朝、1匹沈んでいた。夏は1匹も落ちなかったのに。翌朝、また1匹。水は澄んでいて、ほかのメダカは泳いでいる。
秋にメダカが死ぬのは、珍しいことではありません。ただ、原因は1つではなく、しかも「秋のせい」ではないことが多い。夏に溜まったものが、秋に出ています。
この記事は、自分の容器がどの落ち方なのかを見分けるところから書きます。見分けがつけば、直すのは2つで足ります。
- 秋に落ちる原因は4つ。夏の消耗/餌の与えすぎ/朝晩の水温差/冷たい雨。
- 今年よく産んだメスが、水も餌も問題ないのに落ちるなら、夏の消耗。今年は止められない。来年は採卵を早くやめる。
- 底に餌・油膜なら餌。朝に落ちるなら水温差。雨の翌朝なら雨。手当ては、餌を減らす・水量を増やす・日の当たる側へ。
- 秋にやらないのは、大きな水換えと、成魚を室内へ入れること。どちらも変化を増やす。
- 3日落ちなければ、止まった。迷ったら、減らして動かさない。
メダカが秋に死ぬ原因は4つ|夏の疲れか、秋の手当てか
答えを先に書きます。秋に落ちる原因は4つ。夏の消耗、餌の与えすぎ、朝晩の水温差、冷たい雨。前の1つは夏のせい、あとの3つは秋の手当てのせいです。
複数が続けて落ちるなら、原因は個体ではなく環境です。それは季節を問いません。ただし秋には、秋にしか起きない落ち方があります。夏には無かった原因が、9月から11月のあいだだけ、容器に入ってくる。
見分けの入口は、落ちているのが、夏に産んだメスかどうか。産卵で体を使いきったメスが、涼しくなって力尽きるのが、秋の落ち方の一番多い型です。これは秋の手当てでは防げません。夏の側の話です。
それ以外なら、秋の手当てのどれかが合っていない。餌か、水温差か、雨か。順に見ます。
1匹だけか、複数か|秋でも最初に見る線
4つの見分けに入る前に、ひとつだけ先に確かめることがあります。落ちたのが1匹だけか、続いているか。
1匹だけなら、寿命かもしれません。メダカの寿命は飼育下でおよそ2〜3年。夏を2回越した個体が秋に静かに落ちるのは、原因を探す話ではなく、自然な経過です。体に傷も膨らみもなく、ほかの個体が普通に泳いでいるなら、そのまま見送る。
2匹目が出たら、この記事の4つへ。落ちてはいないが動きが鈍い個体がいるなら、そちらの記事のサイン6つを先に見てください。秋は水温で動きが鈍るのが正常なので、鈍さだけで慌てない。
落ちた個体は、その日のうちに取り出します。放っておくと分解が始まって、次の1匹を呼びます。ここだけは季節に関係ありません。

①夏の消耗|産卵で使いきったメスが、涼しくなって落ちる
落ちているのがメスばかり、しかも今年よく産んだ個体なら、これです。
メダカは夏のあいだ、ほぼ毎日卵を産みます。1回に10〜30個、それが数か月。その体力は、餌で補いきれない分だけ、体から出ています。夏の高水温がそれに重なる。私の設備でも、夏に30℃を超えた年がありました。暑さと産卵の両方で、メスは秋に入るまでに使いきっています。
涼しくなって水温が下がると、消化も代謝も落ちる。体に余裕のない個体から、静かに落ちていきます。病気の跡もなく、水も汚れていない。それがこの型の特徴です。夏じゅう走り続けた人が、涼しくなった日に座り込むのと同じで、倒れた日に原因があるわけではありません。
だからこの落ち方は、秋に何をしても止まりません。来年の手当ては、産卵をどこで止めるか。私の設備では、排卵が止まったら採卵をやめて、親の体を冬に向けて休ませます。9月に入ってからも産ませ続けると、秋に落ちるメスが増えます。
今年できるのは、餌を減らして水を動かさないこと。残った個体の消耗を、これ以上増やさない。

②餌の与えすぎ|夏と同じ量を続けている
落ちた翌朝、底に餌が残っている。水面に油膜。それなら、餌です。
秋は日が短くなり、水温が下がって、メダカの消化が遅くなります。15℃前後で1日1回、10℃を割ったら与えない。夏と同じ量を続けていると、食べきれずに残り、夜のあいだに水を汚す。消化しきれない餌を腹に入れたまま冷え込むと、それ自体が体に負担です。
見分けは、水を見ること。与えすぎの合図は魚ではなく水に出ます。底の沈殿、油膜、白いにごり。どれかがあれば、餌を半分に。落ちるのが止まるまで、増やさない。
夕方の餌は、秋はやめる。夜に水温が下がると消化が止まります。与えるなら、水温が上がる昼前に1回。

③朝晩の水温差|昼25℃、朝15℃
餌も水も問題ない。落ちるのは朝。それなら、水温差です。
秋は、昼と朝で水温が10℃近く動く日があります。夏は昼も夜も暖かく、冬は昼も夜も冷たい。動くのは秋だけです。魚を落とすのは温度そのものより、変化の速さ。メダカも同じで、1日で大きく動く容器から落ちます。
動くのは、水の少ない容器です。私の設備でも、同じ場所に置いて、小さな睡蓮鉢だけが冬に厚く凍りました。秋の水温差も同じで、水が少ないほど朝晩で振れます。
手当ては、水量。小さな容器から大きな容器へ移す、または水位を上げる。それだけで振れ幅が小さくなります。ヒーターで揃えるのは屋外では効きません。
もうひとつ、置き場所。夏に日陰へ動かした容器は、秋に日の当たる側へ戻す。朝の冷え込みを、昼の日差しで戻せる場所へ。
④冷たい雨|一晩で水温と水質が動く
雨の翌朝に落ちている。それなら、雨です。
秋の雨は冷たい。小さな容器に降り込むと、一晩で水温が数℃下がり、水が薄まって水質も動きます。夏の夕立とは違って、水温を下げる方向に働く。
手当ては、雨の日だけ半分蓋をすること。すだれを半分かけておけば、雨は減り、日中の光は入ります。全面を覆う必要はありません。
雨が入ってしまったあとは、何もしない。水を換えると、変化が二重になります。翌日、晴れて水温が戻るのを待つ。
秋の落ち方と、病気の落ち方は違う
ここまでの4つは、どれも病気ではありません。病気なら、落ちる前に体に出ます。
白い点、ヒレのほつれ、鱗の逆立ち、白い綿、お腹の張り。落ちた個体にそのどれかがあれば、この記事ではなく病気の見分け方の早見表へ。秋の落ち方は、体がきれいなまま、朝に沈んでいる。そこが違います。
ただし、秋に体力が落ちた個体は、病気にもかかりやすくなります。落ちた個体はきれいでも、残った個体にほつれや点が出はじめたら、そこからは病気の側で手当てをします。秋の手当てと病気の手当ては、同時に走ることがある。
見分けに迷ったら、落ちた個体を1匹、白い容器に入れて上から見る。体に何も無ければ、この記事の4つ。何かあれば、早見表。それで分かれます。

秋にやってはいけない手当て|水換えと引っ越し
落ちはじめると、何かしたくなります。秋にやると逆に働くものが2つあります。
大きな水換え。秋の水換えは、水温差をもう一段作ります。全量の水換えは、水をきれいにしていた細菌ごと捨てることになる。換えるなら3分の1、昼の暖かい時間に、同じ水温で。10月の終わりの1回で、冬前は終わりです。
室内への引っ越し。成魚を秋に室内へ入れると、冬眠に入りきらず、餌をやるかやらないかで迷い続けることになります。成魚は屋外のまま、水量で守る。室内に入れるのは、届かない稚魚だけ。
秋にやっていいのは、餌を減らす・水量を増やす・場所を日の当たる側へ、の3つ。全部「減らす・動かさない」方向です。
稚魚が秋に減るのは、別の話
成魚ではなく、今年生まれた稚魚が秋に減っているなら、この記事の4つではありません。
稚魚は体に蓄えが無いので、水温が下がるとそれだけで落ちます。1.5cmに届いているかどうかが線で、届いていない稚魚は室内か、親のいない大きな容器へ。餌も成魚とは逆で、秋のあいだは切らさないほうが残ります。
同じ容器に成魚と稚魚がいて、減っているのが稚魚だけなら、共食いか、親に食べられているか。秋のせいではなく、大きさの差のせいです。分ければ止まります。
落ちはじめてからでは遅い手当て|9月のうちに済ませる3つ
この記事の4つは、落ちてから見分ける手順です。ただ、餌・水量・場所の3つは、落ちる前に済ませておけば、見分ける場面が来ません。
餌は、9月の後半から減らしはじめる。朝の水温が20℃を切ったら、夏の量の半分に。夕方の餌は、その日からやめる。落ちてから減らすより、落ちる前に減らすほうが、水も体も傷みません。
水量は、10月に入る前に増やす。小さな容器のメダカを大きな容器へ。まだ暖かいうちのほうが、移す作業で魚が弱りません。冬支度の5つのうち、これが一番効きます。
場所は、夏の日陰から日の当たる側へ。朝の冷え込みを昼の日差しで戻せる場所なら、水温差の振れが小さくなります。
私の設備では、この3つを秋に入る前に済ませています。だから秋に落ちる場面を見ていない。手当てが上手いのではなく、見分ける前に済ませているだけです。
もう落ちはじめているなら、この3つを今日やる。それで3日、様子を見る。
止まったと判断できるのは、いつか
手当てをしたあと、どこまで続けば「止まった」と言えるのか。線を決めておかないと、毎朝おびえて容器を見ることになります。
3日、落ちなければ止まった。餌を減らした、水量を増やした、そのあと3日。それで落ちなければ、手当ては合っています。
3日たっても落ちるなら、原因が違う。①の夏の消耗なら、手当てでは止まりません。落ちるのが今年よく産んだメスだけで、水も餌も問題ないなら、それは秋の手当ての話ではなく、来年の産卵の話です。
私の設備では、秋に次々と落としたことはありません。だから「こうすれば止まる」とは書けない。書けるのは、餌と水量と場所の3つを、秋に入る前に落としておくと、落ちはじめる前に済む、ということだけです。
どこで見切るか|終わりの判断
線を決めておきます。
落ちたのが今年よく産んだメスで、水も餌も問題ないなら、夏の消耗。今年は止められない。来年は採卵を早くやめる。
底に餌が残っている、油膜があるなら、餌。半分にして、夕方はやめる。
朝に落ちるなら、水温差。水量を増やして、日の当たる側へ。
雨の翌朝なら、雨。すだれを半分。水は換えない。
3日落ちなければ、止まった。それ以上は手を出さない。
迷ったら、餌を減らして、水を動かさない。秋の落ち方のほとんどは、足すことではなく減らすことで止まります。
まとめ
秋にメダカが死ぬ原因は4つ。夏の消耗、餌の与えすぎ、朝晩の水温差、冷たい雨。1つ目は夏のせいで、今年の手当てでは止まりません。来年は採卵を早くやめます。
あとの3つは、餌を減らす・水量を増やす・日の当たる側へ、で止まります。秋にやらないのは、大きな水換えと、成魚を室内へ入れること。
手当てをして3日落ちなければ、止まったと判断します。私の設備では秋に次々落としたことはなく、その3つを秋に入る前に済ませています。
よくある質問(FAQ)
Q. 秋になってメダカが1匹ずつ死ぬのはなぜですか。
A. 原因は4つ。夏の産卵と高水温で使いきったメスが涼しくなって落ちる(夏の消耗)、夏と同じ量の餌を続けている、朝晩の水温差、冷たい雨。1つ目は秋の手当てでは止まらず、あとの3つは餌・水量・場所で止まります。
Q. メダカが弱っているサインは何ですか。
A. 餌に寄ってこない、底でじっとして動きが鈍い、水面で口だけ動かす。秋は水温が下がって動きが鈍るのが正常なので、餌への反応で見ます。水を見て、底の沈殿や油膜があれば餌の与えすぎです。
Q. 秋の餌やりはどうすればいいですか。
A. 15℃前後で1日1回、10℃を割ったら与えない。夕方の餌はやめて、水温が上がる昼前に。落ちはじめたら半分にして、止まるまで増やしません。
Q. 秋に水換えをしてもいいですか。
A. 大きな水換えは水温差を作るので、秋は避けます。換えるなら3分の1を昼の暖かい時間に、同じ水温で。10月の終わりの1回で冬前は終わりです。
Q. 室内に入れたほうがいいですか。
A. 成魚は屋外のままです。室内に入れると冬眠に入りきらず、かえって迷いが増えます。入れるのは1.5cmに届かない稚魚だけ。屋外は水量を増やして守ります。
Q. 落ちるのはメスばかりです。
A. 夏の産卵で体を使いきった型です。今年の手当てでは止まりません。来年は、排卵が止まったら採卵をやめて、親の体を冬に向けて休ませてください。
Q. いつになったら止まったと判断できますか。
A. 手当てをして3日落ちなければ、止まったと判断します。3日たっても落ちるなら原因が違うので、4つのどれかをもう一度見ます。
Q. 秋に何匹まで落ちたら異常ですか。
A. 数ではなく、続くかどうかで見ます。1匹だけなら寿命の可能性があり、2匹目が出たら原因を探す側へ。手当てをして3日落ちなければ止まったと判断します。
Q. 雨のあと水が濁りました。換えたほうがいいですか。
A. 換えません。雨で水温が下がった直後に水を換えると、変化が二重になります。翌日晴れて水温が戻るのを待ち、濁りが続くなら昼に3分の1だけ。
Q. 落ち葉や柿の葉を入れると防げますか。
A. 私は試していないので、効くとも効かないとも書けません。ここに書いたのは、餌・水量・場所の3つで、私の設備で秋に落とさずに済んでいる範囲です。
次に見るのは、ここ
季節に関係なく何匹も落ちているならメダカが次々死ぬ|原因は個体でなく環境へ。止まったら、そのまま冬支度へメダカの冬支度|10月にやる5つへ。来年、採卵をどこで止めるかはメダカの産卵はいつまで?へ。餌の量を決め直すならメダカの餌やり|量と回数へ。落ちてはいないが動きが鈍いならメダカが元気ない|サイン6つへ。

