室内の水耕栽培の前を通ると、においがする。ふたを開けると、はっきり臭い。葉はまだ元気に見える。でも、この水で育てた野菜を食べていいのか、と手が止まります。
調べると「水を換えましょう」「エアレーションを」と出てきます。換えれば一時は消えます。でも、数日でまた臭う。原因が残っているからです。
原因は、においの種類で分かります。腐った卵のようか、ドブのようか、青臭いか。そこから書きます。
- におい方で原因が3つに分かれます。腐った卵=酸素不足。ドブ=腐ったもの。青臭い=藻。
- 水換えは応急。換えただけでは、翌日にはまた臭います。
- 腐った卵なら水を動かす・株を減らす・水温を下げる。ドブなら根・葉・底を見て取り出す。青臭いなら光を切る。
- 換えても数日で戻るなら、配管・ポンプ・スポンジに溜まっています。分解して洗う。
- 臭いのは水で、葉ではありません。葉が元気なら、洗って食べられます。
水耕栽培の水が臭いとき、原因はにおいの種類で3つに分かれる
答えを先に書きます。におい方で、原因が3つに分かれます。腐った卵のような臭いなら酸素不足。ドブのような臭いなら腐った根か食べ残しの養液。青臭い・磯のような臭いなら藻です。
腐った卵のような臭い。水に酸素が無くなると、酸素を使わない細菌が増えて、この臭いを出します。水が動いていない、根が多すぎて酸素を使い切っている、水温が高くて溶ける酸素が減っている。どれかです。
ドブのような、生ゴミのような臭い。水の中で何かが腐っています。茶色くなった根、枯れて落ちた葉、養液の成分が溜まった沈殿。腐るものがあって、それを分解する細菌が増えている状態です。
青臭い、磯のような臭い。これは藻です。光が養液に当たって、藻が増えている。害は薄いですが、藻が枯れると、ドブの臭いに変わります。
嗅ぐときは、ふたを開けた直後の一瞬です。開けて数十秒たつと鼻が慣れて、種類が分からなくなります。迷ったら、一度離れて、もう一度開ける。
3つは、原因も直す場所も違います。水換えは、どれにも効きますが、どれも止めません。先ににおいを嗅いで、どれかを決めてください。

腐った卵のような臭い|酸素が無い。動かすか、減らす
ふたを開けた瞬間に、腐った卵のような臭い。これが一番多く、一番はっきりした原因です。
水の中の酸素が尽きています。根は水に溶けた酸素で呼吸していて、それが足りなくなると呼吸のしかたを切り替えます。同じ水の中で、酸素を嫌う細菌が増えて、この臭いを出します。臭いが出た時点で、根はもう苦しい。
直すのは、酸素です。水を動かすか、根の量を減らすか、水温を下げるか。水が止まった装置なら、ポンプかエアポンプを入れる。根が容器いっぱいなら、株を減らす。夏で水温が高いなら、22℃を目安に下げる。
応急として水は換えますが、換えただけでは、翌日にはまた酸素が尽きます。換えたあとに、上の3つのどれかを足してください。
もうひとつ。この臭いが出ている水では、根が茶色くなりはじめています。水を直したあと、茶色い部分だけ切ってください。白い根は残します。
うちの発芽用のバットは、水を動かしていません。それで臭わないのは、水道水だけで栄養が無く、スポンジの半分が空気に触れているからです。栄養のある養液で、根が茂った状態なら、止まった水は数日で臭います。

ドブのような臭い|腐っているものを取り出す
生ゴミのような、ドブのような臭い。これは、水の中に腐っているものがあります。
探すのは3か所。根、葉、底です。株を持ち上げて、根が茶色くぬるぬるしていないか。水面に、枯れた葉が落ちていないか。容器の底に、茶色い沈殿が溜まっていないか。
根が腐っているなら、根腐れです。原因は前の章と同じ酸素不足で、臭いの出方が違うだけです。茶色い根を切り、水を換え、酸素を足す。
葉が落ちて溶けているなら、取り出すだけで直ります。間引いた株を水に落としたまま、ということもよくあります。
底に沈殿があるなら、養液の成分が溜まっています。足し水だけで換えていない容器で起きます。一度全部捨てて、容器を洗って、作り直す。
取り出すときは、株を持ち上げて、根の先まで見てください。上のほうの根が白くても、底に近い先端だけが茶色く溶けていることがあります。そこが臭いの元です。
取り出したあと、臭いが消えるまで2〜3日。それを過ぎても臭うなら、取り残しがあります。もう一度、根と葉と底を見てください。
青臭い・磯のような臭い|光が養液に当たっている
青臭い、磯のような臭い。容器の内側が緑になっている。これは藻です。
藻は、光と養分があれば増えます。透明な容器、白い容器、ふたの無い容器。全部取る必要はありませんが、臭うほど増えているなら、光を切ります。容器を黒い布やアルミで覆う、ふたをする、水面に光が当たらないようにする。
藻そのものの臭いは、薄いです。問題は、藻が枯れて腐ったときで、そこからドブの臭いに変わります。緑のうちに光を切れば、そこまで行きません。
藻が増えている水は、夜のあいだ、藻も酸素を使います。前の章の酸素不足が、藻のせいで起きることもあります。朝に一番臭うなら、それです。
藻を取ったあと、容器を透明のままにしておくと、また増えます。直すのは藻ではなく、光の当たり方です。
ペットボトルや透明のプラ容器で始めた方は、ここで一度つまずきます。作り替えるまでしなくても、外側にアルミホイルを巻く、黒い紙を貼る、それだけで藻は止まります。中を見たいときだけ、めくればいい。
換えても臭うなら、装置のどこかに溜まっている
水を全部換えた。根も切った。それでも数日で臭う。この場合、水ではなく装置に原因があります。
配管の中、ポンプの中、パネルの裏。水が流れずに溜まる場所があると、そこだけ酸素が尽きて、臭いの元になります。換えた水がそこを通るたびに、臭いを拾います。
うちのポンプが止まったのは、詰まりでした。分解して掃除したら直りました。臭いも同じで、ポンプと配管を一度分解して、中を洗います。ぬるぬるした膜が付いていたら、それです。
スポンジや培地も、同じです。使い回したスポンジには前の根の残りが入っています。臭いが続くなら、株ごと新しいスポンジに移すほうが早い。
ここまでやって臭うなら、置き場所です。水温が高すぎて、何をしても酸素が足りない。夏の水温の記事の順で、下げてください。
魚がいる装置で臭うなら、順番が変わる
アクアポニックスのように、下に魚がいる装置で臭う場合は、見る順番が変わります。先に魚を見てください。
腐った卵のような臭いは、魚の側でも酸素不足です。魚が水面で口をパクパクしていたら、根より先に魚が参ります。エアレーションを足すのが最初で、水換えはそのあとです。
ドブのような臭いは、魚の餌の食べ残しとフンが溜まっていることが多い。餌を減らすのが先で、養液を作り直す、という手は使えません。魚がいる装置の養液は、魚が作っているからです。
もうひとつ、魚がいる装置では、薬も殺菌剤も、そもそも使えません。臭いを消す手は、酸素と、餌の量と、光の3つだけです。手が減るぶん、見つけるのは早い。
魚がいなくなった装置で急に臭うなら、魚を入れずに回している段階の、細菌のバランスができる前の臭いです。これは数日で落ち着きます。
臭いと、水の色と、根の色は、たいてい一緒に動く
臭いだけで決めきれないとき、見るものが2つあります。水の色と、根の色です。
水が白く濁って、腐った卵の臭い。酸素が尽きて、細菌が一気に増えた状態です。白い濁りは細菌そのもの。水を動かせば、濁りも臭いも数日で引きます。
水が茶色く、ドブの臭い。根か葉が溶けています。茶色は、腐ったものの色です。取り出さないかぎり、換えても茶色に戻ります。
水が緑で、青臭い。藻です。緑が濃いほど、夜の酸素が減ります。
根は、白なら健康、薄い茶色で張りがあればまだ働いている、こげ茶で崩れるなら腐っています。臭いが出ていても根が白ければ、原因は根ではなく、水の動きか光です。
臭い・色・根。3つを一緒に見ると、原因はたいてい1つに絞れます。1つだけで決めると、外します。
臭う水で育てた野菜は、食べられるのか
ここが一番の心配だと思います。
臭いが出ているのは水で、葉ではありません。葉が元気で、変色もしおれもしていないなら、食べられます。よく洗ってください。
ただし、根が腐って、葉までしおれている株は、無理に食べる必要はありません。味も落ちています。枯れはじめた株の見分けは、枯れる記事に書きました。
薬剤で臭いを消す方法は、書きません。食べる野菜です。臭いは消えても、原因は残ります。直すのは、酸素と、腐ったものを取ることと、光です。
もうひとつ。臭う水を直したあとの株は、数日、葉が止まります。根が回復する時間です。大きくならない、と焦らないでください。

臭わせないために、最初から決めておくこと
臭いは、出てから直すより、出ない形にしておくほうが楽です。決めておくのは3つ。
水を動かす。発芽までは要りませんが、養液で育てはじめたら、ポンプかエアポンプで水を動かします。止まった養液は、根が茂るほど早く臭います。
光を当てない。容器は不透明に。透明な容器を使うなら、外側を覆う。藻は、光さえ切れば増えません。
換える日を決める。頻度は水量と根の量で決まります。足し水だけを続けると、底に成分が溜まります。
この3つで、臭いの3つの原因のうち、酸素と藻は最初から消えます。残るのは腐ったものだけで、それは目で見つけられます。
設計の段階で、臭いはほぼ決まります。臭いやすい装置は、直しても、また臭います。いま臭っている装置を直したら、次に作るときは、この3つを先に決めてください。
どこで見切るか|終わりの判断
線を決めておきます。
原因を直して、2〜3日でにおいが消えたら、終わりです。水換えだけで消えたなら、それは応急で、まだ終わっていません。
直しても数日で戻るなら、装置に溜まる場所があります。配管、ポンプ、パネルの裏、スポンジ。分解して洗う。
根が全部茶色く、葉もしおれているなら、その株はあきらめて、容器を洗って作り直します。直す時間より、まき直す時間のほうが短い。
最後にひとつ。臭いは、水が「酸素が無い」「腐っている」「光が当たっている」のどれかを教えている合図です。消すのではなく、読んでください。
まとめ
水耕栽培の水が臭いとき、原因はにおいの種類で3つに分かれます。腐った卵のようなら酸素不足。ドブのようなら腐った根・葉・底の沈殿。青臭いなら藻。
水換えは応急です。換えただけでは翌日また臭います。酸素不足なら水を動かすか株を減らすか水温を下げる。腐ったものは取り出す。藻は光を切る。
換えても数日で戻るなら、配管・ポンプ・スポンジに溜まる場所があります。分解して洗う。
臭いのは水で、葉ではありません。葉が元気なら洗って食べられます。原因を直して2〜3日で消えたら終わり。臭いは消すものではなく、読むものです。
よくある質問(FAQ)
Q. 水耕栽培の水が臭いのはなぜですか。
A. においの種類で原因が3つに分かれます。腐った卵のような臭いは酸素不足。ドブのような臭いは腐った根や葉、底の沈殿。青臭い・磯のような臭いは藻です。水換えはどれにも効きますが、どれも止めません。
Q. 腐った卵のような臭いがします。
A. 水の酸素が尽きています。水を動かす、根の量を減らす、水温を下げる、のどれかで酸素を足します。換えただけでは翌日また尽きます。臭いが出た水では根が茶色くなりはじめているので、茶色い部分だけ切ってください。
Q. 水を換えても数日で臭います。
A. 装置に水が溜まる場所があります。配管、ポンプ、パネルの裏、使い回したスポンジ。分解して中を洗います。それでも臭うなら水温が高すぎるので、置き場所を変えます。
Q. 臭う水で育てた野菜は食べられますか。
A. 臭いが出ているのは水で、葉ではありません。葉が元気で変色もしおれもしていないなら、よく洗って食べられます。根が腐って葉までしおれている株は、無理に食べる必要はありません。
Q. エアレーションで臭いは消えますか。
A. 酸素不足の臭いなら消えます。腐ったものがある臭いは、取り出さないと消えません。藻の臭いは光を切らないと消えません。まず、におい方でどれかを決めてください。
Q. 薬で臭いを消せますか。
A. 書きません。食べる野菜です。臭いは消えても原因は残ります。直すのは酸素と、腐ったものを取ることと、光です。
Q. 朝が一番臭います。
A. 藻か根が、夜のあいだに酸素を使っています。夜は光合成が止まり、藻も酸素を使う側に回ります。光を切って藻を減らすか、夜も水を動かしてください。
Q. 発芽用のスポンジの水は臭いません。なぜですか。
A. 水道水だけで栄養が無く、スポンジの半分が空気に触れているからです。養液で根が茂った状態になると、止まった水は数日で臭います。育てはじめたら水を動かしてください。
Q. どうなったら終わりですか。
A. 原因を直して2〜3日でにおいが消えたら終わりです。数日で戻るなら装置に溜まる場所があります。根が全部茶色く葉もしおれていたら、容器を洗って作り直します。
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根が茶色いなら根腐れの原因は酸素不足|水耕栽培より強い理由と対策4つへ。換える日を決めるなら水耕栽培の水換え|頻度は水量と根の量で決まるへ。緑になっているなら水耕栽培の藻は、全部取らなくていい|守るのは3か所だけへ。茶色い根を切るなら水耕栽培の根は切っていい?|白い根は切らないへ。夏に臭うなら水耕栽培の夏の水温|22℃で線を引くへ。

