アクアポニックスとアクアリウムは、水の世界を愛する人々にとって魅力的な選択肢ですが、それぞれが提供する生態系と管理方法には大きな違いがあります。特に、水換えが不要とされるアクアポニックスのシステムは、従来のアクアリウムとは一線を画します。この記事では、これら二つのシステムの基本的な概念から始め、アクアポニックスがなぜ水換えを必要としないのか、その科学的根拠と実践的な利点に深く潜ります。水槽の管理を簡素化し、持続可能な生態系を構築しましょう。
■アクアポニックスは水換え不要
アクアリウム水槽をしている方は定期的なメンテナンスとして水換えをしていると思いますがアクアポニックスでは基本的に水換えは不要です。
今回はアクアポニックス水槽における水質と水換え不要な理由を解説します。
アクアリウムにおいて水換えが必要な理由
アクアリウムで水換えをする主な理由は下記です。
・魚に有害な物質を取り除く
魚から出るアンモニアが硝化サイクルのもと硝酸塩になり、それが蓄積されるとエラなどにダメージを与えるため、水替えをして排出しその濃度を薄める。また、水槽内に硝酸塩が溜まると栄養過多になり、コケなどの原因になるのでそれを取り除くため。
・水質の安定(PH調整)
水換えをしないと硝酸塩などの酸化物が蓄積され、そのままにしておくと、PHがどんどん酸性に傾きます。水換えによって酸化物を取り除き、新水でPH中性付近に戻します。※一般的な魚の適正PHは中性付近の6.5~7.5
・鑑賞性を維持するため
水換えをしないと流木からのアクなどで有機酸(フミン酸など)が増え、飼育水が黄色や茶色になるのでその見た目を改善するため。
※茶色い水はブラックウォーターを呼ばれ、抗菌・殺菌作用があるので、魚の感染症予防になるなどのメリットがあります。
アクアポニックスで水換えが不要な理由
・有害な物質を野菜が吸収する
アンモニアから分解された硝酸塩を野菜が肥料として吸収し、それを除去し、水を浄化するため。野菜の量(吸収)と魚の量(排出)のバランスが保てると、良い環境を保つことができます。
・水質の安定
野菜は硝酸塩を吸収しますが、PH調整まではできないのでPHを調整する対策が必要になります。PHを上げるには牡蠣殻や卵の殻、炭酸カルシウムなどが有効です。
PHが上昇しすぎるとアンモニア(アンモニウムNH4)がアンモニア(NH3)にかわり、猛毒になるので注意が必要です。
・水の着色
気になるようなら活性炭などを投入すると吸着します。
ただ、ブラックウォーターの素となる有機酸(フミン酸など)は魚、野菜にもメリットがあるため、よほど気になる場合以外は水換え不要です。
・硝酸塩の管理
魚と野菜を育てるアクアポニックスはバランスが大事です。
硝酸塩が少なすぎると野菜が育たず、多すぎると魚にダメージがあります。
そこで定期的な水質チェックが必要になってきます。
アクアリウムでの硝酸塩濃度は 20mg/L 以上で水換え推奨ですが、アクアポニックスでは 40mg/L 前後です。
週1回の1/3換水と一般的には言われていますが、魚の量や大きさ、えさの量、フィルターの大きさなどによって変わってくるので、定期的な水質チェックを行い、硝酸塩濃度を目安に管理をするろ水槽に合った水換えのタイミングを知ることができます・
水質チェックはアクアリウム用の検査キットで簡単に確認することができます。
■おすすめの水質検査キット
・API FRESH WATER MASTER TEST KIT
アンモニア、亜硝酸、硝酸塩、PHが測定できる試薬タイプです。
試薬タイプは細かい数値を測定できるのと、使用回数も約800回と長期にわたって使用することができます。アクアポニックスはもちろんアクアリウムにおいても使用できます。コスパも良く、プロのアクアポニックス農家の御用達です。
・EASYTEST 6 in 1
PH、亜硝酸、硝酸塩、塩素、KH、GHの6種類が測定できる試験紙タイプです。
水に付けるだけで簡単に測定することができます。
150回分ですが縦に半分に切ることによって、倍の300回使用することができます。
・セラ 硝酸塩テスト
硝酸塩だけを測定したい方はこちらの試薬タイプ
試薬なので、細かい数値が測定できます。
ここまで水質と水換えについて解説してきましたが、頻繁な水換えや、適当に放置などでは魚や野菜に悪影響を与えかねないので、定期的な水質チェックで正しい管理をこころがけましょう。
あなたもアクアポニックスをはじめてみませんか?
基本的な知識を理解することができれば
実はそれほど難しい技術はいりません。
あなたも魚で安心安全な野菜をそだててみませんか?
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