冬の晴れた昼、容器をのぞくとメダカが水面まで上がってきた。
もう何週間も餌をやっていない。底でじっとしている個体もいるのに、何匹かは寄ってきて、口をぱくぱくさせている。お腹を空かせているのではないか。少しだけならあげてもいいのではないか。袋を手に取って、そこで止まる。
冬の餌で迷うのは、たいていこの場面です。やめどきより、やめたあとに「あげたくなる日」のほうが難しい。この記事は、冬の餌を水温計の2つの線で決めて、迷う日の答えまで先に置いておきます。
- 屋外のメダカは、冬のあいだ餌をやらない。決めるのは日付ではなく水温。
- 15℃を下回ったら1日1回に減らし、10℃を割る朝が続いたらやめる。
- 暖かい日に上がってきても、あげない。見るのは昼の様子ではなく朝の水温。
- ヒーターで水温を保つ室内は、冬も普段どおり。稚魚は切らさない。
- 春は、朝の水温が10℃を超える日が続いてから、少なく再開。迷ったら、やらない。
- メダカの冬の餌は、屋外ならいらない|決めるのは水温
- 冬に食べないのはなぜか|食べられないのではなく、消化できない
- 餌をやらなくて、餓死しないか|冬を越す分は秋に食べている
- 減らす時期の餌|15℃から10℃のあいだ
- 暖かい日に上がってきたら、あげるか、あげないか
- 私がやった失敗|ほとんど食べないのに、やりすぎた
- 稚魚は別に考える|冬までに1.5cmに届かないなら
- 春の再開は水温で|いつ、何を、どれだけ
- 冬の餌は、夏と同じか、替えるか
- 室内の水槽は別|ヒーターがあれば、冬も普段どおり
- どこで見切るか|冬の餌をやめる線
- まとめ
- よくある質問(FAQ)
- Q. メダカの餌切りは、いつから始めればいいですか。
- Q. 冬に餌をあげないと、メダカは餓死しませんか。
- Q. 暖かい日にメダカが水面に上がってきました。餌をあげてもいいですか。
- Q. 底で動かない個体と、寄ってくる個体がいます。どちらに合わせればいいですか。
- Q. 冬の手前に餌をやりすぎてしまいました。
- Q. 今年生まれの1cmくらいの稚魚も、餌切りしていいですか。
- Q. 春はいつから餌を再開しますか。
- Q. エビや貝が一緒にいても、冬は餌をやらなくていいですか。
- Q. 納屋や簡易ハウスで冬越しさせています。餌はどうしますか。
- Q. 冬用の餌に替えたほうがいいですか。
- Q. 冬に餌を食べないのは病気ですか。
- Q. メダカの冬の餌やり回数は。
- 次に見るのは、ここ
メダカの冬の餌は、屋外ならいらない|決めるのは水温
答えを先に書きます。屋外のメダカは、冬のあいだ餌をやりません。減らしはじめるのは水温が15℃を下回ったころ、完全にやめるのは10℃を割ったころ。日付ではなく、水温で決めます。
私のところでも、冬の屋外は餌なしです。やめる日も、春に再開する日も、見ているのは水温だけ。カレンダーは見ていません。同じ11月でも、暖かい年と寒い年で水温はずれるからです。
サイト内の冬の記事も、この線でそろえています。冬越しの記事では「15℃で減らし、10℃以下で止める」、冬眠明けの記事では「水温が安定して10℃を超えてから再開」。この記事は、そのあいだで起きる迷いを埋めるものです。
餌をやらないことに、罪悪感を持つ人は多いと思います。でも冬に餌を切るのは放っておくことではなく、冬越しのための手当てのひとつです。理由は次の章で。

冬に食べないのはなぜか|食べられないのではなく、消化できない
メダカは、自分で体温を作れない魚です。体の温度は水温とほぼ同じになり、体の中の働きも水温に合わせて速くなったり遅くなったりします。
水温が下がると、まず消化が遅くなります。15℃を下回るころから食べる量が目に見えて落ち、10℃を割るころには、口に入れても消化が追いつきません。
消化しきれない餌は、体の負担になります。そして食べ残した餌は、水の中で傷みます。どちらも冬のメダカにとって、食べないことより重い。
もうひとつ、水の側の事情があります。水をきれいにしている細菌も、水温が下がると働きが落ちます。夏なら残った餌を分解してくれる細菌が、冬はほとんど動かない。だから冬の食べ残しは、夏より長く、濃く水に残ります。
冬の餌は、冷えた台所で鍋を火にかけずに置いておくのと同じで、置けば置いただけ傷んでいきます。食べる側も、片づける側も、冬は休んでいるのです。
餌をやらなくて、餓死しないか|冬を越す分は秋に食べている
冬に餌を切ると聞いて、いちばん多い不安がこれだと思います。何か月も食べなくて大丈夫なのか。
大丈夫です。水温が低いあいだ、メダカはほとんど動かず、使うエネルギーも少なくなります。そのわずかな分は、秋のうちに体に蓄えた分でまかなえます。
だから冬越しの成否を分けるのは、冬に何を食べさせるかではなく、秋にしっかり食べさせたかどうかです。冬越しの成否は秋で決まる、というのはこの意味です。
逆に言えば、秋に痩せていた個体は冬に持ちません。それは冬の餌では取り戻せない。取り戻そうとして冬に餌をやると、消化できない餌が水を悪くして、元気な個体まで巻き込みます。痩せた個体を助けたいなら、冬の前に室内へ移して、水温を保って食べさせるほうが筋です。

減らす時期の餌|15℃から10℃のあいだ
いきなり止めるのではなく、水温に合わせて減らしていきます。
15℃前後なら、1日1回。夏に1日2〜3回やっていたなら、ここで1回にします。時間は、水温が一番上がる昼前後。朝は水温が低く、夕方からは下がっていくので、消化に使える時間が短い。
量は、数分で食べきる分より少なめ。食べる勢いが夏より落ちているので、夏と同じ量を入れると残ります。残った餌は、その日のうちにすくって取り出します。
10℃前後に近づいたら、2〜3日に1回。食いつきが悪い日はやらない。それを続けて、朝の水温が10℃を切る日が続くようになったら、そこでやめます。
基本は、水温計が下がるのに合わせて、回数と量を一緒に下げていくことです。迷ったら、少ないほうを選ぶ。冬の手前で与えすぎて起きる失敗は、与え足りなくて起きる失敗よりずっと多いからです。
同じ容器にエビや貝がいても、彼らのために餌を入れる必要はありません。エビや貝も水温が下がると動きが落ちます。入れた餌は、メダカのぶんと同じように残ります。
暖かい日に上がってきたら、あげるか、あげないか
冒頭の場面に戻ります。冬に餌をやめたあと、晴れて暖かい日に、メダカが水面に上がってくる。
あげません。判断は、その日の昼の様子ではなく、朝の水温で見ます。昼に水面が温まって上がってきても、朝の水温が10℃を切る日が続いているなら、夜にはまた冷えます。昼に食べたものを、冷えた夜に消化することはできません。
上がってくるのは、水面の水が日に温められて、そこが一番暖かいからです。お腹を空かせて餌を待っているのとは違います。冬支度の記事でも、同じ線で書いています。
同じ容器で、底でじっとしている個体と、寄ってくる個体が混じることもあります。そのときも、見るのは一番元気な1匹ではなく水温です。寄ってくる個体に合わせて入れると、動かない個体のぶんまで餌が残ります。
暖かい日なら、昼の12時か13時までに少しだけ、という考え方もあります。夕方に水温が急に下がって消化が止まるのを避けるためで、理屈は同じところから来ています。私のところでは、それもやりません。冬の屋外は餌なし、で通しています。少しなら、を一度許すと、次の暖かい日にも同じ迷いが来るからです。
ここで袋を開けたくなる気持ちは、よく分かります。ただ、その1回が水を悪くして、春まで戻らないことがある。見るだけにして、水温計の数字を1つ覚えて帰る。それが冬の世話です。

私がやった失敗|ほとんど食べないのに、やりすぎた
先に、自分の失敗を書いておきます。
ほとんど食べない時期に、餌をやりすぎたことがあります。いつもの感覚で入れて、残った餌を回収することになったり、水が悪くなったりしました。冬の手前は、見た目には「まだ少し食べている」ので、つい入れてしまうのです。
冬の餌の失敗は、一度にどさっと入れることより、少しずつ続けてしまうことのほうが多いと思います。やめるのが怖くて、ひとつまみずつ入れ続ける。ひとつまみでも、食べない時期には残ります。
やってみて分かったのは、この時期は「食べるかどうか」ではなく「食べきるかどうか」で見る、ということです。口に入れていても、全部を食べきらずに残るなら、それはもう多い。
残った餌は、見えるうちにすくう。底に沈んだものは、スポイトで吸う。底に沈んだ餌、水面の油膜、白いにごりは、与えすぎのしるしです。どれかが出たら、その日からさらに減らします。
稚魚は別に考える|冬までに1.5cmに届かないなら
秋に生まれた稚魚は、成魚と同じようには冬を越せません。
成魚が冬に食べずに持つのは、秋に蓄えた分があるからです。小さな稚魚には、その蓄えがありません。冬までに1.5cmに届かない稚魚は、室内に入れて加温し、餌を切らさないほうが残ります。
今年生まれの1cm前後の稚魚を、成魚と一緒に餌切りしていいか。迷ったら、切らない側です。1cmはまだ線の手前で、冬を越す蓄えが足りません。
成魚は減らして止める、稚魚は切らさない。冬の餌は、成魚と稚魚で向きが逆です。同じ容器に大きさの違う個体がいるなら、冬の前に分けておくと、この判断がしやすくなります。
春の再開は水温で|いつ、何を、どれだけ
春に餌を再開する日も、水温で決めます。私のところでも、再開の合図は水温です。
朝の水温が10℃を超える日が続くようになったら、再開。1日暖かかっただけでは戻しません。春先は、暖かい日のあとに冷え込む日が来ます。冬眠明けにメダカが落ちるのは、春先です。
再開したら、最初は少なく。2〜3日に1回、数分で食べきる分より少なめから。冬のあいだ動いていなかった腸と、冬のあいだ休んでいた水の細菌が、どちらも目を覚ますのを待ちます。
水温が15℃を超えてきたら1日1回、20℃に近づいたら夏と同じ回数へ。秋に下げてきた階段を、春に同じ順で上がっていくだけです。
冬の餌で本当に落としやすいのは、冬のあいだより春先です。動きが戻ってきた姿を見ると、餌も水換えも一気に元に戻したくなる。春にやりがちなのは、冬の分を取り戻そうとしてたっぷりやること。それをすると、目を覚ましきっていない水が一気に悪くなります。秋に減らしたときより、ゆっくり戻すくらいでちょうどいい。
冬の餌は、夏と同じか、替えるか
冬の手前に、餌を替えるかどうか。
私は替えていません。夏と同じ、いつもの餌のまま、量と回数だけを落としています。冬の屋外はそもそも餌をやらないので、替える場面がほとんど無いからです。
ただ、替えてもいいと思います。消化のよさをうたった餌や、低水温向けをうたった餌もあります。食欲が落ちてきたら、たんぱく質の少ない餌に替えて、食べなくなったら餌を切る、という順で冬に入る人もいます。減らす時期(15℃から10℃のあいだ)に、少しでも体への負担を減らしたいなら、選ぶ理由はあります。
替えるなら、秋のうちに。水温が下がりきってから新しい餌に替えると、食べ慣れない餌を食べずに残して、かえって水を汚すことがあります。そして、替えても「10℃で止める」線は同じです。どの餌でも、10℃を割った水で消化できないのは変わらない。餌を替えたから冬もやっていい、にはなりません。
室内の水槽は別|ヒーターがあれば、冬も普段どおり
ここまでは屋外の話です。室内の水槽は、水温しだいで扱いが分かれます。
ヒーターで水温を保っているなら、冬も普段どおり。水温が下がらなければ、メダカの体の働きも下がりません。食べて、動いて、汚します。だから餌も、夏と同じように1日1〜2回、食べきる量を。室内は冬も食べ続けるので、水換えも間隔を変えません。
ヒーターの無い室内(玄関、暖房の無い部屋、納屋、簡易ハウス)は、屋外と同じ線。建物の中でも、水温が外と変わらないなら、扱いは屋外です。室内でも水温が15℃を下回れば減らし、10℃を割ればやめる。屋外より水温の動きが穏やかなだけで、決め方は変わりません。
室内か屋外か、ではなく、水温が何℃か。ここでも見るのは水温計です。屋外と室内を両方持っている人は、容器ごとに水温計を置いて、それぞれの線で決めます。
冬も産卵させたい、育てたい、という場合はヒーターで。そのときは「冬の餌」ではなく、普段の餌やりになります。
どこで見切るか|冬の餌をやめる線
線を決めておきます。
15℃を下回ったら、1日1回に減らす。昼前後に、数分で食べきる分より少なめ。
10℃を割る朝が続いたら、やめる。その日から春まで、屋外の容器には餌をやらない。
暖かい日に上がってきても、あげない。見るのは昼の様子ではなく、朝の水温。
春は、朝の水温が10℃を超える日が続いてから、少なく再開。
迷ったら、やらない。冬の餌は、やらなくて起きる失敗より、やって起きる失敗のほうが多い。
最後にひとつ。この線を守るのに必要なのは、決意ではなく水温計です。水温計が無いと、判断はその日の天気と、メダカのかわいさに引っぱられます。朝の水温が見えていれば、「今日はあげない」と迷わずに言えます。
やめる日も再開する日も「朝の水温」で決めるなら、最低・最高を記録する浮かべる水温計が楽です。朝に見に行かなくても、夜にどこまで下がったかが残ります。
まとめ
屋外のメダカは、冬のあいだ餌をやりません。水温が15℃を下回ったら1日1回に減らし、10℃を割る朝が続いたらやめます。日付ではなく、水温で決めます。
冬に食べないのは、食べられないのではなく消化できないからです。水の細菌も休んでいるので、冬の食べ残しは夏より長く水に残ります。冬を越す分は、秋のうちに食べています。
暖かい日に上がってきても、あげません。ヒーターで水温を保つ室内は普段どおり、稚魚は切らさない。春は、朝の水温が10℃を超える日が続いてから、少なく再開します。
迷ったら、やらない。この線を守るのに要るのは、決意ではなく水温計です。
よくある質問(FAQ)
Q. メダカの餌切りは、いつから始めればいいですか。
A. 日付ではなく水温で決めます。屋外なら、水温が15℃を下回ったら1日1回に減らし、10℃を割る朝が続いたらやめます。いきなり止めるのではなく、水温に合わせて回数と量を一緒に下げていきます。
Q. 冬に餌をあげないと、メダカは餓死しませんか。
A. しません。水温が低いあいだはほとんど動かず、使うエネルギーが少ないので、秋に蓄えた分で越せます。冬越しで大事なのは、冬に食べさせることではなく、秋にしっかり食べさせておくことです。
Q. 暖かい日にメダカが水面に上がってきました。餌をあげてもいいですか。
A. あげません。昼に水面が温まって上がってきても、朝の水温が10℃を切る日が続いているなら夜にはまた冷え、食べたものを消化できません。判断は昼の様子ではなく、朝の水温で見ます。
Q. 底で動かない個体と、寄ってくる個体がいます。どちらに合わせればいいですか。
A. どちらでもなく、水温に合わせます。寄ってくる個体は、日に温められた水面にいるだけで、お腹を空かせているとは限りません。一番元気な1匹に合わせて入れると、動かない個体のぶんまで餌が残ります。
Q. 冬の手前に餌をやりすぎてしまいました。
A. 残った餌はその日のうちにすくい、底に沈んだものはスポイトで吸います。水面の油膜や白いにごりが出ていたら、その日から餌をさらに減らします。私も、ほとんど食べない時期にやりすぎて、回収したり水を悪くしたりしたことがあります。
Q. 今年生まれの1cmくらいの稚魚も、餌切りしていいですか。
A. 切らないほうが残ります。冬までに1.5cmに届かない稚魚は、冬を越す蓄えが足りません。室内に入れて加温し、餌を切らさずに育てます。成魚は減らして止める、稚魚は切らさない、で向きが逆です。
Q. 春はいつから餌を再開しますか。
A. 朝の水温が10℃を超える日が続くようになってからです。1日暖かかっただけでは戻しません。最初は2〜3日に1回、少なめから。15℃を超えたら1日1回、20℃に近づいたら夏と同じ回数へ戻します。
Q. エビや貝が一緒にいても、冬は餌をやらなくていいですか。
A. やらなくて構いません。エビや貝も水温が下がると動きが落ちるので、入れた餌はメダカのぶんと同じように残ります。
Q. 納屋や簡易ハウスで冬越しさせています。餌はどうしますか。
A. 建物の中でも、ヒーターが無く水温が外と変わらないなら、屋外と同じ線です。15℃で減らし、10℃を割る朝が続いたらやめます。ヒーターで水温を保っている室内の水槽は、冬も普段どおりやります。
Q. 冬用の餌に替えたほうがいいですか。
A. 私は夏と同じ餌のまま、量と回数を落としています。替えてもいいと思いますが、替えるなら秋のうちに。水温が下がってから慣れない餌にすると、食べずに残して水を汚すことがあります。替えても10℃で止める線は同じです。
Q. 冬に餌を食べないのは病気ですか。
A. 水温が15℃を下回るころから食べる量が落ち、10℃を割るとほとんど食べないのは、冬の普通の姿です。体に白い点やふわふわがある、ヒレが溶けている、などが無ければ病気ではありません。
Q. メダカの冬の餌やり回数は。
A. 15℃前後で1日1回、10℃に近づいたら2〜3日に1回、10℃を割る朝が続いたら0回です。ヒーターで水温を保っている室内の水槽は、冬も普段どおり1日1〜2回です。
次に見るのは、ここ
餌のほかの冬支度はメダカの冬支度|10月にやる5つの順番へ。秋のうちに見ておく個体の見分け方はメダカの冬越し|成否は秋で決まるへ。春に餌を戻したあとが心配ならメダカの冬眠明け|落ちるのは春先へ。秋生まれの稚魚がいるならメダカの稚魚の冬越し|1.5cmが線へ。冬以外の季節の量と回数はメダカの餌やり|量と回数の目安へ。
