アクアポニックスのカリウム不足|不足と過剰のサインと補充方法
アクアポニックス
2024.06.15
アクアポニックスで野菜を育てていると、窒素やリンに比べてカリウム不足が見落とされがちです。魚のフンで窒素は十分に供給されるのに、なぜかカリウムだけが足りなくなる——これには構造的な理由があります。
結論から言うと、魚の餌にはカリウムがごく少量しか含まれていません。窒素・リンは魚由来である程度まかなえますが、カリウムは別途補う必要のある養分です。そして補充する際は、一度に大量に入れず、少量から様子を見るのが鉄則です。
- 窒素・リンは魚の餌由来である程度まかなえるが、カリウムはごく少量しか含まれず不足しやすい。
- 不足は古い葉が先端から黄化、過剰は葉脈間の緑が薄く縁がでこぼこになる。
- 補充は少量から始め、数日おきに様子を見ながら調整する。一度に大量投入しない。
カリウムは窒素・リンと違い、魚の餌からはほとんど供給されない養分です。
カリウムの重要性
この点は国連食糧農業機関の技術報告(2014年)でも扱われています。養液の中でカリウムが足りにくくなること、そのときに葉のふちから傷むことが書かれています。
植物の健全な成長には、窒素(N)・リン(P)・カリウム(K)という三大栄養素が欠かせません。
窒素とリンは魚の餌由来である程度まかなえますが、カリウムだけは構造的に不足しやすい栄養素です。
窒素は主に葉の成長を促進し、クロロフィルの形成に関わります。リンは根や花、実の発育を助けます。そしてカリウムは、光合成の効率を高め、細胞の水分バランスを維持し、病害への抵抗力を強くする役割を担います。
アクアポニックスでは、魚の餌に窒素とリンは多く含まれる一方、カリウムはごく少量しか含まれていません。だからこそ、他の栄養素が足りていても、カリウムだけが慢性的に不足しやすいのです。
不足と過剰、それぞれのサイン
カリウムは不足しても過剰になっても、葉に変化が現れます。見た目で判断できるようにしておくと、対処が早くなります。
不足と過剰はどちらも葉の変化として現れますが、症状の出方が違います。焦って大量に足すと過剰側に振れるので注意が必要です。
不足のサインは「古い葉が先端から黄色くなる」ことです。窒素不足やマグネシウム不足と紛らわしいので、アクアポニックスで葉が黄色い原因は鉄不足で解説した見分け方とあわせて確認してください。
過剰のサインは「葉脈の間の緑が薄くなり、葉の縁が巻き上がってでこぼこになる」ことです。カリウムを入れすぎると、他の養分の吸収を妨げてしまうこともあるため、良かれと思って多めに入れるのは逆効果になります。
カリウムの補充方法
市販のカリウム添加剤を使えば、手軽に補充できます。
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補充の進め方
効果を焦らず、安全に補充するための進め方です。
カリウムは効果が見えるまで数日かかります。焦らず少量ずつ、変化を見ながら調整するのが基本です。
いちばん大事なのは「少量から始める」ことです。一度に大量のカリウムを添加すると、水質が急激に変わり、過剰添加のリスクが高まります。少量ずつ足しながら数日おきに葉の様子を観察し、改善が見られなければ少しずつ量を増やしていきます。
そして忘れてはいけないのが、添加剤は魚がいる水に入れるものだということです。植物用の製品でも、成分によっては魚に影響が出ることがあります。アクアポニックスで使えると明記された製品を選び、規定量を守って使ってください。
添加剤は魚がいる水に入れるもの。規定量を守り、少量から様子を見て補います。
他の養分とのバランス
カリウムだけを突出して補っても、健全な成長にはつながりません。鉄・カルシウム・マグネシウムなど、魚のフンから供給されない養分は他にもあります。葉の症状を見ながら、必要な養分を必要な分だけ補うという姿勢が大切です。
水質全体の考え方はアクアポニックスで失敗する原因は水質管理にまとめています。あわせて確認しておくと、養分管理の全体像がつかみやすくなります。
アクアポニックスは資本がある人のものだと思われがちですが、個人でも始められます。設備にいくら掛かったのか、どこでつまずいて、どう直したのか。鷲林寺アクアファームの実践の記録を
noteに書いています。見学に来られた方はのべ100人を超えました。
→ 個人で始めたアクアポニックスの費用と失敗をnoteで読む
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よくある質問(FAQ)
Q. アクアポニックスでカリウムはなぜ不足しやすいのですか?
A. 魚の餌には窒素とリンは多く含まれますが、カリウムはごく少量しか含まれていないためです。窒素とリンは魚由来である程度まかなえますが、カリウムは別途補う必要があります。
Q. カリウム不足のサインは何ですか?
A. 古い葉が先端から黄色くなるのが典型的な症状です。窒素不足やマグネシウム不足と紛らわしいので、黄色くなる場所(新しい葉か古い葉か)とあわせて確認すると見分けやすくなります。
Q. カリウムを入れすぎるとどうなりますか?
A. 葉脈の間の緑が薄くなり、葉の縁が巻き上がってでこぼこになります。過剰なカリウムは他の養分の吸収を妨げることもあるため、良かれと思って多めに入れるのは逆効果です。
Q. カリウムはどのように補充すればよいですか?
A. 市販のカリウム添加剤を使うのが手軽です。一度に大量に入れず、少量から始めて数日おきに葉の様子を観察しながら、必要に応じて少しずつ増やしていってください。
Q. カリウム添加剤は魚に影響しませんか?
A. 製品によっては影響が出ることがあります。アクアポニックスで使えると明記された製品を選び、規定量を守って使用してください。植物用の一般的な肥料をそのまま使うのは避けます。
Q. カリウム以外にも補うべき養分はありますか?
A. あります。鉄・カルシウム・マグネシウムなど、魚のフンから供給されない養分は他にもあります。葉の症状を見ながら、必要な養分を必要な分だけ補うのが基本です。
この記事を書いた人
鷲林寺アクアファーム(兵庫県西宮市)
植木屋として5年、アクアリウムは10年。2021年から、義理の祖母が守ってきた農地を休耕地にしないためにアクアポニックスを始め、一人で続けています。書いているのは、その農場で実際に起きたことと、確かめられた範囲のことだけです。
農場見学は全国から受け入れてきました(現在は休止中)。ラジオ関西「羽川英樹 ハッスル!」、雑誌「Mer」などの取材を受けています。