グリーンウォーター、またの名を青水とも呼ばれるこの現象は、水槽や池において、水が緑色に濁ることを指します。この緑色は、主に微細な藻類、特にプランクトン類の藻が大量発生することによって引き起こされます。見た目は問題があるように感じるかもしれませんが、グリーンウォーターは実は多くの水生生物にとって非常に有益な環境を提供することができます。
特に稚魚にはグリーンウォーターでの飼育がお勧めです。
グリーンウォーターの有用性
- 天然のフィルターとしての役割: グリーンウォーターに含まれる藻類は、水中の有害な窒素化合物を吸収する能力を持っています。これにより、アンモニアや亜硝酸などの有害物質が減少し、水質が自然に改善されます。
- 魚の健康促進: 特に幼魚にとって、グリーンウォーターは優れた食源となります。プランクトン藻は魚にとって栄養豊富な食料を提供し、健康的な成長を促進します。
- 隠れ場所の提供: 緑濁した水は、特に小さな魚や稚魚にとって、天敵から身を隠す場所を提供します。これにより生存率が向上することが期待できます。
グリーンウォーターの作り方
グリーンウォーター(青水)を作る基本的な方法は4つあります。
1.濃縮クロレラを添加する:
- 手順: 酸素が豊富な飼育水に濃縮クロレラを添加します(10Lの水に対して1mlが目安)。
- 設置: 容器を日光が当たる場所に置きます。
- 注意: 効率的な増殖には硝酸塩などの栄養分が必要です。飼育済みの水を使用すると良いでしょう。
2.自然に増えるのを待つ
- 方法: 適度なエアレーションを施しつつ、日光が当たる場所に飼育水を置くだけです。
- 時間: 完成までに2~3ヶ月かかることもあります。
- 利点: 一度条件が整えば、継続して青水を作り出すことが可能です。
4.ハイポネックスを使う
園芸用の液肥を使用したやり方です。
こちらはアクアリウム商品ではないので、中級者以上のマニア向けになります。
準備するもの:
バケツ
ハイポネックス キャップ半分
飼育水 コップ1杯
カルキ抜き 規定量
作り方:
①バケツに2Lぐらいのカルキ抜きした水、コップ1杯の飼育水、ハイポネックスキャップ半分杯を入れてよく混ぜる。
②日当たりのよい場所に移動させ、よく日光を当てます。(移動させやすい小さめのバケツでの作成がおすすめです。)
③定期的に混ぜる
4.イージーグリーンを使う
こちらはアクアリウムメーカーが出している【グリーンウォーター作成のための商品です】
使い方は非常に簡単なので、初心者にはこちらがおすすめとなります。
①飼育水槽への直接投入
イージーグリーンを規定量(水5ℓに5㎖、キャップ一杯:ネジ山の上端まで)入れてください。グリーンウォーターの発生には光源が必要ですので、太陽光を直接または窓越しで一日数時間当てるか、水槽用照明(LED、蛍光灯)を10 時間以上照射してください。
②飼育水槽とは別に培養槽を作る
グリーンウォーターを高濃度に培養し、稚魚の飼育水槽などに割り入れて使うことができます。ペットボトルやガラスビンなら光を透過するため、培養に向いています。植物プランクトンは浮遊しており、水が動かないと沈殿してしまうため、たまに容器を撹拌してください。理想的には、常時エアレーションをするのがベストです。
※発生を早める方法
- 水道水の代わりに魚の飼育水を使う
- 最初に少量のグリーンウォーターか市販の植物プランクトンを加える
飼育水槽への割り入れ
飼育水の色は薄い緑茶程度(水深30cmの底に置いた白い皿がうっすら見える程度)が最適ですので、これを目安にしてください。
- 水温の目安は15~30℃(理想は20℃以上)です。
- 条件により、3~14日で青水が発生します。
青水での飼育のメリットとデメリット
メリット:
- 自然な食源として利用でき、特に幼魚の成長に有利。
- 水質の改善に役立ち、有害な窒素化合物の除去を助ける。
デメリット:
- 青水の状態が悪化すると、藍藻類(シアノバクテリア)が増殖する恐れがあり、これには毒性があるため、魚に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 高水温での管理が難しく、夏場は特に注意が必要です。
暑い季節の管理方法
- すだれを使うや水を足すなど、水温を適切にコントロールします。
- エアポンプを用いて酸素供給を確保し、高水温による酸欠を防ぎます。
青水作成時の環境設定
青水を作る際は、「ベアタンク式」を採用すると良いでしょう。これは底砂や水草を入れずに、植物プランクトンに必要な栄養と光のみを提供する方法です。余分な要素を省くことで、植物プランクトンの増殖を効率的に行えます。
青水の飼育法は自然のプロセスを利用しているため、環境に優しく持続可能な方法です。ただし、その管理には注意が必要であり、環境条件の変化に敏感に対応する必要があります。適切な知識と手順で管理することで、健康的な水槽環境を維持することができるで
しょう。
グリーンウォーターを意図的に作成することは、それなりに簡単ですが、適切なバランスを維持することが重要です。
- 適切な光の確保: 藻類は光合成を行うため、光は非常に重要です。水槽や池に自然光が十分に当たるようにしましょう。ただし、直射日光は水温を急激に上昇させる可能性があるので注意が必要です。
- 栄養素の添加: 藻類の成長には窒素やリンなどの栄養素が必要です。適量の魚の餌や専用の肥料を添加することで、グリーンウォーターの発生を促すことができます。
- 水質管理: グリーンウォーターを維持するためには、定期的な水質チェックと調整が必要です。pH値や硝酸塩のレベルを適切に保つことが重要です。
注意点
- 過剰な藻類の増加: 藻類が過剰に増えすぎると、酸素の夜間消費が増え、魚が窒息する危険があります。日中は光合成により酸素が生成されますが、夜間は逆に消費されるため、バランスが重要です。
- 見た目の問題: 一部の飼育者は、緑濁した水を好まないこともあります。視覚的な美しさを求める場合は、グリーンウォーターの採用が適切でない場合があります。
グリーンウォーターは、自然環境に近い状態を水槽内で再現しようとする際に非常に有効な手段です。適切に管理されたグリーンウォーターは、多くの水生生物にとって理想的な生活環境を提供し、維持することができます。自然の力を利用した水質管理法として、ぜひ試してみてください。
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