水を換え終わって、片づけの途中で気づく。カルキ抜きを入れていない。
調べると「うちは平気だった」と「翌朝みんな死んでいた」が同じ数だけ出てきます。どちらも本当で、分かれ目が書いていないだけです。
分かれるのは2つ。どれだけ換えたかと、入れてから何分たったか。ここから書きます。
- まず、どれだけ換えたか。3分の1以下なら薄まります。全量に近いなら急ぎます。
- 薬剤があるなら、いま直接入れてください。あとから足しても数分で効きます。
- 薬剤が無ければ、塩素の無い水と一部を入れ替えます。汲み置きか、別の容器の水。
- 全量を換え直すのが、いちばん危険です。やることは足すことで、やり直すことではありません。
- 魚は翌朝、水は1週間見ます。塩素はバクテリアにも効くので、数日後に水が崩れることがあります。
メダカのカルキ抜きを忘れたら、まず「どれだけ換えたか」
答えを先に書きます。全量に近く換えたなら急ぎます。3分の1以下なら、たいてい間に合います。
水道水の塩素は、飼育水に入った時点で薄まります。3分の1を換えたなら、塩素の濃さも3分の1です。そこに元からいたバクテリアや有機物が塩素を消費するので、実際にはさらに下がります。
だから3分の1の換水で忘れたときは、あわてて全部やり直すほうが危険です。一度に換えすぎること自体が、メダカを弱らせます。
逆に、全量か半分以上を水道水にしたなら、薄める相手がいません。塩素はそのままエラに触れます。ここは待たずに動きます。
もうひとつ見るのが、時間です。入れてから数分なら、まだ体には届いていません。半日たっているなら、もう結果は出ています。
この2つを見て、次のどれかに進んでください。

今すぐやること|カルキ抜き剤があるなら、直接入れる
手元にカルキ抜きの薬剤があるなら、いま容器に直接入れてください。規定量で構いません。
市販のカルキ抜きは、塩素と反応して数分で無害な形に変えます。水を汲み置きしてから入れるものではなく、入れた水に後から足しても効きます。順番が逆になっても、効くことは変わりません。
入れたら、水面を少し動かして混ぜます。手でかき回す必要はなく、エアレーションがあるなら、そのままで回ります。
量を多めにしたくなりますが、規定量で足ります。塩素の量は決まっているので、それ以上入れても余るだけです。
薬剤が無いときは、次の章です。
薬剤が無いとき|汲み置きの水と入れ替える
カルキ抜きの薬剤が無い。買いに行く時間もない。このときの手は、水を減らすことです。
換えた分の一部を抜いて、塩素の無い水を足します。塩素の無い水は、前の日から汲み置いてある水か、飼育している別の容器の水です。
別の容器の水があるなら、そちらが一番です。バクテリアも一緒に入ります。引っ越しのときに元の水を持っていくのと、同じ理屈です。
汲み置きが無く、別の容器も無いなら、いまの水をそのまま置くしかありません。塩素は水面から少しずつ抜けます。日が当たり、水面が動いていれば速く、暗くて静かなら遅くなります。
ここで大事なのは、抜けるまでの時間が「何時間」と決まっていないことです。水温、日射、水量で変わります。目安として一晩と言われますが、屋外の真夏なら数時間、室内の冬なら翌日まで残ることもあります。
だから待つと決めたら、次の章のサインを見ながら待ってください。
見るサイン|エラと、水面
塩素が効いたかどうかは、エラに出ます。
水面で口をパクパクさせはじめたら、塩素がエラに届いています。酸素はあるのに取り込めない状態なので、酸欠と同じ動きに見えますが、原因は水の側です。
エラぶたが開いたまま、中の赤い部分がはっきり見える。これも同じサインです。ふだんは体に沿って閉じていて、呼吸に合わせて小さく動くだけです。
ヒレをたたんで、底のほうでじっとする。ここまで来ると、かなり効いています。
逆に、いつもどおり泳いで、餌に寄ってくるなら、まだ届いていないか、薄まって届かなかったかのどちらかです。
サインが出たら、その時点で上の2つのどちらかをやります。出ていなければ、そのまま様子を見て構いません。元気がないときのサインは別にまとめているので、他が重なっていないかも見てください。

なぜ効くのか|エラの粘膜と、バクテリア
塩素は消毒のために入っています。水道水は、蛇口から出る時点で一定の塩素を保つことが決められています。人が飲むには問題のない量ですが、魚は水をエラに通し続けます。
エラは薄い膜です。塩素はその膜を傷め、酸素を受け渡す面を減らします。だから症状が酸欠に似ます。
もうひとつ、目に見えないところで起きているのがバクテリアの側です。塩素はろ過を担っているバクテリアにも効きます。飼育用品のメーカーも、そのことを明記しています。
だから塩素の影響は、魚が無事でも、あとから来ることがあります。バクテリアが減ると、数日してアンモニアが上がります。
これが「うちは平気だった」と「数日後に落ちた」が両方ある理由です。魚に効かなくても、水に効いていることがあります。
だから忘れたあとは、魚だけでなく水も見ます。次の章です。

数日は水を見る|濁りと、においと、餌の残り
忘れた日を越えても、そこで終わりではありません。数日はいつもと違う目で水を見てください。
見るのは3つです。水が白く濁る。においが出る。餌が残る。どれかが出たら、バクテリアが減っています。
そのときにやるのは、また水を換えることです。ただし今度はカルキを抜いた水で、3分の1まで。頻度は水量で決まるので、容器が小さいほど早く出ます。
餌は減らします。バクテリアが減っているあいだは、分解が追いつきません。数日なら餌を止めても、メダカは持ちます。
何も出なければ、そのまま通常の管理に戻します。出たとしても、たいていは数日で戻ります。
逆に言えば、忘れた翌日に何も無くて安心し、1週間後に水が崩れる。この形がいちばん多いので、忘れた日から数日は見る、と決めておいてください。

忘れないための置き方
やり方の話をひとつだけ。忘れるのは、手順が2つに分かれているからです。水を汲む。薬剤を入れる。この2つが別の場所にあると、片方が抜けます。
だから、汲む容器の中に、薬剤を先に入れておく方法があります。バケツに規定量を落としてから、水道水を注ぐ。水が入った時点で、もう抜けています。
もうひとつは、汲み置きの容器を1つ決めておくことです。使ったらすぐ次の水を張る。これなら換水のたびに塩素のことを考えずに済みます。
屋外なら、雨水をためる容器でも構いません。足し水だけで回している容器なら、そもそも塩素の入る機会が減ります。
どれも小さな工夫ですが、忘れる回数はここで決まります。
「カルキ抜きをしなくても大丈夫」という話について
調べていると、「うちは抜いていないけれど平気」という声にも当たります。嘘ではありません。ただ、条件が省かれています。
平気だった容器を見ると、たいてい共通点があります。足し水が中心で、一度に入れる量が少ない。屋外で、日が当たり、水面が動いている。汲み置きの容器がある。足し水だけで回している容器は、そもそも塩素が入る機会が少ないのです。
つまり「抜かなくても大丈夫」なのではなく、「薄まる形でしか入れていない」ということです。同じ人が全量を換えれば、結果は変わります。
だから、この記事の答えも同じです。3分の1以下で、ゆっくり注ぐなら、実際に薄まります。それでも抜いたほうが安いのは、薬剤が1本あれば1年以上持つからです。
抜かない選択をするなら、量と注ぎ方を意識して決める。なんとなくではなく、そこだけ押さえてください。
薬剤の選び方|100均のものは使えるか
薬剤はどれでも同じかという質問もよくあります。見るのは成分です。
市販のカルキ抜きの多くは、チオ硫酸ナトリウムという成分で塩素を中和します。成分表示にこれが書いてあれば、働きは同じです。値段の差は、粘膜を守る成分が足してあるか、容器の使いやすさか、そのあたりです。
100円ショップのものも、成分がこの系統なら使えます。ただし、規定量が書いてあるかは見てください。何リットルに何滴か分からないと、入れすぎか足りないかが分かりません。
液体か固形かは好みです。液体は計りやすく、固形は長く持ちます。屋外で使うなら、雨で溶けない置き場所が要ります。
大量には要りません。10Lの容器を週に1回換えるなら、小さな1本で1年持ちます。だから、忘れないための工夫のほうが、薬剤選びより効きます。
いつ安心していいか|終わりの判断
線を決めておきます。
魚の側は、翌朝です。翌朝、水面で口をパクパクしていない。エラぶたが閉じている。餌に寄ってくる。これなら、塩素は魚には届かなかったと考えて構いません。
水の側は、1週間です。濁りもにおいも餌の残りも出ないまま1週間たてば、バクテリアも持ちこたえています。
途中で落ちる個体が出たときは、1匹か複数かを見てください。複数が続けて落ちるなら、水の側で起きています。1匹だけなら、その個体がもともと弱っていた可能性のほうが高いです。
落ちた個体は、すぐ取り出します。そのままにすると、そこからもう一度水が崩れます。
最後にひとつ。忘れたことを取り返そうとして、全量を換え直すのがいちばん危険です。やることは足すことで、やり直すことではありません。
まとめ
メダカのカルキ抜きを忘れたら、まず換えた量を見ます。3分の1以下なら塩素も薄まるので、たいてい間に合います。全量に近いなら急ぎます。
薬剤があるなら、いま直接入れてください。あとから足しても効きます。無ければ、汲み置きか別の容器の水と一部を入れ替えます。全量を換え直すのは、いちばん危険です。
塩素が効いたかどうかはエラに出ます。水面で口をパクパク、エラぶたが開いたまま、ヒレをたたむ。翌朝これが無ければ、魚には届いていません。
ただし塩素はバクテリアにも効きます。数日後に水が濁る、におう、餌が残る、が出たら、カルキを抜いた水で3分の1だけ換えます。水の側は1週間見てください。
よくある質問(FAQ)
Q. カルキ抜きを忘れました。メダカは死にますか。
A. どれだけ換えたかで分かれます。3分の1以下なら薄まるので、たいてい間に合います。全量に近く換えたなら急ぎます。手元にカルキ抜きの薬剤があれば、規定量を今すぐ直接入れてください。
Q. あとからカルキ抜きを入れても効きますか。
A. 効きます。市販のカルキ抜きは塩素と反応して数分で無害な形に変えるので、水を入れたあとに足しても構いません。量は規定量で足ります。
Q. カルキ抜きの薬剤がありません。どうすればいいですか。
A. 換えた分の一部を抜いて、塩素の無い水を足してください。前の日から汲み置いた水か、別の飼育容器の水が使えます。無ければそのまま置きますが、抜けるまでの時間は水温と日射で変わります。
Q. カルキが効いたかどうかは、どこで分かりますか。
A. エラに出ます。水面で口をパクパクする、エラぶたが開いたまま赤い部分が見える、ヒレをたたんで底でじっとする。この順に進みます。いつもどおり餌に寄ってくるなら、届いていません。
Q. 翌日に何もなければ、もう安心ですか。
A. 魚の側はそうです。ただし塩素はろ過のバクテリアにも効くので、水の側は1週間見てください。白く濁る、においが出る、餌が残る、のどれかが出たら、カルキを抜いた水で3分の1だけ換えます。
Q. カルキを放置すると、どうなりますか。
A. 塩素は水面から少しずつ抜けていきます。日が当たって水面が動いていれば速く、暗くて静かなら遅い。「何時間で抜ける」とは決まっていないので、待つならエラのサインを見ながらにしてください。
Q. 全量換え直したほうがいいですか。
A. いちばん危険なのがそれです。一度に換えすぎること自体がメダカを弱らせます。やることは薬剤を足すか、塩素の無い水を一部入れ替えることで、やり直すことではありません。
Q. メダカはカルキ抜きをしなくても大丈夫ですか。
A. 「大丈夫だった」という声には条件が付いています。足し水が中心で一度に入れる量が少ない、屋外で日が当たり水面が動いている、など。薄まる形でしか入れていないということで、同じ人が全量を換えれば結果は変わります。
Q. 100均のカルキ抜きでも使えますか。
A. 成分がチオ硫酸ナトリウム系なら働きは同じです。規定量(何リットルに何滴か)が書いてあるものを選んでください。10Lの容器を週1回換えるなら、小さな1本で1年持ちます。
Q. 忘れないコツはありますか。
A. 汲む容器に先に薬剤を入れておく方法があります。バケツに規定量を落としてから水道水を注げば、水が入った時点で抜けています。汲み置き用の容器を1つ決めておくのも同じ効果があります。
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