引っ越しが決まった。荷物は業者に頼めるけれど、メダカは自分で運ぶしかない。何時間もつのか、どの容器に入れるのか。
調べると、運び方の話ばかり出てきます。袋がいい、ケースがいい、水はどれくらい。
ただ、実際に落ちるのは道中ではありません。着いてから数日です。新しい家の水が、まだできていないからです。
- 落ちるのは道中ではなく、着いてから数日です。新居の水がまだできていないからです。
- だから準備の順番は「向こうの水が先、運ぶ道具はあと」。逆にすると間に合いません。
- 運ぶときは時間で入れ方を変えます。2時間までなら水多め、半日なら空気を増やします。
- 前の日から餌を止めてください。道中で水を汚さないためです。
- いまの飼育水を持っていってください。向こうの水を早く仕上げる種になります。
メダカの引っ越しで、いちばん難しいのはどこか
先に結論を書きます。運搬ではなく、向こうの水です。
メダカは、数時間の移動には耐えます。袋の中は狭くて揺れますが、それだけで死ぬ魚ではありません。通信販売で1日かけて届くことを考えれば、車で数時間は短いほうです。
問題はそのあとです。新居に着いて、水道水を張った容器に入れる。その水は、まだ水になっていません。
魚の出したものを処理する菌が、まだ住み着いていないからです。透明でも、中身は空っぽです。そこへ魚を入れれば、数日でアンモニアが溜まります。
だから引っ越しの準備は、出発の日ではなく、その前から始まります。向こうの水を先に作る。運ぶ道具はそのあとで構いません。
順番を逆にすると、道中はうまくいったのに、1週間後に減っていく——という形になります。

向こうの水を先に作る
いちばん効くのがここです。できるなら、引っ越しの2〜3週間前から。
とはいえ、たいていは新居に前もって行けません。だから現実的な手はこうです。
いまの飼育水を、できるだけ多く持っていきます。菌はおもに底や壁やろ材に付いていますが、水にもいます。新しい容器に入れれば、種になります。
もっと効くのはろ材やスポンジをそのまま持っていくことです。水を抜いて、湿らせたまま袋に入れます。乾かさないでください。乾けば、住んでいた菌ごと失います。
水草を入れているなら、それも持っていきます。使い慣れたものほど、菌が付いています。
そして向こうでは、持ってきた水と、新しく用意した水を混ぜます。いきなり全部を新しい水にしないでください。
運ぶ時間で、入れ方が変わる
ここからが運搬です。何時間かかるかで、入れ方を変えます。
2時間までなら、水を多めで構いません。フタのできるケースやバケツに、いつもの飼育水を入れて運びます。揺れて水がこぼれない程度に、上を空けておきます。
半日かかるなら、水を減らして空気を増やします。送るときと同じ考え方で、水は3分の1、残りは空気です。水が多いほど酸素が減るのが早くなるので、逆にします。
1日以上かかるなら、酸素を用意します。観賞魚用の袋に水と酸素を詰めて、口を二重に締めます。途中で開けないでください。開ければ、詰めた意味がなくなります。
どの場合も、詰めすぎないことです。1つの容器に入れる数を減らすほうが、確実に着きます。
そして暗くします。箱に入れる、布をかける。見えないほうが暴れません。動かなければ酸素も減りません。

前の日から、餌を止める
準備でいちばん忘れられるのがこれです。出発の前日から、餌を止めてください。
理由は単純で、フンが水を汚すからです。閉じた袋の中では、汚れの行き場がありません。
送るときも同じで、前の日から止めるのが型です。成魚なら数日食べなくても平気なので、心配は要りません。
着いた日も、与えないでください。環境が変わった直後は消化も落ちています。食べ残しが沈めば、できたばかりの水をさらに汚します。
再開は翌日から、少しだけ。いつもの量に戻すのは、数日かけてからです。
着いたら|温度が先、水質はあと
着いてすぐ移したくなりますが、順番があります。
まず温度です。袋やケースごと、新しい容器に30分ほど浮かべます。中と外の温度が近づくのを待ちます。
1日のうちに5℃動くような変化は、それ自体が体への負担です。移動中に袋の水が冷えたり温まったりしていれば、差はもっと開いています。
そのあと水質です。新しい容器の水を、少しずつ袋に足していきます。一度に入れず、何回かに分けます。
そして魚だけを移します。持ってきた水は、そのまま容器へ入れて構いません。むしろ種水になります。
ここで網を使ってください。手で掴まないでください。体表の粘膜が傷つきます。
針子と卵は、別に考える
成魚と同じにできないものが2つあります。
針子です。成魚なら数日食べなくても平気ですが、針子は1日でも切らすと落ちます。だから「前日から餌を止める」を、そのまま持ち込めません。
針子を運ぶなら、できるだけ短時間で。そして向こうに着いたら、すぐに餌をやれる状態にしておきます。青水ごと運べるなら、そのほうが安全です。
卵のほうが、じつは楽です。産卵床ごと、水を張った小さな容器に入れて運べます。卵は成魚より揺れに強く、酸素も多くは要りません。
引っ越しが決まっていて時期を選べるなら、卵の状態で移すのがいちばん確実です。向こうで孵せば、最初からその水で育ちます。
真夏と真冬は、動かす日をずらせるなら、ずらす
時期の話をします。引っ越しの日は選べなくても、メダカを運ぶ日は選べることがあります。
真夏は、車の中が問題です。停めた車の中は、外より上がります。30℃を超えると水中の酸素が減るので、暑さと酸欠が重なります。
真冬は逆で、動きが鈍っているところに移動が加わります。冬は本来、触らない時期です。
送るときは、猛暑と真冬に出さないのが型です。自分で運ぶ場合も、考え方は同じです。
どうしてもその時期になるなら、時間帯をずらします。夏なら早朝、冬なら日中。車内に置きっぱなしにしないことのほうが、容器選びより効きます。
水槽ごと運ぶか、魚だけ運ぶか
迷うところなので、分けて書きます。水槽そのものを運ぶか、中身だけ移すか。
結論から言うと、水を入れたまま運ぶことはできません。ガラス水槽は、平らな場所に置かれている前提で作られています。水が入ったまま持ち上げれば、重さが枠の一部に集中します。
砂利や石も同じです。運ぶ前に出してください。中身が入ったまま傾けると、内側から角に力がかかります。
屋外のプラスチック容器なら、割れる心配は少なくなります。ただし水は抜きます。60リットルの容器なら、水だけで60キロを超えます。持てません。
だから実際の手順はこうなります。魚と水とろ材を分けて運び、向こうで組み直す。容器は空にしてから積みます。
そして容器は洗わないでください。内側に付いているものが、向こうで水を作る側に回ります。ざっと汚れを落とす程度で十分です。

着いてからの1週間|終わりの判断
運び終えたら終わり、ではありません。本番はここからです。
1週間は、いじらないでください。水を換えたくなりますが、できたばかりの水をさらに薄めることになります。
見るのは数です。1日1回、数えます。1匹だけなら個体の問題ですが、続けて落ちるなら水のほうです。
餌は少なめのままにします。食べ残しが出れば、水ができる前に汚れが増えます。
3日続けて1匹も落ちなければ、いったん越えたと考えてよいです。そこから餌の量を戻していきます。
逆に、4日目、5日目と続けて落ちるなら、水のほうを見てください。運び方ではありません。もう着いているのだから、原因は容器の中にあります。
→ 運んだ日と、落ちた数を残しておく
台帳でできることを、もう少し詳しく
まとめ
メダカの引っ越しで難しいのは、運ぶことではありません。向こうの水です。落ちるのは道中ではなく、着いてから数日です。
だから準備は水が先。いまの飼育水とろ材を持っていって、新居の水に混ぜてください。ろ材は湿らせたまま、乾かさないように運びます。
運ぶときは時間で変えます。2時間までなら水多め、半日なら水を3分の1にして空気を増やし、1日以上なら酸素を詰めます。前の日から餌は止めます。
着いたら温度が先、水質があと。そこから1週間はいじらず、数だけ数えてください。3日続けて落ちなければ、越えています。
よくある質問(FAQ)
Q. メダカの引っ越しで、いちばん気をつけることは何ですか。
A. 向こうの水です。落ちるのは道中ではなく、着いてから数日で、新居の水がまだできていないためです。いまの飼育水やろ材を持っていって、種にしてください。
Q. メダカは袋のまま何時間もちますか。
A. 水量・匹数・気温で変わるので、時間だけでは決められません。2時間までなら水を多め、半日なら水を3分の1にして空気を増やし、1日以上なら酸素を詰めて口を二重に締めます。
Q. メダカを引っ越しさせるときの水合わせは、どうしますか。
A. 温度が先、水質があとです。袋ごと新しい容器に30分ほど浮かべて温度を合わせ、そのあと新しい水を少しずつ袋に足していきます。最後に魚だけを網で移します。
Q. メダカの針子を引っ越しするには、どうしたらいいですか。
A. 成魚と同じにしないでください。針子は1日でも餌を切らすと落ちるので、できるだけ短時間で運び、着いたらすぐ与えられるようにしておきます。青水ごと運べるなら、そのほうが安全です。
Q. 新居では、いつ水を用意すればいいですか。
A. できるなら2〜3週間前からですが、前もって行けないことがほとんどです。その場合は、いまの飼育水とろ材を持っていって、向こうの水と混ぜてください。ろ材は湿らせたまま運び、乾かさないでください。
Q. 引っ越しの前後で、餌はどうしますか。
A. 前の日から止めます。閉じた容器の中では、フンの行き場がありません。着いた日も与えず、翌日から少しだけ再開してください。
Q. 着いたあと、すぐ水換えをしたほうがいいですか。
A. しないでください。1週間はいじらないほうが早く安定します。できたばかりの水を薄めることになります。
Q. 真夏や真冬に引っ越すことになりました。
A. 運ぶ日や時間帯をずらせるなら、ずらしてください。夏は停めた車の中が外より上がり、冬は動きが鈍っているところに移動が重なります。夏なら早朝、冬なら日中です。
次に見るのは、ここ
向こうの水を作るなら水槽の立ち上げは即日できる?生体を当日入れる手順へ。着いてから移すならメダカの水合わせと立ち上げ|買ってすぐ死なせないための手順へ。自分で運ばずに送るならメダカの発送方法|成魚はゆうパック一択、卵は小型便でも送れるへ。着いてから続けて落ちるならメダカが次々死ぬ|原因は個体でなく環境へ。卵の状態で移すならメダカの卵|透きとおれば育つ、白は抜くへ。

