メダカの体に、金色の細かい粉をまぶしたようなものが付いている。白点病を調べたけれど、写真の点よりずっと細かい——。それはコショウ病かもしれません。そしてメダカでは、白点病よりコショウ病のほうが多いとされています。
ところが検索されるのは圧倒的に白点病のほうです。つまり「白点病だと思って調べている人が、実はコショウ病だった」という取り違えが起きやすい病気だということになります。
この記事では、まず白点病との見分けから始めて、進み方、手当ての順番、そして薬が効く時期までを整理します。
この記事の薬浴や塩水浴は、必ず別の容器で行ってください。そして薬を使った魚と水は、システムに戻せません。ろ過を担う菌が減ること、野菜が根から吸うこと、植物に害が出ることが理由です。塩水も植物を枯らすので戻せません。判断の分かれ目はアクアポニックスの魚が病気に|治療した魚は戻していいのかにまとめました。
白点病か、コショウ病か

見分けの軸は、粒の大きさと色です。白点病は白くはっきりした点で、砂糖や塩の粒ほどの大きさがあり、数えられます。コショウ病は金色から黄褐色の細かい粉で、数えられないほど多く、体全体に一様に広がります。
見つけ方のコツは、光を斜めから当てることです。コショウ病の粉は細かいので、正面からの光では分かりにくく、斜めから当てるとキラキラと浮かび上がります。容器を少し傾けて、窓からの光に当ててみてください。
白い点がはっきり見えるなら白点病です。見分け方と治し方はメダカの白点病とラメの違いにまとめています。なお白点病の記事では「ラメとの違い」も扱っているので、光る鱗と迷っている場合もそちらを見てください。
コショウ病とは|うつり方と、薬が効く時期

コショウ病を起こすのはウーディニウムと呼ばれる小さな生き物です。魚に取りついて栄養をとり、育ちきると魚から離れ、殻に包まれて中で分裂し、泳いで移る子虫になって別の魚に取りつきます。この輪をぐるぐる回るので、1匹に出ると容器全体に広がります。
ここが治療のいちばん大事なところで、薬が効くのは虫が魚から離れているあいだだけです。魚の体に取りついているあいだは、薬が虫まで届きません。だから「薬を入れたのに効かない」ということが起きます。
効かせるには、虫が離れるタイミングを作り、そこに薬を当て続ける必要があります。そのために水温を上げて虫の一生のめぐりを早め、薬の期間を切らさないようにします。次の章で順番を書きます。
進み方
コショウ病は進みが速い病気です。最初に出るのは体を底や壁にこすりつける動きで、この段階では粉はまだ薄く、光を当てないと見えません。
粉が見えるようになったときには、もう中期に入っています。さらに進むとえらにも取りついて呼吸が苦しくなり、水面近くから離れなくなります。えらの症状が出ているならエラ病の見方もあわせて確認してください。
ここから手当てに入ります。始めた日と、使った薬の名前と量を、どこかに控えておいてください。数日たつと必ず分からなくなりますし、うまくいかなかったときに何を変えればいいのかの手がかりは、その記録しかありません。メダカ台帳を使うと、水温が急に動く日の知らせと一緒に残せます。
手当ての順番
まず別の容器に移します。うつる病気なので、症状の出た個体を分けるのが先です。本水槽に薬を入れると、ろ過を担う菌が減って水質が崩れます。ただし1匹に出ているということは容器全体に虫がいるので、元の容器も水換えで立て直してください。
次に水温を28℃まで上げます。上げるときは1日1〜2℃ずつです。虫の一生のめぐりが早まり、魚から離れて薬が効く時期が早く来ます。28℃を超えないようにしてください。水温が上がると水に溶ける酸素が減るので、弱った個体には負担になります。
遮光する|コショウ病ならではの手当て
ここは白点病と違うところです。コショウ病を起こす虫は光合成もするため、暗くすると増えにくくなるとされています。治療容器に布をかけるか、暗い場所に置いてください。
ちょうどメチレンブルーが光で分解される薬なので、遮光は薬の効きを保つことにもつながります。水カビ病の記事でも遮光の話を書いていますが(水カビ病とメチレンブルー)、コショウ病では虫そのものを抑える意味も加わります。
塩水浴と薬浴
0.5%(水1Lに塩5g)の塩水浴で体力の消耗を抑えます。ただし塩は虫を殺す薬ではありません。濃度と期間はメダカの塩浴|0.5%の作り方と3〜7日の手順にあります。
薬の選び方|コショウ病で承認された薬はない
ここは正直に書きます。「コショウ病」という病名で承認されている魚病薬はありません。
動物用医薬品等データベース(農林水産省 動物医薬品検査所)で効能を確認すると、メチレンブルー水溶液とアグテンはいずれも「白点病、尾ぐされ症状、水カビ病」の治療で承認されていて、コショウ病は含まれていません。
実務ではこの2つが使われますが、承認の範囲外の使い方になります。だからこそ、加温と遮光と水換えという環境の手当てが、薬以上に結果を左右します。薬だけに頼らないでください。
メチレンブルーは効き目がおだやかで扱いやすく、色が濃く出るので入れすぎに気づきやすいのが利点です。光で分解されるので遮光が要ります。
アグテンはマラカイトグリーン系で効き目が強く、水草を入れたままでも使えます。薬効期間が短いので、複数回に分けて投薬します。
用法と用量は必ず製品の指示に従い、規定量を守ってください。濃くしても効きは上がらず、弱った個体ほど薬負けします。なお承認の対象魚として挙げられているのは金魚や錦鯉、淡水性熱帯魚で、メダカを明記していない製品もあります。量は必ず守ってください。
持ち込ませない、増やさない
コショウ病は持ち込みで広がることが多い病気です。新しいメダカを迎えたあと、水草や貝を入れたあとに出たなら、そこから入ったと考えてよいでしょう。別の容器で2週間ほど様子を見てから合流させると、かなり防げます。
すでに出てしまった容器では、こまめな水換えが効きます。水中を漂う子虫を物理的に減らせるからです。底の掃除もあわせて行ってください。ほかの病気との見分けに迷うときは、尾ぐされ病や松かさ病の記事も見比べてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. コショウ病と白点病の違いは何ですか?
A. いちばんの違いは粒の大きさと色です。白点病は白くはっきりした点で、砂糖や塩の粒ほどの大きさがあり数えられます。
コショウ病は金色から黄褐色の細かい粉をまぶしたように見え、数えられないほど多く体全体に一様に広がります。メダカでは白点病よりコショウ病のほうが多いので、粒が細かいと感じたらまずコショウ病を疑ってください。
Q. コショウ病はうつりますか?
A. うつります。虫が魚から離れて水中を泳ぎ、別の魚に取りつくためです。1匹に出たら容器全体に広がると考えて、症状の出た個体を別の容器に移し、元の容器の水も立て直してください。新しいメダカや水草を入れたあとに出ることが多い病気です。
Q. コショウ病に効く薬は?
A. 正直に書くと、「コショウ病」という病名で承認されている魚病薬はありません。メチレンブルー水溶液やアグテンの承認された効能は「白点病、尾ぐされ症状、水カビ病」で、コショウ病は含まれていません。
実務ではこれらが使われますが、承認の範囲外の使い方になります。だからこそ、加温と遮光と水換えという環境の手当てが薬以上に効きます。
Q. コショウ病に遮光は効きますか?
A. 効くとされています。コショウ病を起こす虫は光合成もするため、暗くすると増えにくくなります。これは白点病には無い、コショウ病ならではの手当てです。治療容器に布をかけるか、暗い場所に置いてください。
Q. 水温は何度まで上げていいですか?
A. 28℃までにしてください。加温すると虫の一生のめぐりが早まり、魚から離れて薬が効く時期が早く来ます。ただし上げるときは1日1〜2℃ずつにしてください。30℃まで上げると書かれていることがありますが、メダカには高すぎますし、水温が上がると水に溶ける酸素も減ります。
Q. コショウ病の末期はどうなりますか?
A. えらにも虫が取りついて呼吸が苦しくなり、水面近くから離れなくなります。やがて底に沈んで反応しなくなります。コショウ病は進みが速いので、体をこすりつける動きが出た初期の段階で気づけるかどうかが分かれ目になります。
まとめ|粉が細かいならコショウ病、離れた瞬間に薬を当てる
メダカでは白点病よりコショウ病のほうが多いとされています。白い点がはっきり数えられるなら白点病、金色の細かい粉が体全体に広がっているならコショウ病です。光を斜めから当てると見分けやすくなります。
手当ては、隔離して、28℃まで加温して、遮光して、塩水浴と薬浴。薬が効くのは虫が魚から離れているあいだだけなので、加温で周期を回して、期間を切らさないことが要点です。「コショウ病」で承認された薬はないので、環境の手当てを軽く見ないでください。
→ メダカ台帳の使い方を見る


