アクアポニックスを始めたい初心者の方々から寄せられる疑問にお答えします。
アクアポニックスを始めるにはどんな培地が適しているのか知りたい。購入先や注意点も知りたいので教えてください。
というご要望に応じて、以下に培地の選び方に関する重要なポイントをご紹介します。
本記事の要点
- 培地の役割【3つ】
- ハイドロボールが最適な理由
- ハイドロボール以外の培地
培地とは?
培地は土の代替物で、アクアポニックスにおいては一般的に「ハイドロボール」と呼ばれる無機の培地が主に採用されます。有機物である土は腐食し水質を変化させるため、無機物の培地を使用します。
ハイドロボールの特徴:
粘土を丸めて高温(1000度以上)で焼いたもので、穴がたくさんあり多孔質です。
培地の役割【3つ】
- 微生物の住処: アンモニアを硝酸塩に変換する生物ろ過
- ゴミの除去と水質維持: 物理ろ過
- 植物の支え: 根の発達を促進
1と2は水のろ過役割であり、アクアポニックスにおいて極めて重要です。通常、多孔質な培地が採用される理由は、微生物が住みつきやすくなるからです。微生物はアンモニアを植物の栄養である硝酸塩に分解し、「生物ろ過」と呼ばれる過程です。また、培地はフィルターのような機能も果たし、水中のゴミを取り除きます(物理ろ過)。
培地システムでは、水を通すだけで生物ろ過と物理ろ過の両方を行います。これに対して、水耕栽培システムでは別途「生物ろ過槽」と「物理ろ過槽」を外付けする必要があり、構造が簡素でDIYもしやすいのが培地システムの利点です。
アクアポニックスのシステムの種類についてはこちら
また、培地によって植物が根を張りやすく、背の高い植物も育てられます。例えば、水耕栽培では倒れやすいトマトやトウモロコシも、培地を使用することでしっかりと育てられます。
アクアポニックスにハイドロボールが最適な理由
簡潔に述べると、アクアポニックスの培地には以下の条件が求められます。これを考慮すると、最適な選択はハイドロボールとなります。
培地選びの条件:
- pHに影響を与えない
- 腐食しない
- 適切なサイズ(直径0.8〜1.5cm)
- 多孔質で微生物の住処となる
- 崩れずに丈夫
ハイドロボール以外の培地も存在しますが、大理石や石灰岩はpHを上げるため避け、土やピートモス、木片、ココナッツの皮は腐敗するため使用しないようにします。
ハイドロボール以外の培地の選択肢
- 軽石: ホームセンターなどで気軽に手に入れられる。多孔質で軽く、PHに影響を与えない。水洗いが必要。
- 砂利: オーストラリアなどで使われ、価格が安いが重い。
- ボラ土(日向土): 宮崎県で取られる軽石の一種。PHが酸性に傾く。水洗いが必要。
- セラミック(陶器や瓦のチップ): リサイクル素材で粒サイズが均一でない。崩れやすい。
- 溶岩砂利: 主にハワイで使用される。多孔質で水質に影響を与えない。
- 防犯砂利(天然石): ガラス製のものは使用不可。天然石製は重く作業性が悪い。
まとめ
培地を後から交換するのは手間がかかりますので、アクアポニックスを始める際には最初からハイドロボールを使用したほうが良いでしょう。サイズが小粒、中粒、大粒とありますが、アクアポニックスでは中粒か大粒がお勧めです。
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