気づいたら、メダカが増えていた。
数えたら、親はたった2匹なのに、針子が100匹以上になっていた。そういう投稿が、採卵を始めた人から何度も出てきます。浮き草を別の容器に移したら、そこでもメダカが湧いた、という投稿もあります。増えたことが悪いのではなく、増える数を自分で決めていなかったために、容器も世話も追いつかなくなるのです。
増やさない方法は3つあります。産卵の条件を作らない。産んだ卵を孵らせない。容器の水の量から、数の上限を決める。この記事では、その3つを仕組みから書きます。産卵床を抜くだけでは止まらない理由と、見落としやすい抜け道もあわせて書きます。私の屋外の容器は水草を入れず、人工の産卵床を使い、秋になったら抜いています。
- 増えすぎるのは、産む条件が長く続き、1匹のメスが何度も産むから。親が少なくても卵の数だけ増える。
- 産卵床を抜くと卵は残りにくいが、産む数はゼロにならない。卵は底に落ちる。
- 増やさない手は3つ。産ませない(夜の明かり・秋の産卵床)、孵らせない(卵を取る)、上限を決める。
- 抜け道は、水草・浮き草。卵が付いたまま引っ越す。移す前に、白い皿でほぐして確かめる。
- 上限は、容器の水の量÷2匹。余った子は放流しない(環境省)。
メダカが増えすぎるのは、なぜか|1匹のメスが産む数で決まる
答えを先に書きます。メダカが増えすぎるのは、産む条件が揃う期間が長く、1匹のメスが何度も産むからです。親を増やさなくても、卵の数だけ針子が増えます。
メダカは、春から夏にかけて産みます。研究機関の解説では、日の長さと水温に反応して繁殖することが分かっています(基礎生物学研究所の解説)。大学の飼育の手引きには、水温25℃、明るい時間14時間、暗い時間10時間で飼うと書かれています(九州大学の飼育の手引き)。屋外なら、春から初秋まで、この条件が長く続きます。産卵がいつ止まるかは、別の記事(メダカの産卵はいつまで)に書きました。
ここで、数のイメージを持っておきます。仮に、1匹のメスが1日に10個産むとします。これは、数え方を知るための仮の数字です。それが30日続けば、卵は300個。孵る率が半分でも、150匹です。親が2匹なら、1か月でその数になります。投稿の「親2匹、針子4匹が100匹以上」は、この計算とそう離れていません。
貯金の利息のようなものです。最初の元手は少なくても、毎日積み上がると、気づいたときには大きくなっています。違うのは、メダカは利息が「生き物」で、容器と世話の手間が一緒に増えることです。
だから、増えすぎを止めるとは、卵の通り道のどこかを塞ぐことです。通り道は3つあります。産む、育つ、残る。この順に、1つずつ塞ぎます。

産卵床を抜けば止まるのか、止まらないのか|産む条件を作らない
産卵床を入れないと、産まなくなるのか。答えは、産卵の数は大きく減りますが、ゼロにはなりません。
メダカのメスは、卵をおなかに付けたまま泳ぎ、しばらくしてから水草などにこすりつけて産みます(メダカの繁殖行動の解説)。産卵床は、そのこすりつける場所です。場所がなければ、卵は容器の底に落ちる、水面に浮いたままになる、といった形になり、他の魚の口に入ることもあると説明されています。卵を産むこと自体は、産卵床があるかどうかとは別の話です。
ですから、産卵床を抜くのは「卵を残しにくくする」手であって、「産ませなくする」手ではありません。私の屋外の容器は水草が入っておらず、産卵床は人工物で、秋になったら抜いています。卵は付きにくくなりますが、産卵の条件が揃っている夏のあいだは、完全に止める目的で使っているわけではありません。
産む条件そのものを崩すなら、考えられる手は3つです。
- 夜の明かりを足さない。街灯や室内の明かりで明るい時間が延びると、産む期間も延びる、と説明されています。容器の置き場所を、夜は暗い所にします。
- 秋は産卵床を早めに抜く。水温が高くても、日が短くなれば産卵は止まります。抜く時期の見方は、産卵はいつまでの記事に書きました。
- オスとメスを分ける。一般に、オスのいない容器のメスが産んだ卵は、受精しないので孵りません。産卵そのものは続くことがあります。分けたい場合は、雌雄の見分けが前提です。
どれも、増える数を減らす手で、確実にゼロにする手ではありません。そこで次の関門に移ります。産んだ卵が、孵らない・育たない仕組みを考えます。
産んだ卵は、どこへ行くのか|孵らせない・見つけたら採るか、放っておくか
産まれた卵は、次の3つのどれかになります。孵る、他の魚に食べられる、孵らずに終わる。
メダカの卵は、約25℃で10日ほどで孵ります。孵った針子は、親の口に入る大きさのうちは、食べられることがあります。親が針子を食べにくくなる大きさの目安は、稚魚の記事(メダカの稚魚はいつまで別容器)に書いたとおり、1cm前後です。
ここで、増やしたくない人は、2つの方向に分かれます。
ひとつは、卵を見つけたらそのままにする方向です。産卵床に付いた卵も、容器の中で孵り、親や他の魚の口に入る分が出ます。数は自然に減ります。ただし、全部が食べられるわけではありません。水草の陰や、隅に隠れた針子は残ります。放っておく方向は、数を決める手ではなく、運に任せる手です。
もうひとつは、見つけた卵を、自分で取り除く方向です。産卵床を毎日見て、卵が付いたら取る。手間はかかりますが、確実に数を減らせます。1日に何度も見る必要はなく、朝の餌やりのときに見れば足ります。
私は、孵った針子を増やすつもりがない容器では、産卵床を入れません。増やす容器と、増やさない容器を、はじめから分けておくと、あとの世話がずっと楽になります。
産む場所を作らない、産んだら取り除く、のどちらかを選ぶなら、迷ったら、産卵床を入れない容器と、入れる容器を分けておくのが基本です。分けておけば、増やしたい分だけを数えられます。
浮き草や水草は、増えすぎの抜け道になるのか
産卵床を抜いたのに、増える。そういうとき、疑うのは水草と浮き草です。
メダカの卵には、付着糸と呼ばれる糸があり、水草などに絡みつきます。卵が水草に付いたまま、水草ごと別の容器に移ると、卵も一緒に引っ越します。投稿には、浮き草を捨てずに別の容器に入れたら、案の定メダカが湧いた、というものがありました。それまでの容器で産んでいた卵が、浮き草の根に付いていたのだと考えられます。
水草は、メダカにとって産卵床であり、針子の隠れ家でもあります。卵も針子も小さくて、根の間に隠れると、数えても見つかりません。これが、「止めたつもりでも増える」という経路です。
対策は、水草の移動の前に、卵と針子を確かめることです。水草を別の容器へ移すときは、白い小さな粒(卵)や、針のように細い影(針子)がないか、水の入った白い皿の上でほぐして見ます。見つかったら、それは数に入れて、容器の水量に収まるかを考えます。
私の屋外の容器は水草を入れていないので、この経路は少ないです。水草なしでも大丈夫か、水草の役目は何かは、別の記事(メダカに水草はなしでも大丈夫)にまとめています。ただし、水草を入れる容器では、この点が弱点になります。
数の上限は、いくつか|容器の水の量から決める

産卵を止める手は、どれも確実ではありません。だから、最後の砦は、数の上限を決めておくことです。上限は、容器の水の量を2で割った数です。水が20リットルなら10匹、60リットルなら30匹です。
1匹に1リットルと書かれることも多いですが、それはろ過が追いつく限界の数で、泳ぐ場所の余裕は含まれません。私は、水2リットルに1匹で数えています。この考え方は、睡蓮鉢の記事(睡蓮鉢の号数ごとに、メダカは何匹)に詳しく書きました。
上限を決めると、困りごとが「増えすぎたかどうか」ではなく、「上限を超えたかどうか」に変わります。これが、数えにくい稚魚や針子の世話を楽にします。
水の量を知るには、2リットルのペットボトルで、容器に何本入るかを数えます。針子の数を数えるのは大変ですが、容器の水の量は一度測れば変わりません。
上限を超えたら、2つの手があります。容器を足すか、数を絞るかです。
容器を足すなら、水の量が一度に増えるトロ舟が使いやすいです。60リットル入るトロ舟なら、上限は30匹になります。容器が増えれば、置き場所と世話の手間も増えるので、増やす前に、置ける場所と世話の回数を決めておきます。
60リットルのトロ舟なら、水の量が一度に増えて、上限の数もそのぶん増えます。
数を絞るなら、選別して、外した子を新しい飼い主へ渡す、という手になります。選別のやり方は、選別の記事に書きました。
余った子は、どうするのか|放流はしない
増えすぎた子の行き先として、川や池に放す、という考えが頭に浮かぶかもしれません。放流は、しないでください。
環境省は、観賞用に飼われているヒメダカなどが放流されて、野生のメダカと交雑し、地域ごとの遺伝的な特徴が失われる心配があると説明しています(環境省の事例の解説)。かわいそう、という気持ちで放しても、野生のメダカにとっては害になります。
行き先の選び方は、選別の記事にまとめました。ここでは、放流は選択肢に入れない、という一点だけを書いておきます。
増やすのをやめる線|いつ手を止めるのか
増やすのも、減らすのも、手間がかかります。どこまでやるかの線を、先に決めておきます。
産卵床を抜く線は、増やすつもりがなくなった日です。増やしたい容器と、増やさない容器を分けて、増やさない容器には、産卵床を最初から入れません。
卵を取り除く線は、上限を超えそうな日です。水の量から出した数に近づいたら、産卵床を抜き、見つけた卵を取ります。
容器を足す線は、世話に回れる回数を超えない範囲です。餌やりと水換えの手間は、容器の数に比例して増えます。続けられる数を超えて足さない、が目安です。
この3つの線を、手帳か台帳に書いておくと、気づいたら増えていた、が起きにくくなります。
うまくいかないときは、何を疑うのか
産卵床を抜いたのに、針子が見つかる。そのときは、順番に疑います。
まず、水草や浮き草に、卵が付いていないか。次に、容器の隅や底に、卵が落ちていないか。最後に、夜に明かりが当たって、産む期間が延びていないか。この3つのどれかに当てはまることが、ほとんどです。
ひとつ、正直に書いておきます。産卵を止める具体的な手を試して、その結果がどうだったかを書いた投稿は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。ここに書いた手は、仕組みから考えた方法です。効き方は、容器と環境で変わります。合わなかったときは、上限を決める手に戻ります。
まとめ
メダカが増えすぎるのは、産む条件が長く続き、1匹のメスが何度も産むからです。産卵床を抜くと卵は残りにくくなりますが、産む数はゼロになりません。
増やさない手は3つ。産ませない(夜の明かりを足さない、秋は産卵床を早めに抜く)、孵らせない(卵を取り除く、水草や浮き草は移す前に確かめる)、上限を決める(水の量を2で割った匹数)。
余った子は放流しません。増えすぎたら、容器を足すか、選別して数を絞ります。
よくある質問(FAQ)
Q. メダカが増えすぎたら、産卵床を抜けば産まなくなりますか。
A. 産む数は減りますが、ゼロにはなりません。メスは卵をおなかに付けて泳ぎ、場所がなければ底に落としたり、他の魚の口に入ったりします。産卵床を抜くのは、卵を残しにくくする手です。
Q. メダカが増えすぎる原因は何ですか。
A. 産む条件が長く続くことと、1匹のメスが何度も産むことです。屋外では、春から初秋まで水温と日の長さが揃うので、親が少なくても卵が積み上がります。
Q. メダカを増やさない方法はありますか。
A. 産卵の条件を作らない(夜の明かりを足さない、秋は産卵床を早めに抜く)、産んだ卵を取り除く、容器の水の量から数の上限を決める、の3つです。どれも確実ではないので、上限を決める手が最後の砦になります。
Q. オスとメスを分ければ、増えませんか。
A. 一般に、オスのいない容器のメスが産んだ卵は受精せず、孵りません。ただし、産卵そのものは続くことがあります。分けるには、雌雄の見分けが前提になります。
Q. 浮き草を別の容器に移したら、メダカが増えました。なぜですか。
A. 卵が水草や浮き草の根に付いたまま、一緒に引っ越したと考えられます。メダカの卵は付着糸で水草に絡みます。移す前に、白い皿の上でほぐして、卵や針子がいないか確かめます。
Q. メダカの上限は、何匹ですか。
A. 容器の水の量を2で割った数です。水が20リットルなら10匹、60リットルなら30匹です。1匹1リットルはろ過の限界の数で、泳ぐ余裕は含まれません。
Q. 増えすぎたメダカは、川や池に放していいですか。
A. いけません。環境省は、観賞用のメダカの放流が、野生のメダカとの交雑で地域ごとの遺伝的な特徴を失わせる心配があると説明しています。
Q. 親が稚魚や卵を食べて、数が減るのを待ってもいいですか。
A. 食べられる分は出ますが、水草の陰や隅に隠れた針子は残ります。放っておくのは、数を決める手ではなく、運に任せる手です。
Q. 増やしたい容器と、増やさない容器を分けるべきですか。
A. 分けておくと、増やしたい分だけを数えられます。増やさない容器には産卵床を入れず、増やす容器だけに入れます。
Q. 産卵床を抜いたのに、針子が見つかるのはなぜですか。
A. 水草や浮き草に卵が付いていた、容器の隅や底に卵が落ちていた、夜の明かりで産む期間が延びていた、のどれかが多いです。順に疑って確かめます。
→ 容器ごとの数を、スマホに
台帳でできることを、もう少し詳しく
次に見るのは、ここ
産卵が止まる時期を知るならメダカの産卵はいつまでへ。水の量から匹数を出すなら睡蓮鉢の号数ごとに、メダカは何匹へ。余った子を選んで減らすならメダカの選別のやり方へ。針子を育てる線を知るならメダカの稚魚はいつまで別容器へ。
