茎だけがひょろひょろ伸びて、葉と葉の間隔が空いてくる。色も薄い。徒長です。
調べると、たいてい「日光不足」と書いてあります。それは正しいのですが、半分です。光を足したのに直らなかった、という経験がある人は、残りの半分に当たっています。
徒長は5つの原因で起きます。この記事では、どれが効いているかの見分け方を書きます。光そのものの話は、別の記事にまとめました。
- 徒長=光不足、とは限りません。原因は5つあります。
- 光・密植・窒素過多・夜の温度・風。光を足しても直らないなら、残りが効いています。
- 伸びてしまった節は、縮みません。直ったかどうかは、次に出る節で見ます。
- 室内なら、まず光です。うちも部屋の明かりだけでは徒長しました。
- 間引きは、いちばん早く効きます。光を増やせない場所でも、株を減らせば届きます。

徒長の原因は5つある
先に全部出します。光・密植・窒素過多・夜の温度・風。この5つです。
いちばん多いのは光です。だから最初に疑うのは正しい。問題は、光を足しても直らなかったときに、次に何を見るかです。
そして厄介なことに、これらは同時に起きます。密に植えれば下の葉に光が届かず、風も通らなくなり、湿気がこもる。ひとつ直すと別のものが見えてくる、という順番になります。
順に見ていきます。ただし先に言っておくと、ひとつに絞ろうとしないでください。実際には2つ3つが重なっていることのほうが多く、「これが原因だった」と特定できる場面は、そう多くありません。効きそうな順に潰していく、という進め方になります。
① 光が足りない|まずここを疑う
植物が背を伸ばすのは、光を探しているからです。上に行けば当たるかもしれない——その動きが徒長として出ます。
室内なら、これがほとんどです。うちも部屋の明かりだけで育てて、徒長させました。植物育成ライトを足したら止まりました。
窓際でも足りないことがあります。ガラス越しの光は、屋外よりかなり弱くなります。人の目には明るく見えても、葉が使える量は別です。
屋外なら、置き場所です。直射が1日4〜6時間当たれば、葉物とハーブは足ります。明るい日陰でも育ちますが、徒長は出やすくなります。
見分け方は単純で、光を足してみることです。それで新しく出る葉の間隔が詰まれば、原因は光でした。変わらないなら、次へ進みます。

② 密に植えすぎ|光を足しても届かない
次がこれです。株が近すぎると、隣が影になります。
やっかいなのは、光を増やしても解決しないことです。上からいくら当てても、隣の葉に遮られた下の葉には届きません。だから「光は足りているはずなのに徒長する」という状態になります。
うちでも起きました。株を植えすぎた槽で、葉の色が薄く、姿が間延びしたことがあります。光の量ではなく、密度の問題でした。
水耕栽培では、穴があると埋めたくなるのが落とし穴です。48穴のパネルなら48株植えられる、と考えてしまう。でも育ったときの葉の広がりは、穴の間隔より大きい。
間引きは、いちばん早く効きます。光を増やせない場所でも、株を減らせばその場で届くようになります。もったいなく感じますが、全部が徒長するより、半分が育つほうが穫れます。
③ 窒素が多すぎる|茎ばかり伸びる
3つめは養分です。窒素が多いと、茎と葉が勢いよく伸びます。
窒素は葉を茂らせる養分なので、多ければ育つ——と思いがちですが、多すぎると伸びるほうに偏ります。茎が長く、やわらかく、色は濃い緑になります。
光不足の徒長との見分けは、色です。光が足りないときは色が薄くなりますが、窒素過多では濃い緑のまま伸びます。ひょろ長いのに色が濃いなら、こちらです。
そして順番。肥料を足したあとに出たなら、まず窒素を疑ってください。
うちのようにアクアポニックスなら、窒素は魚の餌から来ます。餌を増やしすぎた時期に、同じことが起きます。
④ 夜の温度が高い|昼と夜の差が小さい
これは知られていませんが、効きます。夜の温度が下がらないと、茎は伸びます。
農研機構が花の苗で調べた研究があります。昼より夜のほうが低い条件にすると、茎の伸びが抑えられたというものです。逆に、夜が高いままだと伸びる。
この研究は花の苗のものなので、野菜にそのまま当てはめるつもりはありません。ただ「夜が下がらないと伸びる」という向きは、心当たりのある人が多いはずです。真夏の夜に、株が急に間延びした——という経験です。
家庭でできることは限られています。夜に照明を消すこと、そして夏は風を通して熱をこもらせないこと。点灯は12〜14時間が目安で、24時間つけっぱなしは逆効果です。
室内で、暖房の効いた部屋に置いているなら、そこも疑ってください。人が快適な夜は、株にとっては高いことがあります。

⑤ 風がない|茎が太くならない
最後に、いちばん見落とされるものです。風が当たらないと、茎は太くなりません。
屋外で育った株は、風に揺られています。揺れるたびに、植物は倒れないよう茎を太くします。室内には、その刺激がありません。
だから室内の株は、同じ光を当てても、屋外より細く長くなりがちです。徒長そのものというより、徒長に見える細さが出ます。
対策は簡単で、弱い風を当てることです。扇風機やサーキュレーターを、直接ではなく壁に当てて跳ね返す程度で足ります。強すぎると乾きます。
風には、もうひとつ効き目があります。湿気がこもらなくなるので、虫と病気が減ります。茎を太くするためだけの手ではありません。
間引くとき、どれを残すか
密度が原因だと分かっても、次に迷うのがどれを抜くかです。
基準は単純で、いちばん徒長している株から抜きます。ひょろ長い株は、これから先も追いつきません。残しても、隣の光を奪いながら弱いままです。
逆にいちばん大きい株を残す、とは限りません。見るのは高さではなく、太さと節の詰まり具合です。背が低くても、茎がしっかりして葉が近い株のほうが、そのあと伸びます。
抜く量は、一度に3分の1までにしてください。いきなり半分にすると、槽の中の水の減り方も、根の量も急に変わります。数日おいて、もう一度見ます。
抜いた株は捨てなくてかまいません。葉物なら、そのまま食べられます。ベビーリーフとして穫るのと、やっていることは同じです。
間引いたあと、残した株が急に太くなることがあります。これは光が届くようになった証拠です。逆に、抜いても何も変わらないなら、密度は原因ではありませんでした。そのときは次の原因へ進みます。判断の材料としても使える、ということです。
そして次に植えるときは、穴をひとつ飛ばしで使うことを考えてください。48穴あっても、24株のほうがよく育つことがあります。穴の数は、植えられる数であって、育てられる数ではありません。
種まきの段階で徒長したら
いちばん多いのが、じつはここです。芽が出た直後の数日で、茎だけがひょろりと伸びる。まだ本葉も開いていないのに、双葉の下が長くなっている状態です。
原因はほぼ光です。芽が出たあと、暗いところに置いたままにしていないかを確かめてください。暗くして発芽させる品目でも、芽が出たら覆いを外します。そこを1日忘れるだけで、目に見えて伸びます。
もうひとつが温度です。発芽を早めようとして暖かい場所に置くと、光が足りないまま伸びる速さだけが上がります。暖かさと明るさは、セットで用意する必要があります。
この段階の徒長は、あとから直せません。ただし損は小さい。スポンジ1つぶんです。育ててから気づくより、はるかに安く済みます。
まき直すときは、置き場所を先に決めてからにしてください。同じ場所でまき直せば、同じ結果になります。
ハーブと葉物で、出方が違う
品目によって、徒長の出方と困り方が変わります。
レタス類は、徒長しても穫れます。葉を食べるので、茎が伸びていても外葉から収穫できます。姿は悪くなりますが、実害は小さい。
バジルやシソのような、摘みながら育てるものは影響が大きい。節と節の間が空くと、収穫できる葉の数そのものが減ります。長く育てるぶん、差が積み重なります。
そして実のなるものは、徒長すると支えられなくなります。細い茎に実の重さがかかると、そこで倒れます。深水式で実ものが難しいのは、支える力が無いことに加えて、この細さも効いています。
だから何を育てているかで、どこまで許容するかを決めてかまいません。葉物なら穫ってしまう。摘む系と実ものなら、早めに手を打つ。そういう分け方です。
徒長した株は、元に戻るのか
ここははっきりしています。伸びてしまった節は、縮みません。
間延びした部分は、そのまま残ります。株全体が元の姿に戻ることはない。だから「直った」の判断は、いま伸びている茎ではなく、これから出る節でします。
手を打ったあと、新しく出る葉と葉の間隔が詰まってきたら、それが効いた証拠です。1週間ほど見れば分かります。
すでに伸びきった株をどうするか。葉物なら、そのまま育てて穫ってしまうのが早いです。姿は悪くても食べられます。外葉から穫る形にすれば、収量もそれなりに取れます。
種まきの段階で徒長したなら、話は別です。そこは作り直したほうが早い。スポンジごと替えられるので、失うものは小さく済みます。

順番に潰す|どれから見るか
最後に、手を動かす順番です。上から順に、確かめるのが速い順に並べています。
1つめ、密度。これは見ればすぐ分かりますし、間引けばその場で変わります。いちばん速い。
2つめ、光。足せる場所なら足す。足せないなら置き場所を変える。
3つめ、色を見る。濃い緑のままひょろ長いなら窒素です。薄いなら光が残っています。
4つめ、風。室内なら、これだけで茎のしっかり具合が変わります。
5つめ、夜の温度。ここまで来て残っているなら、夜を疑います。家庭では動かしにくいので最後です。
そして1つ変えたら、1週間見る。同時に全部変えると、何が効いたか分からなくなります。
記録しておくと、この見比べが楽になります。何日に何を変えたか。1行でかまいません。徒長は、変化がゆっくり出るので、記憶だけだと前と比べられません。「先週より詰まった気がする」で終わってしまいます。
→ 容器ごとの記録を、次に迷ったときに引き出せる
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まとめ
徒長は光不足だけで起きるわけではありません。光・密植・窒素過多・夜の温度・風の5つです。
光を足しても直らないなら、まず密度を見てください。株が近いと、上から当てても下には届きません。間引きは、いちばん早く効きます。
ひょろ長いのに色が濃いなら窒素。室内で細いだけなら風。ここまで潰して残るなら、夜の温度を疑います。
そして、伸びた節は縮みません。直ったかどうかは、これから出る節の間隔で見てください。
参考にした資料
- 農研機構「昼夜温度差処理(DIF)による花き苗の生育制御」(1996年)——昼より夜が低い条件で茎の伸びが抑えられる。花き苗での研究です
よくある質問(FAQ)
Q. 水耕栽培で徒長する原因は何ですか。
A. 5つあります。光不足、密に植えすぎ、窒素が多すぎる、夜の温度が高い、風がない。いちばん多いのは光ですが、光を足しても直らないなら残りの4つが効いています。
Q. 光を足したのに徒長が止まりません。
A. 密度を見てください。株が近いと、上から光を当てても隣の葉に遮られて下に届きません。間引くと、その場で変わります。
Q. ひょろ長いのに色は濃い緑です。
A. 窒素が多すぎる可能性があります。光不足では色が薄くなりますが、窒素過多では濃いまま伸びます。肥料を足したあとに出たなら、まずこれを疑ってください。
Q. 夜の温度は関係ありますか。
A. 関係します。農研機構が花の苗で調べた研究では、昼より夜が低い条件で茎の伸びが抑えられました。野菜にそのまま当てはまるとは言えませんが、夜が下がらないと伸びやすい向きは同じです。夜は照明を消し、夏は熱をこもらせないでください。
Q. 風は本当に効きますか。
A. 効きます。揺れると、植物は倒れないよう茎を太くします。室内にはその刺激がありません。扇風機を壁に当てて跳ね返す程度の弱い風で足ります。
Q. 徒長した株は元に戻りますか。
A. 伸びた節は縮みません。株全体が元の姿に戻ることはないので、直ったかどうかは、これから出る節の間隔で判断してください。1週間ほどで分かります。
Q. 徒長した苗は捨てたほうがいいですか。
A. 葉物ならそのまま育てて穫れます。姿は悪くても食べられます。種まきの段階で徒長したなら、スポンジごと替えて作り直すほうが早いです。
徒長の原因ごとに、次はここへ
光が足りないなら光はどれだけ要るのかへ。室内で育てているなら室内でやる|足りなくなるのは光へ。窒素が多いと感じたら肥料は足していいのかへ。徒長のあとに枯れてきたら水耕栽培で枯れる|どこから枯れたかへ。まき直すならスポンジで種まきへ。

