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アクアポニックスのポンプの選び方|流量・揚程・消費電力の3つで決まる

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アクアポニックスのポンプの選び方のアイキャッチ。流量・揚程・消費電力の3つで決まる アクアポニックス

アクアポニックスの部品でいちばん迷うのが、ポンプです。大きすぎても小さすぎても困るのに、選ぶ基準がどこにも書いていない。

通販で「アクアポニックス ポンプ」と調べても、出てくるのは商品の一覧か、業務用の設備ばかり。家庭サイズの装置に何を選べばいいのかを説明したページが、ほとんどありません。

この記事では、選ぶための3つの数字と、その読み方を書きます。組み方そのものと、止まったときの話は別の記事にまとめました。

この記事の結論(要点)
  • 見るのは3つだけです。流量・揚程・消費電力。この順に決めると迷いません。
  • 基準は水の回転数。総水量を1時間に1〜3回転が目安です。ここから必要なスペックが決まります。
  • ただしあくまで目安。揚程・配管の口径・栽培槽との距離で、実際に出る量は変わります。
  • 揚程の表示は「最大」で、その高さでは水がほとんど出ません。ここが最大の落とし穴です。
  • 消費電力は24時間365日ぶん効いてきます。持ち上げる高さを下げれば、そのまま小さくできます。
  • 予備を1台持っておくこと。うちも用意しています。止まった翌日に買いに行くのでは間に合いません。
アクアポニックスのポンプを選ぶ3つの数字の図。流量は水槽の水を1時間に1〜2回まわせる量、揚程は表示が最大値でその高さでは水が出ない、消費電力は24時間365日ぶん効く
揚程の表示だけを見て買うと、水が上がりません。

アクアポニックスのポンプは、3つの数字で決まる

ポンプの箱に書いてある数字は多いのですが、この装置で見るべきは3つだけです。順番も決まっています。

1つめが流量。1時間に何リットル送れるかで、毎時◯リットルと書かれています。装置が回るかどうかを決める、いちばん基本の数字です。

2つめが揚程。どれだけの高さまで水を持ち上げられるかで、単位はメートル。ここに大きな落とし穴があるので、あとで詳しく書きます。

3つめが消費電力。ワットで書かれています。この装置ではポンプを止めないので、この数字がそのまま毎月の電気代になります。

この順に決めてください。流量で候補を絞り、揚程で足りるか確かめ、消費電力で比べる。逆から入ると、安いけれど水が上がらないポンプを買うことになります。

流量|総水量から、1時間に1〜3回転で決める

まず必要な流量を出します。基準になるのは、装置の総水量です。魚の水槽だけでなく、栽培槽と配管に入っている分も足した量で考えてください。

そのうえで、1時間に1〜3回転させられる流量を選びます。総水量が100リットルなら毎時100〜300リットル。200リットルなら毎時200〜600リットル。総水量が決まれば、ポンプのスペックはここで自動的に決まります。

うちの家庭サイズの装置では毎時250〜600リットル級を使っています。培地を敷いた方式なら、この幅で足ります。

ただし、この数字はあくまで出発点です。実際にどれだけ流れるかは、持ち上げる高さ、配管の口径、栽培槽と魚の水槽の距離といった条件で変わります。同じポンプでも、置き方が違えば出る量が違う。カタログの毎時◯リットルが、そのまま自分の装置で出るわけではありません。

だから回転数は、候補を絞るための物差しとして使ってください。最後は動かして目で見て決めます。手順はこの記事の後半に書きます。

なぜ1〜3回転なのか。水を回すのは、栄養を運ぶためだけではありません。培地に住む細菌へ酸素を届け、根に新しい水を当てる仕事も兼ねています。回数が少ないと、そこが滞ります。

逆に多すぎてもよくありません。流れが速すぎると、培地の中を水が素通りしてしまい、細菌が処理する時間が足りなくなります。魚も、強い水流に一日中さらされると疲れます。

青いタンクに金魚を飼い、その上に栽培槽を載せたアクアポニックスの設備
必要な高さは、水面から栽培槽の出口まで。床からではありません。

揚程|表示の数字では、水が出ない

ここがいちばん間違えやすいところです。揚程の表示は「最大でここまで上がる」という値で、その高さでは水がほとんど出ません。

ポンプは、持ち上げる高さが増えるほど流量が落ちます。最大揚程1メートルと書かれたポンプで1メートル上げようとすると、出てくる水はぽたぽたという程度。装置は回りません。

だから見るべきは、「自分が必要な高さで、毎時どれだけ出るか」です。良心的な製品には、高さごとの流量を示した表やグラフが付いています。無ければ、最大揚程の半分以下で使うと考えて選んでください。

自分に必要な高さは、水面から栽培槽の水の出口までを測ります。床からではありません。ここを間違えると、必要以上に大きなポンプを買うことになります。

そして配管の抵抗も効きます。細い管、長い管、曲がりの多い配管は、それだけで水の出を落とします。余裕を見て、少し大きめを選ぶのが安全側です。

栽培槽と塩ビ配管。下のタンクから水を汲み上げて栽培槽へ送っている
細い管、長い管、曲がりの多い配管は、それだけで水の出を落とします。

消費電力|24時間365日ぶん効いてくる

3つ目です。この装置ではポンプを夜も冬も止めませんから、消費電力は毎月そのまま効いてきます。

家庭サイズで使う小型のポンプなら、電気代は月に数百円という水準です。加温しなければ、ここが上限になります。

減らしたいなら、いちばん効くのは水を持ち上げる高さを下げることです。栽培槽を魚の水槽のすぐ上に置けば、小さなポンプで足ります。棚の上段に置きたい気持ちのぶんを、毎日払い続けることになります。

もうひとつ、大は小を兼ねません。必要以上に大きいポンプは、電気を余計に食ううえ、水流が強すぎて魚が疲れます。ちょうどいい大きさを選ぶことが、そのまま節約になります。

カタログの流量が、そのまま出ない理由

選ぶときにいちばん誤解されるのが、ここです。箱に書かれた毎時◯リットルは、いちばん条件のいいときの値です。

実際に出る量を減らす要因は、主に4つあります。1つめが持ち上げる高さ。すでに書いたとおり、高さが増えるほど流量は落ちます。これがいちばん大きく効きます。

2つめが配管の口径です。細い管に無理やり通すと、そこで水が詰まります。ポンプの吐出口より細い管をつなぐと、それだけで性能を捨てることになります。

3つめが距離と曲がりです。栽培槽が魚の水槽から離れているほど、また途中の曲がりが多いほど、水は出にくくなります。同じ高さでも、まっすぐ1メートルと、曲がりを3つ通って1メートルでは違います。

4つめが汚れです。使っていくうちに内側にぬめりがたまり、少しずつ流量が落ちていきます。買ったときの性能が、ずっと続くわけではありません。

これらが重なるので、計算した数字に合わせてぴったり買うのではなく、少し余裕のあるほうを選びます。絞ることはできても、足りないぶんを増やすことはできないからです。

足りているかは、動かして目で確かめる

数字で当たりをつけたら、あとは動かして見ます。判断の材料は3つです。

1つめ、栽培槽の水位が上がりきるか。培地を敷いた方式なら、水が満ちて排水されるまでが一往復です。ここが上がりきらないなら流量が足りていません。

2つめ、魚が水流に逆らって泳ぎ続けていないか。メダカのように流れの強さに弱い魚は、強すぎるとすぐ分かります。端に寄って動かない、体を斜めにしているなら絞ってください。水流を弱める工夫は、エアレーションの記事にまとめてあります。

3つめ、水がよどんでいる場所が無いか。栽培槽の隅だけ水が動いていないなら、そこは細菌が働かず、根も伸びません。流量ではなく、出口の位置の問題であることもあります。

この3つが揃っていれば、その装置ではその流量で足りています。数字より、目の前の水と魚のほうが正確です。

水中ポンプと、外に置くポンプ

形の話もしておきます。家庭サイズなら、ほぼ水中ポンプで足ります。

水中ポンプは、水槽の中に沈めて使うタイプです。安く、静かで、呼び水が要りません。弱点は、掃除のたびに水に手を入れること。それと、モーターの熱がわずかに水へ伝わります。

外に置くタイプは、水槽の外から吸い上げます。掃除がしやすく、熱も伝わりません。ただし家庭サイズには大きすぎることが多く、値段も上がります。

選ぶ基準は単純です。水槽の水量が数百リットルまでなら水中ポンプ。それ以上の規模になってから、外置きを検討すれば足ります。

なお、空気を送るエアポンプは別物です。あれは酸素を足す道具で、水を栽培槽まで持ち上げる力はありません。混同しないでください。

音と置き場所|屋内なら、ここで後悔する

屋外なら気になりませんが、部屋の中に置くなら音の話をしておきます。

水中ポンプ自体は、ほとんど音を出しません。うるさくなるのはポンプ以外のところです。落ちる水の音、振動が水槽の壁に伝わる音、空気を巻き込んでいる音。この3つです。

落水音は、水を落とす高さを下げるか、水面の下まで管を伸ばすと静かになります。振動は、下に薄いスポンジを一枚敷くだけで変わります。空気を巻き込む音は、吸い込み口が水面に近すぎるのが原因なので、深く沈めてください。

置き場所では、もうひとつ。ポンプの吸い込み口を、底に直接つけないこと。沈んだ糞やごみを吸い上げて、すぐ詰まります。少し浮かせるか、目の粗いスポンジをかぶせておくと、掃除の回数が目に見えて減ります

買う前に確かめる、3つの実務

数字が決まったら、最後に現物の条件を見ます。ここを飛ばすと、届いてから困ります。

1つめ、吐出口の径です。手持ちの塩ビパイプやホースに合うか。合わない場合は変換の継手が要ります。径の食い違いは、うちも組むときにつまずいたところです。

2つめ、電源コードの長さです。屋外の装置では、ここが足りずに延長が必要になりがちです。水まわりで延長するなら、防水の対策も一緒に考えてください。

3つめ、流量を調節できるか。つまみで絞れる機種なら、少し大きめを買っておいて後から合わせられます。迷ったときの保険になります。

予備を1台持っておく

最後に、いちばん実務的な話をします。ポンプは、いつか止まります。

この装置でポンプが止まると、魚の水の浄化と、細菌の働きと、根の呼吸が同時に止まります。夏なら数時間で危ない領域に入ります。

そして止まるのは、たいてい都合の悪い日です。旅行中、休日の夜、猛暑の朝。気づいてから買いに行くのでは間に合いません。

だから同じものをもう1台、箱に入れて置いておく。数千円の保険で、魚を全部失うリスクが消えます。うちも予備を用意しています。この装置でいちばん安く買える安心が、これです。

予備は、まったく同じ型でなくてもかまいません。必要な流量と揚程さえ満たしていれば、つなぎとしては十分に働きます。ただし吐出口の径だけは合わせておいてください。継手を探しに走る時間が、いちばん惜しくなります。

もうひとつ。止まったことに気づく仕組みも要ります。毎朝ひと目、栽培槽に水が流れているかを見るだけで十分です。この装置で毎日やることは、実質それだけだと考えてください。

あわせて、年に一度はポンプを掃除してください。内側にぬめりやごみがたまると、流量が少しずつ落ちます。落ち方がゆっくりなので気づきにくいのが、この故障の厄介なところです。

ポンプの流量は、ゆっくり落ちます。いつ掃除して、いつ替えたか。「メダカ台帳」は容器ごとの記録が1タップ。交換の周期が見えると、止まる前に手を打てます。
→ 容器ごとの記録を、次に迷ったときに引き出せる
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まとめ

流量、揚程、消費電力。この3つを順に見れば、ポンプ選びで迷うことはありません。出発点は総水量で、そこから1時間に1〜3回転という基準で流量が決まります。

いちばんの落とし穴は揚程です。表示は最大値で、その高さでは水が出ない。必要な高さでどれだけ出るかを見てください。

そして予備を1台。数千円の保険で、いちばん都合の悪い日に魚を失わずに済みます。

数字はあくまで出発点です。最後は動かして、栽培槽が満ち、魚が落ち着き、よどみが無いかを見る。そこまで確かめて、はじめて決まります。

よくある質問(FAQ)

Q. アクアポニックスのポンプはどう選べばいいですか。

A. 流量・揚程・消費電力の3つを、この順で見ます。まず総水量を1時間に1〜3回転させられる流量で候補を絞り、必要な高さで水が出るかを揚程で確かめ、最後に消費電力で比べてください。

Q. ポンプの流量はどれくらい必要ですか。

A. 装置の総水量を1時間に1〜3回転させられる量が目安です。総水量が100リットルなら毎時100〜300リットル、200リットルなら毎時200〜600リットル。総水量が決まれば、ポンプのスペックは自動的に決まります。うちの家庭サイズの装置では毎時250〜600リットル級を使っています。

Q. 揚程はどう見ればいいですか。

A. 表示されている揚程は「最大でここまで上がる」という値で、その高さでは水がほとんど出ません。高さごとの流量が示されていればそれを見て、無ければ最大揚程の半分以下で使うと考えてください。

Q. 必要な高さはどこからどこまで測りますか。

A. 水面から、栽培槽の水の出口までです。床からではありません。また細い管・長い管・曲がりの多い配管は水の出を落とすので、少し余裕を見てください。

Q. カタログどおりの流量が出ないのはなぜですか。

A. 持ち上げる高さ、配管の口径、栽培槽と魚の水槽の距離、そして使ううちにたまる汚れ。この4つで実際に出る量は変わります。表示は条件のいいときの値なので、少し余裕のあるほうを選んでください。

Q. ポンプの予備は必要ですか。

A. 持っておいてください。うちも予備を1台用意しています。ポンプが止まると浄化と細菌と根の呼吸が同時に止まり、夏なら数時間で危険です。しかも止まるのはたいてい都合の悪い日で、気づいてから買いに行くのでは間に合いません。

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