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アクアポニックスの1年カレンダー|月ごとのやることと、仕事の山

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アクアポニックスの1年カレンダー。月ごとのやることと仕事の山 アクアポニックス

アクアポニックスの1年には、忙しい月と、何もしない月があります。これを知らずに始めると、夏に慌てて、秋にやりすぎて、冬に余計な手を出します。逆に知ってさえいれば、この装置の1年はかなり静かです。

月ごとのやることを1枚の表にして、季節ごとの理由をそのあとに書きます。うちの農場で毎年回しているままの流れです。いま何月でも、自分の月から読みはじめてください。

この記事の結論(要点)
  • 仕事の山は春と夏のはじめにあります。組む・立ち上げる・暑さをしのぐ。ここを越えると急に楽になります。
  • 秋は「減らす」季節です。水温が下がりはじめたら、餌を減らしていきます。
  • 冬は「見るだけ」の季節。うちは餌を止めて寒冷紗を掛けるだけで、加温なしで越しています。
  • 始めるなら4〜5月。それ以外の月に始めたいときの注意も、後半に書きました。
  • 月ごとの一覧表を最初に置いたので、いまの月から読んでも使えます。
アクアポニックスの1年の四季の帯図。春は組む・立ち上げる、夏は遮光と足し水と収穫、秋は台風に備えて餌を減らす、冬は餌を止めて見るだけ
仕事の山は春と夏のはじめ。秋からは減らし、冬は見るだけ。

アクアポニックスの1年カレンダー|月ごとのやること

魚と水 野菜
3月 水温を見ながら餌の再開を準備 株の整理と掃除。春の種と資材をそろえる
4月 設備を組む。水だけで回して立ち上げ開始 種まきの準備(スポンジで発芽)
5月 数値を確認して魚を入れる 最初の苗を植える
6月 餌の量を決めて安定させる 梅雨対策。風を回し、株間を空ける
7月 遮光と酸欠対策を始める 収穫が始まる
8月 足し水がほぼ毎日になる 収穫の最盛期。間引きも兼ねて穫る
9月 台風に備える(あふれ・固定・停電) 秋の種まき。葉物の2巡目
10月 水温15℃を目安に餌を減らしはじめる 育ちがゆっくりになる
11月 餌を止める準備。容器の様子で判断 最後の収穫。寒冷紗の準備
12月 餌を止める。あとは見るだけ 寒冷紗を掛ける
1月 凍結だけ見る。ポンプは回したまま 冬の葉物はゆっくり動く
2月 機材の点検。春の計画を立てる 種と資材の買い足し

表の根っこにあるのは、たった1つの理屈です。この装置は水温で動いている。細菌も、魚の食欲も、野菜の育ちも、水温が上がれば速く、下がれば遅くなります。だから仕事は暖かい季節に集まり、寒い季節には消えていきます。

春(3〜5月)|1年でいちばん忙しく、いちばん大事

始める人は、ここがスタートです。4〜5月に始めるのがいちばん楽な理由は単純で、細菌が育つ速さは水温で決まるからです。

4月に設備を組んで、水だけで回しはじめます。魚を入れない立ち上げなら1〜3週間。5月に数値を確かめて魚を入れ、最初の苗を植えたら、春の仕事は終わりです。

すでに回っている設備なら、春はゆるやかです。3月は水温を見ながら餌の再開を待ち、株を整理して、次の季節の種をそろえておきます。

アクアポニックスの栽培槽でハイドロボールから発芽したばかりの小さな芽
5月の栽培槽。ここから夏の収穫までは、あっという間です。

夏(6〜8月)|敵は暑さ。仕事は足し水

6月の梅雨は、水ではなく空気の側に出ます。風を回して、株間を空ける。7月からは暑さと酸欠が本番です。遮光して、水量に余裕を持たせます。

そして夏の仕事の主役は、地味ですが足し水です。蒸発と蒸散で水は毎日減るので、ほとんど毎日足すことになります。かわりに収穫はこの季節がいちばん多い。餌の量さえ安定させれば、夏は「足して、穫る」だけの季節です。

秋(9〜11月)|減らしていく季節

9月は台風です。あふれ対策と固定を、来る前に済ませます。あわせて葉物の2巡目の種をまくと、秋の食卓がにぎやかになります。

10月からは、餌を減らす季節です。水温が15℃に近づいたら、量と回数を落としはじめます。水温が下がると魚の消化も細菌の働きも鈍るので、夏と同じ量を入れ続けるのがいちばん危ない。11月には最後の収穫を済ませて、寒冷紗を用意します。

冬(12〜2月)|見るだけの季節

うちの冬の仕事は2つだけです。餌を止めることと、野菜に寒冷紗を掛けること。加温も照明も使わず、この形で毎年越しています。

ポンプは冬も回しっぱなしです。水が動いていれば凍りにくく、細菌も生きています。魚は餌を止めれば水を汚さないので、水質はむしろ安定します。餌を止める判断と、春に再開する温度の考え方は、冬越しの記事に詳しく書きました。

意外に思われますが、冬でもリーフレタスはゆっくり育ちます。止まって見えて、春にいちばん早く動き出すのはこの株たちです。

アクアポニックスの月別のやること|もう少し細かく

表と季節の話だけでは、実際に手が動かない月があります。つまずきやすいところを月別に補足します。

3月。暖かい日に一度だけ餌をやりたくなりますが、まだ早い。水温が上がっても、日が落ちればまた下がります。動かすのは餌ではなく手のほうで、株の整理と、去年つまずいた場所の手直しをこの月に済ませます。種と資材の買い出しもここです。

4月。組む月です。設備を組んだら、魚を入れずに水だけで回しはじめます。同時にスポンジへ種をまいておくと、立ち上がるころに苗ができています。この2つを並行させるかどうかで、5月の景色が変わります。

5月。数値を確かめて魚を入れます。慌てて全部入れず、まず少なめから。苗を植えるのもこの月ですが、栽培槽の穴を全部埋めないでください。餌の量に対して株が多いと、全部が細くなります。

6月。餌の量が決まってくる月です。同時に梅雨が来ます。困るのは水ではなく空気の側で、株間が詰まっていると蒸れて葉が傷みます。混んできたら、この時点で間引いておきます。

7月。暑さ対策を「始める」のではなく「終わらせて」おく月です。遮光と水量の確保は、暑くなってからでは間に合いません。収穫が始まるので、外葉から穫る習慣もここで付けます。

8月。いちばん手が要る月ですが、やることは足し水と収穫だけです。減り方がいつもと違うと感じたら、蒸発ではなく漏れを疑ってください。

9月。台風の月です。あふれと固定と停電の3つを、来る前に済ませます。過ぎたあとは葉物の2巡目をまくと、秋にちょうど間に合います。

10月。減らしはじめる月です。急に止めるのではなく、水温を見ながら量と回数を落としていきます。育ちがゆっくりになるので、収穫の間隔も空けます。

11月。最後の収穫を済ませ、寒冷紗を用意します。餌を止める判断はこの月から12月にかけてで、日付ではなく水温で決めます。

12月から2月。見るだけの季節です。凍結の確認と、ポンプが回っているかの確認。あとは機材の点検と、来年の計画を立てる時間に使います。

4月以外に始めたくなったら

思い立った月が4月とは限りません。それぞれの注意だけ書いておきます。

夏に始める場合。立ち上げは速く進みますが、立ち上げ中の水は不安定で、高水温の失敗が重なりやすい。水量に余裕を持たせて、直射日光を避けてください。

秋に始める場合。立ち上げが終わるころに水温が下がり、そのまま冬に入ります。動かない季節が最初に来るので、経験がひと冬ぶん後ろにずれます。それでも構わなければ、機材の準備期間としては悪くありません。

冬に始める場合。屋外の立ち上げはほぼ進みません。春まで待つか、設備の工作と読み物の季節に充てるのがおすすめです。あとから変えられない4つを決めておくと、春のスタートが速くなります。

その月にやりがちな失敗

カレンダーどおりに動いていても、季節ごとに決まった失敗があります。うちが実際にやったものを含めて、時期の順に並べます。

春の失敗は、待てないことです。設備が組み上がると魚を入れたくなります。けれど毒を処理する細菌が育っていない水に魚を入れると、数日で弱ります。魚を入れずに立ち上げる期間は、いちばん退屈で、いちばん省略してはいけない時間です。

夏の失敗は、水位を見ないことです。足し水は毎日やっていても、量を見ていないことがあります。いつもより減りが速い日は、蒸発ではなく漏れや詰まりが起きています。減り方そのものが点検の道具です。

秋の失敗は、餌を減らさないことです。魚はまだ食べます。食べるので与えてしまう。けれど水温が下がると消化も細菌の処理も鈍るので、同じ量を入れ続けると水が汚れます。食欲ではなく水温で決めてください。

冬の失敗は、手を出すことです。動きがないと不安になって、水を換えたり、餌を再開したり、ろ材を洗ったりしたくなります。冬に必要なのは、凍結の確認とポンプが回っているかの確認だけです。

季節の変わり目に共通するのは、数値を測らなくなることです。うまくいっている時期ほど測らなくなり、崩れに気づくのが遅れます。

住んでいる場所で、表はどれだけずれるか

この表は関西の平地にある農場のものです。地域が違えば、当然ずれます。ただ、ずれ方には決まりがあります。

動くのは日付であって、順番ではありません。この装置は暦ではなく水温で動いているので、寒い地域では全体が後ろへ、暖かい地域では前へ、そのまま平行移動します。3月にやることを4月にやる、というだけの話です。

寒い地域で気をつけるのは、春と冬の2か所です。春は立ち上げに時間がかかります。水温が低いほど細菌が育つのが遅いので、同じ手順でも日数が伸びます。冬は、屋外だと水そのものが凍る可能性が出てきます。うちが加温なしで越せているのはハウスがあるからで、条件が違えば結論も変わります。

暖かい地域で気をつけるのは夏です。始まりが早い代わりに、暑い期間も長い。7月に済ませておく遮光の準備を、6月のうちに終わらせておくくらいでちょうどいいでしょう。

いずれの場合も、自分の表を作る方法は同じです。水温計を1本置いて、15℃を上回った日と下回った日を毎年書き留めておく。2年ぶんたまれば、この記事の表より自分の記録のほうが正確になります。

1年でかかる手間の総量

最後に、全体の感覚を書いておきます。この装置に手が要るのは、実質的に春の立ち上げと、夏の毎日の足し水です。

春は、組む作業に週末が1〜2回。そこから立ち上げの数週間は、測って待つだけです。夏は足し水と収穫で1日に数分。秋は餌を減らしていく判断が月に何回か。冬はほとんど何もしません

つまり、年間で見ると忙しいのは3か月ほどで、残りは静かです。始める前に「毎日世話が要るのでは」と心配する人が多いのですが、実際に重いのは最初の組み立てだけで、そこを越えると生活のほうが装置に慣れます。

逆に、忙しい3か月を軽く見ていると苦しくなります。4月に組めなかった年は、5月も6月も後ろにずれて、夏の暑さに立ち上げ中の不安定な水でぶつかることになります。この装置で唯一「間に合わなくなる」のは、春だけです。

この表の「水温15℃」のような節目は、毎日水温計を見ていないと通り過ぎます。「メダカ台帳」は容器ごとの記録が1タップ。冷え込みや気象警報の通知も届くので、季節の切り替えどきを逃しません。
→ 容器ごとの記録を、次に迷ったときに引き出せる
台帳でできることを、もう少し詳しく

まとめ

春に組んで、夏は足して、秋に減らして、冬は見るだけ。この装置の1年は、水温の曲線をそのままなぞります。

だから予定表に書き込むことは多くありません。節目は「水温が15℃を横切る日」と「30℃に近づく日」の2つだけ。そこさえ逃さなければ、あとは表のとおりに回ります。

よくある質問(FAQ)

Q. アクアポニックスはいつ始めるのがいいですか。

A. 4〜5月です。細菌が育つ速さは水温で決まるので、暖かくなりはじめる時期がいちばん立ち上げが速く進みます。

Q. 1年でいちばん忙しいのはいつですか。

A. 始める年なら春です。組む・立ち上げる・魚を入れるが集中します。2年目からは夏のはじめが山で、遮光と足し水が日課になります。

Q. 冬は何をすればいいですか。

A. ほとんど何もしません。餌を止めて、野菜に寒冷紗を掛けて、凍結だけ見ます。ポンプは回したままにします。

Q. 餌はいつからいつまでやりますか。

A. 春に水温が安定して上がってから再開し、秋は水温15℃を目安に減らしはじめます。止める判断と再開の温度は別物なので、冬越しの記事の基準を見てください。

Q. 冬に野菜は育ちますか。

A. ゆっくりですが動きます。うちは寒冷紗の下でリーフレタスを育てていて、春にいちばん早く立ち上がるのはこの株です。

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