底に白い糸のようなものが落ちている。すくって見ると、フンらしい。調べると「放置すればほぼ死ぬ」と出てきて、手が止まる。
ただ、そう書いてあるページの多くは、ひとつのことを飛ばしています。そのメダカは、餌を食べているのかどうか。
フンの色は、食べた物で決まります。だから食べていない時期の白と、食べているのに出る白は、別のものです。まずそこを分けます。
- まず「餌を食べているか」を見てください。ここで意味が変わります。
- フンの色は食べた物で決まります。食べていなければ、色は付きません。
- 冬に餌を止めているなら、白いのはむしろ普通です。急ぎません。
- 食べているのに白いなら、消化が追いついていません。まず餌を止めます。
- 急ぐのは、痩せ・食欲低下・動きの鈍さと一緒に出ているとき。白いフン単独より重いサインです。

メダカのフンが白いとき、最初に見ること
白いフンそのものを見つめても、答えは出ません。見るのはメダカのほうです。
いま餌を食べているか。食べているなら、いつもと同じ量を食べきっているか。近づくと寄ってきて、水面の餌に反応するか。
ここで分かれます。食べているのに白いなら、消化のどこかで止まっています。入った物が消化されずにそのまま出ているか、消化の途中で腸が受け付けていないかです。
食べていないなら、そもそも色を付ける材料がありません。餌の色素が入っていないのだから、出てくるものが白っぽいのは筋が通ります。
この分け方には、もうひとつ良いところがあります。その場ですぐ確かめられることです。水質を測る道具も、顕微鏡も要りません。餌を少し落として、反応を見るだけです。
健康なメダカのフンは、何色か
比べる相手を先に決めておきます。ふだんのフンを見たことがない人が、白いフンだけを見て驚いていることがよくあります。
健康なメダカのフンは、食べている餌の色に近い色です。市販の人工飼料なら、茶色から黒っぽい色。青水で育てているなら、緑がかることもあります。
そして短く切れて落ちます。体から長く垂れ下がったまま、いつまでも切れないのはふだんの姿ではありません。
太さも見ておいてください。ふだんは体に見合った太さがありますが、細い糸のようになっているのは、中身が減っているサインです。
色は餌でも変わります。赤い色揚げ用の餌を与えていれば、フンも赤みを帯びます。だから色そのものより、いつもと違うかどうかで見てください。
食べていないから白い|まず正常なほう
先に、急がなくていいほうから書きます。
冬です。水温が下がるとメダカは餌を食べなくなり、10℃を下回れば与えません。食べていない魚から出るものに、餌の色は付きません。
このとき出てくる白いものは、食べ物の残りではなく体の内側から出たもののことがあります。腸は餌が通っていなくても働いているので、その分が少しずつ出てきます。
次に水換えの直後。数日は食いが落ちることがあります。食べる量が減れば、フンも細く白っぽくなります。
それから買ってきた直後や、容器を移した直後。環境に慣れるまで食べないのはふつうです。1週間ほどで戻ります。
これらに共通するのは、食べていない理由がはっきりしていることです。理由が分かっていて、他に症状が無いなら、白いフンだけを心配する必要はありません。

食べているのに白い|消化が追いついていない
こちらが本題です。食べているのに白いなら、入った物が使われずに出ています。
いちばん多いのは量です。一度に多く与えると、消化しきる前に押し出されます。同じ総量でも、1日3回から4回に分けるほうが消化に無理がありません。
次に水温。メダカは変温動物なので、水温が下がると消化そのものが遅くなります。15℃前後なら1日1回に減らします。春先と秋口、気温が動く時期に出やすいのはこのためです。
そして餌の状態。開封してから長く経った餌は、油が酸化して消化に負担がかかります。封を切ったら数か月で使い切る量を買うほうが、結果として安く済みます。
最後に水です。アンモニアや亜硝酸が溜まっている水では、魚は体を維持するほうに力を使い、消化まで回りません。水が透明でも、汚れていないとは限りません。
白くて長く、切れないフン
形にも見るところがあります。白くて長く、体から垂れ下がったまま切れない。
これを最初に見たとき、脱腸かと思いました。腸が出てしまったように見えるからです。同じことを考える人は多いはずなので、先に書いておきます。
結論を先に書くと、垂れ下がっているものの多くはフンです。切れずにつながっているだけで、腸ではありません。
ただし、脱腸そのものは起こります。肛門のあたりから体の内側の組織が押し出される状態で、めったにないとは言えません。だから「フンに決まっている」とも書けません。見分けます。
いちばん確かなのは時間です。フンなら、泳いでいるうちに数分から数時間で切れて落ちます。翌日にはたいてい消えています。翌日も同じ場所から同じものが出ていて、外れていないなら、フンではありません。
次に色と質感。フンは白から半透明で、細く均一です。赤みがある、ピンク色をしている、ぷっくりと肉のように見えるなら、そちらは組織のほうを疑います。
そして付け根を見てください。フンは肛門から細く伸びているだけですが、脱腸では肛門のあたりそのものが盛り上がって突き出します。
ふだんのフンは短く切れて落ちますが、これが糸のように続いているなら、中身が餌ではないことを疑います。腸の内側から出たものが、そのままつながって出ている状態です。
ただし1回見ただけで決めないでください。たまたま長いこともあります。見るのは翌日も同じかどうかです。
数日続いていて、なおかつ食べているなら、腸で何かが起きています。ここから先は病気の側の話になります。
この段階で薬に進むかどうかは、ほかの症状しだいです。白いフンだけで、泳ぎ方も食欲も変わらないなら、まだ待てます。
どちらであっても、網ですくったり、指で取ろうとしたりしないでください。フンなら放っておけば外れますし、脱腸なら引っぱるのがいちばんやってはいけないことです。

フンではなく、卵の糸かもしれない
先に、間違いやすいものをひとつ消しておきます。メスの尻から白い糸が垂れているとき、それはフンではなく卵のことがあります。
メダカの卵には、産卵床に絡みつくための細い糸が付いています。メスは産んだ卵を腹にぶら下げたまま泳ぎ、そのあと水草や産卵床にこすりつけて産み付けます。その途中を見れば、白い糸が垂れているように見えます。
見分けは粒があるかどうかです。糸の先に、飴色の小さな粒が房になって付いていれば卵です。糸だけならフンです。
季節でも分かれます。産卵期でなければ、卵ではありません。水温が18℃を超え、明るい時間が13時間ほど確保される時期に限られます。
そしてオスなら卵ではありません。背びれと尻びれの形で見分けられます。オスの尻から白い糸が出ているなら、そちらはフンの話です。
白いフンが出やすい時期
ここまでの理屈からすると、出やすい時期はおのずと決まります。水温が動く時期です。
いちばん多いのは春先、冬眠明けです。水温はまだ低いのに、暖かい日に食欲だけが先に戻ります。消化が追いつく前に餌が入るので、そのまま出てきます。
次が秋口。朝晩は冷えるのに昼だけ暖かい日が続く時期です。昼の食いにあわせて与えると、夜のあいだに消化が止まります。
立ち上げの初期も出ます。水を処理する菌がまだ増えておらず、アンモニアや亜硝酸が溜まりやすい時期です。魚は体を守るほうに力を使い、消化まで回りません。
逆に言えば、真夏に単独で出ることは多くありません。夏に出ているなら、水温より水の汚れか、与えすぎのほうを先に疑ってください。
そして共通しているのは、どれも「与える量を、その日の水温に合わせていない」という一点です。時期そのものが原因ではありません。
急ぐのは、ほかの症状と一緒に出ているとき
白いフンは、単独ではそれほど急ぎません。重くなるのは、組み合わせです。
痩せと一緒に出ている。食べているのに痩せるなら、入った物が身になっていません。痩せは上から見てください。頭だけ大きく後ろが細ければ、痩せています。
食欲が落ちている。白いフンが出ていて、しかも餌に寄ってこない。これは消化ではなく、体そのものが弱っています。
泳ぎ方がおかしい。ふらつく、底でじっとしている、水面で口をパクパクする。こちらのほうが白いフンより急ぎます。
そして複数が同時に出している。1匹だけなら個体の問題ですが、何匹も同じなら水のほうを疑います。全員が同じ水に入っているのだから、当然です。
逆に言えば、白いフン以外がすべて普通なら、慌てて何かを足す必要はありません。
針子・稚魚のフンが白いとき
成魚と同じには考えません。針子は、そもそも消化の仕組みが未完成です。
孵ったばかりの針子は、しばらくお腹の袋の栄養で生きています。外から食べはじめるのはそのあとで、最初の2週間が分かれ目です。
この時期に細く白いものが出ていても、量が少ないだけのことがあります。針子のフンは、そもそも肉眼で追えるほどの大きさではありません。
見るのは、フンではなくお腹です。上から見て、うっすら膨らんでいれば食べています。ぺたんこなら、食べられていません。
そして針子は絶食に耐えられません。成魚なら数日平気ですが、針子は1日でも切らすと落ちます。成魚の手当て——餌を止める——を、そのまま持ち込まないでください。
針子で白いものが続き、しかもお腹がぺたんこなら、疑うのは病気より餌が行き渡っていないことです。じわじわ減っていくときの原因も、たいていそちらです。
何をするか|足すのではなく、止める
手当ての方向は、はっきりしています。足すのではなく、止めることです。
まず餌を止めます。消化が追いついていないところに次を入れれば、詰まりが増えるだけです。成魚なら数日食べなくても平気です。
止めるあいだに水を1/3ほど換えます。全部は換えません。全量交換は、水を作り直すことになって逆効果です。
そして水温を測ってください。季節の変わり目なら、そもそも与える量が多すぎた可能性があります。
再開するときは少なく、回数を分けて。いきなり元の量に戻さないでください。
ここで薬に進まないでください。原因が消化なら、薬は効かないうえに体力を削ります。迷うなら、まず塩浴で様子を見るほうが穏やかです。
いつまで見るか|終わりの判断
止めたあと、どこで区切るのか。決めておかないと、毎日いじり続けることになります。
見るのは3日です。餌を止めて3日たったら、少量だけ与えて、翌日のフンを見ます。色が戻っていれば、消化の問題でした。
戻らないなら、もう一度分けます。食べているのか、食べていないのか。止めていたぶん食欲が落ちているだけのこともあります。
1週間たっても白いままで、しかも食べている。ここまで来たら、消化ではなく腸そのものを疑います。症状から原因をたどってください。
逆に、冬に白いフンが続いているのは、そのままで構いません。春に水温が上がって食べはじめれば、色は戻ります。直すものではありません。
最後にひとつ。白いフンは症状であって、病名ではありません。「白いフンを治す薬」はありません。止まるとしたら、原因のほうが止まったときです。
→ 餌を止めた日と、戻した日を残しておく
台帳でできることを、もう少し詳しく
まとめ
白いフンを見つけたら、フンではなくメダカを見てください。餌を食べているかどうかで、意味が変わります。
食べていない時期の白は、色を付ける材料が無いだけです。冬なら、むしろ普通です。
食べているのに白いなら、消化が追いついていません。餌を止めて、水を1/3換えて、3日待ちます。
急ぐのは、痩せ・食欲低下・泳ぎ方の乱れと一緒に出ているとき。白いフン単独より、そちらのほうが重いサインです。
よくある質問(FAQ)
Q. メダカのフンが白いのは病気ですか。
A. 白いフンは症状であって、病名ではありません。まず餌を食べているかを見てください。食べていない時期なら、色を付ける材料がないので白いのはむしろ普通です。食べているのに白いなら、消化が追いついていません。
Q. メダカのフンはどのような色ですか。
A. 食べている餌の色に近い色です。市販の人工飼料なら茶色から黒っぽい色になります。色そのものより、いつもと違うかどうかで見てください。
Q. 冬に白いフンが出ています。どうすればいいですか。
A. そのままで構いません。水温が下がるとメダカは餌を食べなくなり、食べていない魚から出るものに餌の色は付きません。春に食べはじめれば戻ります。
Q. 白いフンが出たら、まず何をすればいいですか。
A. 餌を止めてください。消化が追いついていないところに次を入れると、詰まりが増えます。あわせて水を1/3ほど換えます。全量交換は逆効果です。
Q. 脱腸ではないですか。
A. 多くはフンですが、脱腸そのものは起こります。見分けは時間です。フンなら泳いでいるうちに数分から数時間で外れ、翌日には消えています。翌日も同じものが外れずに出ていて、赤みやふくらみがあるなら組織のほうを疑ってください。どちらでも、引っぱって取ろうとしてはいけません。
Q. 白くて長いフンが、切れずに垂れ下がっています。
A. 1回見ただけで決めないでください。たまたま長いこともあります。翌日も同じで、なおかつ食べているなら、腸のほうを疑います。
Q. 薬を使ったほうがいいですか。
A. 白いフンだけなら使いません。原因が消化なら薬は効かないうえに体力を削ります。迷うなら、まず塩浴で様子を見るほうが穏やかです。
Q. どれくらいで見切ればいいですか。
A. 餌を止めて3日です。そのあと少量だけ与えて、翌日のフンの色を見ます。戻れば消化の問題でした。1週間続いていて、しかも食べているなら病気を疑います。
Q. 何匹も白いフンをしています。
A. 1匹だけなら個体の問題ですが、複数なら水のほうを疑ってください。全員が同じ水に入っているので、原因は容器の側にあります。
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