9月も半ばなのに、メダカがまだ卵を抱えている。産卵床にも付いている。この卵、採っていいのか。育つのか。いつまで続くのか。
調べると「条件がよければ秋まで産みます」と出てきます。それは分かった。知りたいのは、自分の容器の産卵がいつ止まるかと、いま採った卵をどうするかです。
止めるのは、水温ではありません。日の長さです。そこから書きます。
- 産卵は、明るい時間が13時間を切るころに止まります。水温が高くても止まる。秋の停止は正常。
- 9月前半までの卵は育てる。後半からは室内で加温するか、採らない。線は、冬までに1.5cmに届くか。
- 9月に入ったら産卵床を抜く。産み続けた親は痩せる。冬越しは秋の体で決まる。
- 止まったのにお腹がふくらんだままなら、それ以上大きくならなければ正常。日ごとに張るなら過抱卵。
- 室内なら冬でも産ませられるが、親の寿命は縮む方向。目的があるときだけ。
メダカの産卵はいつまで続くか|止めるのは水温ではなく、日の長さ
答えを先に書きます。メダカの産卵は、明るい時間が13時間を切るころに止まります。水温がまだ高くても、止まります。
産卵が始まる条件は、水温18℃超と、明るい時間13時間。この2つが揃った日から産みはじめ、どちらかが欠けた日から止まります。春は水温が先に揃わず、秋は日の長さが先に欠けます。
だから、秋の停止は、水温ではなく暦で決まります。9月の下旬、昼と夜の長さが同じになるころには、明るい時間はもう13時間を切っています。それでも産んでいるのは、体に残った分と、街灯や室内の明かりが足しているぶんです。
月で言えないのは、地域と置き場所で違うからです。屋外の日陰と、南向きのベランダと、夜も明かりのつく室内では、止まる時期がひと月ずれます。見るのは暦ではなく、卵です。
確かめ方があります。夕方、容器の前に立って、時計を見てください。日が沈んで暗くなる時刻と、朝明るくなる時刻の差が、その容器の明るい時間です。街灯の下なら、それも足します。13時間を切っていれば、止まるのは時間の問題です。
だから「いつまで産むか」の答えは、「日が短くなれば止まる。止まったら正常」です。秋の停止は、直すものではありません。
まだ産んでいる|9月の卵は、育てるか、育てないか
止まる前の、いま。抱えている卵、産卵床に付いた卵を、どうするか。ここが本題です。
育てられます。ただし、冬までに育ちきるかどうかで決めます。
卵は25℃なら10日で孵ります。秋は水温が下がるので、もう少しかかる。孵ってから、親と合流できる1.5cmまで、さらに1か月以上。そのあいだに、水温が15℃を切ると成長が止まります。
つまり、9月に採った卵は、孵って、稚魚として冬を迎えます。冬を越せるかは秋の体で決まる、という話は成魚と同じで、稚魚はなおさらです。小さいまま冬に入ると、春まで持ちません。
だから線はこうです。9月前半までの卵は、育てる。9月後半からの卵は、室内で加温して育てるか、採らない。屋外だけで育てるなら、後半の卵は間に合いません。
冬までに、と書きましたが、地域で違います。暖かい地方で、屋外の水温が11月まで15℃を保つなら、9月後半の卵でも届くことがあります。自分の容器の秋の水温を、朝に一度測ってみてください。水温計の使い方は、水温の記事に書きました。
採らない、は冷たい判断に見えますが、卵は親や同居の魚が食べます。採らなければ、それで終わります。育てると決めたぶんだけ、採ってください。

秋の卵を育てるなら、室内で加温する
9月後半の卵を、それでも育てたい。それなら、屋外では無理です。室内に入れて、温度を保ちます。
要るのは、ヒーターと、小さな容器。卵と針子のあいだは、水量が少なくていいので、ヒーターも小さいもので足ります。室内で要るものは、別にまとめました。
水温は25℃前後。早く大きくするのに効く温度で、それ以上にしても速くなりません。最初の2週間は餌を切らさない。ここは季節に関係なく同じです。
ただ、室内で加温して育てた稚魚は、冬のあいだ室内のままです。春に屋外へ出すときは、水温を合わせて、朝晩の差が小さい時期に。ここを急ぐと、せっかく育てた稚魚を春に落とします。
手間はかかります。それでも「この品種の卵を残したい」なら、この手があります。そうでないなら、次の章です。

採卵をやめる線|親の体を、冬に向けて休ませる
いつまで採るかは、卵の側だけでなく、親の側でも決まります。
メダカは1回に10〜30個、それが毎日続きます。産卵期を通すと1匹で数百個。これは体力を使う仕事で、産み続けた親は、秋に痩せていることがあります。
冬越しの成否は、秋の体で決まります。産卵床を入れっぱなしにして産ませ続けるより、9月に入ったら産卵床を抜いて、餌で体を作らせるほうが、親は冬を越します。産卵床が無くても産みはしますが、採らないぶん、こちらの手間も減ります。
もうひとつ。速く育てて速く産ませた魚は、寿命が短い。春から秋まで休みなく産んだ親は、翌年の産卵が弱いことがあります。来年も同じ親で採るなら、秋は休ませる。
線は、9月に入ったら産卵床を抜く。それが、親を来年につなぐ線です。
秋の卵は、孵るまでが長い|白くなった卵は抜く
育てると決めた卵の話です。秋の卵は、夏の卵と管理が少し違います。
孵化までの日数は水温で決まり、25℃なら10日ほど。秋は20℃前後まで下がるので、2週間近くかかることがあります。長いぶん、卵が傷む機会が増えます。
見るのは、卵の色です。透きとおっていれば育っています。白く濁ったら、育ちません。白い卵は、そのままにすると水カビが広がって、隣の透きとおった卵まで巻き込みます。見つけたら抜く。夏より、こまめに見てください。
もうひとつ、秋は日が短いぶん、卵の容器を日の当たる場所に置きます。卵そのものに光は要りませんが、水温が上がるほうが早く孵ります。ただし直射日光で30℃を超えるのは逆効果なので、午前の日だけ当たる場所が向いています。
孵ってからは、最初の2週間、餌を切らさないこと。秋はグリーンウォーターが薄くなりがちなので、微粉末の餌を頼ることになります。
産卵床を抜いたあとも、卵は産まれる|どうなるか
9月に産卵床を抜く、と書きました。抜いても、日が長いうちは産みます。その卵はどうなるか。
産卵床が無いと、メスは水草や、容器の壁、底に卵を付けます。付ける場所が無ければ、抱えたまま泳いで、そのうち落ちます。落ちた卵は、親や同居の魚が食べます。エビがいれば、エビも食べます。
つまり、産卵床を抜くと、卵はほぼ残りません。それでいいのです。採らないと決めた卵を、わざわざ探して抜く手間が無くなります。
ただし、水草が茂った容器では、隠れて孵ることがあります。秋に小さな針子を見つけたら、それです。1.5cmになるまでは別の容器に移すか、そのまま親に任せるか。冬までに間に合わないなら、任せて構いません。
「抜いたのに産む」は、産卵を止める手ではなく、採卵を止める手です。産卵そのものは、日の長さが止めます。
秋の餌|産ませる餌から、体を作る餌へ
産卵床を抜いたあと、親にすることは、餌です。
産卵期の餌は、卵を作る材料です。繁殖用の餌は、そのために作られています。秋に切り替えるのは、体に蓄える餌。難しく考えず、いつもの餌で、量はそのまま、回数を減らさない。
水温が下がれば、必要な量も減ります。15℃前後で1日1回、10℃以下は与えない。そこまでの数週間が、体を作る期間です。この期間に食べさせた分が、冬の蓄えになります。
逆に、9月にまだ産卵床を入れたまま、繁殖用の餌を与え続けると、体は卵に回ります。上から見て、頭だけ大きく後ろが細い親がいたら、もう遅れています。すぐに産卵床を抜いて、餌を体に回してください。
秋の餌は、来年の産卵の準備です。産ませる餌から、体を作る餌へ。切り替えの合図が、産卵床を抜く日です。

止まったのに、まだ抱えている|産まないのか、産めないのか
日が短くなって、産卵床には付かない。でもメスのお腹はふくらんだまま。これは2つあります。
ひとつは、産む前のお腹です。体の中に卵ができていて、条件が欠けたので産んでいない。春に条件が戻れば産みます。これは正常で、放っておいて構いません。
もうひとつは、過抱卵です。卵ができているのに、産み出せない。オスがいない、産卵床が無い、で起きます。お腹がふくらみ続けて、鱗が張ってきたら、こちらです。
見分けは、大きさの変わり方です。秋の正常なふくらみは、それ以上大きくなりません。過抱卵は、日ごとに張ってきます。
過抱卵なら、オスを同居させるか、産卵床を入れる。それで出ることがあります。秋にそれをするかどうかは、前の章と同じ判断です。
室内なら、冬でも産む|それでいいかは別
「室内で明かりをつけていれば、冬も産みますか」と聞かれます。産みます。
条件は、水温18℃超と明るい時間13時間。部屋の明かりだけでは13時間に届かないことが多いですが、照明を足して時間を保てば、冬でも産みます。品種を作る人は、そうしています。
ただし、冬眠させずに産ませ続けると、親の寿命は縮む方向です。春から秋まで産み、冬も産めば、体は休みません。
だから室内で冬も産ませるのは、「その品種を早く増やしたい」という目的があるときだけ。眺めて楽しむ飼い方なら、冬は止めて、休ませる。産む力は、来年に回ります。
止めるのは簡単で、明かりの時間を短くするだけです。産卵床を抜いて、照明を夕方に消す。それで止まります。
逆に、室内で冬に産ませるなら、照明の時間を毎日同じにしてください。日によって長さが違うと、体が季節を読めず、産んだり止まったりを繰り返します。タイマーで朝と夕方を固定する。それだけで安定します。
どこで見切るか|終わりの判断
線を決めておきます。
産卵床に卵が付かなくなったら、それが今年の終わりです。直しません。水温が高くても、日が短ければ止まります。
9月前半までの卵は育てる。後半からは、室内で加温するか、採らない。屋外だけでは、冬までに1.5cmに届きません。
9月に入ったら産卵床を抜く。親の体を、冬に向けて作らせます。来年の産卵は、ここで決まります。
最後にひとつ。秋に産卵が止まるのは、メダカが冬の準備に入った合図です。続けさせるのではなく、一緒に止まってください。
まとめ
メダカの産卵は、明るい時間が13時間を切るころに止まります。水温がまだ高くても止まる。秋の停止は正常で、直すものではありません。
9月に採った卵は、冬までに1.5cmに届くかで決めます。前半までは育てる。後半からは室内で加温するか、採らない。屋外だけでは間に合いません。
9月に入ったら産卵床を抜き、親を休ませる。冬越しは秋の体で決まり、来年の産卵もそこで決まります。
秋に産卵が止まるのは、メダカが冬の準備に入った合図です。続けさせるのではなく、一緒に止まってください。
よくある質問(FAQ)
Q. メダカの産卵はいつまで続きますか。
A. 明るい時間が13時間を切るころに止まります。水温がまだ高くても止まります。月で言えないのは、地域と置き場所で違うからで、見るのは暦ではなく、産卵床に卵が付くかどうかです。秋の停止は正常で、直すものではありません。
Q. 9月に採った卵は育ちますか。
A. 育ちますが、冬までに育ちきるかで決めます。孵って合流できる1.5cmまで1か月以上かかり、水温が15℃を切ると成長が止まります。9月前半までの卵は育てる。後半からは室内で加温するか、採らない。
Q. 秋の卵を育てるにはどうすればいいですか。
A. 室内に入れて、ヒーターで25℃前後を保ちます。卵と針子のあいだは水量が少なくていいので小さい容器と小さいヒーターで足ります。最初の2週間は餌を切らさない。春に屋外へ出すときは水温を合わせて、朝晩の差が小さい時期に。
Q. 採卵はいつやめればいいですか。
A. 9月に入ったら産卵床を抜きます。産み続けた親は秋に痩せていることがあり、冬越しは秋の体で決まります。来年も同じ親で採るなら、秋は休ませます。
Q. 暑すぎると産みませんか。
A. 産卵の条件は水温18℃超と明るい時間13時間で、上限で止まる話は条件に入っていません。真夏に減るなら、水温そのものより30℃を超えて水が崩れているほうを疑ってください。
Q. 止まったのにお腹がふくらんだままです。
A. 産む前のお腹か、過抱卵かです。秋の正常なふくらみはそれ以上大きくなりません。日ごとに張って鱗が浮いてきたら過抱卵で、オスを同居させるか産卵床を入れると出ることがあります。
Q. オスがいなくても産みますか。
A. 産みます。ただし無精卵で育ちません。オスがいないまま卵を作り続けると過抱卵になることがあります。
Q. 室内なら冬でも産みますか。
A. 照明で明るい時間13時間と水温18℃超を保てば産みます。ただし冬眠させずに産ませ続けると親の寿命は縮む方向です。品種を早く増やしたい目的があるときだけで、眺める飼い方なら冬は止めて休ませます。
Q. 1年に何回産みますか。
A. 回数ではなく、条件が揃っているあいだ毎日です。1回に10〜30個、産卵期を通すと1匹で数百個になります。
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産まなくなった理由はメダカが卵を産まない|産んでいないのか、見つけていないのかへ。親を冬に向けてメダカの冬越し|成否は秋で決まるへ。秋の稚魚を育てるならメダカの稚魚はいつまで別容器?合流は1.5cmからへ。産卵と寿命の関係はメダカは何個産んで何年生きる?へ。お腹が張り続けるならメダカのオスが死んでメスだけに|過抱卵と無精卵へ。

