メダカの稚魚をできるだけ早く、丈夫に育てたい——そんなときに頼りになるのがブラインシュリンプです。栄養たっぷりの「生きた餌」で、とくに人工飼料を食べにくい針子〜稚魚の時期に大きな効果を発揮します。
結論を言うと、メダカの繁殖に本気で取り組むなら、ブラインシュリンプはほぼ必須級。与えた稚魚とそうでない稚魚では、成長スピードも成魚になったときの仕上がりもはっきり変わります。つまずきやすいのは沸かし方です。孵化しない原因はたいてい塩の量か温度のどちらかで、道具のせいであることはまれです。
ブラインシュリンプとは?
ブラインシュリンプは、アルテミアとも呼ばれるエビ・カニの仲間の小さなプランクトンです(成長しても体長15mmほど)。塩湖にすむ生き物で、「耐久卵(乾燥卵)」の状態で長期保存でき、塩水に入れると孵化するのが最大の特徴。この孵化したての幼生(ノープリウス)が、メダカの稚魚にとって最高の活き餌になります。
ブラインシュリンプの栄養価

ブラインシュリンプは高タンパクで栄養バランスに優れた「生きたサプリ」。稚魚の体をつくるタンパク質、活発に泳ぐためのエネルギー源、体色を引き上げるカロテノイドなどをバランスよく含みます。
メダカにブラインシュリンプを与えるメリット

なぜここまでブラインが重視されるのか。それは生まれたばかりの稚魚(針子)が、人工飼料をうまく食べられないからです。口が小さく消化力も弱い針子にとって、動いて食欲をそそる活き餌のブラインは「食べやすく・よく食べる・よく育つ」の三拍子。活き餌で育てた稚魚は生存率も仕上がりも大きく変わるため、繁殖では活き餌が必須級とされています。
効きめは大きく四つあります。ひとつは、育ちが早くなること。栄養がしっかりしているので、同じ日数を過ごしても体つきが変わってきます。もうひとつは食いつきです。目の前で動くものに、針子は本能的に飛びつきます。
三つめは色です。ブラインは体に色のもとを持っていて、それを食べた稚魚は赤や黄がはっきり出ます。四つめは、水が汚れにくいこと。生きたまま泳いでいるぶん、底に沈んだまま腐る食べ残しが出にくくなります。

ブラインシュリンプはいつ与える?必須なの?
ブラインが最も活きるのは孵化後〜生後2〜3週間の針子・稚魚の時期です。この時期に活き餌を与えられるかどうかで、その後の成長に差がつきます。
一方で、ある程度大きくなって人工飼料をしっかり食べられるようになれば、ブラインは必須ではありません。「小さいうちは活き餌のブラインで、大きくなったら人工飼料に移行する」のが基本の考え方です。もちろん成魚に与えても嗜好性が高く喜んで食べるので、色揚げや繁殖前の栄養補給に使うのも効果的です。
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ブラインシュリンプの沸かし方(孵化方法)

ブラインを与えるには、乾燥卵を塩水の中で孵化させる必要があります。エアレーションでボコボコと酸素を送り続けて孵すことから、これを通称「ブラインを沸かす」と言います。
孵化に必要な道具

沸かし方の手順

ポイントは塩分(海水くらい=水1Lに塩約20g)と水温25〜28℃、そしてエアレーションで卵を常に舞い上げること。この3つがそろえば、24〜36時間ほどでオレンジ色の幼生がたくさん孵ります。温度が高いほど早く孵化します。
慣れてきたら孵化器を2台用意する「2台体制」がおすすめです。片方が孵化したらもう片方で新しく沸かし始め、1日交代で回すと、いつでも新鮮なブラインを切らさずに与えられます。
ブラインシュリンプの与え方のコツ
- 1日で食べ切れる量だけ…与えすぎは水を汚します。数分で食べ切る量を、1日1〜2回に分けて与えます。
- 殻と未孵化の卵は与えない…殻や孵らなかった卵は消化できず、詰まりや水質悪化の原因に。孵化した幼生だけをスポイトで吸って与えます(幼生は光に集まる性質があるので、暗くして一点だけ照らすと集めやすい)。
- 真水でさっとすすぐ…塩分をそのまま飼育水に持ち込みすぎないよう、網で受けて軽くすすいでから与えると安心です。
もっと手軽にする方法
「毎日沸かすのは大変そう…」という人には、次の方法もあります。
ひとつは、浅い皿に卵と塩水を入れて、空気を送らずに沸かすやり方です。道具が減るぶん置き場所も要らず、少しずつ使うなら、これでじゅうぶん間に合います。殻をあらかじめ取り除いた卵も売られていて、こちらは殻が混ざる心配が要りません。
冷凍したものや乾かしたものもあります。ただし、これらは動きません。針子が飛びつくのは動くからなので、食いつきを大事にするなら、やはり自分で沸かした生きているほうが有利です。
うまく孵化しないときのチェックポイント
「卵を入れたのに孵らない」というときは、たいてい次のどれかが原因です。ひとつずつ確認しましょう。
- 水温が低い…25℃を下回ると孵化が遅く・悪くなります。ヒーターや室内の暖かい場所で25〜28℃を保ちます。
- 塩分が合っていない…塩が少なすぎても多すぎても孵化率が落ちます。水1Lに塩約20g(海水程度)を目安に。
- エアレーションが弱い…卵が底に沈んだままだと孵りにくいので、卵が常に舞い上がるくらいの強さで回します。
- 卵が古い・保存が悪い…開封後に湿気を吸った卵は孵化率が大きく落ちます。
ブラインの卵の保存方法
ブラインの卵は湿気と高温に弱いのが弱点です。しっかり密閉して冷蔵庫(または冷凍庫)で保存すると、孵化率を長く保てます。開封したら乾燥剤を入れ、空気に触れる時間を短くするのがコツ。缶入りや小分けタイプが扱いやすいのはこのためです。
おすすめの孵化器とブラインの卵
ここからは、実際に使いやすい孵化器とブラインの卵を紹介します。まずは扱いやすい孵化器のセット品と、孵化率の良い卵から始めるのが失敗しないコツです。

初心者向けの孵化器
エアレーションと容器が一式そろったセット品なら、届いてすぐに沸かし始められます。2台あると1日交代で回せて便利です。
ブラインシュリンプの卵
卵は孵化率が高く、新しいものを選ぶのが基本。缶入りや小分けタイプは湿気にくく長持ちします。殻の処理が面倒なら殻なしタイプも便利です。
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よくある質問(FAQ)
Q. メダカにブラインシュリンプは必ず必要ですか?
A. 必須ではありませんが、稚魚(針子)の時期には大きな効果があります。人工飼料を食べにくい小さな稚魚も活き餌のブラインならよく食べ、成長スピードと仕上がりが変わるため、繁殖に取り組むなら実質的に必須級です。大きくなれば人工飼料に移行できます。
Q. ブラインシュリンプはどうやって沸かしますか?
A. 海水くらいの塩水(水1Lに塩約20g)に乾燥卵を入れ、エアレーションで酸素を送りながら水温25〜28℃で24〜36時間おくと孵化します。孵化した幼生だけをスポイトで集めて与えます。
Q. 殻や孵らなかった卵も与えて大丈夫ですか?
A. いいえ。殻や未孵化の卵は消化できず、詰まりや水質悪化の原因になります。孵化した幼生は光に集まるので、暗くして一点を照らして集め、幼生だけをスポイトで吸って与えましょう。
Q. 冷凍ブラインでも代用できますか?
A. 手軽さでは冷凍・乾燥ブラインも使えますが、活き餌ならではの「動いて食いつきを誘う」効果は孵化させた生のブラインに劣ります。稚魚の食いつきを重視するなら、沸かした活きブラインがおすすめです。
Q. ブラインシュリンプは1日に何回与えますか?
A. 数分で食べ切れる量を、1日1〜2回に分けて与えるのが目安です。与えすぎは水質悪化のもとになるため、量を控えめにします。孵化器を2台用意して1日交代で沸かすと、新鮮なブラインを切らさず与えられます。

