速く育った魚は、寿命が縮んだ|英国の実験

育つ速さと寿命の実験の挿絵。同じ大きさのメダカが2匹。ゆっくり育った魚と、追いつき成長で速く育った魚。大きさは同じでも、寿命が変わったのは育った速さのほう
同じ大きさに育った2匹。違ったのは、そこまでの速さ。

ここからがこの記事の本体です。「早く大きくできた。めでたし」で終わらない話があります。

2013年、英国の研究チームがトゲウオという小魚で実験をしました。幼魚の時期に水温を短期間だけ操作して、育つ速さだけを変えたグループを作ります。遅らせたあとに追いつかせたグループ、ゆっくり育てたグループ、ふつうに育てたグループ。最終的な体の大きさは、全グループ同じになりました。

違ったのは寿命です。急いで追いついたグループは寿命が14.5%短く、ゆっくり育ったグループは30.6%長く生きました。大きくなったからではありません。大きさは同じなのですから。速く育ったこと自体が、寿命を削っていました。出典は英国王立協会の学術誌に載った実験(2013年)です。

育つ速さと寿命の実験の図解。ゆっくり育った魚は寿命が30.6%延び、追いつき成長で速く育った魚は寿命が14.5%縮んだ。最終的な体の大きさは3グループとも同じで、違ったのは育つ速さだけ。トゲウオでの英国の実験(2013年)
変わったのは大きさではなく、育つ速さだけ。

理屈はこう説明されています。急な成長は、体の組織を突貫工事で作ることです。工期を縮めた建物と同じで、あとから修繕のツケが回ってきます。

ひとつ、正直に断っておきます。これはトゲウオの実験で、メダカで同じ数字になるとは言い切れません。ただ、「速く育てた分のツケ」は魚の研究で繰り返し確認されている現象で、メダカだけ例外と考える理由も見当たりません。数字は目安、向きは本物、と受け取ってください。

いちばん悪いのは「飢えさせて、まとめて与える」

同じ研究室の別の実験(2008年)は、もっと日常に近い話です。餌の総量は同じにして、毎日こつこつ与えたグループと、絶食と多め給餌を繰り返したグループを比べました。結果、まとめ食いで育ったグループは、同じ量を食べたのに寿命が短くなりました。骨格の急成長がその原因と結びついていました。

これ、やっている人が多いはずです。平日は帰りが遅いから控えめ、週末にたっぷり——まさにこの型です。旅行や帰省で2〜3日抜くこと自体は問題ありません(エサなしで何日もつかはここに書きました)。悪いのは、飢えと満腹を行き来させる「日常の型」のほうです。

もうひとつ大事な結果があります。同じ実験で、単純に量を減らして育てた魚は、長生きになりませんでした。「少なく与えれば長持ち」でもないのです。要点は量の多い少ないではなく、毎日ほぼ同じ量を、切らさず与えること。急がせない、飢えさせない。地味ですが、これが寿命側の正解です。

どこまで急ぐかは、目的で決める

ここまでを踏まえると、「早く大きくする方法」は使いどころの道具です。踏む価値がある場面は、はっきりしています。

ひとつは繁殖です。メダカは孵化からおよそ2〜3か月、体長2cmほどで卵を産める大きさになります。来季の親に使いたい若魚がいるなら、そこまでは水温と餌で後押しする価値があります。もうひとつは秋生まれの稚魚です。小さいまま冬に入ると体力が持たないので、冬までに1cmを超えることを目標に急がせます。

どちらの場合も、目標に届いたらアクセルを戻してください。踏み続ける理由は、もうありません。あとは毎日同じ量の餌と、ゆとりのある容器に戻します。

逆に、観賞として1匹1匹を長く楽しみたいなら、最初から急がせないのが正解です。ネットで見かける「1か月で成魚サイズ」の類いは、早く売り物にするための養殖の技術です。目的が違う数字を、家の容器に持ち込む必要はありません。

どの容器の子が早く育っているか、餌を増やしたのはいつからか。覚えておこうとするほど抜けていきます。「メダカ台帳」の記録は1タップ。記録が続かなかったことのある人でも残るように、書くことを増やさない作りです。
→ 容器ごとの世話の記録を、次に迷ったときに引き出せる
どんなアプリか見てみる(登録はメールアドレスだけ・30秒。記録と通知はずっと無料です)

まとめ

早く大きくするなら、水温25〜28℃前後・少量を回数多く・1匹2Lのゆとり・大きい個体の隔離。この4つで十分に速くなります。

そして、速さはただではありません。速く育った魚は寿命が縮んだ実験があります。急ぐのは目的がある期間だけ。届いたらアクセルを戻して、毎日同じ量の餌に帰る。それが、早く育てたい人にこの記事が付け足したかった半分です。

よくある質問(FAQ)

Q. メダカの針子を早く大きくするには何が効きますか?

A. 青水(グリーンウォーター)と微粉末の餌を1日3〜4回、それに密度のゆとりです。針子の時期は餌を切らさないことがいちばん効きます。詳しくは針子の育て方の記事にまとめています。

Q. 1か月で成魚になりますか?

A. 夏の水温と多回給餌でかなり早められますが、一般的には孵化から2〜3か月が現実的な線です。それより急がせるほど、寿命の側に代償が回る実験があることは本文のとおりです。

Q. ヒーターで冬も育て続けていいですか?

A. できます。ただし一年中アクセルを踏み続けることになるので、繁殖を急ぐ年の若魚だけに絞るのがおすすめです。観賞で長く楽しみたい個体は、季節に合わせて冬は休ませてください。

Q. 大きくならないメダカがいるのはなぜですか?

A. 多くは成長差です。大きい個体が餌を先に取るので、差は放っておくと開く一方です。大きい個体を別容器に移すと、残った組にも餌が回るようになります。過密と低水温も定番の原因です。

Q. 餌をたくさん与えれば早く育ちますか?

A. 量より回数です。食べきれない量は水を汚すだけで、育ちには変わりません。特に、間を空けてまとめて与えるやり方は、総量が同じでも寿命が縮んだ実験があります。

Q. 速く育てると短命になるのは、メダカでも本当ですか?

A. メダカそのもので確かめた実験は見当たらないため、断定はしません。トゲウオの実験では寿命が14.5%縮み、逆にゆっくり育てると30.6%延びました。速い成長のツケは魚で広く確認されている現象なので、うちでは「急がせない」側に倒しています。

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