メダカが水面に集まって、口をパクパクさせている。餌を落としても食べない。網でつついても、力なくよけるだけ。──いま、その水面の前にいるはずです。
先に答えを書きます。道具が無くても、酸素は入れられます。水面を動かせばいい。手順を順番に説明します。その前に30秒だけ、本当に酸欠かどうかを見分けてください。処置が変わるからです。
- まず見分けます。体が止まったまま口だけ動いていたら酸欠です。泳ぎながらの口パクや、人が来ると寄ってくるのは空腹なので心配いりません。
- 酸欠なら、いますぐ水面を動かしてください。コップやペットボトルで水を汲み、高いところから注ぎ戻す。これを繰り返すだけで酸素は入ります。
- ストローで吹き込むのは効きません。吐く息は吸った空気より酸素が減っていて、しかも続けられないからです。同じ時間なら汲んで注ぐほうに使ってください。
- 真夏の昼なら、同時に日陰を作ります。水温が上がるほど水に溶ける酸素は減るので、日射を切ることが酸素対策になります。
- 水を換えるなら3分の1までです。全量の交換は環境の急変になるのでやりません。
- 終わりの判断:鼻上げが止まり、餌への反応が戻れば終わりです。翌朝も繰り返すなら、夜間のエアレーションを常設します。

まず30秒。酸欠のサインか、餌待ちかを見分ける
水面に集まって口を動かす行動は、酸欠でなくても起きます。いちばん多いのは餌待ちです。見るのは口ではなく、体のほうです。

空腹の鼻上げは、よく動きます。人が近づくと下から元気に上がってきて、体をひねって泳ぎ回ります。これは食欲なので、心配いりません。
酸欠の鼻上げは、止まっています。口だけが動いて、体はほとんど動きません。人が来ても散らず、その場を離れられない。これが危険なサインです。水面の近くは水中でいちばん酸素が濃い場所なので、そこから離れられなくなっています。
迷ったら、指を1本水面に近づけてみてください。寄ってくるなら食欲です。反応が鈍く、その場で口パクを続けるなら酸欠として動いてください。見分けの詳しくはメダカの餌やりにも書いています。
道具がないときの応急処置は、水面を動かすこと
水面を動かします。酸素は水面から溶け込むので、水面が波立つほど入りやすくなります。やり方は何でも構いませんが、いちばん手早いのはこれです。
コップかペットボトルで容器の水を汲み、20〜30cmの高さから細く注ぎ戻します。落ちた水が水面を割って、泡と一緒に酸素を連れて入ります。1〜2分続けたら、少し休んで様子を見て、また注ぐ。これを繰り返してください。

注ぐ場所は容器の端にして、メダカの真上からかけないでください。弱っている魚に水流を直接当てないためです。
ストローで息を吹き込む方法は、勧めません。理由は2つあります。人が吐く息は、吸った空気より酸素が減っています。そして、口で吹き続けられる時間はせいぜい数分です。同じ数分なら、汲んで注ぐほうがずっと多くの酸素が入ります。
新しい水を足せるなら、それも効きます。カルキを抜いた新しい水は酸素を多く含んでいるからです。ただし換えるのは3分の1までです。全量の交換は水質も水温も一度に変えてしまい、弱った魚には追い打ちになります。水温を合わせることも忘れないでください。
酸欠の原因を、同時にひとつ消す
応急処置は入り口です。酸欠には必ず原因があるので、水面を動かしながら、当てはまるものを消してください。
真夏の昼なら、水温です。水温が上がるほど、水に溶けていられる酸素は減ります。すだれで日射を切ってください。やり方はメダカの水温を下げる方法にまとめてあります。

朝に起きたなら、夜の消費です。青水(グリーンウォーター)も水草も、昼は酸素を作りますが、夜は自分も呼吸して酸素を使います。青水が濃い容器や水草の多い容器ほど、明け方に酸素の底が来ます。青水は薄めて、水草は減らしてください。
数が多いなら、過密です。目安は1匹あたり水2リットル。それを下回っているなら、水量を増やすか、容器を分けます。分けるときは移す先の水温を合わせてください。
水面に膜が張っていたら、油膜です。酸素の入り口である水面がふさがれています。キッチンペーパーを水面に浮かべて、すっと引き上げると膜ごと取れます。食べ残しが原因のことが多いので、餌はいったん止めてください。
繰り返す酸欠には、エアレーションを常設する
応急で持ち直しても、原因がその日のうちに消えないことはあります。真夏の高水温と、青水の濃い容器の明け方は、毎日繰り返すからです。繰り返す条件がそろっているなら、エアポンプを入れてください。
ポイントは2つだけです。泡は弱くていいこと。メダカは強い水流が苦手なので、水面がゆらぐ程度で足ります。そして夜こそ回すこと。酸素がいちばん薄くなるのは、消費が一晩続いたあとの明け方だからです。昼だけ回して夜に切るのは、逆です。
ストーンとチューブ、逆流防止弁は一式でそろえるのが早いです。逆流防止弁は、ポンプが水面より低い位置にあるときの水の逆流を防ぐ安全部品なので、忘れずに入れてください。
機種の選び方や、そもそもエアレーションが要るかどうかの判断はメダカにエアレーションは要らない?に書いています。屋外で水量が多く、数が少ないなら、無しで回る場合も多いです。
酸欠はいつ終わるのか
鼻上げが止まり、餌への反応が戻れば終わりです。酸欠は原因が消えれば回復も早く、数時間で普段の泳ぎに戻ります。その日は餌を控えめにして、翌朝もう一度様子を見てください。
翌朝また鼻上げしていたら、応急処置では足りていません。夜間のエアレーションを常設して、青水の濃さと数を見直してください。毎朝繰り返す酸欠は、容器の条件が慢性的に足りていない合図です。
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まとめ
体が止まったままの口パクなら酸欠です。コップで汲んで、高いところから注ぎ戻す。ストローは効きません。水を換えるなら3分の1まで。
そして原因をひとつ消します。真夏の昼なら日よけ、朝の再発なら青水と夜間エアレーション、数が多いなら分ける。鼻上げが止まって餌に反応したら、終わりです。
よくある質問(FAQ)
Q. ストローで空気を吹き込むのは効きますか?
A. 勧めません。人が吐く息は吸った空気より酸素が減っていて、口で吹き続けられるのも数分です。同じ時間を使うなら、コップで水を汲んで高いところから注ぎ戻すほうが多くの酸素が入ります。
Q. 「酸素を出す石」は応急処置になりますか?
A. 輸送や停電のときの非常手段としては使えますが、出る量はわずかで、エアレーションの代わりにはなりません。手元にあれば入れて構いませんが、それで安心せず、水面を動かす処置と原因の解消を進めてください。
Q. 水草を入れれば酸素は増えますか?
A. すぐには増えません。水草が酸素を出すのは光の当たる昼だけで、夜は逆に酸素を使います。酸欠の応急処置としては効かず、入れすぎればむしろ明け方の酸欠を深くします。
Q. 全部の魚が水面に集まっています。重症ですか?
A. 重症です。水中の酸素がかなり薄くなっています。すぐに水面を動かして酸素を入れながら、日陰を作る・青水を薄める・数を分けるなど、原因側も同時に手を打ってください。
Q. 酸欠になってから、どのくらいで死にますか?
A. 状況によるので時間は断定できませんが、鼻上げはすでに重いサインです。数時間単位で危険が進むと考えて、見つけたその場で動いてください。回復も早いので、間に合えば数時間で戻ります。
Q. エアレーションは昼だけ回せばいいですか?
A. 逆です。酸素がいちばん薄くなるのは、青水や水草の消費が一晩続いたあとの明け方です。夜こそ回してください。昼は光合成が酸素を作るので、切っても問題ないことが多いです。
Q. 雨や曇りの日にも酸欠は起きますか?
A. 起きます。光が弱い日は青水や水草の作る酸素が減るためです。青水が濃い容器は、曇りが続いたあとの朝がいちばん危なくなります。
Q. 水換えで酸素を入れてもいいですか?
A. カルキを抜いて水温を合わせた新しい水なら効きます。ただし換えるのは3分の1までにしてください。全量の交換は水質と水温の急変になり、弱った魚に追い打ちをかけます。
