9月に孵ったメダカの稚魚が、まだ1cmに届かない。日が短くなって、朝は肌寒い。このまま外に置いて冬越しできるのか、部屋に入れるべきなのか。
調べると「1.5cm未満は室内へ」と出てきます。線はそれで合っています。ただ、今1cmの稚魚が、冬までに1.5cmになるのかどうかは、書いてありません。そこが分からないと、動けない。
だから、この記事は「今の大きさ」と「残りの日数」から、間に合うかを自分で判定するところから書きます。判定が出れば、やることは3つのどれかに決まります。
- 線は1.5cm。届けば屋外のまま、届かなければ置き場所を変える。
- 判定は今の大きさと、水温15℃までの残りの週。育つのは15℃を保っているあいだだけ。
- 届かないなら3つ。室内で加温(育つ)/室内で無加温(育たないが凍らない)/屋外で水量で守る。
- 屋外に残すなら小さな容器から出す。私の設備では小さな睡蓮鉢だけ厚く凍った。
- 入れるのは朝の水温が15℃を割る前、戻すのは超えてから。冬のあいだは数だけ見る。
メダカの稚魚の冬越しは、1.5cmが線|届くかどうかで、やることが決まる
答えを先に書きます。屋外で冬を越せるのは、水温が下がりきる前に1.5cmに届いた稚魚です。届かないなら、室内に入れるか、屋外なら水量の多い容器で守ります。
1.5cmという線は、親と合流できる大きさと同じです。この大きさになると、体に蓄えができて、餌を食べない期間に耐えられます。それより小さいと、蓄えが無いまま冬に入ります。
成魚の冬越しは、勝負が秋に終わっています。稚魚も同じで、冬本番にできることはほとんどありません。9月から10月のあいだに、届くか届かないかを見極めて、届かない分の置き場所を決める。それが、稚魚の冬越しの全部です。
「1.5cmに届かなければ全部死ぬ」ではありません。1cmでも越す個体はいます。ただ、数が減ります。増やしたくて残した稚魚なら、減らさない選び方をする。それが、この先の章です。

間に合うかを判定する|今の大きさと、残りの週で数える
判定は、2つの数字で足ります。今の大きさと、水温が15℃を割るまでの残りの週です。
まず、大きさを測る。定規を容器の横に当てて、上から見ます。すくわなくていい。5mmなのか、1cmなのか、1.2cmなのか、その程度で足ります。数匹いるなら、一番小さいのと一番大きいのを見ます。
次に、残りの週を数える。孵化から1.5cmまで、水温が25℃前後なら4〜6週間。ただしこれは夏の速さです。水温が15℃前後になると餌は1日1回、10℃を割ると食べなくなります。食べなければ、育ちません。だから、育つのは水温が15℃を保っているあいだだけ。関西の屋外だと、10月の終わりから11月の初めに、朝の水温が15℃を割りはじめます。9月20日からなら、残りは5〜6週間です。
判定はこうです。今1cmを超えていて、残りが4週間以上あるなら、屋外のままで届く見込みが立ちます。今5mm前後なら、秋の水温では6週間あっても届きません。そのあいだの1cm弱は、容器の水温次第で、どちらにも転びます。
ここで「届かない」と出た稚魚が、この記事の主役です。届く稚魚は、成魚と同じ扱いで冬越しの記事に進んでください。

届かないなら、3つに分ける|室内で加温・室内で無加温・屋外で守る
届かない稚魚の置き場所は、3つです。手間と、残る数が違います。
ひとつ目は、室内で加温する。ヒーターで20℃以上を保てば、稚魚は冬のあいだも育ちます。春には1.5cmを超えて、親と合流できます。残る数が一番多く、手間も一番多い。秋の卵を育てると決めた場合と、やることは同じです。
ふたつ目は、室内で加温しない。窓辺や玄関など、凍らない場所に置くだけ。水温は10〜15℃で止まるので、育ちはしませんが、凍死はしません。餌はほとんど要らない。春に水温が上がってから育ちはじめます。手間が少なく、残る数はそこそこ。
三つ目は、屋外に残して、水量で守る。小さな容器のままにしない。大きな容器に移して、水深を確保します。理由は次の章に書きます。手間は一番少ないですが、小さい稚魚ほど減ります。
どれにするかは、何匹残したいかで決めてください。増やしたくて残した稚魚なら加温。数匹残ればいいなら無加温か屋外。稚魚の数が多いなら、分けても構いません。大きいほうを屋外、小さいほうを室内、という分け方が、一番無理がありません。
屋外に残すなら、小さな容器から出す|私の設備で凍り方が違った
屋外に残す場合、稚魚をそのまま小さな容器に置いておくのが、一番危ない。
私の設備では、同じ冬に、大きな容器は薄氷で済み、小さな睡蓮鉢は厚く凍りました。置き場所は同じです。違うのは水の量だけ。水が多いほど冷めにくく、氷が張っても表面だけで止まります。小さな容器は、水ごと冷えきって、底まで凍りかけます。
稚魚は、大きい容器に混ぜると親に食べられます。だから、親のいない大きな容器を、稚魚のために用意する。NVボックスの#22クラスで、稚魚だけを入れて、水深を深めに。これが屋外で残す最低条件です。
もうひとつ、すだれや蓋。私の設備では、すだれをかけた側の容器は氷が張りにくかった。全部を覆わず、半分だけ。日中の光は入れます。
それでも、5mmの稚魚が屋外で越すのは難しい。屋外は「1cm前後で、届くかどうか微妙な稚魚」のための選択で、5mm以下には向きません。室内に入れてください。

室内に入れるタイミング|朝の水温が15℃を割る前
室内に入れると決めたら、いつ入れるかです。早すぎても遅すぎても損をします。
目安は、朝の水温が15℃を割りはじめる前。これを過ぎると、屋外では育たなくなるので、外に置いておく意味がなくなります。関西の平地なら10月の後半。寒い地域はもっと早い。朝の水温を一度測れば、自分の場所の時期が分かります。
早すぎるのも損です。9月の屋外は、まだ育つ季節です。屋外のグリーンウォーターは、稚魚の餌になります。室内に入れると、この餌が無くなります。育つあいだは外に置いて、育たなくなる直前に入れる。それが一番育ちます。
入れるときは、水合わせをします。屋外の水温と室内の水温は、この時期で数℃違います。稚魚は成魚より変化に弱い。容器ごと運べるなら、容器ごと運ぶのが一番安全です。水も餌も、そのまま持ち込めます。
移すときに一緒に入れないもの。エビや同居の魚。室内の狭い容器で、稚魚とエビを一緒にすると、稚魚が減ります。稚魚だけを運びます。

室内で加温するなら|水温・餌・水換えの3つだけ
加温を選んだ場合、やることは3つです。
水温。ヒーターは置き場所と水量で選びます。設定は20〜25℃。高すぎると餌の量が増えて、水が汚れる速さも増えます。稚魚を春までに1.5cmにするだけなら、20℃で足ります。
餌。加温すれば、稚魚は冬でも食べます。最初の2週間と同じで、切らさないこと。ただし室内はグリーンウォーターができにくい。粉末の稚魚用の餌を、少量を回数多く。食べ残しは底に沈んで、狭い容器ではすぐ水を汚します。
水換え。室内の小さな容器は、屋外の大きな容器より汚れが早い。針子のあいだは足し水だけ、1cmを超えたら週に1回、3分の1。全量は換えません。
ここで一番多い失敗は、エアレーションを強くすること。ヒーターの熱を回そうとして、水流を強くすると、稚魚は流されて疲れます。水面がゆらぐ程度で足ります。
室内で加温しないなら|育たないのが正常
加温しない室内は、やることがほとんどありません。だから、失敗も少ない。ただし、ひとつだけ勘違いしやすいことがあります。
育たないのは正常です。水温が10〜15℃なら、稚魚は餌をあまり食べず、大きくなりません。「室内に入れたのに大きくならない」は、失敗ではなく、水温どおりの結果です。凍らせないことだけが目的で、育てるのは春の仕事です。
餌は、水温が15℃近くあるなら2〜3日に1回、ごく少量。10℃近くなら、ほぼ与えません。食べないのに与えると、水だけが汚れます。
置き場所は、凍らない場所であれば、暗くても構いません。玄関、廊下、北向きの部屋。日が当たる窓辺は、昼と夜の水温差が大きくなるので、むしろ避けます。
底でじっとしているのは、寝ているか、低温で動かないかです。室内の無加温で、稚魚が底に沈んでじっとしていても、慌てなくていい。横になっていたり、白くなっていたりしなければ、生きています。
冬のあいだに見るのは、減っていないかだけ
置き場所を決めたら、冬のあいだにできることは、ほとんど残っていません。見るのは1つだけです。
数が減っていないか。週に1回、数を数える。稚魚は死ぬと底に沈んで、分解されて見えなくなります。だから、死骸を探しても分からない。数を数えるしかありません。
減っていたら、原因は2つのどちらかです。水温が下がりすぎたか、大きい稚魚が小さい稚魚を食べたか。加温している容器で減るなら、後者を疑います。大きさに差がついていたら、分けます。
減っていなければ、何もしない。餌を増やさない、水を換えすぎない、容器を動かさない。冬の水換えは、原則しません。稚魚も同じです。
春の戻し方|屋外に出すのは、朝の水温が15℃を超えてから
室内で越した稚魚を、いつ屋外に戻すか。ここで落とすと、冬の手間が全部無駄になります。
目安は、入れたときの逆で、朝の水温が15℃を安定して超えてから。関西の平地なら4月の後半。日中だけ暖かい3月は、朝がまだ冷えます。成魚でも、落ちるのは冬ではなく春先です。室内で暖かく過ごした稚魚は、なおさら朝の冷えに弱い。
戻すときは、入れたときと同じで、水合わせ。室内と屋外の水温差が小さい、曇りの日の午後が向いています。
親と合流するかどうかは、大きさで決めます。1.5cmを超えていれば合流できます。加温していれば、春には超えているはずです。無加温なら、まだ1cm前後のままなので、稚魚だけの容器で春の成長を待ちます。
秋に小さかった稚魚が、春に1.5cmで親と泳いでいる。そこまで運んで、稚魚の冬越しは終わりです。
どこで見切るか|終わりの判断
線を決めておきます。
今1cm以上で、水温15℃までに4週間以上あるなら、屋外で届く。成魚と同じ冬越しへ。
5mm前後なら、届かない。室内へ。増やしたいなら加温、数匹でいいなら無加温。
屋外に残すなら、小さな容器から出す。親のいない大きな容器に、水深を深く。すだれは半分だけ。
室内に入れるのは、朝の水温が15℃を割る前。戻すのは、超えてから。入れる日と戻す日、どちらも朝の水温で決めます。
最後にひとつ。秋に小さい稚魚が多いなら、来年は採卵を早くやめる。稚魚の冬越しは、そもそも起こさないのが、一番手間が少ない。産卵をどこで止めるかは、別の記事に書きました。
まとめ
メダカの稚魚の冬越しは、1.5cmに届くかどうかで決まります。今の大きさと、水温が15℃を割るまでの残りの週で判定します。育つのは15℃を保っているあいだだけです。
届かない稚魚の置き場所は3つ。室内で加温すれば冬も育ち、無加温なら育たないが凍らない、屋外に残すなら小さな容器から出して水量で守る。私の設備では、小さな睡蓮鉢だけが厚く凍りました。
室内に入れるのは、朝の水温が15℃を割る前。春に戻すのは、超えてから。冬のあいだに見るのは、数が減っていないかだけです。
秋に小さい稚魚が多いなら、来年は採卵を早くやめる。冬越しを起こさないのが、一番手間が少ない。
よくある質問(FAQ)
Q. メダカの稚魚の冬越しに必要な大きさは何センチですか。
A. 1.5cmが線です。親と合流できる大きさと同じで、体に蓄えができて餌を食べない期間に耐えられます。それより小さい稚魚は、室内に入れるか、屋外なら水量の多い容器で守ります。
Q. 今1cmの稚魚は、冬までに1.5cmになりますか。
A. 残りの週で決まります。水温25℃なら孵化から1.5cmまで4〜6週間ですが、秋は遅くなります。育つのは水温15℃を保っているあいだだけ。関西の屋外なら10月終わりから11月初めに15℃を割るので、9月20日時点で1cm以上あれば届く見込みが立ちます。5mmなら届きません。
Q. メダカの稚魚は冬でも外飼いできますか。
A. 1.5cmに届いていればできます。届かない稚魚を屋外に残すなら、小さな容器から出して、親のいない大きな容器に水深を深くして入れます。私の設備では、大きな容器は薄氷、小さな睡蓮鉢は厚く凍りました。5mm以下は室内に入れてください。
Q. 室内に入れるのはいつですか。
A. 朝の水温が15℃を割りはじめる前です。関西の平地なら10月後半。早すぎると屋外のグリーンウォーターという餌を失うので、育たなくなる直前に入れます。
Q. 室内で加温は必要ですか。
A. 増やしたいなら加温(20〜25℃)。冬のあいだも育ち、春には1.5cmを超えます。数匹残ればいいなら、凍らない場所に置くだけの無加温でも越せます。ただし無加温では育ちません。
Q. 室内に入れたのに稚魚が大きくなりません。
A. 水温が10〜15℃なら、それが正常です。稚魚は餌をあまり食べず、大きくなりません。凍らせないことが目的で、育てるのは春の仕事です。加温していて育たないなら、餌の回数を見直します。
Q. 稚魚が底でじっとしています。
A. 低温で動かないだけのことが多い。横になっていたり白くなっていたりしなければ生きています。冬のあいだに見るのは、数が減っていないかだけです。
Q. 春に屋外へ戻すのはいつですか。
A. 朝の水温が15℃を安定して超えてから。関西の平地なら4月後半。日中だけ暖かい3月は朝が冷えるので早い。曇りの日の午後に、水合わせをして戻します。
Q. 冬越しでよくある失敗は何ですか。
A. 小さな容器のまま屋外に置く、室内で水流を強くして稚魚を疲れさせる、春に早く戻して朝の冷えで落とす、の3つです。どれも水温で決めれば防げます。
次に見るのは、ここ
1.5cmに届いた稚魚と成魚はメダカの冬越し|成否は秋で決まるへ。まだ卵が採れているならメダカの産卵はいつまで?9月の卵を育てる線へ。春に親と合流させるならメダカの稚魚はいつまで別容器?合流は1.5cmからへ。加温すると決めたならメダカのヒーターの選び方|ワット数は置き場所で決まるへ。室内で数が減っているならメダカの稚魚の共食いへ。
