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メダカの卵の水温は何度まで大丈夫?|下は孵らず、上はオスが増える。見る線は3本

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メダカの産卵床に付いた卵 めだか

朝に採った卵をタッパーに移して、ベランダに置いた。昼に手を入れると、水がぬるい。お風呂より少し低いくらいです。この卵は、まだ大丈夫なのか。それとも、もう駄目になったのか。

反対に四月は、朝の水道水が冷たい。卵を入れた小さな容器は、親の容器より先に冷えます。孵るまで何日かかるかはメダカの卵の記事に書きました。この記事は、その手前の「何度までなら育つのか」に答えます。上の線と下の線が1本ずつ、それに1日の振れの線が1本。合わせて3本です。

先に断っておきます。ここに出す数字は、研究室の一定の水温で測ったものです。庭の容器の水温は朝と昼で違うので、同じ数字をそのまま当てることはできません。その差をどう読むかも、あとの章で書きます。

この記事の結論(要点)
  • 卵が育つのは18〜30℃。18〜25℃がいちばん孵化率が高い。
  • 14℃前後では孵ってもすぐ死に、11℃では孵らない。18℃に届いていれば冷たいほど遅くなるだけ。
  • 27℃を超えると本来メスの個体がオスになる割合が上がる。32℃で2〜5割、34℃で全部。
  • 小さい卵の容器は親の容器より振れる。迷ったら親の容器の日陰に浮かべる。
  • 加温するなら26℃。熱帯魚用の28℃は卵に使わない。
採卵した日と、卵の容器の朝と昼の水温を残すなら → メダカ台帳(無料)

メダカの卵は何度まで大丈夫か|育つのは18〜30℃。下は孵らず、上はオスが増える

答えを先に書きます。卵が育つのは18〜30℃で、18〜25℃がいちばん孵化率が高い。14℃前後では孵っても生きられず、11℃では孵らない。14〜18℃のあいだは試した記録が無いので、育つと言える線は18℃からです。30℃を超えると孵りはするものの、生まれる子にオスが増え、34℃まで上がると子を残せない個体になります。

この範囲は、日本水産学会誌に1937年に載った実験で測られたものです(山本 1937年・メダカ及金魚卵の孵化日数と水温との関係)。採った卵を11℃から30℃までの6段階に分け、一定の水温で孵化まで育てています。

  • 10.9℃:1つも孵らなかった。
  • 14.2℃:6尾が孵ったが、どれも孵化後間もなく死んだ。
  • 18〜25℃:どの水温でも孵化率が高く、差がなかった。
  • 18〜30℃:順調に育った。著者はこの範囲を「孵化適温」と呼んでいる。

上の線のほうは、この実験の30℃で止まっています。30℃を超えると何が起きるかは、別の研究が答えています。それは第3章で書きます。

迷ったら、卵の容器を親の容器と同じ日陰に置きます。夏は30℃を超えにくく、春秋は親が産卵している水温なら卵も育つ範囲に入っているからです。日なたに出すのは、春先に水温が18℃に届かないときだけです。

メダカの卵の水温の目安。14℃以下は孵らないか孵っても死ぬ。18〜25℃がいちばんよく孵る。27℃を超えると本来メスの個体がオスになる割合が上がり、34℃で全部オスになる。
一定の水温で育てた実験の結果。庭の容器は朝と昼で振れるので、低い側は平均、高い側は昼の最高で見る。

低すぎると、どうなるのか|止まるのか、死ぬのか

四月の終わり。親の容器で初めて卵を見つけて、タレビンに移す。水道の水をそのまま入れたら、手が冷たかった。夜はまだ10℃まで下がる日があります。

低い側で起きることは、2つに分かれます。1つは、発生が遅くなること。山本の実験で引かれている1928年の記録では、13〜14℃で27日、20〜22℃で10日、23〜24℃で8日でした。10℃上がると、孵化までの時間はおよそ2.2分の1になります。つまり冷たいと死ぬのではなく、まず遅くなる。

もう1つは、線を切ると孵っても育たないこと。14.2℃で孵った6尾は、孵化後すぐに死にました。卵の中で時間をかけて育っても、出てきた針子が泳ぎ出せる体になっていない、ということです。10.9℃では孵化そのものが起きませんでした。

では、朝だけ冷える日はどうか。産卵直後の卵は、冷えに弱い時期です。メダカの卵を0℃に冷やした研究では、受精直後の2〜4細胞の時期がいちばん弱く、発生が進むにつれて強くなりました(2005年の家畜繁殖学の学術誌の研究・要旨)。ただし5℃や10℃では、0℃に比べて影響がずっと小さかったとも書かれています。庭で起きる朝の冷えは、この5〜10℃の側です。

ここから言えるのは、春の卵が落ちる原因は「朝の冷え」そのものより、平均の水温が18℃に届いていないことのほうが多い、ということです。朝15℃、昼22℃なら、平均はおよそ18℃。ぎりぎりです。朝12℃、昼20℃なら届きません。この時期の卵は、室内の窓際か、加温した容器へ移すほうが確実です。産卵が始まる条件は産卵はいつまでの記事に書いた18℃です。親が産む水温に届いていれば、卵も育つ範囲に入っています。

高すぎると、どうなるのか|死ぬ前に、オスになる

七月。日の当たる棚に置いたタッパーの水に手を入れると、ぬるいを超えて温かい。卵は透きとおったままで、白くはなっていません。これで育つのか。

育ちます。ただし、生まれてくる子の性別が変わります。メダカは遺伝的にオスとメスが決まっている魚ですが、卵の時期に高い水温に置かれると、本来メスになるはずの個体がオスとして育ちます。2005年に動物学の学術誌に載った研究では、受精卵を孵化まで32℃に置いたところ、本来メスのうち24%と50%(系統で違う)がオスになりました。オスになった個体は正常な精巣を持ち、子を残せました(2005年の動物学の学術誌の研究・要旨)。

2007年の研究はもっと細かく温度を振っています。17℃から34℃まで試し、本来メスの個体は27℃を超えるとオスになる割合が上がり、34℃で100%になりました。しかも34℃で育った組は、大人になっても子を残せなかった、とあります(2007年の性分化の学術誌の研究・要旨)。心臓ができる段階より後から温度を上げた組では、この変化は起きませんでした。性別が決まるのは、卵の前半ということです。

仕組みは、熊本大学の研究グループが追っています。高い水温でストレスのホルモン(コルチゾル)が増え、それが生殖腺に働いてオス化を引き起こす、という流れです。大学の発表でも、性分化の時期に32〜34℃の高水温のストレスの下で飼育すると、本来メスになる個体がオスへ分化する、と前提として書かれています(熊本大学 2020年の発表)。

これを庭に当てると、こうなります。夏に採った卵を日なたの小さい容器で育てると、卵は孵るし、針子も泳ぐ。でも秋に育った子を見ると、オスばかりになっていることがある。卵が白くならなかったからといって、無事だったとは言えません。

28℃以上でダルマ体型が出やすくなる話は、ダルマメダカの記事に書きました。あちらは狙って出す話、こちらは狙っていないのに起きる話です。線は近いところにあります。狙わないなら、卵の容器は30℃を超えさせない。私が卵を売っていたころは、猛暑日と真冬は出品そのものを止めていました。届くまでの温度を抑えられないからです。

1日の振れは、どこまで許されるか|定温の実験と、庭の容器の違い

ここまでの数字は、全部が一定の水温です。11℃なら11℃のまま、32℃なら32℃のまま孵化まで置いています。庭のタッパーは、そうなりません。朝22℃、昼31℃、夜24℃と動きます。

この違いをどう読むか。手がかりは3つあります。1つめは、オス化の研究が「心臓ができる前」の温度で決まっていたこと。卵の前半、受精から4〜5日のあいだに31℃を何時間も浴びる日が続けば、性別の側に効くと考えるのが筋です。2つめは、オス化の割合が27℃から上がり始めていたこと。線は30℃の少し下から、なだらかに始まっています。3つめは、低い側では「平均が18℃に届くか」で見てよいこと。冷えは0℃に近づかなければ、発生を遅らせるだけです。

そして、振れの大きさを決めるのは、容器の水の量です。小さい容器の水温は、置いた場所の気温にすぐ追いつきます。私の庭でも、同じ朝に大きい容器は薄氷で、小さい睡蓮鉢は厚く凍りました。卵のタッパーやタレビンは、その睡蓮鉢よりさらに小さい。だから、親の容器が30℃で済んでいる日に、卵の容器だけ33℃になっていることが起きます。夏の容器の水温を下げる手は水温を下げる方法の記事に書きましたが、卵の容器にはもっと簡単な手があります。

親の容器に浮かべる、です。小さい容器を大きい水に浮かべれば、水温は大きいほうの水に合います。湯煎と同じで、小さい器の温度は外側の水が決めます。親の容器が日陰で28℃なら、浮かべた卵の容器も28℃に近づく。日なたの棚に単独で置くのとは、振れの幅がまるで違います。

ただし浮かべるときは、親が卵の容器に入れないこと、容器が倒れないことを確かめます。卵をほったらかしにした記事に書いたとおり、親と同じ水にいる卵は食べられます。浮かべるのは水温を借りるためで、水を共有するためではありません。

メダカの卵の容器の置き場所の比較。日なたに単独で置くと水温が気温にすぐ追いつき親の容器より高くなる。親の容器に浮かべると大きい水の温度に合い振れが小さい。
迷ったら、親の容器と同じ日陰に浮かべる。日なたに出すのは春先だけ。

浅く置くか、深く置くか|卵は浅いほうが孵る。ただし浅いほど振れる

卵の容器は、浅いほうがいいのか、深いほうがいいのか。これにも研究があります。

国際基督教大学の研究グループが、25℃に保った水槽の中で、受精卵を水深5cm・30cm・65cmに置いて比べました。65cmでは5cmより孵化率が低く、孵化までの日数も長くなりました。ヒメダカで、5cmは最短8日・最長17日、65cmは最短11日・最長18日です(上出ほか 2020年・自然環境科学研究)。著者らは、水圧の増加が発生を抑えた可能性がいちばん高いと書いています。

メダカが浅い場所の水草に卵を産み付けるのは、理にかなっているということです。家庭の卵の容器は、どれも水深5cm前後ですから、深さで損をすることはありません。

ただし、浅いほど水の量は少なく、温度は振れます。ここが前の章とぶつかる所です。だから答えは「浅い容器を、大きい水に浮かべる」になります。深さは5cmのまま、周りの水で温度を借りる。両方を一度に満たす置き方は、これだけです。

メダカの産卵床に付いた卵。飴色に透きとおった卵が育つ卵
産卵床に付いた卵。卵の容器は小さいので、水温は置いた場所の気温にすぐ追いつきます。

孵化までの日数を、水温から数える|250℃の数え方がずれる所

孵化までの日数は、卵の記事に書いた「平均水温を毎日足して250℃」の数え方で足ります。25℃なら10日。山本の論文に引かれた久保1935年の記録も、25℃前後で10〜12日でした。

ただ、この数え方は低い側でずれます。13〜14℃で27日なら、足し合わせた温度は350℃を超えます。冷たいほど、250℃では足りなくなる。春の卵が「予定日を過ぎても孵らない」のは、たいていこれです。孵らないのではなく、まだ途中です。

高い側では、逆に早まります。30℃なら8日前後。ただし早く孵ることと、無事に孵ることは別だと、第3章で書きました。日数が縮んだのを喜ぶ前に、その容器の昼の水温を見てください。

卵の容器の水温を、どう測るか|気温ではなく、卵の容器の水

卵の容器に手を入れて「ぬるい」と感じたとき、それが28℃なのか32℃なのかは、手では分かりません。人の手は体温より低いものを全部「冷たい」、高いものを全部「温かい」と感じるからです。

測るのは、親の容器ではなく、卵の容器の水です。前の章で書いたとおり、この2つは同じ日に3℃以上ずれることがあります。そして見るのは昼の1回ではなく、朝と昼の2回。1日の振れが知りたいからです。朝と昼に見に行けないなら、最低と最高を記録する水温計を卵の容器に浮かべておけば、留守のあいだの2つの数字が残ります。

浮かべるだけで、留守のあいだの最低と最高の2つが残ります。卵の容器を単独で置く人向けです。

春や秋に室内で加温するなら、水温は26℃に固定するヒーターで足ります。私は、冬に産ませるときも26℃にしています。26℃は、育つ範囲の中にあって、オス化が始まる27℃の手前です。熱帯魚用の28℃や、ダルマを狙う温度は、狙っていない卵には向きません。加温して産ませる話は冬に産卵させる記事にまとめました。

温度を合わせる手間がなく、26℃固定なので卵をオス化の線の手前に置けます。48Lまでの水槽用です。

親の容器が日陰で、卵の容器をそこに浮かべている人には、水温計もヒーターも要りません。親の水温に合うので、卵だけを測る理由がありません。買うのは、卵の容器を単独で置く人だけです。

どこで見切るか|終わりの判断

線を3本、決めておきます。

昼の水温が30℃を超える日が続いたら、卵の容器を日陰か、親の容器に浮かべる位置へ移します。卵が透きとおっていても、そのままにしません。オス化は27℃から上がり始めて、34℃では子を残せない個体になります。

平均の水温が18℃に届かない時期の卵は、室内へ入れるか、採りません。14℃前後で孵った針子は生きられず、18℃に届いていても冷たいほど遅く、春先は1か月かかることがあります。秋の卵をどこまで育てるかは、産卵はいつまでの記事の線と同じです。

そして、予定の日数の1.5倍を過ぎても目が見えない卵は、抜きます。25℃なら15日、20℃なら20日が目安です。白く濁った卵はその日のうちに抜く、というのは卵の記事と同じです。透きとおったまま孵らない卵は、冷たくて遅れているだけのことが多いので、水温を測ってから決めます。

夏に育った子がオスばかりだったら、翌年の卵の容器の置き場所を変えます。親のせいでも餌のせいでもなく、卵の前半の水温です。採卵した日と、その容器の朝と昼の水温を残しておくと、翌年どこを変えればいいかが、記憶ではなく記録で分かります。

まとめ

卵が育つのは18〜30℃で、18〜25℃がいちばんよく孵ります。14℃前後では孵ってもすぐ死に、11℃では孵りません。18℃に届いていれば、冷たいほど遅くなるだけです。

27℃を超えると、本来メスになる個体がオスになる割合が上がり、32℃で2〜5割、34℃で全部がオスになり、子を残せなくなります。卵が透きとおっていても起きます。

小さい卵の容器は親の容器より振れます。迷ったら、親の容器の日陰に浮かべる。加温するなら26℃。昼の水温が30℃を超える日が続いたら、置き場所を変えます。

よくある質問(FAQ)

Q. メダカの卵は何度まで大丈夫ですか。

A. 一定の水温で育てた実験では、18〜30℃で順調に育ち、18〜25℃がいちばん孵化率が高い結果でした。14℃前後では孵っても生きられず、11℃では孵りませんでした。30℃を超えると孵りはしますが、生まれる子にオスが増えます。

Q. 卵の水温が高いと、どうなりますか。

A. 卵の前半(受精から心臓ができるまで)に27℃を超えると、本来メスになる個体がオスとして育つ割合が上がり、32℃で2〜5割、34℃で全部がオスになったという研究があります。34℃で育った組は子を残せませんでした。卵が白くならなくても、起きています。

Q. 水温が低いと、卵は死にますか。

A. 18℃に届いていれば、死ぬより先に遅くなります。13〜14℃で27日かかった記録があります。14℃前後で孵った針子は孵化後すぐに死に、11℃では孵りませんでした。平均の水温が18℃に届かない時期は、室内へ入れるか採らないほうが確実です。

Q. 朝と昼で水温が違います。どちらで見ればいいですか。

A. 両方です。低い側は平均が18℃に届くかで見ます。高い側は昼の最高が30℃を超えるかで見ます。小さい卵の容器は親の容器より振れが大きいので、測るのは卵の容器の水です。

Q. 卵の容器は、日なたに置いたほうがいいですか。

A. 春先に水温が18℃に届かないときだけです。それ以外は親の容器と同じ日陰か、親の容器に浮かべます。浮かべると、小さい容器の水温が大きい容器の水温に合い、1日の振れが小さくなります。

Q. 28℃でダルマが出ると聞きました。30℃との違いは何ですか。

A. 28℃以上はダルマ体型が出やすくなる線で、27℃を超えると同時にオス化の割合も上がり始めます。狙ってダルマを出すなら28℃、狙わないなら30℃を超えさせない、と分けて考えます。

Q. 卵の容器を加温するなら、何度にすればいいですか。

A. 26℃です。育つ範囲の中にあり、オス化が上がり始める27℃の手前です。熱帯魚用の28℃固定のヒーターは卵には使いません。

Q. 予定日を過ぎても孵りません。捨てていいですか。

A. 透きとおっていて、水温が20℃を切っているなら、まだ途中です。冷たいと250℃の数え方より長くかかります。予定の日数の1.5倍を過ぎても目が見えない卵、白く濁った卵は抜きます。

卵を採った日と、その容器の朝と昼の水温。翌年に「夏の子がオスばかりだった」と気づいたとき、どの容器のどの置き場所が原因だったかは、記憶では戻れません。メダカ台帳なら、容器ごとに採卵日と水温を残せます。
→ 容器ごとの採卵日と水温を、スマホに
台帳でできることを、もう少し詳しく

次に見るのは、ここ

白い卵を抜く手順と、25℃で10日の数え方ならメダカの卵の記事へ。卵ではなく親の水温の線ならメダカの水温は何度までへ。28℃で体型を狙う側の話ならダルマメダカの作り方へ。秋の卵をどこまで育てるか決めるならメダカの産卵はいつまでへ。