屋外でメダカを飼っていると、必ず向き合うことになるのがヤゴ(トンボの幼虫)とボウフラ(蚊の幼虫)です。
昨日まで元気に泳いでいたのに、急に数が減った。その犯人がヤゴだった、というのは屋外飼育では珍しくありません。
ただ、この二つはまったく性質が違います。ヤゴはメダカを食べる捕食者で、ボウフラは成魚にとってはむしろ餌です。同じ「水に湧く虫」として一緒に扱うと、手が空回りします。

- 死骸が無いのに数が減るなら、ヤゴを疑います。食べられているので、跡が残りません。
- ヤゴとボウフラは正反対です。ヤゴは捕食者、ボウフラは成魚の餌。一緒に扱うと手が空回りします。
- いちばん確実なのは防虫ネット。入ってからでは遅いので、産卵そのものを防ぎます。
- 春に急に減るのは、越冬したヤゴが動き出したから。シオカラトンボなどはヤゴのまま底で冬を越します。
- 10円玉も殺虫剤も使わないでください。効かないか、メダカに効いてしまいます。
- 迷ったら、ネット。ヤゴもボウフラも、親が水面に卵を産むところから始まります。
ヤゴとボウフラ、どちらが危険か

ヤゴは全力で排除、ボウフラは上手に付き合う。これが基本の方針です。
ボウフラが大量に湧いているなら、それはメダカが食べきれていない印でもあります。密度が低いか、容器が大きすぎるか。つまりボウフラの量は、その容器の状態を教えてくれる目安にもなります。
ヤゴ対策|メダカを食べる最強の天敵

ヤゴはどこから来るのか
ヤゴはトンボの幼虫です。トンボが飛んできて水面に卵を産みつけることで発生します。屋外の水たまり状の環境、つまりメダカのビオトープや飼育容器は、トンボにとって理想的な産卵場所です。ヤゴか、鳥や猫か、まだ分からないなら、メダカの数が減った・消えた|犯人は4つで先に犯人を絞ります。
種類によって大きさはさまざまで、数ミリのものから3センチを超えるものまでいます。大きく育ったヤゴは成魚のメダカでも捕食します。しかも下唇を伸ばして瞬間的に捕らえるため、メダカに逃げるすべはほとんどありません。
ヤゴがいるかどうか、どこで分かるか

いちばん分かりやすいのは、死骸が見当たらないのに数が減ることです。病気で落ちたなら死骸が残りますが、食べられた場合は跡形もなく消えます。
原因が分からないままメダカが減るときは、まずヤゴを疑ってください。稚魚が消える原因は他にもあるので、稚魚だけが消えるなら、別の原因をメダカの稚魚が「消える・溶ける」のは何故?で切り分けてください。

探す場所は3つに絞れます。容器のふちの内側、水草の根元、そして底にたまった落ち葉や泥の中です。ヤゴは動かずにじっとしているので、水面を眺めていても見つかりません。
ヤゴを入れさせないには、どうすればいいか
ヤゴ対策は、侵入してからでは遅いという性質があります。いちばん確実なのは防虫ネットを張ることで、トンボが水面に近づけなくなるので産卵そのものを防げます。
ネットが張れない容器なら、ホテイアオイやアマゾンフロッグピットなどの浮き草で水面を覆う手があります。ネットほど確実ではありませんが、見た目を損ないません。
簾を斜めに立てかけるのも手です。水面へのアクセスを減らしつつ、夏の高水温対策を兼ねられます。真夏に水温が上がりすぎる容器なら、こちらのほうが一石二鳥になります。
入ってしまったヤゴは、どう駆除するか
まずは目視で探します。底や水草の根元、容器のふちをよく見てください。ヤゴは動かずにじっとしているので、じっくり探すのがこつです。見つけたら網やスポイトで取り除きます。
ただ、小さなヤゴは目視では見つけられません。確実なのは容器の丸洗いです。メダカを別容器に移し、水を抜いて、底の泥や落ち葉ごと洗い流します。赤玉土や砂利の隙間、水草の根元は特に念入りに確認してください。
捕まえたヤゴをどうするかは飼い主しだいです。別容器で育ててトンボにするのも一つの楽しみ方ですし、庭や近くの水辺に逃がしても構いません。
トンボ自体は害虫を食べる益虫なので、無理に殺す必要はありません。ただしメダカの容器に戻すのだけは避けてください。
春になると急にメダカが減るのはなぜか
シオカラトンボなどの仲間は、ヤゴのまま冬を越します。秋までに産まれたヤゴが容器の底で越冬し、春に活動を再開して稚魚を食べはじめる。これが「春になったら急にメダカが減る」の正体です(アカトンボの仲間は卵で冬を越し、春に孵ります)。
だから早春の丸洗いが、いちばん効きます。冬のさなかに水を大きく換えると眠っているメダカの体力を奪うので、日中の水温が上がった暖かい日を選んでください。メダカが冬眠から覚める前、繁殖のシーズンが始まる前に一度リセットしておくと、その年の被害を大きく減らせます。
ボウフラ対策|実は成魚のごちそう
ボウフラを放っておくとどうなるか

ボウフラは蚊の幼虫です。蚊は卵、幼虫(ボウフラ)、蛹(オニボウフラ)、成虫と姿を変えて育ちます。育つ速さは季節で変わり、厚生労働省の調査法の資料には春なら3〜4週間、夏なら1〜2週間で成虫まで発育すると書かれています。
屋外の容器なら、夏は1〜2週間が目安です。つまり週に一度のぞいていれば、蚊になる前に手を打てます。
ここで大事なのは、成魚のいる容器ではボウフラはまず育たないということです。メダカにとってボウフラは大好物で、見つけしだい食べてしまいます。むしろ栄養のある生き餌として、体づくりや産卵にプラスに働きます。
ボウフラが本当に困るのは、どんなときか

注意が要るのは、針子や小さな稚魚だけを入れている容器です。ここでは力関係が逆転します。
孵化したばかりの針子は体長4〜5ミリ。育ったボウフラは1センチ近くになるので、ボウフラのほうが大きくなります。
食べられることはなくても、餌を奪われ、水を汚され、針子が衰弱する原因になります。稚魚の育て方はメダカの稚魚(針子)の育て方にまとめてあります。
ボウフラは、どう駆除するのが早いか
いちばん合理的なのは、スポイトで吸って成魚の容器に入れることです。百円均一のスポイトで吸い取り、親メダカの容器に落とすだけ。駆除と給餌が同時にできて無駄がありません。
数が多いときは目の細かい網ですくうほうが早いです。あまりに大量なら、稚魚を避難させて水ごと入れ替えます。
予防は、水面を覆うことに尽きます。蚊は開いた水面に産卵するので、浮き草やネットで覆えば産卵場所そのものが減ります。
防虫ネットは、どれを選べばいいか

ヤゴもボウフラも、親(トンボと蚊)が水面に卵を産むところから始まります。だから水面を覆ってしまえば、両方まとめて防げます。
選ぶときに外せないのは目合いです。1ミリ目を選べば、蚊も通しません。トンボ用の粗い網では、トンボは防げても蚊は防げません。
張るときは、たるんで水面に触れないように支柱やペットボトルで持ち上げ、ふちを洗濯ばさみや紐で留めてすき間をなくします。トンボは数センチのすき間から入ります。
鳥や猫まで止めるなら、目の大きさが変わります。1cm前後の網と1mm以下の網の使い分けは、メダカの鳥・猫よけは、網か蓋かすだれかにまとめました。
農業用の防虫ネットなら、1ミリ目のものが安く手に入ります。幅180センチのものを買って、容器の大きさに切って使うのが無駄がありません。
10円玉や殺虫剤は、効くのか
10円玉を入れる方法をときどき見かけますが、すすめません。銅がわずかに溶け出す効果を狙うものですが、効くほどの濃度になればメダカやエビにも害が出ます。効かない濃度なら意味がなく、効く濃度なら危ない。どちらに転んでも困ります。

蚊取り線香や殺虫剤も、容器の近くでは使わないでください。蚊取り線香などに使われるピレスロイド系の成分は、人にはほとんど影響が出ない量でも、魚には効いてしまうものがあります。強さは成分ごとに違うので、「ピレスロイドだから安全」とも言い切れません。
風で成分が水面に落ちるだけでも届きます。屋外で蚊を減らしたいなら、殺すのではなく水面を覆って産卵させないほうが確実です。
魚を入れて食べさせるという発想も、相手を選びます。金魚やドジョウを入れればボウフラは減りますが、同時にメダカや卵も食べられます。
取り除かなくていい生き物は、どれか
水面や底に小さな生き物がいると、つい全部取り除きたくなります。ただ、実際には放っておいていいものが多くあります。

ミジンコは稚魚の生き餌になりますし、ヒメタニシやカワニナは苔や残り餌を食べて水をきれいにします。ユスリカの幼虫(アカムシ)も、メダカが食べるので害にはなりません。いつでも取り除くのは、メダカを食べるヤゴだけです。ボウフラも、成魚のいる容器なら餌として食べられます。取るのは針子や小さな稚魚だけの容器で、スポイトで吸って成魚の容器へ移せば、そのまま餌になります。
体調を崩している個体と見分けがつかないときは、メダカの病気の見分け方で症状から確かめてください。
一年のうち、いつ気をつければいいか

トンボも蚊も、活動するのは暖かい時期です。私のところでは、5月から9月をいちばん警戒し、4月と10月も油断しません。アカトンボの仲間は秋にも卵を産みます。
そして見落としやすいのが、2月から3月です。この時期に虫はいませんが、越冬したヤゴが底にひそんでいます。メダカが動き出す前に、暖かい日を選んでここで一度洗っておくと、春の被害を減らしやすくなります。
どこで見切るか|終わりの判断
線を決めておきます。
死骸が無いのに減っているなら、ヤゴ。底を探して、見つけたら取り出す。病気なら死骸が残ります。
ボウフラは取らない。成魚の餌です。針子の容器だけは別で、針子はボウフラを食べきれません。
5〜9月は、防虫ネット。入ってからでは遅い。産卵そのものを防ぐ。
春に急に減ったら、越冬したヤゴ。ヤゴのまま底で冬を越す種類がいます。春先に底を見る。
10円玉と殺虫剤は、使わない。効かないか、メダカに効いてしまいます。
ヤゴとボウフラは、泥棒と配達員くらい違います。同じ「虫」でも、片方は追い出し、片方は受け取ります。
まとめ
ヤゴは捕食者で、ボウフラは成魚にとっては餌。同じ虫でも、やることは正反対です。
どちらも入り口は水面なので、目合い1ミリ以下の防虫ネットを張れば一度に止まります。そして2月から3月に容器を洗っておくこと。この二つで、屋外飼育の虫の悩みの多くに先回りできます。
よくある質問
Q. ヤゴがいると、メダカは全部食べられてしまいますか。
A. 全部とはかぎりませんが、大きく育ったヤゴが1匹いるだけでも、小さな容器では数がかなり減ることがあります。
ヤゴは下唇を一瞬で伸ばして捕らえるので、メダカに逃げるすべがほとんどありません。数が毎日じわじわ減るのに死骸が見当たらないなら、早めに容器を丸洗いしてください。
Q. ボウフラはメダカが食べてくれるので、放っておいていいですか。
A. 成魚だけの容器なら、そのままで構いません。むしろ栄養のある生き餌になります。ただし針子や小さな稚魚だけの容器は別で、育ったボウフラのほうが体が大きくなるため、餌を奪われて稚魚が衰弱します。稚魚容器では取り除いてください。
Q. 10円玉を入れるとボウフラ対策になりますか。
A. すすめません。銅がわずかに溶け出す効果を狙う話ですが、効くほどの濃度になればメダカやエビにも害が出ます。効かない濃度なら意味がなく、効く濃度なら危ないという、どちらに転んでも困る方法です。
Q. 蚊取り線香や殺虫剤を、近くで使ってもいいですか。
A. 容器の近くでは使わないでください。蚊取り線香や殺虫剤に使われるピレスロイド系の成分には、人にはほとんど影響が出ない量でも魚やエビに効くものがあります。風で成分が水面に落ちるだけでも影響が出ます。屋外で蚊を減らしたいなら、水面を覆って産卵させないほうが確実です。
Q. 防虫ネットは、どんなものを選べばいいですか。
A. 目合いが1mmほどのものを選んでください。目の粗い網では蚊が通り抜けます。張るときは、たるんで水面に触れないように支柱などで持ち上げ、ふちにすき間ができないように留めます。トンボは数センチのすき間から入ります。
Q. 春になったら急にメダカが減りました。なぜですか。
A. ヤゴのまま冬を越す種類のトンボがいて、秋までに産まれたヤゴが容器の底で冬を越していた可能性があります。春に活動を再開して、生まれたばかりの稚魚から食べていきます。メダカが冬眠から覚める前、2月から3月の、日中の水温が上がった暖かい日に容器を丸洗いしておくと、その年の被害を大きく減らせます。
次に見るのは、ここ
原因不明で数が減るときは、メダカの稚魚が「消える・溶ける」のは何故?でほかの可能性も確かめられます。体調を崩しているように見えるときはメダカの病気の見分け方へ。

