水耕栽培のレタスが、枯れてはいない。葉の色も悪くない。でも、2週間たっても、同じ大きさのままです。
調べると「光」「肥料」「温度」「酸素」と原因が並びます。全部それらしく見えて、どれから手を付ければいいのか、分かりません。
確かめる順番があります。一番多くて、一番早く直るものから。そこから書きます。
- 確かめる順番は、株の数→光→水温→養液→根。多い順で、直しやすい順です。
- 上から見て隣の株と葉が触れ合っていたら、多すぎ。半分に間引く。うちの実物はこれでした。
- 液肥は最後。一番先に手が伸びて、一番先に株をだめにする。
- 定植直後の1週間と、冬の屋外は、止まって当たり前。原因ではありません。
- ひとつ直して1週間で新しい葉が出れば、それが答え。同時に2つ直さない。
大きくならない原因は、確かめる順番で決まる
答えを先に書きます。枯れていないのに大きくならないなら、株の数、光、水温、養液、根、の順に確かめます。この順は、多い順であり、直しやすい順でもあります。
うちの実物で言うと、葉が薄くて大きくならなかった原因は、株の数でした。直播きして、間引きが遅れて、株が多すぎた。魚を増やすより、株を減らすほうが早かった。
次に多いのが光です。葉物は日陰でもそれなりに育ちますが、「それなり」で止まります。大きくするには、光が要ります。
水温は、季節で決まります。夏は22℃を超えると止まりはじめ、冬は屋外なら止まって当たり前です。
養液と根は、上の3つを消してから見ます。先に液肥を足すと、原因が別だったときに、濃すぎて枯れます。
ひとつずつ、書いていきます。
止まっているのか、枯れはじめているのか|境目
この記事は、枯れていない株の話です。境目を書いておきます。
葉の色が緑のまま、枚数も増えないし大きくもならない。これが「止まっている」で、この記事の範囲です。株は生きていて、条件がそろえば動きます。
葉が黄色くなる、縁が茶色くなる、しおれる。これは「枯れはじめている」で、別の記事です。止まっているのではなく、減っています。手当ての順番も違います。
止まっている株を放っておくと、そのうち枯れはじめます。とくに夏は、止まった株がとう立ちして、それから枯れる。止まっている段階で原因を見つけるほうが、枯れてからより、ずっと手が少なくて済みます。
だから、「まだ枯れていないから大丈夫」ではなく、「枯れる前に止まっているうちに直す」。この記事は、そのための順番です。
もし、この記事を読んでいるあいだに葉が黄色くなりはじめたら、枯れる記事へ移ってください。順番が変わります。

株の数|葉が触れ合っていたら、多すぎる
まず、株を上から見てください。隣の株と葉が触れ合っているなら、多すぎます。
株が多いと、1株あたりの光と養液が減ります。全部の株が、少しずつ育って、少しずつ止まる。どの株も枯れないので、気づきにくい。葉が薄く、小さく、それでも緑のまま、という状態になります。
うちで葉が薄かったのは、これでした。直播きすると、芽が出そろった時点では小さいので、込み合って見えません。気づくのは、葉が触れ合うころ。そのときには、全部が薄い。
直し方は、間引きです。残すのは背の低い株。抜かずに切る。半分に減らすと、残った株が数日で動きはじめます。
「せっかく芽が出たのにもったいない」と思うところですが、多いまま育てても、全部が小さいまま終わります。半分にして、半分を大きくするほうが、穫れる量は多い。
間引いた芽は、ベビーリーフとして食べられます。捨てるわけではありません。
間引いて1週間、残った株の新しい葉が、前より大きく出てきたら、原因は株の数でした。同じ大きさの葉しか出ないなら、次の光へ進みます。

光|葉の色が濃いのに大きくならないなら、光
株の数が足りていて、それでも止まっているなら、光です。
光が足りないときの見え方は、2つあります。茎だけ伸びて葉が小さいなら、光を探して伸びています。これは枯れる記事にも書きました。もうひとつ、葉の色は濃いのに、葉が増えないし大きくならない。これも光です。色を作る分の光はあるが、葉を作る分が足りない。
確かめるのは、置き場所です。道具なしで明るさを見る方法を書きました。午前中に日が当たるか、当たるなら何時間か。
屋外で日陰なら、日の当たる場所へ動かします。室内なら、窓辺でも足りないことが多い。室内はライトが要ります。窓から1メートル離れると、目で見るより、ずっと暗い。
光を足して1週間で、新しい葉が出はじめれば、光でした。
水温|夏と冬で、止まり方が違う
株の数も光も足りているのに止まるなら、季節です。
夏に止まるなら、水温です。葉物は、水温が22℃を超えると育ちが鈍り、それ以上になると止まります。葉は枯れず、大きくもならず、そのうちとう立ちして、そこで終わりです。
夏の対処は、水温を下げること。遮光、容器を白くする、水量を増やす。効く順に書いてあります。
冬に止まるなら、気温です。屋外の水耕は、冬は止まって当たり前です。枯れなければ、春に動きます。室内なら、暖房の入る部屋で、ライトがあれば動きます。
冬に「大きくならない」のは、原因ではなく、季節です。直すのではなく、待つか、育てる場所を変えるか。
春と秋に止まるなら、水温ではありません。前の2つか、次の2つです。
養液|薄すぎるか、pHか
ここまで消して、まだ止まっているなら、養液を見ます。
葉が全体に淡い緑で、大きくならないなら、薄い。水を足すたびに薄まっていることがあります。足し水だけで液肥を足していないなら、これです。規定の濃さで作り直します。
ただし、足す前に、いまの濃さを見てください。水換えの記事に、濃さの見方を書きました。薄いと決めつけて足すと、濃すぎて葉の縁から枯れます。止まっているだけの株が、枯れる株になります。
濃さが合っているのに止まるなら、pHです。養液があっても、pHが外れていると、根が吸えません。下の葉から黄色くなるなら栄養の記事、色は正常で大きくならないだけなら、pHを測ってください。
養液で直るのは、この2つだけです。液肥を「足せば大きくなる」ものだと思って足し続けると、たいてい逆に行きます。
根|白くて短いなら、酸素か水温
最後に、根を見ます。株を持ち上げて、根の色と長さを見てください。
白くて、張りがあって、それなりに長いなら、根は健康です。それでも止まっているなら、上の4つのどれかを見落としています。もう一度、株の数から戻ってください。
白いが、短くて増えないなら、酸素か水温です。根は水中の酸素で呼吸します。足りないと、伸びません。水を動かすか、水位を下げて根の上のほうを空気に触れさせます。
茶色くなっているなら、この記事ではなく根腐れの記事です。止まっているのではなく、傷んでいます。
根が短い株は、葉を大きくする前に、根を伸ばします。根が伸びるまでの数日から1週間、葉は止まって見えます。定植したばかりなら、これは正常です。待ってください。

定植直後の1週間は、止まって当たり前
ここまで原因を書きましたが、ひとつ、原因ではない「止まり」があります。
スポンジから装置へ移した直後、苗は数日から1週間、動きません。新しい水に根を慣らし、根を伸ばしている時間です。葉が動かないので「大きくならない」と感じますが、根の下では動いています。
この期間に、光を強くしたり、液肥を足したりしないでください。根がまだ吸えないので、効きません。効かないどころか、濃すぎて根を傷めます。
目安は、移したときの根が2〜3センチなら、1週間ほど。それを過ぎて動きはじめれば正常。過ぎても動かないなら、この記事の順番で確かめます。
「移して3日で大きくならない」は、原因ではありません。待つ時間です。
水耕栽培は、土より成長が遅いのか
「水耕栽培は成長が遅い」と聞いて、それが原因だと思っている方がいます。
条件がそろっていれば、水耕栽培は土より速い。根が水と養分を探して伸びる必要がなく、そのぶんを葉に回せるからです。業務用の植物工場が水耕なのは、そのためです。
遅いと感じるなら、それは方式のせいではなく、この記事の5つのどれかが欠けています。「水耕だから遅い」で片付けると、原因を探さなくなります。
ただし、立ち上がりだけは、土より遅く見えます。定植直後の根の慣らし、それから、小さい装置は水量が少ないので、水温が動きやすい。最初の2週間は、土の苗のほうが先に行くことがあります。そのあとで追い越します。
2週間を過ぎて追い越さないなら、原因があります。順番に確かめてください。
魚がいる装置なら、液肥ではなく株を減らす
アクアポニックスのように、下に魚がいる装置の場合、養液の濃さを自分で決められません。濃さは魚の餌の量で決まります。
だから、5つのうち「養液」のところで打てる手が変わります。液肥を足すのではなく、株を減らすか、魚を増やすか。うちは、株を減らすほうが早かった。魚はすぐには増やせないし、増やすと水が先に傷みます。
株の数を減らすと、1株あたりの養分が増えて、残った株が動きはじめます。魚を増やすのは、そのあとで、それでも足りないときです。
この違いを除けば、確かめる順番は水耕栽培と同じです。株の数、光、水温、そして根。魚がいるぶん、打てる手が減ることは、枯れる記事にも書きました。
魚がいる装置で「大きくならない」なら、答えはほぼ、株が多い、です。
もともと小さい品種と、水耕に向かない野菜
もうひとつ、原因ではない話です。育てている野菜が、もともと大きくならない品種、ということがあります。
ベビーリーフ用のレタス、ミニサイズの品種、間引き菜として売られている種。これらは、大きくならないのが正常です。袋の裏に、収穫の大きさが書いてあります。それを超えないなら、それが上限です。
逆に、結球するレタスや、実ものは、水耕栽培では大きくするのが難しい。葉物、ハーブ、実ものの順に難しくなります。難しいものを選んで「大きくならない」なら、品種の問題です。
初めてなら、リーフレタス、水菜、小松菜。この3つは、上の原因が無ければ、大きくなります。
どこで見切るか|終わりの判断
線を決めておきます。
原因をひとつ直して、1週間で新しい葉が出れば、それが答えです。ほかは触りません。
1週間で動かなければ、次の原因へ進みます。株の数、光、水温、養液、根。この順で、1つずつ。同時に2つ直すと、どれが効いたか分からなくなります。
5つ全部やって動かないなら、季節か品種です。待つか、次の作で野菜を変えます。
最後にひとつ。液肥は、最後です。大きくならないとき、一番先に手が伸びるのが液肥で、一番先に株をだめにするのも液肥です。株の数を数えるところから、始めてください。
まとめ
水耕栽培で、枯れていないのに大きくならないなら、株の数、光、水温、養液、根の順に確かめます。多い順で、直しやすい順です。
一番多いのは株の多すぎ。上から見て葉が触れ合っていたら、半分に間引く。うちの実物も、直播きで株が多すぎて葉が薄くなり、間引くほうが早かった。
光は置き場所、水温は季節、養液は濃さを見てから、根は色と長さ。液肥は最後です。先に足すと、止まっている株が枯れる株になります。
定植直後の1週間と冬の屋外は、止まって当たり前。ひとつ直して1週間で新しい葉が出れば、それが答えです。
よくある質問(FAQ)
Q. 水耕栽培で野菜が大きくならないのはなぜですか。
A. 枯れていないのに止まっているなら、株の数、光、水温、養液、根の順に確かめます。一番多くて一番早く直るのが株の多すぎで、隣の株と葉が触れ合っていたら間引きます。液肥を足すのは最後です。
Q. 葉の色はいいのに大きくなりません。
A. 株が多すぎるか、光が足りないかです。上から見て葉が触れ合っていたら間引く。足りていれば置き場所の明るさを見ます。色を作る分の光はあっても、葉を作る分が足りないことがあります。
Q. 液肥を足せば大きくなりますか。
A. 薄すぎるときだけです。足す前にいまの濃さを見てください。原因が別なのに足すと、濃すぎて葉の縁から枯れます。液肥は一番先に手が伸びて、一番先に株をだめにするものです。
Q. 定植してから1週間、動きません。
A. 正常です。移した直後は根を新しい水に慣らして伸ばしている時間で、葉は止まって見えます。この期間に光や液肥を足さないでください。1週間を過ぎても動かないなら、原因を順に確かめます。
Q. 夏に止まりました。
A. 水温です。葉物は22℃を超えると鈍り、それ以上で止まります。遮光、容器を白くする、水量を増やす。放っておくと、とう立ちして終わります。
Q. 冬に大きくなりません。
A. 屋外なら止まって当たり前で、原因ではなく季節です。枯れなければ春に動きます。室内で暖房とライトがあれば冬でも動きます。
Q. 間引くのがもったいないです。
A. 多いまま育てると全部が小さいまま終わります。半分にして半分を大きくするほうが穫れる量は多い。間引いた芽はベビーリーフとして食べられます。
Q. 根は白いのに大きくなりません。
A. 根が健康なら、株の数、光、水温、養液のどれかを見落としています。株の数から戻ってください。根が白くて短いままなら、酸素か水温です。
Q. どうなったら原因が分かったと言えますか。
A. ひとつ直して1週間で新しい葉が出たら、それが答えです。動かなければ次へ。同時に2つ直すと、どれが効いたか分かりません。
次に見るのは、ここ
株が多すぎるなら水耕栽培の間引き|抜かずに切る。残すのは背の低い株へ。光を疑うならアクアポニックスの光はどれだけ要るのかへ。夏に止まったら水耕栽培の夏の水温|22℃で線を引くへ。枯れはじめたら水耕栽培で枯れる|どこから枯れたかで原因が分かれるへ。魚がいる装置ならメダカで野菜が育たない|株を減らせば穫れるへ。

