7月、栽培槽のレタスが苦くなり、水菜がとう立ちして、穴が空いた。夏のアクアポニックスは、何を植えても止まる。そう思っていたところに、空芯菜の名前が出てきます。
調べると、収穫している動画はたくさん出てきますが、なぜ向くのか、いつ植えていつ終わるのか、書いた記事がありません。
答えは「葉物が止まる季節に、空芯菜だけは動く」です。そこから書きます。
- 空芯菜は、夏に他の葉物が止まる水温で、逆に伸びる。夏の栽培槽の穴を埋める野菜。
- 水温20℃を安定して超えたら植え、霜で終わる。夏だけ。9月から播くのは遅い。
- 節の上で摘むと2本に増える。茎を水に差せば根が出るので、挿し芽で増やせる。
- 養分をよく使う。葉が淡くなったら株を減らす。魚の餌は増やさない。
- 空芯菜が元気でも、夏の水温対策は魚のために要る。
アクアポニックスの空芯菜は、夏に葉物が止まる季節の穴を埋める
答えを先に書きます。空芯菜は、アクアポニックスで夏に穫れる数少ない葉物です。ほかの葉物が止まる水温で、逆に伸びます。
レタスや水菜は、水温が22℃を超えると育ちが鈍り、根に無理が出ます。夏の栽培槽が空くのは、これが理由です。空芯菜は、もともと熱帯アジアの水辺の植物で、暑さと水に強い。他の葉物が止まる30℃近い水でも、伸び続けます。
私のところでも、空芯菜は穫れた品目のひとつです。作物の一覧に書いたとおり、魚が違っても穫れる種類は同じで、違うのは量です。空芯菜は、その中で「夏に穫れる」という時期の違いで、位置が決まります。
もうひとつ、空芯菜は水に浸かった根を嫌いません。水辺の植物なので、他の葉物が根腐れする水位でも、空芯菜は平気なことが多い。深水式の槽や、水位の高い栽培槽に向いています。
だから、夏の栽培槽に穴が空いたら、空芯菜です。春に播いた葉物が終わるころに、空芯菜を差す。秋に葉物が戻ってくるまでの、つなぎであり主役です。

植える時期|水温が20℃を超えてから、霜まで
空芯菜の季節は、はっきりしています。
始まりは、水温が20℃を安定して超えてから。それ以下では、発芽も遅く、伸びません。レタスが苦くなりはじめる時期と、ほぼ重なります。5月から6月が目安ですが、月ではなく水温で決めてください。
終わりは、霜です。空芯菜は寒さに弱く、気温が下がると葉が黒ずんで、霜が降りたら終わります。秋に葉物が戻ってくる季節が、空芯菜の終わりの季節です。10月に入ったら、抜いて、秋の葉物に替える前提で。
つまり、空芯菜は「夏だけ」の作物です。年中植えておくものではなく、レタスが止まる季節に入れて、レタスが戻る季節に抜く。栽培槽の穴を、季節で埋め合わせる考え方です。
9月にこの記事を読んでいるなら、今から播くのは遅い。いまある株を穫りきって、秋の葉物に替えるほうが、穫れます。空芯菜は、来年の初夏の分として覚えておいてください。
播き方と、挿し芽|茎を水に差すだけで根が出る
空芯菜の始め方は2つあります。種と、挿し芽です。
種から。スポンジに播く手順は、ほかの葉物と同じです。ただし、水温が低いと発芽しないので、春先に播くなら室内の暖かい場所で。種は硬いので、一晩水に浸けてから播くと揃います。
挿し芽から。空芯菜は、茎を水に差すだけで、節から根が出ます。スーパーで買った空芯菜の茎の下半分を、コップの水に差して数日置くと、白い根が出てきます。それを栽培槽に定植すれば、種から始めるより早い。
挿し芽は、収穫の途中でも増やせます。伸びた茎を摘んで、その先端を差し戻す。株数を増やすのに種は要りません。夏のあいだに、栽培槽の空いた穴を、挿し芽で埋めていけます。
どちらで始めるにしても、根が出てから定植する、は同じです。空芯菜は水に強いぶん、根が出る前に沈めても腐りにくいですが、それでも根を待ったほうが確実です。

摘み方|節の上で切ると、2本に増える
空芯菜は、株ごと収穫する野菜ではありません。摘むほど増える、ハーブと同じ考え方です。
バジルと同じで、茎を節の上で切ると、その節の左右から新しい枝が2本出ます。空芯菜は、これがとくに速い。夏なら、切って1週間で、次が摘めます。
切る位置は、先端から数えて2〜3節目の上。下のほうの節を残すほど、脇芽が多く出ます。株元まで切ると、次が遅くなります。
摘んだ先端が、そのまま食べる部分です。柔らかい茎と葉。硬くなった下のほうの茎は、食べずに残して、株の土台にします。
つぼみが付いたら、摘んでください。花が咲くと茎が硬くなります。暑さが続く年は、つぼみが早く来ます。見つけたら、花ごと摘む。それで、また葉が出ます。
摘む頻度は、伸び方に合わせて。伸びすぎて茎が硬くなる前に摘む。夏の盛りは、週に一度では追いつかないこともあります。

魚との釣り合い|空芯菜は養分をよく使う
空芯菜は、よく伸びるぶん、養分もよく使います。ここが、魚との釣り合いに効きます。
アクアポニックスの養分は、魚の餌の量で決まります。メダカの設備では、空芯菜を何株も植えると、すぐに養分が足りなくなります。葉の色が淡くなったら、株を減らす。錦鯉の設備なら、夏は魚もよく食べる季節なので、空芯菜の勢いに追いつきます。
夏は、魚の側も餌が増える季節です。水温が上がって酸素が減るので、餌を増やしすぎると魚が先に苦しくなります。空芯菜のために餌を増やす、はやらないでください。魚の餌は魚の都合で決めて、空芯菜の株数を、それに合わせます。
葉の色で見ます。濃い緑で、茎が太ければ足りている。淡い緑で、茎が細く伸びるなら、養分が足りないか、株が多すぎる。液肥を足す前に、株を減らす。魚がいる装置では、この順です。
空芯菜は、養分を吸う力が強いので、夏の水質の安定にも効きます。魚の餌が増えて硝酸が溜まる季節に、それを引き取る野菜がある。夏に空芯菜を植える理由は、穫れるだけではなく、水のためでもあります。
味と使い方|穫りたてが一番。しなびる前に食べる
穫った空芯菜は、置いておくと数時間でしなびます。店のものより、はるかに足が早い。これは欠点ではなく、穫りたてを食べられる家庭菜園の利点です。
使い方は、炒めるか、さっと茹でるか。茎のシャキシャキした食感が、空芯菜の持ち味です。火を通しすぎると、それが消えます。にんにくと油で強火で1分。それで足ります。
アクアポニックスの野菜は、洗ってから水気をよく切る、が保存の要点ですが、空芯菜はそもそも保存しません。穫る量を、その日食べる量にする。摘むほど増える野菜なので、それで困りません。
硬くなった茎は、無理に食べなくて構いません。先端の柔らかいところだけ穫って、残りは株の土台にします。硬い茎を無理に食べて「筋っぽい」となるより、次の先端を待つほうが、おいしい。
夏のあいだ、レタスの代わりに毎日の一皿になる。それが、空芯菜をアクアポニックスに入れる一番の理由です。
メディアベッドとDWC|どちらでも育つが、DWCのほうが楽
方式で向き不向きがあるか、を書いておきます。
ハイドロボールを敷いたメディアベッドでも、水に浮かべるDWCでも、空芯菜は育ちます。ただ、楽なのはDWCです。水辺の植物なので、根が水に全部沈んでいても平気で、他の葉物なら要るエアレーションの心配が、空芯菜では小さい。
メディアベッドでは、株が大きくなると根がハイドロボールに絡んで、抜くときに培地ごと持ち上がります。夏の終わりに抜くときは、根を切って、培地は残す。培地を一緒に捨てないでください。
どちらでも、水位は高めで構いません。他の葉物では根腐れの原因になる水位が、空芯菜には向いています。同じ栽培槽にレタスと空芯菜を混ぜるなら、水位はレタスに合わせて、空芯菜はそれに従います。
深水式の槽は水量が多く、夏でも水温が動きにくい。暑さに強い空芯菜と、暑さに弱い魚の両方にとって、夏を越しやすい場所です。私の深水式の槽は錦鯉なので、養分の面でも空芯菜の勢いに追いつきます。
虫と、夏の水温|空芯菜でも手は要る
暑さに強い、水に強い、と書きましたが、何もしなくていいわけではありません。
虫は来ます。土が無くても虫は来る、のは空芯菜も同じです。柔らかい先端に、アブラムシとハスモンヨトウが付きやすい。化学の殺虫成分は魚がいる装置では使えないので、見つけたら手で取る、先端ごと摘む。摘むほど増える野菜なので、虫の付いた先端は、ためらわず摘んでください。
水温は、魚のために見ます。空芯菜は30℃近くでも平気ですが、魚は違います。夏の朝に魚が水面に集まっていたら、空芯菜が元気でも、装置は苦しい。日射を切る、水量を増やすのは、野菜のためではなく魚のためにやります。
もうひとつ、空芯菜は茂ります。栽培槽を覆うほど茂ると、水面に光が届かなくなり、藻は減りますが、魚の容器の水面も暗くなります。魚の様子が見えなくなるほど茂らせないでください。摘めば済みます。
9月に読んでいる人へ|いまある株を、どう終わらせるか
この記事を秋口に読んでいる方は、来年の話より、いまの株の終わらせ方のほうが要るはずです。
9月の空芯菜は、まだ穫れます。気温が下がるにつれて伸びが遅くなり、葉が小さくなってきます。そうなったら、穫る間隔を空けて、最後まで摘む。つぼみが付いたら、そこは花ごと摘んで、まだ葉を出させます。
抜く合図は、葉が黒ずみはじめたときです。霜を待つ必要はありません。黒ずんだ葉は戻らず、そこから傷んで、水に落ちれば臭いの元になります。黒ずみが見えたら、株ごと抜いて、根を切って、培地は残す。
空いた穴には、秋の葉物を入れます。ルッコラや春菊、リーフレタス。空芯菜が夏のあいだ吸っていた養分は、そのまま秋の葉物に回ります。
空芯菜を抜いた日が、栽培槽の夏の終わりです。来年、レタスが苦くなりはじめたら、また空芯菜を差す。この入れ替えを一度覚えれば、栽培槽は一年、空きません。
どこで見切るか|終わりの判断
線を決めておきます。
水温が20℃を安定して超えたら、植える。レタスが苦くなりはじめる季節が、空芯菜の始まり。
茎が硬くなる前に摘む。つぼみは花ごと摘む。夏の盛りは週に一度では追いつかない。
葉が淡くなったら、株を減らす。魚の餌は増やさない。液肥は最後。
気温が下がって葉が黒ずんだら、終わり。抜いて、秋の葉物に替える。霜を待たない。
最後にひとつ。空芯菜は、夏の栽培槽の穴を埋める野菜です。レタスが止まる季節に入れて、レタスが戻る季節に抜く。それだけで、栽培槽が一年回ります。
まとめ
アクアポニックスの空芯菜は、レタスや水菜が止まる夏の水温で、逆に伸びる葉物です。熱帯の水辺の植物で、暑さと水に強い。夏の栽培槽の穴を埋めます。
水温が20℃を安定して超えたら植え、霜で終わる。夏だけの作物です。種でも挿し芽でも始められ、節の上で摘むと2本に増えます。
養分をよく使うので、葉が淡くなったら株を減らす。魚の餌は魚の都合で決めて、空芯菜の株数をそれに合わせます。夏の水温対策は、空芯菜が元気でも魚のために要ります。
レタスが止まる季節に入れて、レタスが戻る季節に抜く。それだけで、栽培槽が一年回ります。
よくある質問(FAQ)
Q. アクアポニックスで空芯菜は育ちますか。
A. 育ちます。夏に他の葉物が止まる水温で、逆に伸びる数少ない葉物です。熱帯アジアの水辺の植物で、暑さと水に強く、根が水に浸かっても嫌いません。私のところでも穫れた品目のひとつです。
Q. いつ植えて、いつ終わりますか。
A. 水温が20℃を安定して超えてから植え、霜で終わります。レタスが苦くなりはじめる季節に入れて、秋に葉物が戻る季節に抜く。夏だけの作物です。9月から播くのは遅いので、いまある株を穫りきって秋の葉物に替えます。
Q. 種と挿し芽、どちらがいいですか。
A. 早いのは挿し芽です。茎を水に差すだけで節から根が出ます。買った空芯菜の茎の下半分をコップの水に数日置いて、根が出たら定植。種から始めるなら、一晩水に浸けてからスポンジに播き、暖かい場所で発芽させます。
Q. どう収穫しますか。
A. 株ごとではなく、先端から数えて2〜3節目の上で摘みます。節の左右から新しい枝が2本出て、夏なら1週間で次が摘めます。つぼみが付いたら花ごと摘む。茎が硬くなる前に摘む。
Q. メダカの設備でも育ちますか。
A. 育ちますが、空芯菜は養分をよく使うので、株数を絞ります。葉が淡くなったら株を減らす。魚の餌は魚の都合で決めて、空芯菜の株数をそれに合わせます。錦鯉の設備なら夏の魚の食欲に追いつきます。
Q. 虫は付きますか。
A. 付きます。柔らかい先端にアブラムシやヨトウムシが付きやすい。魚がいる装置では化学の殺虫成分は使えないので、虫の付いた先端ごと摘みます。摘むほど増える野菜なので、ためらわずに。
Q. 空芯菜が元気なら、夏の水温対策は要りませんか。
A. 要ります。空芯菜は30℃近くでも平気ですが、魚は違います。日射を切る、水量を増やすのは、魚のためにやります。魚が水面に集まっていたら、野菜が元気でも装置は苦しい。
Q. 茂りすぎたらどうしますか。
A. 摘みます。栽培槽を覆うほど茂ると、魚の容器の水面が暗くなり、魚の様子が見えなくなります。摘めば済みます。
Q. 冬も育ちますか。
A. 育ちません。寒さに弱く、気温が下がると葉が黒ずみ、霜で終わります。冬は葉物とレタス類の季節で、空芯菜は来年の初夏の分として覚えておいてください。
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葉物が止まる理由はアクアポニックス・水耕栽培の夏の水温|22℃で線を引くへ。摘み方はアクアポニックスの収穫|ハーブは節の上で切るへ。ほかの品目はアクアポニックスで育つ作物の一覧|30品目の可否と難易度へ。空芯菜のあとはアクアポニックス・水耕栽培は秋からへ。養分の多い魚ならアクアポニックスに錦鯉|変わるのは量へ。
