メダカのお尻から、何かが出ている。白いような、赤いような。長く垂れ下がって、消えない。フンなのか、腸が出てしまったのか。
ここで多くの人が、同じことをします。掴んで取ろうとします。
それがいちばん危ない。実際、質問サイトには「ピンセットでフンらしきものを掴んだ瞬間、メダカの動きが止まった」という相談が残っています。だからこの記事は、見分けの前に、やってはいけないことから始めます。
- まず、引っぱらないでください。ピンセットでも指でも、掴んで取ろうとしてはいけません。
- 見分けは時間です。フンなら数分から数時間で外れ、翌日には消えています。
- 翌日も同じものが外れずに出ているなら、脱腸を疑います。赤みやふくらみがあれば、なおさらです。
- できるのは餌を止めて、静かな場所に分けて、水を整えることです。押し戻そうとしないでください。
- 治らないこともあります。見るのは治るかどうかではなく、進んでいるかどうかです。
メダカの脱腸を疑ったら、まずやってはいけないこと
順番を変えます。ふつうは見分けから書きますが、ここは逆にします。見分けがつく前に、事故が起きるからです。
掴まないでください。ピンセット、指、網。どれでも同じです。もしそれが腸なら、引っぱることは体の中を引き出すことになります。
フンだったとしても、掴むにはメダカを押さえる必要があります。数センチの魚を手で押さえるだけで、体表の粘膜は傷つきます。そこから細菌が入ります。
やってはいけないことは、もう2つあります。押し戻そうとしないこと。出ているものを指で中へ入れようとするのは、傷をつけながら押し込むのと同じです。
そして切らないこと。長いから切る、という発想が出てきますが、切っていい場所かどうかは外からは分かりません。
できるのは、見て、待って、環境を整えることだけです。物足りなく感じるかもしれませんが、手を出さないことがそのまま手当てになります。

フンか、脱腸か|見分けは時間
ここからが見分けです。いちばん確かなのは、時間です。
フンなら、泳いでいるうちに切れて落ちます。数分から、長くても数時間。翌朝にはたいてい消えています。白く長いフンは珍しくありませんが、外れるという点は変わりません。
翌日も、同じ場所から同じものが出ている。そのうえ外れていない。ここまで来たら、フンではないほうを考えます。
次に見るのが色です。フンは白から半透明で、餌を食べていれば茶色がかります。赤み、あるいはピンク色をしているなら、そちらは体の組織です。
そして付け根。フンは肛門から細く伸びているだけですが、脱腸では肛門のあたりそのものが盛り上がって突き出します。横から見て、お尻の輪郭が変わっていないかを確かめてください。
太さも手がかりです。フンは細く均一ですが、途中がぷっくりとふくらんでいるなら、フンらしくありません。

なぜ起きるのか|腹の中の圧
仕組みのほうを見ます。共通しているのは、腹の中の圧が上がっていることです。
いちばん多いとされるのが消化のつまずきです。食べすぎ、水温が低いのに与えた、古い餌。腸に内容物が滞ると、そのぶん内側から押されます。
次に卵です。産み出せない卵が体内に溜まると、腹の中の余地が減ります。メスで、腹が張っているなら、こちらも重なっている可能性があります。
そして体型。ダルマメダカのように体が短い品種は、同じ量の内臓を短い胴に収めています。圧を逃がす余地が少ないぶん、無理が出やすくなります。
同じ理由で、転覆もダルマ体型に多く出ます。別の症状に見えて、押されているという点は同じです。
もうひとつ、水質。汚れた水では体を維持するほうに力が使われ、消化まで回りません。水が透明でも、汚れていないとは限りません。
何をするか|止める、分ける、整える
やることは3つです。足す手は、ひとつもありません。
餌を止めます。圧が上がっているところに次を入れれば、押す力が増えるだけです。成魚なら数日食べなくても平気です。
分けます。ほかのメダカがつつきます。出ているものは、周りから見れば餌に見えます。つつかれ続ければ、そこから傷が広がります。静かな容器に、そっと移してください。
移すときも網ですくって、水ごとです。手で掴まないでください。
水を整えます。新しく用意するのではなく、元の容器と同じ水温・同じ水を使ってください。環境を変えること自体が負担になります。
そのうえで、触らずに見ます。1日1回、横から見て、出ているものが増えていないかだけを確かめます。
塩浴はどう位置づけるか
迷うのがここだと思います。塩浴は、治す手ではありません。
塩浴が助けるのは、体液の濃さを保つ手間を減らすことです。弱った個体が、その分の体力を回復に回せるようになります。
だから「脱腸を治す薬」として使うものではありません。出ているものが引っ込むわけではありません。
それでも選ぶ理由があるとすれば、ほかにできることが少ないからです。薬に進むより体力を削りません。
ただし濃さを守ってください。目分量で入れると、薄すぎて効かないか、濃すぎて脱水させるかのどちらかになります。
そして薬には進まないでください。細菌が原因で起きた症状ではないので、効く相手がいません。二次的に感染したときに考える手です。

治るのか|正直なところ
知りたいのはここだと思うので、はっきり書きます。治ることもあれば、治らないこともあります。
原因が消化のつまずきだけで、まだ軽いなら、餌を止めて数日で戻ることがあります。押されていた圧が下がるからです。
いっぽうで、出ている部分が乾いたり、色が濃く変わったりしている場合は、そこはもう戻りません。
ここで大事なのは、治るかどうかを毎日確かめないことです。見るのは戻ったかどうかではなく、進んでいるかどうかにしてください。
昨日より大きくなっていない。増えていない。泳ぎ方が変わっていない。止まっていれば、それでいいと考えます。
うちで起きたのは、どちらだったか
正直に書いておきます。うちで実際にあったのは、フンのほうです。
白く長いものが垂れているのを見て、脱腸かと思いました。結果は白いフンでした。いま「脱腸かもしれない」と思って調べている人と、同じところに立ったことがあります。
そして脱腸そのものは、うちでは見ていません。
だから「よくあることです」とは書けません。かといって「めったにありません」とも書けません。見ていないことは、無いことの証明にはならないからです。実際、質問サイトには写真つきの相談が並んでいます。
ここで言えるのは、ひとつだけです。脱腸を疑って調べている人のうち、かなりの割合はフンを見ています。だからこの記事は、手当てではなく見分けから入るように書いてあります。
もし読んでいるあなたが実際に脱腸を見ているなら、この記事の見分けの部分は、もう読み飛ばして構いません。やることは、止める・分ける・整えるの3つです。
いつまで見るか|終わりの判断
区切りを決めておきます。決めないと、毎日いじり続けることになります。
見るのは1週間です。餌を止めて分けて、1日1回、横から見る。それだけを1週間続けます。
3日で小さくなりはじめたなら、そのまま続けます。餌を戻すのは、見えなくなってからさらに数日おいてからです。急いで戻すと、また同じことが起きます。
1週間たっても変わらず、しかも泳ぎ方も食欲も保っているなら、そこで手当てを終えてください。戻らないまま暮らす個体はいます。
逆に、この間に痩せてきた、動かなくなった、ほかの症状が出た。そちらのほうが重いサインです。見る場所を、脱腸から個体全体へ移してください。
最後にひとつ。何もしないでいることは、諦めることとは違います。この症状に関しては、手を出さないことが最善の手当てである時間が、確かにあります。
起きにくくするには
終わったあと、あるいは起きる前にできることを書いておきます。どれも、圧を上げないための手です。
餌は回数を分けます。同じ総量でも、一度に入れるほうが腸は押されます。1日3回から4回に分けてください。
水温に合わせて減らします。春先と秋口、水温が下がっているのに食欲だけ戻る時期が危ないところです。15℃前後なら1日1回、10℃を下回れば与えません。
古い餌を使い切ります。開封して長く経った餌は、消化に負担がかかります。
そして体型で分けて考えます。ダルマや体の短い個体は、同じ量でも無理が出やすいので、与える量を控えめにしてください。
ここまでのどれも、特別なものは要りません。与え方を変えるだけです。
→ 気づいた日と、止めた日を残しておく
台帳でできることを、もう少し詳しく
まとめ
メダカのお尻から何かが出ていたら、まず引っぱらないでください。掴む、押し戻す、切る。どれもやってはいけません。
見分けは時間です。フンなら数分から数時間で外れ、翌日には消えています。翌日も外れずに残り、赤みやふくらみがあるなら脱腸を疑います。
できるのは、餌を止めて、静かな容器に分けて、元と同じ水で整えることだけです。塩浴は治す手ではなく、体力を回復に回すための手です。
見るのは1週間。戻ったかどうかではなく、進んでいるかどうかで判断してください。止まっていれば、それでいいです。
よくある質問(FAQ)
Q. メダカのおしりから何か出ています。フンですか、脱腸ですか。
A. 見分けは時間です。フンなら泳いでいるうちに数分から数時間で外れ、翌日には消えています。翌日も同じものが外れずに出ていて、赤みやふくらみがあるなら脱腸を疑ってください。
Q. 引っぱって取ってもいいですか。
A. いけません。腸なら体の中を引き出すことになりますし、フンでも掴むにはメダカを押さえる必要があり、体表の粘膜が傷つきます。押し戻すのも、切るのも避けてください。
Q. メダカの脱腸は治りますか。
A. 治ることもあれば、治らないこともあります。原因が消化のつまずきだけで軽いうちなら、餌を止めて数日で戻ることがあります。乾いたり色が濃く変わったりしている部分は戻りません。
Q. 何をすればいいですか。
A. 3つです。餌を止める、静かな容器に分ける、元と同じ水温・同じ水で整える。そのうえで触らずに1日1回見ます。足す手はありません。
Q. 塩浴はしたほうがいいですか。
A. 塩浴は治す手ではなく、体力を回復に回せるようにする手です。出ているものが引っ込むわけではありません。ほかにできることが少ないので選ぶ、という位置づけです。
Q. 薬を使ったほうがいいですか。
A. 使いません。細菌が原因で起きた症状ではないので、効く相手がいません。二次的に感染したときに考える手です。
Q. なぜ脱腸が起きるのですか。
A. 腹の中の圧が上がることが共通しています。食べすぎや低水温での給餌による消化のつまずき、産み出せない卵、体が短い品種の内臓の詰まり具合などが重なります。
Q. どれくらいで見切ればいいですか。
A. 1週間です。見るのは戻ったかどうかではなく、進んでいるかどうかにしてください。大きくなっていない、増えていない、泳ぎ方が変わっていないなら、止まっていると考えます。
次に見るのは、ここ
フンのほうだと分かったらメダカのフンが白い|食べているのに白いか、食べていないから白いかへ。腹も張っているならメダカのお腹が大きい・パンパン|卵か病気かの見分け方へ。浮き沈みもおかしいならメダカの転覆病|ダルマと冬に多い理由へ。塩浴に進むならメダカの塩浴|0.5%の作り方と手順へ。起きにくくするならメダカの餌やり|量と回数の目安へ。

