冬の水換えをどうするか。結論から言うと、しないのが基本です。ただし理由が、たいてい書かれているものと違います。「冬は汚れないから」ではありません。換えることのほうが危ないからです。
なぜ危ないのかと、それでも手を出さざるを得ない2つの場面、そしてどうしても換えるときのやり方を書きます。
冬の水換えが危ない、3つの理由

ひとつめは水温です。冬のメダカは動けません。春や夏なら、水温の合わない場所から泳いで逃げられますが、冬は底でじっとしているだけです。逃げ場が無い状態で、水温だけが動くことになります。
ふたつめは底の汚れです。水を抜こうとすると、どうしても底が動きます。舞い上がった汚れは、そのまま下でじっとしている個体の上に落ちます。メダカは避けようとしません。避けられないからです。
みっつめは、戻りの遅さです。水をきれいにしている細菌も、冬は働きが落ちています。夏なら数日で立ち直る崩れ方でも、冬は何週間もかかる。失敗したときの取り返しがつきにくい季節だ、ということです。
換えなくても平気なのは、なぜか
まず、餌を止めています。水を汚す元のほとんどは、食べ残しと糞です。入れるものを止めれば、出るものも止まります(メダカの冬越し)。
そしてメダカ自身も動きません。水温が10℃を下回るとほとんど泳がなくなり、代謝が落ちるので出すものも減ります。入る量も出る量も、同時に絞られている状態です。
低い水温では、残った汚れが分解される速さも落ちますが、そもそも汚れが増えていないので釣り合っています。数値が動かないのは、失敗しているのではなく、両側が止まっているからです。
それでも手を出すのは、2つだけ

ひとつは、水が減ったとき。冬でも水は蒸発します。水位が下がると、そのぶん水温が動きやすくなり、凍る危険も上がります。深さがあるほど冬は有利なので、減らしたままにしないでください。
やることは足すだけです。抜いてから入れるのではありません。同じくらいの温度の水を、容器のふちに沿わせて静かに入れます。真ん中へどぼどぼ注ぐと、底が動いて、じっとしている個体の上に汚れが落ちます。
もうひとつは、落ち葉が溜まりすぎたとき。網ですくうだけで、底はかき混ぜません。そして全部は取らないでください。底に少し残っているほうが、隠れ場所になります。
どちらも「水換え」ではありません。足すか、取るかです。この違いを分けておくだけで、冬の失敗はかなり減ります。
どうしても換えるときのやり方

水が明らかに濁って臭う、薬を使った、といった場合には換えることになります。そのときは、春と同じやり方をしないでください。冬のメダカは逃げられない、という一点が全部を変えます。
暖かい日の、昼にします。朝と夕方は水温が下がります。風のある日も避けてください。水面から熱が持っていかれるので、作業中に思ったより下がります。
量は5分の1までにします。春や秋なら3分の1が目安ですが、冬はそれでも多い。足りなければ、次の暖かい日にもう一度やるほうが安全です(水換え後に弱る理由)。
水温は、必ず測って合わせます。温度計を2本使って、抜いた水と入れる水を同じ数字にしてください。手を入れた感覚では合いません。冬は2℃違うだけで、メダカにとっては大きな変化です。
冬は数字で読めるほうが確実です。目盛りの水温計は、寒い日に外で読もうとすると目盛りとの角度で1度2度ずれます。そして冬の1度2度は、判断が変わる差です。浮かべるだけのものなら、置き場所も要りません。
水道水を使うなら塩素は抜きます。汲み置きは冬だと日数がかかるので、中和剤のほうが確実です。粘膜を守る成分が入ったものなら、負担も少し軽くなります。
底は吸わないでください。上のほうの水だけを、静かに抜きます。底に溜まっているものは、春に暖かくなってから片づければ足ります。
そもそも、換えなくていい容器にしておく

冬に手を出さずに済むかどうかは、秋のうちにほとんど決まっています。冬になってから容器を替えるわけにはいかないからです。
効くのは水深です。深さがあれば水温が動きにくく、凍りにくく、底のほうに逃げ場もできます。浅い容器ほど、冬に手を出したくなるということです(水換えの頻度は水量で決まる)。
置き場所も同じです。北風の当たる場所と地面への直置きは冷えます。ブロックの上に置いて地面から離す、壁ぎわへ寄せる。それだけで朝の水温が変わります。
氷が張ったときは

凍っても、たいていはそのままで大丈夫です。割らないでください。割ると衝撃が水の中に伝わり、動けない状態のメダカに障ります。氷そのものより、割る行為のほうが危ないということです。
水面がすっかりふさがって何日も続くときだけ、ぬるま湯を入れた容器を氷の上に置いて、穴を1か所開けます。叩かない、熱湯をかけない、全部取り除かない(メダカの氷は割らない)。
本当の山場は、春に来る

冬を越したメダカを落とすのは、たいてい真冬ではありません。暖かくなって動き出した春先です。ここまで越せたのだから大丈夫だろう、と思ったところで崩れます。
動く姿を見ると、つい餌をたっぷりやり、水換えもしたくなります。ところが冬のあいだに体力は落ちていて、水をきれいにする細菌もまだ本調子ではない。そこへ一気に元へ戻すと、崩れます。
再開はごく少量からにしてください。水温が安定して10℃を超えたころが目安です(冬眠からの起こし方)。冬を越せたかどうかは、春の1か月で決まります。
いつ止めて、いつ再開したかを残しておくと、翌年の判断がずいぶん楽になります。水温が急に動く日の知らせと一緒に記録できます(メダカ台帳)。
よくある質問
冬に水換えは必要ですか。
原則として要りません。餌を止めていれば汚れの出どころが無く、メダカ自身も動かないので出すものが少ないからです。低い水温では、そもそも物事がゆっくりしか進みません。
でも、換えないと水が汚れませんか。
汚れる速さが、夏とはまるで違います。それより問題なのは、換えることで起きるほうです。水温が動き、底の汚れが舞い、しかも崩れたときに元へ戻る速さも遅い。換えない害より、換える害のほうが大きい季節です。
水が減ってきました。どうしますか。
足してください。換えるのではなく、足すだけです。同じくらいの温度の水を、容器のふちに沿わせて静かに入れます。一度にたくさん入れず、減ったぶんを戻す程度にします。
落ち葉が溜まってきました。
網ですくってください。そのとき底をかき混ぜないようにします。それと、全部は取らないでください。底に少し残っているほうが、メダカの隠れ場所になります。
どうしても換えたいときは、どうしますか。
暖かい日の昼、風の無いときにしてください。量は5分の1までです。3分の1でも冬は多すぎます。新しい水は温度計で測って、同じ数字にしてから入れます。手の感覚では合いません。
底に溜まった汚れは吸い取ったほうがいいですか。
冬は吸わないでください。底のあたりは、じっとしているメダカがいる場所です。かき混ぜると、舞い上がった汚れがその上に落ちます。底の掃除は春まで置いておきます。
青水(グリーンウォーター)は、換えたほうがいいですか。
冬は、そのままで大丈夫です。濃すぎて底がまったく見えないなら少し薄めますが、薄い緑なら保温にも役立ちます。冬に急いで透明にする必要はありません。
まとめ
冬の水換えは、しないのが基本です。汚れないからではなく、水温が動き、底の汚れが舞い、崩れたときの戻りが遅いからです。冬のメダカには、逃げ場がありません。
手を出すのは2つだけ。水が減ったら足す、落ち葉が溜まったら取る。どちらも水換えではありません。この区別が、冬の失敗を減らします。
どうしても換えるなら、暖かい日の昼に5分の1まで。水温を測って合わせ、底は吸わない。そして本当の山場は春です。
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