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メダカの餌やり|量と回数の目安と、空腹と酸欠の見分け方
めだか
2024.09.24
水槽をのぞくと、メダカが水面に集まってくる。こちらを見ているような動きをされると、「お腹が空いているのかな」と思って、つい餌を足したくなります。かわいさもあって、つい手が出てしまう場面です。
ですが、ここで一度立ち止まってください。水面に集まる行動は、空腹とは限りません。酸素が足りていないときにも、メダカはまったく同じ場所に集まります。
そして酸欠のときに餌を足すと、食べきれなかった分が沈んで水をさらに汚し、状況を悪化させます。空腹サインを読むというのは、じつは空腹ではないときを見抜くことでもあります。
- 基本は「2〜3分で食べきる量」を1日1〜2回。ただしこれは水温20℃前後の話
- 水温が下がれば必要な量も減る。15℃前後で1日1回、10℃以下は与えない
- 水面に集まる=空腹とは限らない。動きが鈍く口をパクパクしているなら酸欠
- 酸欠のときに餌を足すと、食べ残しで水がさらに汚れて悪化する
- 与えすぎは魚ではなく水に出る。底に沈んだ餌・油膜・白濁が出たら次の1回を抜く
水面に集まっていても、腹が減っているとは限らない。①と②を見分けてから餌を決める。
この記事の結論(要点)
- 基本は2〜3分で食べきる量を1日1〜2回。ただし水温20℃前後の話です。
- 水面に集まるのは、空腹とは限りません。酸欠のときも、まったく同じ場所に集まります。
- 見分けるのは動きです。元気に寄ってくるなら食欲、鈍いまま口だけ動かすなら酸欠。
- 与えすぎのサインは、魚ではなく水に出ます。底の沈殿・水面の油膜・白いにごり。
- 15℃前後なら1日1回、10℃以下では与えません。年中同じ量が、いちばん多い失敗です。
まず、基本の量と回数
サインを読む土台になるので、先に基本を押さえておきます。1回に与える量は2〜3分で食べきる量、回数は1日1〜2回が目安です。ここまではよく言われるとおりです。
同じ量を年中あげ続けるのが、いちばん多い失敗。
ただしこれは水温が20℃前後にある、活発な時期の話です。メダカは変温動物なので、水温が下がれば代謝も落ち、必要な量そのものが減ります。
| 水温 |
回数の目安 |
ようす |
| 25〜28℃ |
1日1〜2回 |
よく食べる |
| 20℃前後 |
1日1〜2回 |
安定して食べる |
| 15℃前後 |
1日1回か2日に1回 |
食が細くなる |
| 10℃以下 |
与えない |
ほとんど食べない |
水温がそのまま食べる量に効いてくるので、季節の変わり目は水温計を見ながら調整すると失敗しません。感覚で同じ量を与え続けるのが、いちばん多い失敗です。
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スプーン何杯かに、落としてみる
よく言われる「2〜3分で食べきる量」は、慣れないうちは判断がつきません。そこで、手元のスプーンで数えられる形にしておきます。
0.25ccスプーン(顆粒)での目安。体重の3%で計算。
メダカ1匹の体重は、野生のメダカを調べた研究で0.37〜0.51グラムと報告されています。3%なら1匹あたり1日0.012グラム。30匹で0.36グラムです。
キョーリンは、付属の0.25ccスプーン1杯が顆粒で0.145グラム、フレークで0.057グラムだと公表しています。割り算すると、こうなります。
| メダカの数 |
1日の量 |
0.25ccスプーンで |
| 10匹 |
約0.13グラム |
顆粒1杯/フレーク2〜3杯 |
| 20匹 |
約0.27グラム |
顆粒2杯/フレーク4〜5杯 |
| 30匹 |
約0.40グラム |
顆粒2〜3杯/フレーク6〜8杯 |
| 50匹 |
約0.67グラム |
顆粒4〜5杯/フレーク10〜13杯 |
1日ぶんの合計。これを1〜2回に分けて与える。水温が下がれば減らす。
思っていたより少ない、と感じる人が多いはずです。30匹で顆粒2〜3杯。指でひとつまみすると、これを軽く超えます。「ひとつまみ」がすでに多いというのが、数字にしたときに見えることです。
ただしこの数字は出発点で、正解ではありません。水温・魚の大きさ・季節で変わります。量ったうえで、あとに書く「食べきる時間」で微調整してください。
「片目ぶん」「2〜3分」は、どこから来た数字か
ここまでの数字がどこから来たのかを、少しだけ書いておきます。よく見かける目安は2つで、「2〜3分で食べきる量」と「魚の片目くらいの大きさの量」です。
どちらも便利な言い方ですが、調べてみると出どころが辿れません。誰がどんな根拠で言い出したのかが書かれた資料は見つからず、記事から記事へ受け継がれている状態です。前者はメーカーも使っているので実用の目安としては通りますが、後者は根拠を確かめられませんでした。
ややこしいことに、「片目ぶん」は量の目安として使う人と、粒の大きさの目安として使う人がいます。養殖の資料では粒の大きさを口の幅で測るので、目とは別の基準です。同じ言葉が2つの意味で流れています。
公的な資料が使っているのは、もっと単純な尺度です。フロリダ大学の資料は魚は体重に対する割合で給餌すべきで、維持なら1日に体重の0.5〜1.0%が適切としています。メダカについては、飼料を比べた研究の飼育手順に体重の3%を毎日与えるとあります。
その集まり方は、空腹ですか
ここが本題です。メダカが水面付近に集まっているとき、その原因は大きく2つに分かれます。そして両者は見た目が似ているのに、取るべき対応は正反対になります。
同じ「水面に集まる」でも中身は正反対です。酸欠のときに餌を足すと、食べ残しで水がさらに汚れます。
空腹のときのメダカは活発です。水面近くをよく泳ぎ、人影が近づくと寄ってきて、餌を入れた瞬間に群がります。見ていて元気があります。
一方、酸欠のときは動きが鈍くなります。水面で口をパクパクと開け閉めする、いわゆる鼻上げの状態で、餌を入れても反応が薄いのが特徴です。時間帯にも差があり、酸欠は夜のあいだに酸素を使い切った明け方に出やすくなります。
見分ける近道は、餌を入れてみて反応を見ることです。すぐ群がるなら空腹、無反応なら別の原因を疑ってください。反応が薄いときは餌を追加せず、水温と水面の状態を確認します。
寄ってくるかどうかは、上から見るといちばん分かる。
夏場は特に注意が必要です。水温が上がると水に溶ける酸素の量が減り、同時に魚の消費量は増えます。この仕組みはエアレーションが必要になる条件で詳しく解説しています。
酸欠だと分かった場合は、まず水面を動かして酸素を入れてください。エアレーションを弱めに追加するのが確実です。
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与えすぎのサインは、魚ではなく水に出る
「足りているかどうか」はメダカを見ていても分かりにくいものですが、与えすぎのほうは水にはっきり出ます。魚の顔色をうかがうより、水を観察するほうが確実です。
魚を見るより水を見るほうが確実です。ひとつでも出たら、次の1回を抜いてください。
いちばん確実なのが、底に沈んだ餌です。メダカは水面と中層で食べる魚なので、底に落ちた餌はほとんど食べません。数分後に底を見て粒が残っていたら、それは多すぎたということです。
水面に薄い膜が張るのも、餌の脂が浮いているサインです。水が白っぽく濁ってきたときは、分解が追いついていない状態なので、次の1回を抜いて様子を見てください。
残った餌は、その場で取る
食べ残しに気づいたら、沈んだまま放置しないでください。餌はそのまま腐り、アンモニアを出して水質を悪化させます。「あとで水換えすればいい」と考えているうちに、水はどんどん傷んでいきます。
スポイトや網ですくえば数十秒で終わります。この一手間があるかどうかで、水換えの頻度が変わってきます。水を汚さない工夫全般は水換えの頻度を減らす記事にまとめています。
適量は、そのつど確かめる
適量は固定ではありません。水温が下がれば食べる量も減るので、そのつど確かめるのが確実です。
ここまで読んで気づかれたと思いますが、「うちの適量」は固定ではありません。水温、季節、匹数、成長段階で変わります。
だからこそ、少なめから入れて様子を見るのが確実です。1つまみ入れて2〜3分見る。食べきったら少し足す。残ったら次回は減らす。この繰り返しで、その時期の適量が見えてきます。
メダカは数日食べなくても弱る魚ではありません。成魚なら涼しい季節で約1週間もつので、足りないことより多すぎることを警戒してください。
特定の個体だけ痩せているとき
全体には行き渡っているつもりでも、強い個体が先に食べてしまい、一部だけ痩せることがあります。数が多い容器ほど起こりやすい現象です。
最初に気づくのは上から。健康な個体は頭よりお腹がふっくら、痩せると頭だけが大きく見える。
気づくきっかけは、たいてい上からのぞいたときです。健康なメダカは、上から見ると頭よりお腹のあたりがわずかにふっくらしています。痩せてくるとその膨らみが消えて、頭だけが大きく見えます。おたまじゃくしのような姿、と言うと近いです。横から見ると腹の丸みが失われて平らになり、背中から腹までの高さそのものが減ってきます。
進むと、背中から尾の付け根にかけての肉が落ちて、体の線がとがってきます。さらに進めば背骨が浮いて見え、泳ぎがふらついたり、立ち泳ぎのようになったりもします。そこまで来ているなら、餌の配り方より先に疑うことがあります。過密、いじめ、水質、老化、寄生虫。1匹だけなのか全体なのか、動きと食欲も一緒に見ると、原因を絞りやすくなります。
増やすと強い個体がさらに食べ、余りが底に沈む。同じ量でも数回に分ければ、後から来る個体に届く。
この場合、量を増やすのは逆効果です。食べる個体がさらに食べ、余った分が水を汚すだけになります。対処は回数を分けることで、1回の量を減らして与える回数を増やすと、後から来る個体にも行き渡ります。
それでも改善しないなら、痩せた個体を別の容器に移して、落ち着いて食べられる環境をつくってください。数が減るだけでも競争がなくなり、しっかり食べるようになります。
繁殖させたい時期は、回数を増やす
産卵には多くのエネルギーが要るため、繁殖期は栄養が不足すると卵の数が減ります。この時期だけは1回の量ではなく回数を増やす形で対応してください。
1日3回以上に分けて少量ずつ与えると、水を汚さずに栄養を届けられます。繁殖用に配合された餌を使うと、量を増やさずに必要な栄養を補えます。
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餌の種類ごとの使い分けはメダカのエサ選び完全ガイドで解説しています。
メダカには胃が無いので、食い溜めができない
回数を分ける理由は、じつは体のつくりにあります。
上は胃のある魚。ふくらんだ胃にためて、少しずつ送り出せる。下がメダカで、口から腸へまっすぐ通っている。
メダカは胃を持たない魚です。東京工業大学が2024年に、胃を持たない魚が共通して失った遺伝子を特定した研究を発表していて、メダカもその11種に挙げられています。
胃が無いということは、食べたものを溜めておく場所が無いということです。口に入ったものは短時間で腸を通り抜けます。だから一度にたくさん食べても身にならず、あふれた分はそのまま出て水を汚します。
同じ量なら、1回でどさっと与えるより2回に分けたほうが体に入る。回数を分けるのがよいと言われるのは、この理由です。
そしてもうひとつ。胃が無い魚は満腹という区切りが曖昧で、与えれば与えるだけ口を動かします。「まだ欲しがっているから」を基準にすると、必ず与えすぎになります。
速く育てると、寿命が縮む
ここからは、あまり語られていない話です。
最後の大きさは同じでも、育つ速さで寿命が変わる。
餌の量の目安は、たいてい養殖の世界から来ています。養殖の数字は「決まった餌で、いかに早く大きくするか」を最適化したものです。出荷までの日数を縮めるための値であって、長く飼うための値ではありません。
観賞魚の目的は逆です。何年も元気でいてほしい。ここで、成長の速さと寿命の関係を調べた実験が効いてきます。
グラスゴー大学の研究チームは、トゲウオの幼魚に短期間だけ水温の変化を与えて、成長の速さだけを上下させました。最終的な体の大きさは同じに揃えています。結果は、速く育った個体は寿命の中央値が14.5%短くなり、ゆっくり育った個体は30.6%延びたというものでした。
大事なのは、この差が最終的な大きさとは無関係だったことです。大きくなったから縮んだのではなく、速く育ったこと自体が効いていました。
同じ研究室の別の実験では、給餌のしかたを直接扱っています。食べた総量が同じでも、飢えさせてから一気に与えた個体は寿命が短くなりました。原因は、そのあとに起きる急な成長です。
これは飼育でやりがちな形です。平日は控えめにして、週末にたっぷり。総量では足りているつもりでも、この与え方がいちばん体に負担をかけます。旅行で数日空けたあとに取り返そうとするのも同じです。
ただし、同じ論文では単に餌を減らすことは寿命を延ばしませんでした。「少なく与えれば長生き」ではありません。要点は量ではなく、急に育てないこと。毎日ほぼ同じ量を、切らさずに与えるのがいちばん体に優しいということになります。
なお、どちらもトゲウオでの実験です。メダカで同じことが起きると言い切れるわけではありません。ただ「速く育てると寿命が縮む」という関係が、魚で実験的に示されていることは知っておいて損はありません。
A. 2〜3分で食べきる量を、1日1〜2回が基本です。ただしこれは水温20℃前後の活発な時期の話で、水温が下がれば必要な量そのものが減ります。
A. 15℃前後なら1日1回、10℃以下では与えません。メダカは変温動物なので、水温が低いと消化そのものが働かなくなります。同じ量を年中あげ続けるのが、いちばん多い失敗です。
A. 限りません。人が近づくと元気に寄ってくるのは食欲ですが、動きが鈍いまま口だけパクパクしているなら酸欠のサインです。酸欠のときに餌を足すと、食べ残しで水がさらに汚れて悪化します。
A. 魚ではなく水に出ます。底に沈んだ餌、水面の油膜、白いにごりが出たら与えすぎです。次の1回を抜いて、残った餌はその場で取り除いてください。