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水耕栽培の間引き|抜かずに切る。残すのは背の低い株

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白い栽培パネルの穴にスポンジごと植えられたレタスの若い苗。水耕栽培の間引きの記事のアイキャッチ アクアポニックス

スポンジの1つの穴から、芽が3本も4本も出ている。全部育てたい。けれど、全部は育ちません。

土なら「密すぎるかな」で済む話が、水耕栽培では早く効いてきます。根が伸びる先が、パネルの下の限られた水の中しかないからです。

そして水耕栽培には、土の畑と違う注意がひとつあります。抜いてはいけないということです。

この記事の結論(要点)
  • 水耕栽培でも間引きは要ります。土がなくても、光と根の場所は奪い合うからです。
  • 抜かないでください。根が隣と絡んでいるので、引くと残す株の根まで持っていかれます。
  • 根元でハサミを入れます。切った根は残りますが、そのまま溶けて消えます。
  • 残すのは背の低い、茎の太い株。伸びている株ではありません。
  • やるのは本葉が出たころ。早すぎると見分けがつかず、遅すぎると根が絡みます。

水耕栽培でも間引きは必要か

結論から書きます。要ります。土がないから要らない、ということにはなりません。

間引く理由は、土の中の養分の奪い合いだけではないからです。奪い合っているのは、光と、根を伸ばす場所です。

光は上から来ます。株が詰まっていれば、隣の葉が影を作ります。光を足しても、下の葉には届きません。影になっている株は、そこへ届こうとして上へ伸びます。

根のほうも同じです。パネルの下は限られた水で、そこへ何本ぶんもの根が伸びていけば、絡み合って固まります。固まったところは水が動かず、酸素が届きません。

もうひとつ、養分です。同じ量を8株で分ければ全部が細くなり、2株に絞ればその2株は育ちます。魚を増やして養分を増やすより、株を減らすほうが早く効きます。

間引きをしないと、どうなるか

やらなかった場合に何が起きるか、順番に書きます。

まず全部が細くなります。1本だけが勝つのではありません。どれも中途半端に育ちます。葉の色も薄いままになります。

次に伸びます。影になった株が光を探して上へ伸び、茎が細く長くなります。一度伸びた節は、あとから縮みません。

そして倒れます。細く伸びた茎は、自分の葉を支えられません。倒れて重なれば、そこがさらに影になります。

最後に風が通らなくなります。葉と葉が密着したまま濡れていれば、そこから傷みます。葉の付け根から先に傷んでいくのは、たいていここです。

うちにも失敗があります。栽培槽に種を直に播いて、芽が出たぶんをそのまま育てたので、株が多くなりすぎました。どの株も葉が薄いままで、間引いていれば残した株はもっと濃い色になっていたはずです。

水耕栽培の間引きの図。抜かずに根元で切る。根が隣と絡んでいるので引くと残す株まで持っていかれる。残すのは茎が太い・背が低い・双葉が2枚そろっている株。ひょろ長く伸びている株、双葉が欠けている株、あとから出てきた株は抜く側
抜かない。根元で切る。残すのは背の低い株です。

いつ間引くか|本葉が出たころ

時期には幅がありますが、目安は本葉が出たころです。

最初に開くのが双葉で、そのあとに出てくるのが本葉です。双葉だけの段階では、どれが強い株か分かりません。まだ種の中の栄養で伸びているので、差が出ていないからです。

本葉が1枚から2枚出ると、差がはっきりします。茎の太さ、背の高さ、葉の色。ここで決めます。

遅らせすぎると、別の問題が出ます。根が絡みます。スポンジの中で何本ぶんもの根が編み合わさると、あとから分けられません。

だから迷ったら早いほうにしてください。遅れて絡んでからでは、切っても残っても傷が大きくなります。

スポンジで播いているなら、栽培槽へ移す前に済ませておくほうが楽です。移してからでは、手が届きにくくなります。

どれを残すか|伸びている株ではない

いちばん間違えやすいところです。背の高い株を残さないでください。

直感では、伸びている株が元気そうに見えます。ところが水耕栽培では逆で、伸びているのは光が足りていない印です。

残すのは背が低く、茎が太い株です。詰まって見えるくらいでちょうどいい。光が足りている株は、上へ伸びる必要がありません。

あわせて双葉を見てください。2枚そろっていて、形がゆがんでいないもの。片方が欠けていたり、曲がっていたりする株は、先で差がつきます。

そして出た順番です。同じ日にまいたのに遅れて出てきた芽は、そのあとも遅れ続けます。

何本残すかは品目で変わります。株数の決め方は餌の量から逆算できます。迷うなら、スポンジ1つに1本から始めてください。

白い栽培パネルの穴に、スポンジごと植えられたレタスの若い苗
スポンジごと移せます。間引きは、移す前に済ませておくほうが楽です。

抜かずに、切る

ここが土の畑といちばん違うところです。引き抜かないでください。

理由は根です。スポンジの中では、何本もの根が編み合わさっています。1本を引けば、残したい株の根まで一緒に持ち上がります。

目に見えて抜けなくても、根の途中でちぎれます。ちぎれた根は、そこから傷みます。せっかく残した株のほうを弱らせることになります。

だから根元でハサミを入れます。スポンジの表面すれすれで、茎を切ります。細い芽なので、爪切りのような小さなハサミが扱いやすいです。

切った根は、スポンジの中に残ります。それでかまいません。役目を終えた根は、そのまま分解されて消えます。掘り出そうとしないでください。

ハサミは使う前に拭いてください。切り口は傷なので、汚れたまま入れる理由がありません。

間引いた芽は、どうするか

捨てるものではありません。そのまま食べられます。

いわゆる間引き菜で、本葉が出たころの芽は柔らかく、味も出ています。サラダに散らす、味噌汁に落とす。量は少ないので、それくらいの使い道です。

ただし水で洗ってください。養液が付いたままです。

移し替えて育てる、という手もありますが、あまりすすめません。切ったものは根が付いていませんし、抜いたものは根が傷んでいます。手間のわりに揃いません。

それに、増やしたところで養える株数は変わりません。間引くのは減らすためなので、別の場所へ移せば元の問題がそちらへ移るだけです。

食べない品目もあります。実のなる野菜の芽は、そのまま食べるものではありません。葉物とハーブなら食べられる、と考えてください。

間引きすぎたときは

逆の失敗にも触れておきます。減らしすぎたら、戻せません。

切ってしまえば終わりなので、迷ったら1本多く残すほうが安全です。あとから減らすことはできますが、増やすことはできません。

とはいえ、間引きすぎで困ることは多くありません。1つの穴に1本なら、それは減らしすぎではなく、標準です。スカスカに見えても、育てば葉が広がって埋まります。

穴が空いたところには、別に播いておいたスポンジを差し込めます。時期はずれますが、収穫が続くという利点になります。

むしろ怖いのは、減らせないまま様子を見ることです。「もう少し育ってから」と待つあいだに根が絡みます。

直播きと、スポンジで播くのでは、やり方が違う

間引きの難しさは、どこに播いたかで変わります。

スポンジで播いているなら、いちばん楽です。1株ずつ切り離せるので、間引いてから栽培槽へ移せます。穴の外で手を動かせるぶん、ハサミも入れやすい。

問題は栽培槽に直に播いた場合です。芽が出た場所がそのまま定位置になるので、間隔を選べません。

しかも直播きは、間引きを先延ばしにしやすいという性質があります。全体が緑に見えて、育っているように錯覚するからです。

実際うちがそれをやりました。芽が出たぶんをそのまま育てて、どの株も葉が薄いままになりました。見た目は繁っているのに、1株ずつ見ると細い。

直播きでやるなら、播く量そのものを減らすほうが確実です。間引く手間も、迷いも減ります。

白い栽培パネルに、定植して間もないレタスの苗が点々と植わっている
終わりの線は、隣の株と葉先が触れ合わなくなったときです。

いつ終わりにするか|判断の線

間引きは1回で終わりとは限りません。どこで終わりにするかを決めておきます。

終わりの線は、葉が触れ合わなくなったときです。隣の株と葉先が重ならない。それだけ空いていれば、光も風も通ります。

逆に言えば、触れ合っているうちは、まだ多いということです。育つほど葉は広がるので、いまちょうどよく見える間隔は、1か月後には詰まっています。

2回目を入れるなら、本葉が4枚から5枚のころです。このころには根も伸びているので、切るときはさらに慎重に、根元だけを切ります。

そして収穫で減らすという手もあります。葉物なら外側から穫れるので、間引きと収穫が同じ動作になります。

最後にひとつ。間引きは、育てる作業ではなく、選ぶ作業です。減らすことに気が咎めるかもしれませんが、残した株が濃い色になって返ってきます。

まとめ

水耕栽培でも間引きは要ります。土がなくても、光と根を伸ばす場所は奪い合うからです。

やるのは本葉が1〜2枚出たころ。残すのは背が低く、茎が太い株です。伸びている株を残さないでください。伸びているのは光が足りていない印です。

そして抜かずに切ります。スポンジの中で根が絡んでいるので、引けば残した株の根まで持っていかれます。切った根はそのままで構いません。

終わりの線は、隣の株と葉先が触れ合わなくなったとき。触れ合っているうちは、まだ多いと考えてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 水耕栽培でも間引きは必要ですか。

A. 必要です。土がなくても、光と根を伸ばす場所は奪い合います。株が詰まっていれば隣の葉が影を作り、影になった株は光を探して上へ伸びます。

Q. 水耕栽培で間引きをしないと、どうなりますか。

A. 全部が細くなります。1本だけが勝つのではなく、どれも中途半端に育って葉の色も薄いままです。そのあと茎が伸びて倒れ、葉が密着したところから傷みます。

Q. 間引きのタイミングはいつですか。

A. 本葉が1〜2枚出たころです。双葉だけの段階では、まだ種の栄養で伸びているので差が出ていません。遅らせると根が絡んで分けられなくなるので、迷ったら早いほうにしてください。

Q. どの株を残せばいいですか。

A. 背が低く、茎が太い株です。伸びている株を残さないでください。水耕栽培では、伸びているのは光が足りていない印です。双葉が2枚そろっているものを選びます。

Q. 抜いてもいいですか。

A. いけません。スポンジの中で根が編み合わさっているので、1本を引くと残したい株の根まで持ち上がります。根元でハサミを入れて、茎を切ってください。

Q. 切った根は取り出したほうがいいですか。

A. そのままで構いません。役目を終えた根は分解されて消えます。掘り出そうとすると、残した株の根まで動かすことになります。

Q. 間引きした苗はどうすればいいですか。

A. 葉物やハーブなら、洗ってそのまま食べられます。本葉が出たころの芽は柔らかく、味も出ています。移し替えて育てるのはすすめません。切ったものは根が付いていませんし、抜いたものは根が傷んでいます。

Q. 何本まで減らせばいいですか。

A. 迷うならスポンジ1つに1本から始めてください。終わりの線は、隣の株と葉先が触れ合わなくなったときです。触れ合っているうちは、まだ多いと考えます。

次に見るのは、ここ

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