アクアポニックスのいちごの葉が、白っぽくかすれている。裏返すと、砂粒より小さい点が動いた。
ハダニだと分かって調べると「ハダニに効く農薬」が並びます。でも、その下には魚がいる。使っていいのか、使えないなら何で止めるのか、葉は切っていいのか。
私の設備でハダニが出たのは、いちごでした。乾いて暑くなってからです。この記事は、そのとき何が使えて何が使えないかを、順番で書きます。
- 止める手は3段。葉水(毎日1週間)→ ひどい葉を切る → 気門をふさぐ油。
- 化学の殺虫成分を使った農薬は使えない。魚と、水の細菌に効く。使えるのは物理的にふさぐ剤。
- 見分けは葉の表のかすれ+葉の裏の動く点。両方そろえばハダニ。
- 私の設備で出たのはいちご、乾いて暑くなってから。使ったのはサフオイル乳剤(JAに魚への影響を確認済み)。
- 木酢液・エコピタは確かめていないので書かない。迷ったら、水をかけて、葉を切る。
アクアポニックスのハダニは、葉水→切る→油の3段|化学の殺虫剤は使えない
答えを先に書きます。ハダニを止める手は3段。葉の裏に水をかける、ひどい葉は切る、それでも残るなら気門をふさぐ油。化学の殺虫成分を使った農薬は、使えません。
理由は、薬が水に落ちれば魚に効き、水の中で働いている細菌まで巻き添えにするからです。ハダニに効く農薬の多くは、魚毒性が高い。土の畑なら選べる薬が、ここでは選べない。
その代わり、ハダニには弱点があります。水に弱く、湿気に弱い。乾いた暑い時期に増えるのは、その裏返しです。薬を使わずに減らす手が、ハダニにはある。
だから順番は、薬から入らない。水から入って、切って、最後に油。それで足りることが多い。

ハダニか、ほかの虫か|白いかすりと、葉の裏の点
手を打つ前に、ハダニかどうか。見分けは2つです。
葉の表が、白くかすれる。細かい点が集まって、葉の色が抜けたように見える。ハダニが葉の裏から汁を吸った跡です。黄色くなるのとは違い、かすれる。
葉の裏に、動く点。0.5mmほどで、赤か黄色か緑。目を近づけると動く。ひどくなると、葉と葉のあいだに細い糸が張る。糸が見えたら、かなり増えています。
似ているものと分けます。葉が黄色くなるだけで裏に何もいないなら、養分の側。白い粉が葉の表に乗っているなら、うどんこ病。黒い小さな虫が葉の裏にいるなら、アブラムシ。ハダニは「かすれ」と「裏の動く点」の両方です。
出る条件も手がかりになります。私の設備では、乾いて暑くなってからでした。梅雨の湿った時期には出ない。真夏の、雨が少ない週に出る。
なぜアクアポニックスでもハダニが出るのか|土は関係ない
「土が無いから虫は出ない」と思っている人は多い。減るのは土に住む虫だけで、葉につく虫は飛んでくるか、苗に付いて入ってきます。ハダニは後者です。
ハダニは飛びません。歩くか、風に乗るか、苗や服や道具に付いて移動します。だから、出どころはほぼ2つ。買ってきた苗に付いていたか、近くの植物から移ってきたか。ハウスや室内でも、苗を入れた時点で入っています。
増えるのは、乾いて暑いときです。ハダニは湿気に弱く、雨に流される。屋外の畑で梅雨に減るのはそのためで、雨の当たらないハウスや室内の栽培槽は、逆に増える条件がそろっています。アクアポニックスは水の上にあるのに、葉は乾いている。ハダニにとっては、その葉が住みやすい。
だから、水の上で育てているから安心、ではなく、葉が乾いているから注意、と考えるほうが合っています。

①葉水|裏から、毎日、数日
最初の手は、水です。
ハダニは水に弱い。葉の裏に霧吹きかホースで水をかけると、流れ落ちるか、湿気で増えなくなる。散布のやり方はニームの記事と同じで、葉の裏から吹き上げる。表からかけても、裏にいるハダニには届きません。
毎日、数日続ける。1回では減らない。ハダニは卵から数日で成虫になるので、1週間ほど毎日かければ、増える速さを上回れます。
水は飼育水でも水道水でも構いません。葉にかけるだけなので、量は少ない。水面に落ちる分も、水なので問題ない。ここが薬との違いです。
葉水で止まるのは、出はじめのときです。糸が張るまで増えていたら、葉水だけでは追いつかない。次の段へ。
②ひどい葉は切る|株ごと抜かなくていい
「やられた葉は切ってもいいか」は、よくある質問です。切っていい。むしろ切ったほうがいい。
ハダニは葉の裏に集まっています。かすれが広がった葉、糸が張った葉は、そこがハダニの住まいです。その葉を切れば、住まいごと減らせる。薬を使わずに一番効くのが、これです。
切った葉は、その場に落とさない。袋に入れて捨てる。栽培槽のそばに置くと、そこから戻ります。
株ごと抜くのは、葉の大半がかすれているときだけ。いちごのように株が大事な野菜なら、外側の葉を切って、中心の新しい葉を残す。いちごは株さえ残れば、翌年また実をつけます。
切りすぎの線は、株の葉が半分以下になるところ。そこまで切るなら、抜いて植え直すほうが早い。

③油|気門をふさぐサフオイル乳剤。化学の殺虫剤ではない
葉水と切除で残るなら、最後の手が油です。
私の設備で使っていたのは、サフオイル乳剤です。登録番号22801の登録農薬で、有効成分はサフラワー油と綿実油、97%が油。虫の気門を物理的にふさいで効かせる剤なので、殺虫成分ではなく、薬剤に抵抗のついたハダニにも同じように効きます。有機農業の資材としても認められていて、野菜なら収穫の前日まで使えます。
私の設備で使ったのはこれです。登録農薬で、油で気門をふさぐ型。使う前にJAに魚への影響を確かめました。
使う前に、JAに魚への影響を問い合わせました。回答は「魚には影響が少ない。多少水槽に入っても影響は少ないが、入れるものではない」。だから、入れない前提で使います。
散布は、水面をふさいで、葉の裏から吹き上げる。スプレーの口を下から上へ。上から落とすと、葉を越えた分が水に入ります。散布のあいだ、栽培槽の水面に板か布を掛けておく。
葉の裏から吹き上げるなら、ノズルが曲がる蓄圧式の噴霧器。霧吹きより細かく、水面に落とさずに済みます。
ニームオイルも使っていましたが、こちらは予防の側で、出てしまったハダニを減らす力は弱い。出たあとに効かせるなら、油です。
出る前の予防なら、ニーム。出てしまったあとは油の側です。
油は、虫の口をふさぐマスクと同じで、毒ではなく息を止める。だから抵抗がつかない。
散布した日に、魚と水を見る|入れない前提でも、確かめる
油を散布した日は、魚の側も見ておきます。入れない前提で散布しても、ゼロにはならないからです。
見るのは3つ。水面に油の膜が浮いていないか、魚が水面に集まって口を動かしていないか、翌朝の餌への反応。膜が浮いていたら、水面をふさぎきれていなかった証拠です。キッチンペーパーを水面に滑らせて吸い取る。魚が水面に集まっていたら、エアレーションを足す。
JAの回答は「多少水槽に入っても影響は少ない」でしたが、それは「入れていい」ではありません。少ないのは影響であって、ゼロではない。次の散布では、水面の覆いを広くする。
野菜の側は、散布から数日で葉の裏の点が減っているかを見る。減っていなければ、散布が裏に届いていない。表からかけている人がほとんどです。もう一度、下から上へ。
使えないもの|化学の殺虫剤、木酢液の断定、エコピタの未確認
ハダニで検索して出てくるもののうち、ここでは使わないものを書いておきます。
化学の殺虫成分を使った農薬。ハダニ用の殺ダニ剤の多くがこれです。魚毒性が高く、細菌にも効く。畑では選べても、魚の上では選べない。
木酢液で「魚に無害」と断定するもの。効くとも効かないとも、私は確かめていません。魚に無害という根拠も見ていない。書けるのは、確かめたサフオイル乳剤だけです。
エコピタやマシン油乳剤。同じ「油で気門をふさぐ」型ですが、私は使っていません。使うなら農薬登録情報で作物と魚毒性を確かめてから。名前が似ていても、登録が違えば別物です。
「使えない」を「農薬が全部使えない」と単純にしないでください。使えないのは化学の殺虫成分。物理的にふさぐ剤は使える。水耕栽培との差は、使えるか否かではなく、選べる幅です。

出にくくする|乾かさない、持ち込まない、いちごを見る
止めたあと、次に出にくくする手は3つです。
葉を乾かさない。乾いた暑い時期に、葉の裏に週に一度でも水をかけておく。ハダニは湿気を嫌うので、それだけで出にくくなります。真夏の週1回の葉水は、予防の中で一番安い。
持ち込まない。いちばん多い持ち込み口は買ってきた苗です。植える前に葉の裏を見る。かすれがあれば、その苗は入れない。
いちごを先に見る。私の設備で出たのはいちごでした。ハダニが好む野菜は決まっていて、いちご、大葉、きゅうり、なす。これらがある槽は、乾いた週に裏を見る習慣を。葉物より先に、こちらに出ます。
止まったと判断できるのは、いつか
葉水や油のあと、どこで「止まった」と言えるか。線を決めておかないと、毎日葉の裏をのぞくことになります。
新しい葉に、かすれが出なければ止まった。古い葉のかすれは消えません。見るのは、手を打ったあとに出た新しい葉だけ。そこがきれいなら、増えていない。
1週間、裏に動く点が見つからなければ、終わり。卵が残っていれば数日で孵るので、1週間は見る。それを過ぎて出なければ、その回は終わりです。
止まったあとも、乾いた暑い週だけは、裏に水をかける。それが再発を一番減らします。
どこで見切るか|終わりの判断
線を決めておきます。
私の設備でハダニが出たのはいちごで、乾いて暑くなってからでした。使ったのはサフオイル乳剤で、JAに魚への影響を確かめてから、水面をふさいで葉の裏から。
かすれと裏の動く点、両方あればハダニ。片方なら別の原因。
出はじめなら、葉水を毎日1週間。それで増えなくなれば終わり。
糸が張った葉、かすれが広がった葉は切る。株の葉が半分以下になるなら、抜いて植え直す。
それでも残るなら、油。化学の殺虫剤には向きません。水面をふさいで、裏から。
迷ったら、水をかけて、葉を切る。この2つは魚に何の害もなく、ハダニの大半はここで止まります。
最後にひとつ。ハダニで一番損をするのは、「農薬が使えないから何もできない」と思って放っておくことです。使えないのは化学の殺虫剤だけで、水と手と油は使える。放っておけば糸が張るまで増えて、株ごと失う。出はじめに水をかけるだけで、そこまで行きません。
まとめ
アクアポニックスのハダニは、3段で止めます。葉の裏に水を毎日1週間、かすれた葉や糸が張った葉は切る、それでも残るなら気門をふさぐ油。
化学の殺虫成分を使った農薬は使えません。魚と、水の中の細菌に効くからです。私の設備で使ったのはサフオイル乳剤で、JAに魚への影響を確かめてから、水面をふさいで葉の裏から散布しました。
出たのはいちごで、乾いて暑くなってから。見分けは、葉の表のかすれと、裏の動く点。木酢液やエコピタは確かめていないので書きません。
迷ったら、水をかけて、葉を切る。魚に害がなく、ハダニの大半はここで止まります。
よくある質問(FAQ)
Q. アクアポニックスでハダニが出たらどうすればいいですか。
A. 3段です。葉の裏に水を毎日1週間かける、かすれた葉や糸が張った葉は切る、それでも残るなら気門をふさぐ油(サフオイル乳剤)。化学の殺虫成分を使った農薬は使いません。
Q. ハダニにやられた葉は切ってもいいですか。
A. 切っていい。ハダニは葉の裏に集まっているので、その葉を切れば住まいごと減らせます。切った葉は袋に入れて捨てる。株の葉が半分以下になるなら、抜いて植え直すほうが早い。
Q. ハダニに効く農薬は使えますか。
A. 化学の殺虫成分を使ったものは使えません。魚と、水の中の細菌に効くからです。使えるのは虫の気門を物理的にふさぐ油。私の設備ではサフオイル乳剤(登録番号22801)を、JAに魚への影響を確かめてから使いました。
Q. ハダニはどう見分けますか。
A. 葉の表が白くかすれ、葉の裏に0.5mmほどの動く点がいる。両方そろえばハダニです。ひどくなると葉のあいだに細い糸が張ります。黄色くなるだけなら養分、白い粉が表に乗るならうどんこ病。
Q. いつ出やすいですか。
A. 乾いて暑い時期です。私の設備で出たのも、いちごに、乾いて暑くなってからでした。梅雨の湿った時期には出にくい。
Q. ニームオイルはハダニに効きますか。
A. 予防の側です。出てしまったハダニを減らす力は弱い。出たあとに効かせるなら、葉水と切除、それから油です。
Q. 木酢液は使えますか。
A. 私は確かめていないので、効くとも魚に無害とも書けません。確かめてあるのはサフオイル乳剤だけです。
Q. 散布するとき魚に入らないようにするには。
A. 散布のあいだ栽培槽の水面に板か布を掛け、スプレーの口を下から上へ向けて葉の裏から吹き上げます。上から落とすと葉を越えた分が水に入ります。
Q. ハダニは人に害がありますか。
A. ありません。植物の汁を吸う虫で、人を刺しません。葉を触ったあとは手を洗えば足ります。
Q. 魚にハダニは付きますか。
A. 付きません。ハダニは植物の葉の裏で汁を吸う虫で、水の中では生きられません。魚に影響が出るのは、ハダニではなく、ハダニに使った薬が水に落ちたときです。
Q. どの野菜に出やすいですか。
A. いちご、大葉、きゅうり、なす。私の設備で出たのはいちごです。これらがある槽は、乾いた週に葉の裏を見る習慣を。
→ 費用と失敗の記録をnoteで読む
次に見るのは、ここ
ハダニ以外の虫も出ているならアクアポニックスの害虫対策|効く順へ。予防にニームを考えているならニームオイルは効くのかへ。虫の入り口を減らすなら水耕栽培でも虫は来る|入り口のふさぎ方へ。いちごの側の話はアクアポニックスでいちごは育つのかへ。かすれではなく黄色くなっているなら足りない栄養の見分け方へ。
