メダカの冬越しで何をすればいいのか、毎年この時期に同じことを調べている——という方は少なくないと思います。
その調べものは、じつは季節がひとつ前にずれています。冬越しが失敗するかどうかは、秋のうちにほとんど決まっています。水温が下がりきってからできることは、驚くほど少ないのです。
そしてもうひとつ。すべてのメダカが屋外で越冬できるわけではありません。体が小さい個体や痩せた個体は、そのままでは春を迎えられません。まずここを見極めることから始めます。

- 冬越しの成否は、秋のうちに決まっています。水温が下がってからできることは、ほとんどありません。
- すべての個体が越せるわけではありません。小さい個体と痩せた個体は、そのままでは厳しい。
- 9月後半以降に生まれた稚魚は、室内へ。冬までに1.5センチまで届かないことが多いからです。
- 容器の見直しも秋に。水量が多いほど、水温は下がりにくく凍りにくい。
- 冬に見るのは3つだけ。底まで凍っていないか、水位が下がっていないか、落ち葉が溜まりすぎていないか。
- 餌は15℃で減らし、10℃以下で止めます。真冬よりも春先に落とすことが多いと言われるので、餌と水換えの再開は少量から。
屋外でメダカを越冬させるには|手元の個体は越せるのか
最初に確かめてほしいのが、手元の個体が冬を越せる状態かどうかです。ここを飛ばして防寒だけ整えても、結果は変わりません。

目安は体長1.5センチ以上です。これを下回る個体は、餌を食べられない数か月を乗り切るのが難しくなります(私はこの線で分けています)。
もうひとつが体つきです。上から見て背中に厚みがあり、腹に丸みがあるかを見てください。同じ体長でも、痩せている個体は越冬に耐えられません。数字だけでなく、肉付きで判断します。

判断に迷ったら、室内へ移すほうを選んでください。屋外に残して失うより、室内で春まで持たせるほうが確実です。
秋に生まれた稚魚は、室内へ
いちばん多い相談がこれです。9月後半以降に生まれた個体は、冬までに1.5センチまで届かないことが多いです。
この場合は室内に入れ、加温して育ててください。水温を保てば成長が止まらないので、春には屋外へ出せる大きさまで届きます。そろえる道具は多くありません。必要なものはメダカの室内飼育に必要なものにまとめています。
逆に言えば、秋の産卵をどこかで止めておくと、この問題自体が起きません。産卵床を引き上げる時期を早めるのも、冬越しの準備のうちです。
冬越しの勝負は、秋に終わっている

ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。冬越しの準備とは、冬にやることではなく、秋にやることです。

メダカは変温動物なので、水温が下がると代謝も落ちて餌を食べなくなります。つまり体力を蓄えやすいのは、水温が15℃を上回っているあいだです。
9月から10月上旬は、夏の暑さが引いて食欲が戻る時期にあたります。この時期にしっかり食べさせて太らせておくことが、冬を越す力になります。秋に痩せたまま冬に入った個体を、冬のあいだに太らせることはできません。
逆に、ここさえ押さえておけば、冬にやることはほとんどありません。慌てて防寒具を買い足すより先に、10月のうちにしっかり食べさせてください。
メダカの越冬に必要なサイズと水深|容器は秋のうちに整える
冬に容器を動かすのは避けたいので、置き場所の見直しも秋に済ませます。水量が多いほど水温は下がりにくく、凍りにくくなります。小さな容器で越冬させているなら、この機会に大きなものへ移してください。
水深も重要です。浅い容器は表面から底まで凍りやすく、逃げ場がなくなります。私は、水深を最低でも15センチ、できれば20センチ以上にしています。深さがあれば、表面が凍っても底のほうは水のまま残ります。
植物プランクトンで緑がかった青水は、冬のあいだも少しずつ口にできる餌になると言われます。
水草を入れるなら、秋の初めまでに。冬に新しく足すものではありません。冬の水草は枯れて底で腐りやすく、マツモは水換えのあとに溶けることもあります。茶色くなったものや溶けたものは、底で腐る前に取り除きます。
屋外の容器で、しかも冬なら、エアレーションは基本的に不要です。ただし数が多い容器や、水面が凍りやすい環境では、水を動かしておくと凍結しにくくなります。
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台帳でできることを、もう少し詳しく
風の強い場所に容器を置いている場合は、フラワースタンド用のビニール温室を容器ごとかぶせる手もあります。夜の冷え込みと風をやわらげてくれます。晴れた日中は熱がこもるので、すそを開けて逃がしてください。
餌と水換えは「いつやめるか」

何をするかより、いつやめるかのほうが大事です。ここを間違えると、良かれと思った行動がそのまま失敗になります。
餌は水温15℃を下回ったら減らし、10℃以下になったら完全に止めます。この水温では消化がとても遅くなり、与えても食べ残しが増えます。やめたあと、暖かい日に水面へ上がってきたときにどうするかは、メダカの冬の餌の記事に書きました。
残った餌は底で腐り、水を汚します。冬は分解してくれるバクテリアの働きも落ちているので、夏より水が傷みやすい状態です。「かわいそうだから少しだけ」が、いちばん危険な判断になります。
水換えも同じで、冬のあいだは原則としてしません。水温が急に変わることのほうが、水の汚れより大きな負担になるからです。それでも必要になったときの判断と手順は、冬場の水替えガイドで詳しく解説しています。
メダカが耐えられる最低温度は何度か
よく聞かれるので、先に答えます。水温が0℃近くまで下がっても、メダカはすぐには死にません。水面に氷が張った容器でも、底のほうは水のまま残っていて、そこでじっとしています。

ただし、この答えには条件が付きます。危ないのは低い水温そのものではなく、水が全部凍ることです。浅い容器や少ない水量だと、表面から底まで凍って逃げ場がなくなります。だから見るべきは温度計の数字ではなく、水の量と深さのほうです。
もうひとつの条件が体力です。同じ0℃でも、秋にしっかり食べて太った個体と、痩せたまま冬に入った個体では結果が変わります。勝負が秋に終わっているというのは、この意味です。
気温で言えば、予報の最低気温が3℃を下回る朝から注意が要ります。予報は地上1.5メートルの気温なので、放射冷却の夜は、水面付近が予報よりさらに冷え込むことがあるからです。0℃の予報を待っていると、実際にはもう凍っています。
冬本番に見るのは、3つだけ
ここまで整えたら、あとは手を出さないことが仕事になります。見るのは次の3点だけ。毎日のぞかなくても、週に1回で足ります。

1.全部凍っていないか
メダカは水面が凍った程度では死にません。危険なのは、水が底まで凍りきってしまうことです。氷の下に水が残っていれば、その中でじっとして冬を越します。
氷が張ったときに、割ってはいけません。衝撃が水中に伝わり、冬眠中のメダカに大きな負担をかけます。どうしても割りたいときは、お湯を入れたペットボトルを置いて溶かしてください。心配なら、あらかじめ断熱材で覆っておくほうが確実です。
2.水位が下がっていないか
見落としやすいのがこれです。冬は乾燥するので、水が思った以上に蒸発します。水位が下がると水量が減り、凍りやすくなるうえ水質も急変します。
減っていたら足しますが、冷たい水をいきなり注がないでください。水温が急に下がると、じっとしているメダカに大きな負担がかかります。汲み置きして外気になじませた水を、容器の縁から静かに加えてください。
3.落ち葉が溜まりすぎていないか
屋外の容器には落ち葉が入ります。溜まりすぎると、分解のときに水中の酸素を奪います。
底が見えないほど溜まっていたら、そっと取り除いてください。このとき底をかき混ぜないことが大切で、沈殿した汚れを巻き上げると水が一気に濁ります。浮いているものだけを網ですくうのがコツです。

そもそも冬眠させない、という選択

ここまで屋外の話をしてきましたが、冬眠させないという選択肢もあります。室内に入れてヒーターで加温すれば、活動を止めずに冬を越せます。
利点は、繁殖を続けられることと、冬に落ちるリスクが下がることです。一方で電気代がかかり、メダカ本来の周期からは外れます。どちらが良いかは目的によるので、品種を増やしたいのか、手をかけずに越したいのかで選んでください。
判断の材料はメダカを冬眠させないとどうなるのかにまとめました。品種を増やしたい方は、こちらを先に読んでください。
本当の山場は、春に来る
最後にこれだけは覚えておいてください。メダカは、真冬よりも春先に落とすことが多いと言われます。
暖かくなって動き出した姿を見ると、つい餌をたっぷり与え、水換えもしたくなります。ところが冬を越したばかりの個体は体力が落ちていて、消化機能も戻りきっていません。ここで一気に環境を変えると、冬を乗り切った個体を春に失うことになります。
再開はごく少量から、水換えも様子を見ながら。手順と時期の目安は冬眠からの起こし方で解説しています。冬越しは、春に無事に立ち上がって初めて成功です。
まとめ:秋にやり、冬は手を出さない
冬越しでやることは多くありません。秋のうちに体力をつけさせ、容器と水深を整え、水温が下がったら餌と水換えを止める。あとは全凍結と水位と落ち葉を見るだけです。
そして、体長1.5センチに満たない個体や痩せた個体は、迷わず室内へ。この見極めができれば、冬に失う数は大きく減ります。
よくある質問(FAQ)
Q. メダカは屋外で冬を越せますか?
A. 体長1.5cm以上で痩せていない個体なら、たいてい越せます。日本の冬に適応した魚なので、水が底まで凍りきらなければ冬眠して春を迎えます。ただし体長1.5cm未満の稚魚や痩せた個体は体力が足りないため、室内へ移してください。
Q. 秋に生まれた稚魚はどうすればよいですか?
A. 室内に入れて加温してください。9月後半以降に生まれた個体は冬までに1.5cmまで届かないことが多いです。水温を保てば成長が止まらないので、春には屋外へ出せる大きさになります。
Q. 冬にメダカへ餌を与えてもいいですか?
A. 水温15℃を下回ったら減らし、10℃以下では与えないでください。この水温では消化が追いつかず、残った餌が底で腐って水を汚します。冬は分解するバクテリアの働きも落ちているため、夏より水が傷みやすい状態です。
Q. 水面が凍ってしまったらどうすればよいですか?
A. 水面だけの凍結なら問題ありません。氷を割るのは避けてください。衝撃が水中に伝わり、冬眠中のメダカに大きな負担をかけます。溶かしたい場合はお湯を入れたペットボトルを置いてください。
Q. 冬に水換えは必要ですか?
A. 原則として不要です。水温が急に変わることのほうが、水の汚れより大きな負担になります。どうしても必要な場合の判断と手順は、冬場の水替えガイドで解説しています。
Q. 冬眠させずに室内で加温してもよいですか?
A. 問題ありません。繁殖を続けられ、冬に落ちるリスクも下がります。一方で電気代がかかり、メダカ本来の周期からは外れます。判断の材料は「メダカを冬眠させないとどうなるのか」にまとめています。
Q. 冬を越したメダカが春に死んでしまうのはなぜですか?
A. よくあるのは、再開が急すぎることです。冬を越した直後は体力が落ちて消化機能も戻りきっていません。暖かくなったからと餌を一気に増やしたり水換えをしたりすると、冬を乗り切った個体を春に失います。少量から戻してください。
次に見るのは、ここ
冬に水を換えるか迷っているなら冬の水換えへ。
冬も室内で加温するなら冬眠させないとどうなるかへ。
春先に落ちるのが心配なら冬眠明けへ。
白い点が出たなら白点病とラメの違いへ。
今年生まれた稚魚がまだ小さいならメダカの稚魚の冬越しへ。
10月に何をどの順でやるか決めるならメダカの冬支度へ。

