45cm水槽を買ってきて、ショップで「これなら30匹はいけますよ」と言われた。帰って水を張り、石を2つと流木を1本入れたら、思ったより水が入らない。この水槽に、本当にメダカを30匹入れていいのか。
水槽に何匹入れるかで失敗する人の多くは、10〜20Lの小さい水槽に入れすぎています。「15Lに20匹くらいで過密気味」「毎日2〜3匹ずつ死んでいく」という声は、どれも小さい水槽の話です。そして答える側の数字も、1匹に1L、2L、3Lと人によってばらばらです。
この記事は、その数字を2本に整理します。安全に飼える数と、それ以上は入れてはいけない上限です。そのあいだのどこまで寄せられるかは、ろ過の有無と種類で変わります。最後は水槽のサイズではなく、入っている水の量で決めます。

- 安全に飼えるのは水2Lに1匹、上限は水1Lに1匹。60cm規格(約57L)なら28匹前後、上限57匹。
- サイズで引くのはおおよそ。底床・石・流木を入れると水は減る。最後は入っている水で数える。
- ろ過で増やせるのは汚れを処理する力だけ。泳ぐ場所は増えない。
- ろ過なしは2Lで止める。ろ材の多い上部・外部・底面なら、上限寄りまで寄せられる。
- 入れすぎたら、まず分ける。大きい水槽の立ち上げは、バクテリアが育つまで時間がかかる。

60cm水槽にメダカは何匹か|おおよそ28匹。多くても57匹まで
答えを先に書きます。水2Lに1匹が安全に飼える数、水1Lに1匹が上限です。60cm規格の水槽に入る水はおよそ57Lなので、安全に飼えるのは28匹前後、上限は57匹です。
ほかのサイズも、同じ数え方で出せます。水槽の大きさで引くなら、おおよそ次のとおりです。
- 10L前後の小型水槽:5匹前後。上限10匹
- 30cm規格(約13L):6匹前後。上限13匹
- 45cmスリム(約17L):8匹前後。上限17匹
- 30cmキューブ(約24L):12匹前後。上限24匹
- 45cm規格(約35L):17匹前後。上限35匹
- 60cm規格(約57L):28匹前後。上限57匹
同じ「30cm水槽」でも、規格とキューブでは入る水が倍近く違います。横幅が同じでも、奥行きと高さが違うからです。「30cm」「45cm」は横幅の数字にすぎないので、水槽を選ぶときは横幅ではなく、入る水の量を見てください。箱や説明書に書かれた容量が、その手がかりになります。
ただし、これはあくまでおおよそです。同じ60cm水槽でも、底に砂利を敷いて石と流木を入れれば、入る水はずっと減ります。サイズで引いた数は入口にとどめて、次の章で水の量を確かめてから決めてください。
上限まで入れてよいのは、ろ過があって、水槽を立ち上げてから日がたっているときだけです。ろ過が無いなら、安全に飼える数のほうで止めます。理由は第3章と第4章で書きます。
サイズだけで決めない|底床・石・流木で、水は減る
水槽の容量の数字は、縁まで水を張ったときの量です。実際には縁の少し下までしか張らないので、まずそこで減ります。

そこへレイアウトが入ります。底床(砂利やソイル)、石、流木、飾り。どれも水が入るはずの場所を占めます。砂利を厚く敷いて石組みをした60cm水槽は、57Lではなく、それよりかなり少ない水で回っています。レイアウトに凝るほど、入れられる数は減るということです。
だから最後は、入っている水で決めます。いちばん確かな測り方は、水を張るときに数えることです。
- 容量の分かるバケツ(10Lなど)を用意する。
- 底床・石・流木を全部入れてから、バケツで水を張る。
- 何杯入ったかを数えて、バケツの容量を掛ける。
これが、その水槽に本当に入っている水です。すでに水を張ってある水槽なら、次の水換えで抜いた量と足した量から見当をつけます。容器の容量表示と実際に入る水が違う話は、トロ舟・プラ舟は何匹の記事に、測り方を3つ書きました。
数えた水の量を2で割れば、安全に飼える数。1で割れば上限です。
なぜ2Lに1匹で、1Lは上限なのか|ろ過で増えるもの、増えないもの
メダカを入れすぎると困ることは、2つあります。水が汚れることと、泳ぐ場所が足りないことです。この2つは、片方しかろ過で解決できません。

水の汚れから書きます。魚は、食べた分の汚れを主にえらからアンモニアとして水に出します。アンモニアは魚にとって毒で、それを害の少ない形に変えるのが、ろ材に住むバクテリア(硝化細菌)です。米国の大学の養殖の資料には、バクテリアはろ材の表面に付いて増え、表面が多いほどバクテリアが増え、汚れを変える力が上がり、与えられる餌の量も増えると書かれています(米国南部地域養殖センター 2012年の資料)。つまり、ろ材が多いろ過ほど、多くの魚の汚れを処理できます。ろ過で上限に寄せられるのは、このためです。
同じ資料には、バクテリアはろ材だけでなく、水槽の壁や配管の内側など、濡れた面すべてに付くとも書かれています。ろ過の無い水槽でも汚れはいくらか処理されますが、その量は壁と底の面積で決まります。ろ過が無いなら2Lで止めるのは、そのためです。
もう1つ、バクテリアが汚れを変えるときにも酸素を使います。魚が増えれば、魚が使う酸素も、バクテリアが使う酸素も増えます。数を寄せるほど、水面を動かして酸素を入れることが要になります。エアレーションの要る・要らないはエアレーションの記事に条件を書きました。
そして、ろ過では増えないのが泳ぐ場所です。どんなに強いろ過を付けても、水槽の中の空間は広がりません。台所の換気扇と同じで、汚れた空気は外へ出せても、部屋が広くなるわけではないのです。メダカは群れで泳ぎ、オスはメスを追い、強い個体は弱い個体を追い回します。逃げ場が無いと、弱い個体から餌を食べられなくなります。1Lに1匹を上限にしているのは、ろ過では解決しないこの側の線だからです。

ろ過の有無と種類で、どこまで上限に寄せられるか
安全に飼える数(2Lに1匹)と上限(1Lに1匹)のあいだの、どこまで寄せられるか。決めるのは、ろ材をどれだけ入れられるかと、水の流れ方です。私は、30cm水槽にスポンジフィルター、60cm水槽に上部フィルター、別の60cm水槽に外部フィルター、120cm水槽に外部フィルター2基を使ってきました(120cmは熱帯魚が中心で、メダカを入れていた時期もあります)。それぞれの性質を、仕組みと合わせて書きます。
ろ過なし。汚れの処理は、壁と底のバクテリアと、水換えだけが頼りです。安全に飼える数(2Lに1匹)で止めます。
投げ込み式・スポンジフィルター。水の中に置く小さなろ材で、空気の泡で水を引き込みます。水流がやさしく、針子や稚魚にも使えるのが強みです。私の30cm水槽はこれでした。ろ材の量は少ないので、寄せられる幅は小さく、安全に飼える数を少し超える程度と考えます。
外掛け式。水槽の縁に掛ける箱にろ材を入れます。小型から45cmくらいまでの水槽でよく使われますが、ろ材の部屋は小さめです。寄せ方は投げ込み式と同じくらいに見ておきます。
上部式。水槽の上に載せた箱に、たくさんのろ材を敷けます。水はろ材の上から落ちて水槽へ戻るので、落ちるときに空気に触れます。私の60cm水槽では、このろ材の上に直接野菜を植えていました。ろ材の量と酸素の両方で、上限寄りまで寄せられる型です。
外部式。水槽の外に置いた密閉した容器に、いちばん多くのろ材を詰められます。私が60cmと120cmで使ってきたのはこれです。ただし、ろ過した水が水中に戻るように付けると、水面がほとんど動きません。酸素は水面から溶けるので、吐き出し口を水面に向けて、水面が軽く揺れるようにしておきます。そうすれば、上限寄りまで寄せられます。
底面式。底床の下に板を敷き、底床そのものをろ材にします。ろ材の量は多い型です。そのかわり、フンや食べ残しが底床にたまるので、底床ごと掃除する手間が増えます。底床を薄くしたり敷かなかったりする水槽には向きません。
どの型でも、水流は弱めにします。メダカは強い流れの中で泳ぎ続けると体力を使います。そして、上限に寄せていいのは、立ち上げてから日がたち、バクテリアが育っている水槽だけです。立ち上げたばかりの水槽は、ろ材があってもバクテリアがまだ少ないので、安全に飼える数から始めて、少しずつ足していきます。

入れすぎのサイン|分けるか、大きくするか
数が多すぎるかどうかは、水と魚の両方に出ます。水が白く濁る、においがする、水面に泡が残る。魚が朝に水面で口をぱくぱくさせる、1匹ずつ続けて落ちる。水の側のサインは水質悪化のサインの記事にまとめました。
ただし、落ちる原因が数だけとは限りません。知恵袋には、10Lの容器2つに20匹ずつ入れて、毎日2〜3匹ずつ死んでいくという相談がありました(Yahoo!知恵袋 2026年3月の質問)。数が多すぎるのは確かですが、同じ容器は26℃固定のヒーターで温め、照明を24時間つけたままにしていました。水温を上げれば魚はよく食べ、汚れも増えます。数を減らす前に、水温と照明も見直します。
入れすぎだと分かったら、手は2つです。分けるか、大きい水槽にするか。早いのは分けることです。予備の容器に半分を移せば、その日のうちに数が半分になります。大きい水槽を新しく立ち上げるのは、バクテリアが育つまで時間がかかるので、そのあいだは結局、分けておくことになります。ろ過を強くするのは、そのあとです。ろ過で解決できるのは汚れの側だけで、泳ぐ場所は増えません。

20匹・30匹なら、何cmの水槽か|数から逆に引く
飼いたい数から水槽を選ぶなら、数を2倍した水の量が入る水槽にします。
- 10匹:20Lが要る。30cmキューブ(約24L)か45cm規格(約35L)
- 20匹:40Lが要る。45cm規格(約35L)では足りないので、60cm規格(約57L)
- 30匹:60Lが要る。60cm規格(約57L)でぎりぎり足りない。ろ過を付けて60cm規格にするか、それより大きい水槽
迷ったら、大きいほうを選びます。水が多いほど水質も水温も変わりにくく、メダカは増えます。今10匹のつもりでも、卵を採れば翌年には倍になります。レイアウトを入れるなら、その分も見込んでさらに一回り大きく考えます。
60cm規格なら28匹前後まで。20匹以上を飼うなら、この大きさから選ぶと迷いません。
稚魚が増えたら|同じ水槽に入れるか、分けるか
メダカは、春から夏に放っておいても増えます。過密になる水槽の多くは、最初に入れすぎたのではなく、増えてそうなったものです。
針子のうちは、1Lに10匹ほどで育てられます(針子の育て方の記事)。ただし、これは針子の小さい体の話で、育つにつれて要る水は増えます。親と同じ水槽に戻すのは体長1.5cmを超えてからで(稚魚はいつまで別容器の記事)、戻した時点で水槽の数は一気に増えます。戻す前に、その水槽の上限を数え直してください。
増やしたくないなら、そもそも増える数を止めます。手は増えすぎる記事に3つ書きました。
どこで見切るか|終わりの判断
線を3本、決めておきます。
ろ過が無い水槽は、2Lに1匹で止めます。水換えだけで汚れを追いかけるのは、数が増えるほど間に合わなくなります。
ろ過があっても、1Lに1匹を超えたら分けます。ろ過で増やせるのは汚れを処理する力だけで、泳ぐ場所は増えません。
朝に水面で口をぱくぱくさせる個体が出たら、その日に数を減らすか、水面を動かします。酸素が足りていない合図で、翌日まで待つ理由はありません。
まとめ
メダカは、水2Lに1匹が安全に飼える数、水1Lに1匹が上限です。60cm規格(約57L)なら28匹前後、上限57匹。30cm規格なら6匹前後、45cm規格なら17匹前後です。
ただしサイズで引いた数は、おおよそです。底床・石・流木を入れると水は減るので、最後は水を張るときにバケツで数えた水の量で決めます。
ろ過で増やせるのは汚れを処理する力だけで、泳ぐ場所は増えません。ろ過なしは2Lで止め、ろ材の多い上部・外部・底面で、立ち上げてから日がたった水槽だけ上限寄りまで寄せます。入れすぎたら、まず分けます。
よくある質問(FAQ)
Q. 60cm水槽にメダカは何匹入れられますか。
A. 60cm規格の水槽に入る水はおよそ57Lなので、水2Lに1匹で28匹前後が安全に飼える数、水1Lに1匹の57匹が上限です。底床や石、流木を入れると水は減るので、実際に入っている水の量で数え直してください。
Q. 30cm水槽なら何匹ですか。
A. 30cm規格(約13L)なら6匹前後、上限13匹です。30cmキューブ(約24L)なら12匹前後、上限24匹です。小さい水槽ほど水質が早く変わるので、上限まで寄せずに安全に飼える数で止めるのが確実です。
Q. 1リットルに1匹は多すぎますか。
A. 上限としては使えますが、適正ではありません。ろ過で汚れを処理する力は増やせても、泳ぐ場所は増えないからです。1Lに1匹まで寄せていいのは、ろ材の多いろ過があって、立ち上げてから日がたった水槽だけです。
Q. ろ過フィルターがあれば、多く飼えますか。
A. 汚れの側は多く飼えます。バクテリアはろ材の表面に住むので、ろ材が多いほど処理できる汚れが増えます。上部式・外部式・底面式はろ材を多く入れられ、投げ込み式や外掛け式は少なめです。ただし泳ぐ場所は増えないので、どの型でも1Lに1匹が上限です。
Q. 水槽のサイズだけで数を決めていいですか。
A. おおよその目安にはなりますが、サイズだけでは決めないでください。底床・石・流木などのレイアウトで、入る水は変わります。水を張るときにバケツで何杯入ったかを数えると、本当の水の量が分かります。
Q. 20匹飼いたいです。何cmの水槽がいいですか。
A. 20匹なら40Lが要るので、45cm規格(約35L)では足りず、60cm規格(約57L)が目安です。レイアウトを入れるなら、その分も見込んで大きめに選びます。
Q. 入れすぎてしまいました。どうすればいいですか。
A. まず予備の容器に分けます。大きい水槽を新しく立ち上げても、ろ過のバクテリアが育つまでは時間がかかるからです。水温を上げすぎていないか、照明をつけっぱなしにしていないかも見直してください。
Q. 外部フィルターを付けていれば、酸素は足りますか。
A. ろ過した水が水中に戻る付け方だと、水面がほとんど動かず、酸素が入りにくくなります。吐き出し口を水面に向けて、水面が軽く揺れるようにしておきます。
次に見るのは、ここ
水槽・ろ過・照明をそろえるならメダカの室内飼育に必要なものへ。
屋外の睡蓮鉢で数えるなら睡蓮鉢の号数ごとに何匹へ。
屋外の大きい容器で数えるならトロ舟・プラ舟は何匹へ。
殖やすための親を選ぶならメダカの種親は何匹へ。
