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【自宅でキャビア】アクアポニックスでのチョウザメの飼育法

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チョウザメ。チョウザメの飼育法を解説する記事のアイキャッチ アクアポニックス

「自宅であのキャビアが採れたら…」——そんな夢のある魚がチョウザメです。恐竜時代から姿を変えずに生き抜いてきた古代魚で、メスの卵が高級食材のキャビアになります。

アクアポニックスで飼えば、魚のフンで野菜も育てられて一石二鳥です。

ただしチョウザメ飼育で最も大切なのは「低水温を保つこと」。チョウザメは冷たい水を好む魚で、日本の夏の高水温がいちばんの大敵です。

キャビアを採るには長い年月もかかるため、じっくり付き合う覚悟で始めましょう。

  • チョウザメは低水温を好む古代魚。適温は20℃前後で、高水温(28℃超)は危険
  • 飼育のカギは大きな水槽・強いろ過と酸素・夏の冷却。ヒーターより冷却が重要。
  • キャビア(メスの卵)が採れるまでには長い年月がかかる。
水中を泳ぐチョウザメ(古代魚)
細長い体と硬いウロコ、口元のヒゲが特徴のチョウザメ。恐竜時代から姿を変えない「生きた化石」です。

チョウザメってどんな魚?

チョウザメは「サメ」と名がついていますが、サメの仲間ではなく、チョウザメの仲間に属する古代魚です。

恐竜が生きていた時代からほとんど姿を変えていない「生きた化石」で、体の側面には硬いウロコ(硬鱗)が並び、口元には餌を探すためのひげがあります。

チョウザメの頭部のアップ(口元のヒゲ)
下向きの口と4本のヒゲで、水底の餌を探して吸い込むように食べます。
【自宅でキャビア】アクアポニックスでのチョウザメの飼育法|チョウザメってどんな魚?。チョウザメは古代魚の仲間で、大きく育ち長生きする低水温性の魚。メスの卵がキャビアになりますが、成熟には長い年月がかかります
チョウザメは古代魚の仲間で、大きく育ち長生きする低水温性の魚。メスの卵がキャビアになりますが、成熟には長い年月がかかります。

大きな特徴は、とても大きく育ち、長生きすること。種類にもよりますが1.5〜6mほどにまで成長し、寿命は数十年に及びます。

そして何より、メスの卵がキャビアになるのが最大の魅力。ただし卵を採れるほど成熟するには長い年月が必要で、そこがチョウザメ飼育の奥深さでもあります。

チョウザメの適水温|夏の高温がいちばんの敵

チョウザメ飼育でもっとも重要なのが水温管理です。チョウザメは冷たい水を好む低水温性の魚で、暑さにとても弱いのが特徴です。

【自宅でキャビア】アクアポニックスでのチョウザメの飼育法|チョウザメの適水温(低水温魚・夏が大敵)。チョウザメは低水温を好む魚。日本の夏は水温が上がりすぎるため、28℃を超えるなら水槽用クーラーでの冷却が必要です
チョウザメは低水温を好む魚。日本の夏は水温が上がりすぎるため、28℃を超えるなら水槽用クーラーでの冷却が必要です。

適温は20℃前後で、4〜27℃くらいまでは適応できます。しかし25℃を超えると不調をきたし、28℃を超えるようなら水槽用クーラーでの冷却が必須。35℃近い高水温は命に関わります。つまり日本での飼育では、冬の寒さより夏の高温対策が課題になります。

「熱帯魚だからヒーター」という感覚とは逆で、むしろ夏に冷やすのがチョウザメ飼育の基本です。なお、急な水温変化にも弱いので、温度を調整するときは1日1℃を目安にゆっくり行います。

チョウザメ飼育の4つのポイント

大きく育つチョウザメを健康に飼うには、環境づくりが何より大切です。

【自宅でキャビア】アクアポニックスでのチョウザメの飼育法|チョウザメ飼育の4つのポイント。ポイントは「大型水槽・強ろ過と酸素・夏の冷却・急な水温変化を避ける」。ヒーターより、むしろ夏の高温対策が重要です
ポイントは「大型水槽・強ろ過と酸素・夏の冷却・急な水温変化を避ける」。ヒーターより、むしろ夏の高温対策が重要です。

まず、成長を見越してできるだけ大きな水槽を用意します。チョウザメは酸素をたくさん必要とし、よく食べてよく汚す魚なので、強力なフィルターとしっかりしたエアレーションが欠かせません。

そして前述のとおり、夏は28℃を超えないよう冷却し、水温は急変させずゆっくり保つ——この4点が飼育成功のカギです。設備の負担は大きいので、アクアポニックスキットなどを活用して無理なく始めるのがおすすめです。

チョウザメの餌

チョウザメは水底で暮らす肉食性の魚です。口が下向きについていて、底に沈んだ餌を吸い込むように食べます。そのため餌は水に沈むタイプ(沈下性)のチョウザメ専用フードが基本。

水面に浮くタイプの餌はうまく食べられないので避けます。よく食べる魚ですが、与えすぎは水質悪化のもとになるため、食べ切れる量を見ながら与えましょう。

キャビアと繁殖

缶に入った黒いキャビア
チョウザメのメスの卵から作られるキャビア。世界三大珍味のひとつで、飼育の大きな目標になります。

チョウザメ飼育の最終目標ともいえるのがキャビアです。キャビアはメスが持つ卵(未受精卵)を加工したもの。ただし、卵を採れるほど成熟するまでには長い年月がかかり、種類によっては10年近くを要します。

さらにオスとメスの見分けが外見では難しく、繁殖のコントロールも簡単ではありません。家庭でキャビア採取まで到達するのは相当な根気が要る挑戦ですが、それだけにロマンのある魚だといえます。

キャビアが採れるまで、何年かかるのか

ここは、はっきりした数字が出ています。宮崎大学農学部によれば、チョウザメが卵を抱くまでに
孵化後5〜10年程度かかります。
成熟が速いシベリアチョウザメでも5年、ロシアチョウザメなら6年以上です。
稚魚を買った日から、早くて5年だと思ってください。

しかも、その5年はまっすぐ進みません。外から見てもオスかメスか分からないので、
何年か育てて腹を確かめ、印を付けるか池を分ける。
そこからさらに数年かけて、ようやく採れる大きさになります。
なお宮崎県は飼育尾数が日本一のチョウザメ産地で、国産キャビアの主な産地でもあります。

途中で夏の水温を一度大きく外せば、そこまでの年数が消えます。
「自宅でキャビア」は不可能ではありませんが、
10年ものの計画を立てる話だと思ってください。

水槽は、思っているより大きい

大きさは、魚のほうから決まります。チョウザメのなかでいちばん小さいコチョウザメでも、
1mまで育ちます
中型から大型になる種類は2mを超え、最大級のベルーガは数mです。

体長1mの魚が向きを変えられる入れ物を思い浮かべてください。
奥行きと高さが1m、長さが3mなら、水は3トンです。家の床の上には置けません。
屋外に池を作るか、それに近い容器を据えることになります。
アクアポニックスとして組むなら、この水量を回せるポンプとろ過も要ります。

だから、買う前に決めるのは魚の種類ではなく置き場所です。
どこに、何トンの水を、何年置けるのか。そこが決まってから稚魚を探してください。

どこで買うのか

まず、近所の店には売っていません。熱帯魚店でもまず置いていないので、
通販で探すことになります。届くのは体長15〜20cmほどの稚魚です。

手に入りやすいのはシベリアチョウザメと、ベステルです。
ベステルは大型のベルーガと小型のコチョウザメを掛け合わせたもので、
親より扱いやすい大きさに落ち着きます。
最大級のベルーガは数mになるので、家庭で選ぶ魚ではありません。


餌も一緒に用意しておきます。チョウザメは口が下を向いていて、
底に沈んだものを吸い込むように食べるので、浮く餌はうまく食べられません。
沈む種類のものを選んでください。

アクアポニックスとの相性

チョウザメも、フンを養分に野菜を育てるアクアポニックスに取り入れることができます。

よく食べて多くのフンを出すため、植物にとっては豊富な養分源になります。リーフレタスやハーブ、トマトなどと組み合わせると、水の浄化と収穫を同時に楽しめます。

ただし、チョウザメは低水温と高い水質・酸素を求めるぶん、丈夫なティラピアやメダカに比べると管理の難易度は高めです。

アクアポニックス自体に慣れてから挑戦するのが安心でしょう。仕組みや始め方はメダカで野菜を育てるアクアポニックスで基礎から解説しています。

よくある問題と対策

チョウザメ飼育でつまずきやすいのが水質の悪化病気です。よく汚す魚なので、ろ過が追いつかないとすぐに水が悪くなります。定期的な水質チェックと部分的な水換えを欠かさず、餌の量も水の汚れ具合に合わせて調整します。

体調を崩した個体は早めに隔離し、水温・水質を安定させて回復を待ちます。とくに夏の高水温は酸欠と病気を一気に招くので、冷却とエアレーションで先手を打つことが大切です。

アクアポニックスは資本がある人のものだと思われがちですが、個人でも始められます。設備にいくら掛かったのか、どこでつまずいて、どう直したのか。鷲林寺アクアファームの実践の記録をnoteに書いています。見学に来られた方はのべ100人を超えました。
→ 個人で始めたアクアポニックスの費用と失敗をnoteで読む

あわせて読みたい:アクアポニックス

よくある質問(FAQ)

Q. チョウザメの適切な水温は何度ですか?

A. 適温は20℃前後で、4〜27℃くらいまで適応できます。ただし25℃を超えると不調をきたし、28℃を超えるなら水槽用クーラーでの冷却が必要です。チョウザメは低水温を好む魚なので、日本では夏の高温対策がいちばんの課題になります。

Q. チョウザメは家庭でも飼えますか?

A. 飼えますが、大きく育つため大きな水槽が必要で、強いろ過・酸素供給・夏の冷却も欠かせません。設備の負担は大きめなので、飼う前に成魚のサイズと冷却設備まで見越して準備しておくことが大切です。

Q. 自宅でキャビアは採れますか?

A. 理論的には可能ですが、卵を採れるほど成熟するまでに長い年月(種類によっては10年近く)がかかり、雌雄の判別や繁殖のコントロールも難しいため、家庭で採取まで到達するのは大きな挑戦です。

Q. チョウザメの餌は何を与えますか?

A. チョウザメは水底で餌を食べる肉食魚なので、水に沈むタイプ(沈下性)のチョウザメ専用フードが基本です。浮くタイプの餌はうまく食べられないため避けます。

Q. チョウザメはアクアポニックスに向いていますか?

A. フンが植物の養分になるので相性は良いのですが、低水温と高い水質・酸素を求めるため、ティラピアやメダカより管理の難易度は高めです。アクアポニックスに慣れてから挑戦するのがおすすめです。

この記事を書いた人
鷲林寺アクアファーム(兵庫県西宮市)

植木屋として5年、アクアリウムは10年。2021年から、義理の祖母が守ってきた農地を休耕地にしないためにアクアポニックスを始め、一人で続けています。書いているのは、その農場で実際に起きたことと、確かめられた範囲のことだけです。

農場見学は全国から受け入れてきました(現在は休止中)。ラジオ関西「羽川英樹 ハッスル!」、雑誌「Mer」などの取材を受けています。
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