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アクアポニックスの冬越し|加温なしで越冬した記録と、餌を止める水温

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アクアポニックスの冬越し。加温なしで越冬した記録 アクアポニックス

鷲林寺アクアファームが冬にやっていることは、2つだけです。餌を止めることと、野菜に寒冷紗をかけること

加温はしていません。照明も使っていません。冬に壊れたものも、失敗したことも、いまのところありません。

「冬は大変そう」と思われがちですが、条件がそろえば、むしろ手が空く季節です。ただしその条件が3つあります。魚が錦鯉であること、ハウスがあること、そして餌を止めていること。順に書きます。

加温はしていません|ハウスの中は氷が張らなかった

アクアポニックスの冬。無加温のハウスの中と外の違い
外は薄氷でも、ハウスの中の水は凍らない。冬にやることは、餌を止めることと寒冷紗をかけること。
ビニールハウスの中のアクアポニックス。上が栽培槽、下が錦鯉の水槽
ハウスの中。加温設備は入れていない。

いちばん冷えた朝で、ハウスの中の気温は氷点下2℃くらいまで下がりました。外に置いた水には薄い氷が張っていましたが、ハウスの中のシステムには氷が張りませんでした

加温設備は入れていません。成り立っているのは、魚が錦鯉だからです。錦鯉は日本の冬をそのまま越せる魚で、水温が下がれば動きを落として春を待ちます。

ここが分かれ目です。ティラピアを飼っているなら、同じ話は通りません。加温なしでは越冬できないので、冬は電気代がそのまま乗ります。冬の運営は、魚を選んだ時点で半分決まっていますアクアポニックスの魚の選び方)。

保温は、3枚重ねになっている

アクアポニックスの冬の保温。ビニールハウス・寒冷紗・水そのものの3枚で外の寒さをそぐ
加温設備を足す前に、この3枚が効いているか見る。

加温していないのに凍らないのは、寒さを3回そいでいるからです。

1枚目がハウスです。ビニール1枚でも、外と中では朝の冷え方がまるで違います。気温が氷点下2℃まで下がった日に、外は薄氷、中は氷なし。この差がそのままハウスの効きです。

2枚目が寒冷紗です。野菜に直接かけて、夜のあいだに熱が逃げるのを抑えます。夏に日ざしを弱めるために使う布ですが、冬は逆に、ふとんのような使い方になります。

冬に使うなら白を選んでください。黒や銀は日ざしを遮るために作られているので、冬にかけると、昼のあいだ野菜に届く光まで減らしてしまいます。白は光を通しながら、夜に熱が逃げるのを抑えてくれます。

3枚目が水そのものです。水は空気よりずっとゆっくりしか冷えません。同じ場所に置いても、水の多い槽ほど朝の水温が高く残ります。方式によって総水量が違うので、3方式の選び方はそのまま冬の強さの差にもなります。

ベランダなどで小さく作っているなら、背の低い温室をかぶせるだけでも1枚目の代わりになります。ただし水量が少ないぶん、3枚目が効きません。小さい設備ほど、朝の冷え込みが直に届きます。

餌を止める温度と、再開する温度は違う

錦鯉が水面で餌を食べている様子
秋のうちは、よく食べる。この食欲が落ちてくるのが、止めどきの合図。
アクアポニックスの冬の餌やり。秋は15℃で止め、春は10℃で再開する
止める温度と、再開する温度は同じにしない。

餌を止めたのは、水温が安定して15℃を切ってからです。一度下がっただけでは止めません。その水温が続くようになってから止めます。

再開したのは、春に水温が安定して10℃を超えたころでした。止めた温度より、低い温度で再開しています

矛盾しているようですが、理由があります。秋の12℃は、明日もっと冷えます。春の12℃は、明日もっとぬるみます。同じ数字でも、向きが逆なのです。

だから秋は、消化が追いつかなくなる前に早めに止める。春は、これから上がっていくと分かっているので、少し低いところから再開できる。止める温度と再開する温度を同じにしないこと。これが冬をまたぐときのこつです。

冬から春にかけては、低水温用の餌を使いました。水温が低いときは魚の消化そのものが落ちるので、通常の餌だと胃に残ります。低水温用は、そこを軽くしてある餌です。

そして、この判断はすべて水温の数字でしています。外気温でも、日付でもありません。水温計が1本無いと、止めどきも再開どきも決められません。

水が壊れないのは、餌を止めているから

アクアポニックスの水温と冬。17℃で硝化が鈍り、15℃で餌を止め、10℃で硝化がほぼ止まる
止まる順番が分かっていれば、慌てなくて済む。

冬に水質が崩れなかったのは、加温したからではありません。餌を止めたからです。

水温が下がると、汚れを分解している細菌のはたらきが落ちます。17℃あたりから鈍りはじめ、10℃を下回るとほぼ止まります(硝化サイクルの仕組みに出典つきでまとめました)。

分解が止まるなら水は汚れるはずですが、同時に汚れの出どころである餌も止まっています。だから釣り合うのです。冬の水槽で数値が動かないのは、失敗ではなく、両側が止まっている状態です。

逆に言えば、水温が下がったのに餌の量を変えないのが、いちばん危ない。分解する側だけが止まって、汚れる側は動き続けます。冬に魚を落とす話の多くは、寒さではなくこれです(水質管理)。

冬に作っていた野菜|リーフレタス

アクアポニックスで冬に育てるリーフレタス
冬はリーフレタス。上から寒冷紗をかけて保温する。

冬に作っていたのはリーフレタスです。寒さに強く、低い水温でも育ちます。上から寒冷紗をかけて、夜の冷え込みをやわらげていました。

ただし、夏と同じようには育ちません。冬は魚が餌を食べないので、水に出てくる栄養そのものが減ります。魚が食べていない季節は、野菜も痩せます。足りない症状の見分け方は野菜が育たないへ。

だから冬は、株数を増やそうとしないほうがいいです。同じ量の栄養を多くの株で分け合うことになって、全部が細くなります。何を植えるかはおすすめの野菜にまとめました。

照明は使っていません

アクアポニックスの栽培槽で育つ葉物野菜
冬の日ざしは弱いが、光を足す前に見るのは水温のほう。

冬は日が短くなるので、照明を足したくなります。ただ、ここでは使っていません。

水温が低い時期は、光を足しても成長そのものがゆっくりだからです。光が足りていないのか、温度が足りていないのか。先に見るのは温度のほうです。

屋内で作っていて、そもそも日が入らないなら話は別です。その場合は光が本当に足りていません。ハウスや屋外なら、まず水温を測ってからでいいと思います。

よくある質問

冬にヒーターは必要ですか。

魚によります。錦鯉なら、屋外でも加温なしで越せます。うちでは加温していません。ハウスの中の気温が氷点下2℃まで下がった朝も、水は凍りませんでした。ただしティラピアは別で、加温しないと越冬できません。

餌はいつ止めればいいですか。

水温が安定して15℃を切ったら止めます。一度下がっただけで判断せず、その水温が続くようになってからです。止めどきを間違えると、消化しきれない餌がそのまま水を汚します。

春はいつ餌を再開しますか。

水温が安定して10℃を超えたころです。止めた15℃より低いのは、春が上がっていく途中だからです。同じ12℃でも、秋は明日もっと冷え、春は明日もっとぬるみます。止める温度と再開する温度は、同じにしなくていいのです。

冬でも餌をやらないと、魚は痩せませんか。

冬の魚は代謝が落ちていて、餌を食べません。食べないものを入れれば、そのまま水の汚れになります。秋のうちにしっかり食べさせておくのが本当の対策です。

冬に水質が悪くなりませんか。

餌を止めていれば、大きくは悪くなりません。水温が10℃を下回ると硝化のはたらきはほぼ止まりますが、同時にアンモニアの出どころである餌も止まっているので、釣り合います。危ないのは、水温が下がったのに餌の量を変えないときです。

冬に野菜は作れますか。

作れます。うちではリーフレタスを育てていました。寒冷紗をかけて保温しています。ただし冬は魚が餌を食べないぶん、水に出てくる栄養も減ります。夏と同じようには育ちません。

照明は必要ですか。

ここでは使っていません。冬は日が短くなりますが、そもそも水温が低くて成長そのものがゆっくりです。光を足す前に、まず温度を見てください。

まとめ

冬にやったことは、餌を止めることと、寒冷紗をかけることだけでした。加温も照明もしていません。

止めるのは水温が安定して15℃を切ってから。再開は春に安定して10℃を超えてから。止める温度より再開する温度が低いのは、秋と春で水温の向きが逆だからです。

そして、これが成り立つのは魚が錦鯉だからです。冬の運営は、魚を選んだ時点で半分決まっています。加温設備を買い足す前に、ハウス・寒冷紗・水量の3枚が効いているかを見てください。

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魚はおすすめの魚、水質は水質管理、方式は3方式の選び方へ。