発泡スチロールの箱を、スーパーでもらってきた。
蓋に丸い穴を開けて苗を差せば、水耕栽培になるらしい。カッターを当てる前に、手が止まる。穴はどのくらいの大きさで、いくつ開ければいいのか。光は入らないのか。そもそも、ちゃんとした水耕パネルを買ったほうが早いのではないか。
私は、苗を差す板に既製の水耕パネルを使っています。Amazonで買って5年、今のところ不具合はありません。この記事は、自作か既製品かの分かれ目と、株の間隔、光の止め方までを書きます。
- 続けるなら、既製の水耕パネル。私はAmazonで買ったものを5年使って不具合なし。
- 既製品にした理由はコスパと、規格がそろっていること。足しても同じように並ぶ。
- 1株だけ試すなら、家にある発泡スチロールの箱で自作。穴は小さめ、光を入れない。
- 株の間隔は穴の数ではなく距離で。私は20cm前後。
- パネルの役目は光を止めること。裏の藻は気にしなくていい。
- 発泡スチロールで自作するか、既製の水耕パネルを買うか|私は既製品で5年
- 既製パネルにした理由は2つ|コスパと、規格がそろっていること
- 既製パネルの欠点も先に|最初にお金がかかり、槽を合わせる
- 自作が向くのは、どんなときか|家にある箱で1株から
- パネルの役目は、苗を支えるより光を止めること
- 夏に水をお湯にしない|発泡スチロールは断熱もする
- 株の間隔は広めに|私は20cm前後空けている
- 苗はスポンジで差す|緑になっても、たいていは藻
- 土より育たないのでは、という心配
- トマトのような重い作物は、支えを上から
- 白い発泡スチロールが丸見え、という見た目の悩み
- どこで見切るか|自作から既製品に替える線
- まとめ
- よくある質問(FAQ)
- 次に見るのは、ここ
発泡スチロールで自作するか、既製の水耕パネルを買うか|私は既製品で5年
答えを先に書きます。水面に浮かべて苗を差す板は、既製の水耕パネルを買うほうが、結局は楽で安くつきます。私はそうしています。
水耕パネルは、発泡スチロールの板に、苗を差す穴が同じ間隔で開いたものです。水の上に浮かべて使います。DWC(深水式)の浮き板は、これです。
私のところでは、Amazonで買ったパネルを5年使っています。割れも欠けも、今のところありません。自作は、最初から選択肢に入れませんでした。理由は次の章で2つ書きます。
ただ、自作が向く場面もあります。家にある箱で、まず1株だけ試したいとき。それは後の章で。

既製パネルにした理由は2つ|コスパと、規格がそろっていること
1つ目は、コスパです。私の見立てでは、自作するより既製品のほうが安くつきます。自作なら、発泡スチロールの板を買い、厚みを選び、穴を開ける道具をそろえ、失敗すれば板を買い足す。そこまで入れると、完成したパネルを買うほうが早くて安い。5年使えていることも、1年あたりにすれば効いています。
2つ目は、規格がそろっていることです。既製のパネルは、同じ大きさ、同じ厚み、同じ穴の間隔でできています。2枚目、3枚目を足しても、同じ槽に同じように並びます。私のパネルも、スポンジに包んだ苗をそのまま差せる穴です。
自作すると、1枚ごとに穴の位置も大きさも少しずつずれやすい。1枚なら困りませんが、槽を広げたとき、パネルを替えたとき、ずれが手間になります。規格がそろっているものを買えば、その手間がまるごと無くなる。私にとって、自作を選ばない理由はそこでした。
既製品を選ぶのは、服を仕立てずに既製服を買うのと同じで、自分に合わせる楽しさはないかわりに、同じものがいつでも手に入ります。

既製パネルの欠点も先に|最初にお金がかかり、槽を合わせる
既製品の欠点も書いておきます。
最初にお金がかかる。もらってきた箱なら、材料はただです。既製のパネルは、買った瞬間に出費になる。1株だけ試したい段階なら、この出費は重く、既製品は向きません。
槽のほうをパネルに合わせることになる。パネルの大きさは決まっているので、手持ちの箱や容器にぴったり収まるとは限りません。私のように既製品で揃えるなら、パネルの大きさを先に決めて、それが浮かぶ槽を用意する順番になります。
どちらも、続けるつもりがあるなら小さな欠点です。続けるかどうか分からないなら、それが自作を選ぶ理由になります。
自作が向くのは、どんなときか|家にある箱で1株から
自作が向くのは、はっきりしています。
家にある箱で、まず1株だけ試したいとき。発泡スチロールの箱の蓋に丸い穴を1つ開けて、スポンジに包んだ苗を差す。水を張って、ぶくぶく(エアポンプ)を入れれば、1株の水耕栽培になります。続けるかどうかを決めるには、それで足ります。
やってみて続けると決めたら、そのときに既製のパネルへ移る。私は最初から既製品でしたが、順番としてはこれがいちばん無駄がありません。自作の箱で始めて、株を増やすときに既製品に替える。
自作するなら、2つだけ気をつけます。光を通さない厚みにすることと、穴は小さめに開けて、スポンジで合わせること。大きく開けた穴は戻せません。次の章で、光の話を書きます。
パネルの役目は、苗を支えるより光を止めること
パネルの仕事は、苗を支えることだと思われがちです。でも、もうひとつ大事な仕事があります。水に光を入れないこと。
光が水に届くと、そこで藻が増えます。藻は水の中の養分を使い、根のまわりに絡み、ポンプの吸込口を詰まらせます。水面をパネルでふさいでおけば、光は穴のすき間からしか入りません。
畑でいえば、黒いマルチ(土を覆うシート)と同じです。マルチは雑草を抑えるために土を覆いますが、パネルは藻を抑えるために水を覆う。
自作の箱で気をつけたいのは、ここです。薄い発泡スチロールや、ふたの無い部分があると、光が入ります。箱の内側に黒いビニールを敷く人がいるのは、この光を止めるためです。
既製のパネルでも、藻は生えます。私のところでも生えますが、特に気にしたことはありません。藻は全部取らなくていい。守るのは3か所だけで、パネルの裏や槽のふちの藻は、放っておいて困ることがほとんどありません。

夏に水をお湯にしない|発泡スチロールは断熱もする
発泡スチロールが水耕栽培に向いているのは、光を止めるからだけではありません。熱も止めます。
発泡スチロールは、中に空気を閉じこめた素材で、熱を通しにくい。パネルで水面を覆うと、夏の日差しが水を直接温めるのを防げます。プラスチックの容器をそのまま日なたに置くと、夏の昼は水がお湯のようになります。
水耕栽培の夏の水温は22℃で線を引きます。それを超えると根が傷みやすくなる。パネルで水面を覆うのは、その線を守る手のひとつです。
既製でも自作でも、水面を全部覆うのが基本です。穴に苗が入っていないところは、スポンジを詰めるか、何か置いて光と熱をふさぎます。
株の間隔は広めに|私は20cm前後空けている
穴の数だけ植えたくなりますが、私は株の間隔を広めにとっています。株と株のあいだが、20cm前後空くように。
理由は、株が育ったときの大きさです。植えたときは小さな苗でも、葉物は横に広がります。間隔が狭いと、葉が重なって光を取り合い、根も水の中で絡み合います。
私にも、株が多すぎた失敗があります。メダカのアクアポニックスで直播きしたとき、株が多すぎて葉が薄くなりました。魚を増やすより、株を減らすほうが早かった。間引きの記事に書いたとおり、詰めて植えて後から減らすより、最初から空けておくほうが手間がかかりません。
既製のパネルは穴が多めに開いているものがあります。穴の数に合わせて植えるのではなく、株のあいだの距離で植える穴を選ぶ。使わない穴は、スポンジでふさいでおきます。

苗はスポンジで差す|緑になっても、たいていは藻
苗は、スポンジに包んで穴に差しています。スポンジで種をまいて、根が出たら、スポンジごとパネルの穴へ。移すのは、日数ではなく根が出たかで決めます。
穴とスポンジの大きさが合っていれば、苗はぐらつかず、光もすき間から入りにくい。既製のパネルを使うと、穴の大きさで迷わずに済みます。
苗を包むスポンジは、切れ目の入った水耕栽培用の角型が扱いやすい。種をまいて、根が出たらそのままパネルの穴へ移せます。
しばらくすると、スポンジの表面が緑になることがあります。カビかと心配になりますが、光の当たる濡れた面に出る緑は、たいてい藻です。苗を抜いて替える必要はありません。白くふわふわしたものが根から生えているなら、それは根毛で、これもカビではありません。
土より育たないのでは、という心配
水耕栽培を始めた人から、よく聞く心配があります。やっぱり土のほうが育つのではないか。
育ちの差を決めているのは、パネルか土かより、光と水温と養分のほうです。水耕で育ちが悪いときは、パネルを疑う前に、この3つを見ます。大きくならないときに確かめる順番は、別の記事に5つ書きました。
そのうえで、水耕には土に無い楽さもあります。根が直接水に触れているので、水さえ保てば水切れがない。土の処分も要らない。どちらが上かではなく、手間のかかる場所が違うのです。
トマトのような重い作物は、支えを上から
パネルは水に浮いています。だから、パネルそのものに支柱を立てることはできません。浮いた板に重みをかけると、傾きます。
葉物のように軽い作物なら、パネルだけで足ります。実が重くなる作物や、背が高くなる作物は、パネルの外、槽のふちや上に枠を作って、そこから支える形になります。
実もの(トマトなど)を本格的にやるなら、浮かべるパネルより、培地に根を張らせる方式のほうが向きます。株を下から支えられるからです。
白い発泡スチロールが丸見え、という見た目の悩み
発泡スチロールは、置くと白くて安っぽく見える。庭やベランダの見える場所なら、気になるのは当然です。
既製のパネルも白いものが多いので、見た目の悩みそのものは変わりません。ただ、規格がそろっているぶん、並べると整って見えます。大きさの違う箱を寄せ集めるより、同じ板が同じ向きで並んでいるほうが、畑の畝のようにまとまります。
見た目を変えたいなら、パネルより槽のほうを隠すほうが効きます。槽のまわりを木の板で囲えば、白く見えるのは上のパネルだけになります。囲いは、夏の日差しが槽の横から当たるのも防ぎます。
パネルそのものを塗ったり、上に何かを重ねたりするのは、やめておきます。穴がふさがったり、苗のまわりに光が入る場所ができたりします。見た目は外側で整えて、パネルは光を止める仕事に専念させる、と分けておくのが楽です。
どこで見切るか|自作から既製品に替える線
線を決めておきます。
1株だけ試すなら、家にある発泡スチロールの箱で自作。蓋に小さめの穴を1つ、スポンジで合わせる。内側に光を入れない。
続けると決めたら、既製の水耕パネルへ。私は5年使って不具合なし。規格がそろっていて、足しても並ぶ。
株の間隔は、穴の数ではなく距離で。私は株と株のあいだを20cm前後空けている。
水面は全部覆う。使わない穴はスポンジでふさぐ。パネルの裏の藻は気にしなくていい。
迷ったら、まずは家にある箱で1株。続けたくなったら、既製品に替える。その順なら、どちらの失敗も小さく済みます。
まとめ
水面に浮かべて苗を差す板は、続けるなら既製の水耕パネルが楽です。私はAmazonで買ったパネルを5年使って、今のところ不具合はありません。選んだ理由は、コスパと、規格がそろっていること。
1株だけ試すなら、家にある発泡スチロールの箱で自作して構いません。穴は小さめに開けてスポンジで合わせ、箱の内側に光を入れないこと。
パネルの役目は、苗を支えるより光を止めること。水面は全部覆い、株の間隔は穴の数ではなく距離で決めます。私は株と株のあいだを20cm前後空けています。パネルの裏の藻は、気にしなくていい。
迷ったら、家にある箱で1株から。続けたくなったら、既製品に替える。
よくある質問(FAQ)
Q. 水耕栽培のパネルは、発泡スチロールで自作できますか。
A. できます。家にある発泡スチロールの箱の蓋に穴を開け、スポンジで苗を差せば、1株から試せます。続けるなら既製の水耕パネルが楽で、私は既製品を5年使って不具合はありません。
Q. 既製の水耕パネルと自作は、どちらが安いですか。
A. 私の見立てでは、続けるなら既製品のほうが安くつきます。板・道具・失敗したときの材料まで入れると、完成したパネルを買うほうが早くて安い。1株だけ試すなら、もらった箱の自作がいちばん安く済みます。
Q. 発泡スチロールの箱に穴を開けるだけで、水耕栽培になりますか。
A. なります。蓋に穴を開けてスポンジに包んだ苗を差し、水を張ってエアポンプを入れれば1株の水耕栽培です。穴は小さめに開けてスポンジで合わせ、箱の内側に光が入らないようにします。
Q. 株の間隔はどのくらい空ければいいですか。
A. 私は株と株のあいだが20cm前後空くようにしています。葉物は育つと横に広がり、狭いと葉が重なって光を取り合い、根も絡みます。穴の数ではなく、株のあいだの距離で植える穴を選びます。
Q. パネルに藻が生えました。取ったほうがいいですか。
A. 私のところでも生えますが、特に気にしたことはありません。パネルの裏や槽のふちの藻は放っておいて困ることがほとんど無く、守るのはポンプの吸込口など3か所だけです。
Q. スポンジが緑になりました。カビですか。
A. 光の当たる濡れた面に出る緑は、たいてい藻です。苗を抜いて替える必要はありません。根から白くふわふわしたものが生えているなら、それは根毛です。
Q. 夏に水がお湯のようになります。
A. パネルで水面を全部覆うと、日差しが水を直接温めるのを防げます。発泡スチロールは熱を通しにくい素材です。水耕栽培の夏の水温は22℃で線を引きます。
Q. 水耕栽培は土より育たないのでは。
A. 育ちの差を決めるのは、パネルか土かより、光と水温と養分です。育ちが悪いときは、先にその3つを確かめます。
Q. トマトのような重い作物もパネルで育てられますか。
A. パネルは水に浮いているので、支柱を立てられません。実が重い作物や背が高くなる作物は、槽のふちや上の枠から支えます。実ものを本格的にやるなら、培地に根を張らせる方式のほうが向きます。
Q. 既製の水耕パネルは何年くらい使えますか。
A. 私のパネルは5年使っていて、今のところ割れも欠けもありません。
次に見るのは、ここ
パネルを浮かべる方式が合うかはアクアポニックスのDWC(深水式)へ。実ものを育てたいならアクアポニックスの3方式へ。藻が増えてきたら水耕栽培の藻は、全部取らなくていいへ。スポンジの苗をいつパネルに移すかは水耕栽培の定植へ。パネルに差す苗を作るところからスポンジで種まきへ。
